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「世界の夫婦の呼び方(と親族呼称)」
 あなたのお父さん、お母さんは、互いに相手を呼ぶとき、何と呼んでいますか。そして、あなたはご主人、奥さんを呼ぶとき、何と呼んでいますか。

 日本では家族の呼び方にはルールがあります。年下の者は年上の人を呼ぶときには普通は名前を直接呼ばずに親族呼称(例えば、一番下の子ども(『サザエさん』のタラちゃん)だったら、「お兄さん/お姉さん/お父さん/お母さん/おじいさん/おばあさん」)を用い、逆に年上の者は年下の家族を呼ぶときは、親族呼称(弟/息子)を用いず(弟よ、とか、息子よ、なんて言わず)、その名前を直接呼びます(タラちゃん)。

磯野波平(タラちゃんのおじいちゃん)もフネ(おばあちゃん)もフグ田サザエ(お母さん)もフグ田マスオ(お父さん)も磯野カツオも磯野ワカメも、サザエさんとマスオさんの子どものことを「ああ、孫よ」「息子よ」「甥よ」「弟よ」とか言わずに、「タラちゃん」と呼びます。そして、タラちゃんは「カツオ」とか「ワカメ」などと呼び捨てにせず、「お兄ちゃん/カツオ兄ちゃん」「お姉ちゃん/ワカメお姉ちゃん」と呼び、けっして「波平」「サザエ」などとは言わないで、「おじいちゃん」「ママ」と言います。

 「カツオ」、「ワカメ」などと呼び捨てで言うのは波平さん、フネさん、サザエさんだけです(マスオさんは「カツオくん」「ワカメちゃん」と呼んでいます)。

 カツオくんやワカメちゃんがサザエさんのことを「お姉さん」と呼んでいるように、サザエさんとカツオくんとワカメちゃんは、波平さんとフネさんの子どもたちで、この3人(サザエさん・カツオくん・ワカメちゃん)は兄弟姉妹です。だから、本当はカツオ叔父(おじ)さん、ワカメ叔母(おば)ちゃんなのですが、二人はおじさん、おばさんと言われるような年齢でないのでカツオ兄ちゃん、ワカメお姉ちゃんと呼ばれているのでしょうか。

 さて、ここでサザエさんとマスオさんが互いをどう呼び合っていて、家族がそれぞれどう呼んでいるか見てみましょう。

 二人のときは、奥さんであるサザエさんは、ご主人であるマスオさんのことを、「あなた」と呼んでいます。そして、マスオさんはサザエさんのことを「サザエ」と呼んでいます。そして、サザエさんはご両親(波平さんとフネさん)、ノリスケさん、カツオくん、ワカメちゃんの前では、マスオさんと呼んでいます(呼んでいたと思います)。これは、お父さんとかパパと呼ぶと、波平さんかマスオさんかわからなくなるからだと思います。そして、サザエさんは、タラちゃんの前では、マスオさんのことを「パパ」と呼んでいます(呼んでいたと思います)。一方、サザエさん自身は、ご両親とマスオさんから「サザエ」と呼ばれ、ノリスケさん、三河屋さんからは「サザエさん」と呼ばれています。カツオくんとワカメちゃんからは「姉さん(カツオから)」「お姉さん(ワカメちゃんから)」と呼ばれ、カツオの友達の花沢さんや中島くんからは「お姉さん」と呼ばれています。タラちゃんからは「ママ」と呼ばれています。

 このルールは家族呼称にだけ適応されるものではありません。日本語では、あらゆる組織の呼称がこのルールに基づいて使われています。日本語は目上の人のことを名前だけで呼ぶことはできない言葉なのです。

 たとえば、会社。中村課長は、田中部長や小川社長のことを、田中さんとか小川さんとは普通呼べません。田中部長/部長、小川社長/社長と言わなければなりません。逆に、社長は田中くん/さん、小川くん/さんと呼ぶことになります。

 学校でも同じです。学生の中村くん/さんは、田中先生、小川校長に対して、田中くん、小川さんとは普通呼んではいけません。田中先生/先生、校長先生と呼ばなければなりません。

 スポーツチームでも同じです。選手は、名前でなく、監督、コーチと呼ばなければなりません。あれ、なでしこジャパンは、佐々木則夫監督のことを選手たちはみんな「ノリさん」と呼んでいたような……。聞いていて心が温かくなるような響きがありました。2011年、2012年の試合を見ていて、選手たちがどれだけ監督を信頼して、尊敬していて、愛していたかは誰の目にも明らかなことでしょう。サッカーは新たな日本語のルールをこれから創っていってくれるのかもしれません。

「パパ・ママの呼び方」というページもありますが、このページでは「夫婦の呼び方」を特集します。

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夫婦の呼び方 (台湾1)

 パパ・ママというテーマがありますが、私が興味を持つのは夫婦間の呼び方です。夫は妻を、妻は夫をどう呼ぶか、ということです。台湾では、子どもがいる場合、例えば妻は夫を「Aちゃん(子どもの名前)のお父さん」と呼ぶと聞いたことがあります。他の国や地域ではどうなのでしょうか。



 2012年8月24日(金) ひむがしさん
   ひむがしさん、ありがとうございました。

おかげで、Multiculturalpedia(多文化理解事典)に新しいページが久しぶりに、本当に久しぶりに誕生しました。  お父さんとか、お母さんなどと役割で呼ばれるのはうれしくもあり、世界でただ一つの名前で呼ばれていないので、別に私でなくても誰でもいいのでは、と孤独を感じる人もいるのではないでしょうか。小さい頃、「〜ちゃん」と愛情を込めて呼ばれたことを思い出している人も少なくないのではないでしょうか。誰からも名前で呼んでもらえない、みんなといて孤独でないはずなのに「孤独」を感じている人もいるのではないでしょうか。

サザエさんが生き生きして見えるのは、「タラちゃん(本名はタラオくん)のママ」という役割呼称だけでなく、「サザエさん」「サザエ」と一個の掛け替えのない人格を尊重して愛情を込めて呼んでくれる人達がいるからかもしれませんね。 

「カツオ兄ちゃん」、「ワカメお姉ちゃん」というように名前を冠にして呼ぶのも呼ばれる方はうれしいかもしれません。

 日本でも、「タラちゃんのママ」「タラちゃんのパパ」という呼び方だけでなく、「タラちゃんのサザエママ」とか「タラちゃんのマスオパパ」とか呼んであげると、父・母という不特定なイメージの役割の仮面を脱いで、素顔で自分の人生を生き返らせることができるようになるかもしれません。



Multiculturalpedia(多文化理解事典)は一人ひとりを大切にもう一度生き返らせるために、この呼び方を提唱します。幼稚園で、保育園で、小学校で、学童保育で、児童館で、ちょっとこの呼び方にチャレンジしてみてください。

多数派はいつも少数派から生まれます。今は当たり前のこととして受け止められていることも昔はどれも非常識なことでした。ちょんまげから今の髪型、着物から洋服、急須のお茶からペットボトルのお茶、……。

   ひむがしさんの御本名はひょっとすると、東さんでしょうか。柿本人麻呂の「ひむがしの のにかぎろひの たつみえて かえりみすれば つきかたぶきぬ」という歌、大好きです。

 ひむがしさん、ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。
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