内心、彼はこの時間を楽しみにしていた。学園は、彼の自 慢 である。世界一の学校と自負していた。
ヒイロとカトルを迎えて、彼はまず尋ねた。
「学校はいかがでしたか」
だが、ヒイロは横を向いて無表情のまま黙っている。その様子に沈みそうになったが、まだカトルはいる。パーガンの期待に応えるかの様に、カトルは口を開いた。
「僕は、学校にくるなんて初めてなので、大変面白かったです」
「ほう、初めてですか」
パーガンは心踊った。創立の思想は勿論の事、広い構内、素晴らしい施設と設備、そして世界から集めた教授陣達。これ程のものは世界に類をみない。
「はい。何よりも驚いたのは、教 師 の数 より生 徒 の数 の方が多 い ということです」
勿論学園の生徒達も、自慢である。世界各国からこれからの未来を担う子女が、国を問わず大勢留学している。
内心、何かが違うとハーガンは思った。それでも、ハーガンはカトルに尚も尋ねた。
「僕はずっと家庭教師だったもので。学校は使 用 人 の行くところでしょ」
気の毒な程青くなってしまったパーガンに何か悪い事を言ったのかと、カトルはうかがうようにヒイロを見たが、彼には返答する気も起きなかった。彼は口元で呟く。
・・・確かに使用人の行くところだな。間違ってはいない。