* * * 非電化工房訪問(那須) * * *

   2007年9月5日(水)引越し完了の非電化工房を訪問
 
 
逗子の自宅と葉山の工房を、那須に移して最初の訪問者ではないかと思います。
NHKの「未来への航海」という番組を見て、モンゴルでの非電化冷蔵庫の映像や砂漠に放置されたバッテリーを再生し、商売として成り立つようにしているお話など、是非直接お聞きしたいという思いが募り、メールしました。ところがその時は丁度セネガルへ行かれていて不在メールが届きました。セネガルへ行った時のお話も聞けるかもしれないと益々思いは募りました。
 私のほかにも、非電化工房の藤村さんにお目にかかってお話を聞きたいメンバーがたくさんいると思いましたが、私の知りえる範囲の方に声をかけ、なおかつ、あまりたくさんで押しかけてもご迷惑をかけるのではないか、また、自分達の話を聞いてもらいにくくなるのではないかと思い、4、5名に絞って声をかけました。

 最初のメールから3ヶ月かかりましたが、藤村さんのご好意で、那須の新しい工房の方がいいでしょうということで、引越しの荷物がある程度片付いてお邪魔することになったためです。敷地面積1000坪、池の面積1500坪。伝手で見つけた中古物件だそうです。内装などは全て直したそうですが、藤村さんの工房にピッタリではないですか!

ヒマラヤスギの聳える対岸から撮影しました。左がお住まい、右の建物がアトリエ
大きな広間にはグランドピアノが2台、ビオラは藤村さんが弾かれるそうです。
コンサートが出来そうな感じです。

  

デッキには非電化冷蔵庫が・・。
外側をアルミ板で覆っているため少し高価だが、注文が来ているとか。

日本の気候では場所によっては効果が上がらないかもしれないとの事

 アトリエを見学させていただきました。様々な非電化発明品や工作台、前電化製品のコレクションが納まっていました。


空気清浄機

 


除湿機 フィルターがピンクになったら天日で乾燥させればまた室内で使える

ソーラー生ごみ乾燥機 
網状の筒に生ごみを入れ、容量を1/3以下にする




←NHKの出演時に使ったモンゴル仕様の非電化冷蔵庫の模型を前に説明

最も効果が上がる条件
@空気が乾燥している事
A昼と夜の温度差がある事
B北側に設置でき、昼間陽陰になるものがある事

アフリカで広く知れ渡った水の殺菌方法(ソーラー)
台の中央に温度変化で色が変わるテープを貼付けてある

アトリエ内部

手前:工具台 右奥:きらぴか・かるぴか
中央奥:前電化製品陳列棚


永久空気時計
室内の温度差だけで空気の膨張を利用しぜんまいを巻く仕組みで永久にぜんまいを巻く事ができ、止まる事は無い。
一日の内で温度が変わらないことは無い、1度の差でも2日分のぜんまいを巻く事が出来る。中古品を購入したが、何の不都合もないそうです。
*セネガルへ行った経緯
 セネガル大使が葉山の工房を訪問、その時にソーラーピラミッドのお話をしたところ、大変興奮して国へ持ち帰り大統領にまで話が届き、是非国へ来て説明してほしいと言う事になったそうです。でも、莫大な資金が必要とわかり、話がどんどん萎んで行ったそうです。
 その話の内容とは・・・一辺が1.7kmの正方形の上に高さ500mの砂のピラミッドを作り、コンクリートで固める(コンクリートは保温効果がある)。そのピラミッドをガラスで覆うとコンクリートとガラスの間の空気が温まり、上昇気流が発生する。その気流を利用して発電すれば、約10万キロワット発電可能。セネガルの電気を賄うことが出来るという構想。その資金は約200億円かかるそうです。そしてその額を聞いた大統領はピラミッドの高さをドンドン低く見積もっていったそうです。現在、その話は止まっている。

*非電化冷蔵庫の話
 モンゴルの遊牧民は、羊の肉が売れ残ったらそれを保存する手段がない。肉を腐らせてしまうことほど悲しいことは無いそうです。
 でも電気冷蔵庫を買うお金が無いし、それを動かす電気がない。みんなにいくらなら買えるかと聞いて回った結果、羊2頭分なら買えるということだったそうです。そして、現地で非電化冷蔵庫を作って売る人を募集したら50人ほども集まったそうです。その中の一人を教育し、冷蔵庫を売ったお金の(羊2頭分のうち1頭分)半分を利益としてよいという契約で販売権を与えているそうです。遊牧民も非電化冷蔵庫を売る人もみんな幸せになる仕組みを作っているのです。

*捨てられたバッテリー再生業
 モンゴルの砂漠には年間30万個も捨てられるそうです。遊牧民はバッテリーもなかなか買えません。それを特殊な高周波で再生するとまた、使えるようになるそうです。そういう機械を作って、只で手に入るバッテリーを安く売れば、売る方も使う方もお互いに幸せになる。砂漠も汚染されずに済む。みんなが嬉しい。

*ナイジェリアには以前から何度も行かれている藤村さんは、今回の課題を完成しなくてはいけないそうです。それは、魚の燻製を作る女性たちがその煙で視力が低下してしまう現状を改善してくれる燻製機を完成することだそうです。完成すれば薪の使用量は1/3になり、煙も少なく健康被害が軽減できるそうです。セネガルにもそれがほしいなあ。

*私が聞きたかった乾燥機について
 セネガルでは女性が魚の干物を作って売っています。冷蔵庫が無いために腐らせてしまう割合もかなり多いようです。ソーラーで効率よく干物が出来ないか聞いてみました。肉厚の魚では難しいかもしれない。また、空気の抜き具合が難しい、抜けないと肉が煮えてしまう。色々実験してみる事にします。

*藤村さんは日本では非電化製品なんて受け入れられないとずっと思っていたそうです。電気の無いところでは便利でも今の生活をしている日本の人がちょっとの不便を超えてまで、非電化を選ぶだろうかと思っていたそうです。
 そして、海外の貧しくて電気も来ていないところに住む人達が少しでも便利になるものをと、発明を続けていたのです。
 でも最近、周りの人達から海外の人達にばかり目を向けないで日本の国内にも色々紹介してほしいと言う声が高まってきてうれしいと言っていました。

貧しい人が買える金額に設定して製品を作る⇒多くの人が手に入れやすくなる⇒幸せになる人が増える⇒それが、彼の喜び!


スターリングエンジンの模型を動かして見せてくれました。熱力学専攻だそうで、「これをまた、やりたいんだよね」と笑顔で語ってくれました


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