Short Short


カトルはキーを叩くのを止め、溜め息を付いた。そこへ丁度やってきたラシードが、カトルに紅茶を差し出す。

「アメリカまでは、遠いな。移動手段は、船になるのか」

オズの要人が集合する。勿論、カトルもそれを逃す気はなかった。

只、問題はその移動手段だった。マグナック隊とカトルを合わせれば、四十一機のMSを移動する事となる。それでは、どうしても目立つ

此処は中東の砂漠地帯。目立たない方法となれば、石油タンカーの中に、石油を積まずに、MSを積み込むこと。

だが、臭 い 汚 い 不 味 い 三 重 苦 を味あわなければならない。

カトルはぶるんぶるんと、大きく首を振った。

僕には耐 え ら れ な い

「ラシード。僕、一人でカルフォルニアに旅 行 に行こうと思うんだ」

ラシードは眉を顰める。カトルは、そっとパソコンを閉じた。

「一人でカルフォルニアにですか」

ラシードは拳を握りしめた。眼には涙が浮かんでいる。

カトルの考えは彼には判った。皆を危険に巻き込まない為に、一人で行くなんて、なんてお 優 し い 方なんだ。

一人酔う彼には、カトルの真 意 は判っていなかった。


後書き