序曲「読売衰退」

読売の人気が低下の傾向を見せている。テレビの視聴率は低下、チケットは余り気味。長嶋監督は報道陣に人気の低下を嘆くほどだ。

読売新聞の調査ではこう出ていた。55%以上がプロ野球ファン、さらに巨人ファンはその中の50%以上であると。これを根拠に渡辺恒夫読売オーナーは強気な発言を繰り返していた、しかし、この惨状はどうであろうか。

理由に考えられるのは、W杯開催によるサッカー人気の上昇。そしてイチロー、新庄、佐々木ら日本人大リーガーの活躍による大リーグ人気であろう。事実、私の会社ではサッカーファンの人数は野球ファンのそれを超えているし、朝のニュースでは日本のプロ野球の結果より大リーグでイチローや新庄が活躍したかどうかを報道する事の方が早い、つまり、プロ野球の結果よりもイチロー、新庄が活躍したかどうかを知りたい人の事が多いということになる。

さらに、読売の内部要因も忘れてはいけない。有力選手がFAで読売に集中する事により戦力の偏在が発生、これが今のプロ野球をつまらなくしている一因である事は間違いないだろう。

しかし、よく考えてみるとこの読売による選手の強引な獲得は昔から存在していた。江川事件に始まり、逆指名・FA制の導入など、選手獲得のシステムは常に読売有利に働いていた。昔から、こういった戦力の偏在を招く要素はあったにもかかわらず、今になってそれによる人気の低下が顕著になるのは読売が変わったからではなく、マスコミが変わったわけではなく、時代が変化したからであろう。

前にも書いたが、昔はスポーツといえばプロ野球だった。そういった世界では一つのチームが正しく、強くあるというのは人気獲得の手段として確かに有効だろう。しかし、今は他に見る物が沢山ある、目も肥えてきている。そういった中ではいかに勝負を面白く見せるかであろう。

読売は、確かに成功してきた。野球を国民的スポーツにしたのは確かに読売であろう。しかし、時代が変わった今となっては読売のやり方は足を引っぱるだけであろう。問題は、過去の成功にしがみついて読売が変わろうとしないことだ。読売だけが衰退するのはそれでいい。しかし、それによりプロ野球全体が衰退するのは悲しいものがある。

読売が衰退するのは避けられないであろう、それはもう始まっている。後は、いかにして上手に衰退するか。これが問題だ。




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