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「世界のひまわり」
ひまわりという名前/
向日葵は本当に太陽を追いかけているのか

 このページでは、
「世界では「ひまわり」はどう呼ばれているか、どうゆう名前か(太陽をイメージしてお日様にちなんだ名前をつけているところが多いか)」

「本当にひまわりは太陽を追いかけてまわっているのか」

「『地球が日をまわります(地球が太陽を回っている)」という表現がその文化圏の言語の「ひまわり」と一致するかどうか」

 を追いかけてゆきます。
 「ひまわり」という名前はどうしてついたのでしょう?

 「ひまわり」という名前はどうしてついたのでしょう、と聞くとたいていの方が「お日様」を追いかけて「まわる」花だから、と答えるでしょう。実際、語源はいくつかの説があるようですが、この説が有力だそうです。

 あの花のイメージに「ひまわり」という名前はぴったり当てはまります。太陽がカンカン照り付ける時に咲く、大きな、丸くて、黄色い花。

 さて、世界ではこの花のことを何と呼んでいるのでしょう。

今までの調査でわかったところでは、大きく分けて2系統あるようです。

  1. ひまわりグループ・・・太陽を追って、まわる花
  2. Sunflowerグループ1・・・太陽そのもの。太陽のように丸く、大きな、黄色い花
  3. Sunflowerグループ2(ひぐるまグループ)・・・太陽そのもの。太陽のようにまわる。
 ひまわりの命名で文化圏はどう分かれるでしょうか。それは伝播によるものなのでしょうか、それとも単なる偶然の一致なのでしょうか。

 ひまわりの姿を見て、世界各地の人々はこの花に名前をつけます。他の文化圏から伝わった名前をもらった所もあるでしょうし、新たにつくった所もあるでしょう。よかったら、いっしょに世界のいろいろな言語圏、文化圏のひまわりの名前を知る旅に出かけませんか。

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日本1

  ひまわりの呼ばれ方は文化圏によって、
  1. ひまわりグループ・・・太陽を追って、まわる花
  2. Sunflowerグループ1・・・太陽そのもの。太陽のように丸く、大きな、黄色い花
  3. Sunflowerグループ2(ひぐるまグループ)・・・太陽そのもの。太陽のようにまわる。
の大きく分けて3種類あるようだと書きましたが、日本にもこの3種類の呼び方があります。

 日本の各地ではいろいろな呼ばれ方をしています。
 『日本方言大辞典』(小学館)に出ている言葉をこの3種類に分類してみました。
『ひまわりグループ』
「ひまわり」、「ひむき」、「ひむきくさ」
『Sunflowerグループ1』
「ひの丸」
『Sunflowerグループ2(日車(ひぐるま)グループ)』
「ひぐるま」、「にちりんそー」、「にちれん」、「にちれんそー」、「ひぐるまそー」、「てんぐるま」、「てんとーまわり」、
『不明』
「ねっぱばな」、「めっぱ」、「わっぱばな」(車輪のような花という意味か)
「ひの丸」という地域語は、はじめ出会った時は「おや?」と思いましたが、言われてみればなるほどと思います。ひまわりの花の色は赤でなく、黄色なのであまりピンと来ませんでした。おもしろいものですね。この命名が広まらなかったのはそんなところにあるのかもしれません。

 これに『花の歳時記大百科』(北隆館)の情報も追加してみましょう。
『日廻りグループ』
「ひまわり(日廻り、日回、向日葵)」、「日向(ひむき)」、「日向草(ひむきくさ)」、「日向葵(ひなたあふひ、ひうがあおひ)」、「
『Sunflowerグループ1』
「ひの丸」
『Sunflowerグループ2(日車(ひぐるま)グループ)』
「日車(ひぐるま)」、「日車草(ひぐるまそう)」、「日輪草(にちりんそう)」、「にちれん」、「にちれんそー」、「てんぐるま」、「てんとーまわり」
『その他』
「ねっぱばな」、「めっぱ」、「わっぱばな」、「天蓋花(てんがいばな)」
 
   曼珠沙華[彼岸花]も天蓋花と呼ばれています。

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「ひまわり(日廻り)」は誤まりか1

 いろいろな文献に当たっていくうちに随所で「ひまわり」が太陽を追いかけて回るというのは誤りという記述にぶつかりました。本当に誤まりなのでしょうか。



「花は太陽の移るのにつれて回るといわれるが実際にはあまり動かない」
 『日本国語大辞典 第2版』(小学館)

「日本名のヒマワリは、黄色の巨大な花から日輪(太陽)を連想し、太陽の方向について花が回ると誤まってこの名を付けてしまったのが由来」
 『花の大歳時記』(角川書店)

「ヒマワリの名は花が太陽に向かって回ると信じられたことによるものであるが、実際は若い枝先とつぼみが多少回転するにすぎない」
 『園芸植物図鑑』(平凡社)

「よくいわれるように太陽に向かって花開き、その動きに従って向きを変える、というのは俗説であり、必ずしもそういう関係はない。」
 『朝日園芸百科』(朝日新聞社)

といった調子です。

本当にそうなのでしょうか。

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それでも「ひまわり」は回っている!?

「それでも「ひまわり」は回っている」、これはもちろん「それでも地球は回っている」のもじりです。



 地球が宇宙の中心と考えられていた時代に、地球も数ある惑星の一つにすぎず、他の惑星同様、太陽の周りを回っているというコペルニクスの説(コペルニクスの死後、出版される)の正しさを知ったガリレオはその考えを捨てるように強制されます。ガリレオは命令に従いながらも、"Eppur si muove"(「それでもそれ[地球]は動く(人がどう否定しようが、地球が太陽の周りを回っている事実は変わりようがない)」とつぶやいたと言われています。彼はその後自宅から出られず、本の出版も許されず、両眼を失明してしまいます。

 ひまわり論争は、事の重大さの次元がまったく違いますが、人類のそんな辛い歴史を思い出させます。



 では、「ひまわり」は回っている、という説をみてみましょう。

「ヒマワリはつぼみの間は太陽の方向に花首を向け、夜の間に西から東に向きを変える。その運動は花弁が黄色く色づくころから鈍り、開花期後、多くは東を向いたまま動かなくなる。」
 『日本大百科全書』(小学館)
なあんだ、結局、ひまわりの花は太陽を追いかけないのか、と思うのは早計です。続きを読みましょう。

 「しかし同属のシロタエヒマワリは、開花後も太陽の動きにつれて回転することが観察されている。」
 『日本大百科全書』(小学館)


 このシロタエヒマワリの、世界での分布はどうなのでしょう。広く世界のいろんなところで咲いているのでしょうか。それなら「ひまわりはまわっている」ですが、そうでなければ、「シロタエヒマワリはまわっている」と言うべきかもしれません。

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フランス語1

 「ひまわり」に当たるフランス語を和仏辞典で引くと、tournesolと出ています。「太陽」をひくと、soleil〔ソレイユ〕と出ています。

どうも、tournesolのsolが太陽のようです。前半部分が「回る」という意味ではないかと思って t の項目をみると、tourner:「回す、回る」と出ていました。

La Terre tourne autor du Soleil.
(地球〔Terre〕は太陽〔Soleil〕の周りを回ります〔tourne〕)

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スペイン語1

 「ひまわり」に当たるスペイン語を和西辞典で引くと、girasol〔ヒラソル〕と出ています。「太陽」をひくと、sol〔ソル〕と出ています。parasol〔パラソル〕という言葉もあり、なるほどと思いました。

前半部分が「回る」という意味ではないかと思って g の項目をみると、girar:「回す、回る」と出ていました。

La Tierra gira alrededor del Sol.
(地球〔Tierra〕は太陽〔Sol〕の周りを回ります〔gira〕)

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ポルトガル語1

 「ひまわり」に当たるポルトガル語を日葡辞典で引くと、girassol〔ジラソーウ〕と出ています。「太陽」をひくと、sol〔ソーウ〕と出ています。

前半部分が、girar:「回す、回る」と出ていました。

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イタリア語1

 「ひまわり」に当たるイタリア語を和伊辞典で引くと、girasol(oの上に、右上から左下に線)と出ています。「太陽」をひくと、sole(oの上に、右上から左下に線)と出ています。

前半部分、girareが「回す、回る」という動詞と出ていました。

La Terra gira attorno al Sole.
(地球〔Terra〕は太陽〔Sole〕の周りを回ります〔gira〕)

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ドイツ語1

 ひまわりに当たるドイツ語を和独辞典で引くと、Sonnenblume〔ゾネンブルーメ〕と出ています。この言葉の前の部分は「太陽」ではないかと思って独和辞典でSの項目を見てみると、果たして、 Sonne=「太陽」と出ていました。後半部分、Blumeは「花」という意味の言葉でした。

Die Erde dreht sich um die Sonne.
(地球〔Erde〕は太陽〔Sonne〕の周りを回ります〔dreht〕)


 ドイツ語は、イタリア語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語などと大きく違っていました。ドイツ語の「ひまわり」には「回す、回る:drehen」という動詞が使われていません。「太陽+花」というこの構成は、英語のsunflowerと同じ構成です。ちなみにドイツ語でタンポポはHundeblumeでした。

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英語1

 ひまわりに当たる英語はご存知のように、sunflowerです。sun:「太陽」、flower:「花」です。

The Earth turns around the Sun.
(地球〔earth〕は太陽〔sun〕の周りを回ります〔turn〕)


 イタリア語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語などと違い、英語の「ひまわり」という単語にはドイツ語と同じく「回す、回る:turn」という動詞が使われていません。「太陽+花」というこの構成は、ドイツ語のSonnenblumeと同じ構成です。

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オランダ語1、ポーランド語1、エスペラント語1

 「ひまわり」に当たるさまざまな言語を調べるためには、地球上の言語すべての辞典か、その言語のネイティブまたはネイティブに近い人が必要になります(あとは「ひまわり」「太陽」の絵、回るしぐさでなんとかなりそうです)。

どちらも簡単にはアクセスできないとき、多言語と自分が知っている言語の辞典が役に立ちます。自分が知っている言語がない方もあきらめる必要はありません。ヨーロッパの言語だったら、エスペラントの多言語辞典(『基礎エスペラント9カ国辞典』朝明書房)を使うとわかる場合があります。

 もちろん、この多文化理解辞典を訪れた方はエスペラントという名前は聞いたことがあっても、ほとんどどんなものかご存知ないでしょう。

 万国共通語と言いながら、エスペラントは特に単語はヨーロッパ言語の影響を強く受けています。だから、英語やフランス語などの知識を総動員すればなんとかわかることが多いのです。とえらそうにうんちくを言いましたが、実はスタッフにはエスペラントに詳しいメンバーはいません。いないのですが、ほんのちょっとだけ知っているスタッフがいます。

 まず「太陽」は英語でsunだから、sunoとあたりをつけます。どうして-oをつけるかというと、エスペラント語は名詞はすべて-oで終わるということになっているからです。スープはsupo、ヨーロッパはEuropo、学生はstudento、バラはrozoといったぐあいだそうです。



 そうやって調べると、ありました、ありました。suno:「太陽」、そしてそのまわりを懸命にさがすと、sunfloro:「ひまわり」がありました。



 これで9か国語(フランス語、英語、ドイツ語、ポーランド語、スペイン語、イタリア語、オランダ語、日本語)が手に入ります。



 オランダ語
zonnebloem:ひまわり

びっくりするほど、ドイツ語(Sonnenblume)と似ていますね。町田健さんの『語学が好きになる本』には、「本」は英語でbook, ドイツ語でBuch(ブーフ)、オランダ語でboek(ブーク)と言うという例が挙げられています。



 英語、ドイツ語、オランダ語はインド・ヨーロッパ語族(ヨーロッパの言語のほとんど。だから上記のヨーロッパ言語の「ひまわり」は語構成だけでなく、音までそっくりだったんですね)のゲルマン語派の一派だから当たり前と言えば当たり前かもしれません。大阪言葉、神戸言葉、京都言葉という関係と似ているところがあると言ったら言いすぎでしょうか。



ポーランド語
slonecznik:ひまわり

   オランダ語とドイツ語について書きましたが、『東と西の語る日本の歴史』(網野善彦 講談社学術文庫)にこんな一節があります。

「スペイン・イタリア・フランス、あるいはオランダとドイツ、ノルウェーとスウェーデンなどの違いの幅と、東日本と西日本、西日本と朝鮮半島の違いの幅と、果たしてどのくらい違うのであろうか。その幅が、これまでなんとなく考えられてきたよりも、東日本と西日本の間では広く、西日本と朝鮮半島との間では狭いことだけは間違いないと私は思うのであるが・・・・・・。」

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日本語1

 冒頭にも書きましたように「ひまわり」を表現する日本語はたくさんあります。今回は「ひまわり」という言葉に限定してみて考えてみます。



「ひまわり」は「日(=太陽)廻り(>回る)」でしょう。

地球は太陽〔日〕の周りを回ります〔廻ります〕

日本語の「ひまわり」は英語、ドイツ語型と言うより、イタリア語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語グループと言えそうです。

そういえば、金子みすゞの詩に「ひまわり」をうたった、いい詩がありました。

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インドネシア語1

 ひまわりに当たるインドネシア語をAn English-Indonesian Dictionary(Cornell University Press)で引くと、sunflower=bunga matahariと出ていました。この言葉の前の部分「bunga」を今度はAn Indonesian-English Dictionary(Cornell University Press)で引くと、bunga=flowerと出ていました。後半部分、matahariは「太陽」じゃないかと思い、An English-Indonesian Dictionary(Cornell University Press)でsunを引くと、はたして、sun:matahariと出ていました。

インドネシア語の「ひまわり」には「回す、回る」という動詞が使われていません。「太陽+花」というこの構成は、英語のsunflower、ドイツ語のSonnenblume、オランダ語のzonnebloem、と同じ構成です。

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マレーシア語1

 ひまわりに当たるマレーシア語を英-マ辞典で引くと、flower=bunga、 sun=matahari、とインドネシア語とまったく同じでした。どうして?インドネシア語とマレーシア語はどんな関係なんでしょうか。この辞典にはsunflowerというエントリーはありませんでした。

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ハワイ語1

 ひまわりに当たるハワイ語をHwaiian-English Dictionary(University of Hawaii Press)で引くと、sun=La(aの上に横棒)、そして複雑な記述。それからsunflowerを見ると、nana-la(nanaのaの上に横棒)=sunflowerとあり、pua-nana-la(nanaのaの上に横棒)、Lit., sun-gazer(太陽を見続けるもの、太陽をじっと見つめるもの)とあり、pua-nana-la(nanaのaの上に横棒)を実際に引くと、pua-nana-la(nanaのaの上に横棒):The common sunflower Lit., flower looking 〔at〕sunと出ていました。

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中国語1

 ひまわりに当たる中国語は、向日葵(これは日本に伝わったのひまわりの漢字でもある)、葵花、朝こざとへん+日(=陽)花、向こざとへん+日(=陽)花

葵花是向着太 こざとへん+日(=陽) 開くの門を除いた漢字 的、所以叫向日葵

「葵花は太陽(太 こざとへん+日)に向かい咲くからヒマワリと言うのだ」(小学館中日辞典)



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