映画2002

今年見た映画を星五つでお薦めしていきます。
可もなく不可もなくが星二つくらいの目安です。
2002年分書き終わりました。(もう六月だっちゅうの!!)
<2003年6月11日>




家なき子   DVD   12/某日
☆☆☆☆
初のDVDBOX購入。
児童文学の名作とされる「家なき子」を完全アニメーション化。
信じがたいほどの密着マルチの多用。それが生み出す重厚な世界観。
「立体アニメーション」と名打たれているのは多重スクロールによる厚みを持った映像の
ためだと思っていたが、それだけではなく特殊な眼鏡(といっても両目の濃度が違うだけの
セロファン)をかけて見ると実際に立体視できたのに驚く。
赤青の画面でもないのに立体に見えるのは、セロファンの明度の違いによって脳への
視覚情報伝達にタイムラグを作るかららしい。
つまり、横スクロールの動きによって視差が生じ、奥行きが体感される。
こんな方法があったんだなあと感心。
多重スクロールは立体視のため以上にドラマチックな画面を生み出し、
物語と相まって強烈な印象を与える。
音、画、演出が一体となったこの作品は、まごうことなく名作である。
時代の隙間にはまってしまったのか、なぜこんなにもマイナーな存在に甘んじているのだろう。

多用な登場人物の生き様は、大人となって誰もしかってくれなくなった自分に、
叱咤激励となって心に響いた。

見て欲しい。


幕末純情伝   テレビ   12/19
☆☆☆
「沖田総司はBカップ」のコピーが強烈だった角川映画。
当時清純派の旗手であった牧瀬里穂が沖田総司として主演。
古方利蔵に心を寄せ、男装して新撰組に参加する女剣士という役柄。
絵的には古くさいし、ちゃちに見える部分も多数。
だがそれはあまり気にならない。魅力がマイナスを上回っているからだ。
幕末も、新撰組も、全てただの舞台設定にしか過ぎない。
若者が現状打開のために情熱を持って行動し、そして砕かれる。
この映画は青春群像であり、その熱さと切なさを描くのに成功している。
全ての設定はそのためにゆがめられ、切り捨てられている。
それで正しいのだと思う。


目撃者〜刑事ジョン・ブック〜   テレビ   12/某日
☆☆☆
警察内部による犯行の殺人事件。
その一部始終を目撃した少年。
事件を追うことで同僚にねらわれる刑事。
特筆すべきはその少年が属する集団の性質。
「アミッシュ」という文明進歩を否定するキリスト教一派の集団。
その村は赤毛のアンの時代で止まったままであった。
村にかくまわれ、排他的な村人と孤独な刑事が徐々に打ち解けていく過程。
それこそが、この映画の最大の魅力だろう。
違う世界の者同志の接触と別離。
殺人事件はその状況を作るためのきっかけに過ぎない。


宝島   DVD   12/某日
☆☆☆☆☆
出崎統監督の冒険アニメーション。
「家なき子」の次にとりかかった作品で、前者のストイックさ、悲壮さの逆を行く
胸のすく冒険活劇を目指して作られた。
驚くべき完成度の高さ。
十分時間をかけて描かれる序盤。贅沢に余韻を残す最終話。
最終話のクオリティなど、DVD化のために最近作られてのではないかと思ってしまう。
少年があこがれる大人をより深く理解していく過程。
つまり大人になっていくプロセスを、少しの説教臭さもなく描く。
出崎監督の演出。重厚な背景。華麗かつ躍動的なキャラクター。
オープニングアニメの壮大さ、夢想の空間へ羽ばたく心。
言い切れぬ感動がある。


白鯨伝説   DVD   12/某日
☆☆☆
出崎統監督の冒険アニメーション。
元々NHKの衛星放送向けに作られた物で、放映停止などの紆余曲折を経て、
完結までこぎ着けた。とにかく最後まで作りきった執念には頭が下がるばかり。
脂ののりきった演出。それに答える作画陣。
ただ、一般的ではない。
出崎監督のファンには楽しめる作品だが、そうでない人には強くすすめることが出来ない。
あくが強いのだ。
特に強烈なのはギャグ要素。
出崎の熱い演出でギャグをやるとこうなるのか、と感動を覚えるとともに、
芯のしっかりした演出はどのようなジャンルにも有効なのだと認識した。
原理はいかな応用も可能なのだ。


恋する惑星   DVD   12/某日
☆☆☆
二つの恋の話を少しだけつなげて描いた恋愛映画。
音楽に合わせてつないだ映像がインパクト強く、手持ちぶれが魅力になっている。
諸処の要素がトレンド物というか、時代色を強く反映した物であるため、
今見ると妙にださい感触があるが、この臭みは時間がたつほど薄れて行くはずだ。
つまり、あと10年ほどもすると、トレンド要素は完全に風化し、
この作品の魅力が浮き彫りになるかもしれない。
そうしたとき、今以上の価値を得て、名作と呼ばれるようになる作品ではないかと期待している。


風の名はアムネジア   ビデオ   11/16
☆☆☆
菊池秀行原作のSFを映像化。
足腰のしっかりした絵作りは流行りすたりを越えて魅力を放つ。
印象に残る美しい画面多数。
せつないけど透明度の高いきれいな印象、後味。
小説のそれを再現している。



LILLY CAT   ビデオ   11/15
☆☆
エイリアンもののアニメ。映画「エイリアン」を意識した内容。
未知の生命体と機械への不信感という二本柱で展開。
描きたいものは分かるけど、色々な要素を入れた分全般に薄味。
絵柄が(絵柄というより服装が)古くさく、今見るとださい。
真面目に、懸命に作品作りをしている空気は好感を覚えます。




乙女の祈り   テレビ   11/16
☆☆☆☆
「ブレインデッド」「指輪物語」で名を馳せるピーター・ジャクソン監督作品。
ニュージーランドの実話事件をもとにつくられたサイコホラー。
ブレインデッドを期待すると肩すかしをくらうが、違う種の狂気がある。
スプラッタなシーンはわずかなのに、にじみ出る狂気は心胆を寒からしめる。
純粋に狂っていく二人の少女は、美しく恐ろしい。
特筆すべきは画面クオリティの安定性。日常生活から幻想世界まで、気をそぐ
シーンがない。静的カメラと動的カメラの混在も実に自然。
おそらくこの映画の評価が、世紀の大作と言える「指輪物語」の監督職へ
ピーター・ジャクソンを引き寄せたのだろう。

ホット・ロック   テレビ   11/11
☆☆☆☆
ロバート・レッドフォード主演。
某国から秘密裏に依頼された宝石盗難に挑む愚連隊。
二転三転する物語。ひたむきな男の執念。
んな馬鹿な!!という場面もあるのだが、それを気にさせない推進力。
胸のすくラスト。
これはおもしろい。

エンド・オブ・ザ・バイオレンス   テレビ  10/某日
☆☆
敏腕映画ディレクターが巻き込まれた国家的陰謀。
絶対的暴力で暴力を屈服させる、入れ子構造の矛盾。
が、暴力的シーンは少なく、予算が少ないなりに上手く話しを流している感じ。
シナリオのテンポ重視のタランティーノぽいテイストを感じるが、中途半端。
全体の流れより個々のエピソード展開を楽しむ映画か。
何とも妙な後味です。

白い嵐   ビデオ 10/某日
☆☆
実話を基にした一昔前の帆船学校を舞台にした話。
物語としては盛り上がりに欠け、実話にしては綺麗過ぎる。
そういう中途半端さを感じた。
描くシークエンスがぶつ切れな印象。
最大のネックは誰が誰なのか最後まで良く分からん混乱。
キャラクターが立っていないためか、皆同じ顔に見える。
ノスタルジックな雰囲気と帆船の美しさは好み。
嵐のシーンには目を奪われる。

旅情   DVD 10/5
☆☆☆☆
名匠デビッド・リーン監督。
ベニスを舞台に繰り広げられる旅先の恋。
古くさい物語を新鮮に感じさせるのは、しっかりした構図と細やかな感情表現。
ベニスの雑多な雰囲気が伝わってくる音への配慮。
凛とした終幕が長く心に残るだろう。
見た人はおしなべてベニスに憧れを持つに違いない、そういう映画。

ひかりのまち   DVD 10/3
☆☆☆☆
ロンドンを舞台に繰り広げられる、一つの家族のそれぞれの人物の物語。
登場人物が多く、関係を掴むのに一苦労するが、慌てずに見ていると
自然と分かってくる。
ロンドンで街頭ロケを行ったという画面は、ドキュメントそのもの。
実際、カメラを意識しない都会人が住む街だからこそ撮れただろう、
現実の持つリアルな感触が画面から強烈に迫る。そういう一瞬を的確
に選び出し、無秩序なようでいてしっかりと組み合うように編集しきっ
ている手腕は感嘆に値する。この辺りゲリラ撮影で成功を収めた「男と女」
に通じるものがある
昼の場面も夜の場面も、逆光や光のにじみを強調した画面づくりで温かな
雰囲気を生み出している。夜中、ただ街を車が走るシーンが、遊園地のよ
うなきらびやかとなり、邦題「ひかりのまち」も原題「WONDER LAND」も、
ともに的を射たタイトルだろうと思う。
そういった画面内で繰り広げられるのは、格好の悪い日常の生活。
人生が緩やかに腐っていくという絶望は、リアルすぎて胸が痛む。

ラスト近くで象徴的に展開する遊園地と花火のシーン。
夜の遊園地の、偽りかも知れないけど、確かに感じるきらびやかさと暖かさ。
花火の、幻かも知れないけど、皆が一心に空を見上げるその共感。
世界は「WONDER LAND」なのだと言っている気がした。

八月のクリスマス   DVD 9/27
☆☆☆☆☆
正直言って期待していなかった。「シュリ」を観て韓国映画の方向性に
見切りをつけてしまっていたので。どうせ80年代邦画の恋愛ものみたい
なのだろうとたかをくくっていたが、予想は裏切られた。
小津や溝口のような台詞でなく画面で見せる映画の魂がここにある。
言ってしまえばただの恋物語である。それを高次元に押し上げているのは、
驚くほど少ない台詞。しかも説明的なものはほとんどない。必然的な流れで
、状況が説明されていき、それに従って画面にのめり込むことになる。

また、料理を作ったり、仕事をしたり、そういった日常を淡々と描くことが
、この映画の価値を高めている。生活感が現実感としっかり結びついており、
だからこそラストの決断がとてつもなく輝いて見える。
凛とした、気持ちのいい、せつない物語です。
これは一生ものだ。

きっと忘れない   DVD 9/27
☆☆☆☆
大学生達のモラトリアム終期の葛藤を描く。
自分が社会人となった今、遊びほうける大学生を見るたび、自分の過去は
棚に上げていらだちを感じていたが、この映画を見て少し考えを改めた。
この映画も最初は馬鹿馬鹿しく感じるほど主人公達は自分勝手である。
頑なに、自分の世界を完全なものだと信じて、そこから出ようとはしない。
浮浪者との関わりにより、違う考え方を注入され、新たな自己を確立していく。
関わったのは浮浪者でなくとも、僕も同じように他者との関わりにおいて
、いくつも発見を繰り返し、考えを改めてきた。
きっと、世の全ての人がそうなのだろう。
映画に描かれるままごとのような生活も、悩みも、そうしてみると懐かしい
、愛しいものに思えてくる。
原題の「WITH HONORS」。HONORSで「優等」を意味するので「優等であること
」とでもなるだろうか。
全般に甘ったるい映画であると思うが、一生心に残る名画とは言わないが、
「きっと忘れない」だろうと思う。

戦闘妖精雪風(1)   DVD 9/25

限りなく☆ゼロに近い。
機械と人間の相克という哲学的考察を含む原作が、どうすればこのような
ホモホモストーリーになるのだろう。原作に対するリスペクトゼロ。
「原作とは別の楽しみ方を・・・」という台詞は、原作とは別の価値を持った
作品だけが言える事であって、そうでないならただの逃げ口上に過ぎない。
これはまさにそれ。

落ち着いて考察してみる。
まず、各キャラクターの性格がまるで違っている。
主人公の所属部隊の性格付けも違っている。
機械と人間の関係も違う。
やはりこれはまったく小説の雪風とは違う作品だ。
そしてその上で考える。

やはり一作品として面白くない。話は細切れ。描写は美麗だが分かりにくい
。台詞さえもつながっていない。
割り切って、プロモーションビデオのようなものだと思おうとすると、
寒い台詞の連発がそうもさせてくれない。

小説の映像化としても、関係ない作品としても、無意味。
スチル一枚一枚はクオリティが高く、やはりネックは首脳陣だな。

ブックレットのプロデューサーのインタビュー、ある意味最高に面白い。

1000年女優   映画館 9/23
☆☆☆☆
「パーフェクトブルー」で正常と異常、もしくは現実と虚構の曖昧な境界を
描いた今敏監督の新作。パーフェクトブルーもすごかったが、これもすごい。
映画の中で展開する映画。入れ子構造は今監督の十八番なのか好みなのか。
同じ要素を繰り返し繰り返し提示し、その積み重ねに説得される。はじめは
陳腐に感じられたテーマに心揺り動かされていく。
テーマは「一途」であると自分は感じた。つまり実直に繰り返しされる形式
さえもが、一途の体現となっている。
「一途」
これほど現代に欠如し、必要とされるテーマはないだろう。
一つのことを貫く。これを変化のない怠惰とするのが現代の風潮だ。
変わらないことの価値。強さ。
それは、変わらないことを変えようとするのと同じくらい、評価されるべき事だ。

作品中に「松五郎の一生」はじめ古い邦画の断片がちりばめられており、
なんだかうれしかった。
地に足が着いた演出。当たり前の中に隠れた確かな技術と才能。
もっと注目されてしかるべき監督、作品であると思う。

ところで僕は、一途な女性というものを見たことがない。
理想の中にしかないのだろう。
その意味で、この物語の主人公が女優であることは、とても適切だと感じた。


うる星やつら2〜ビューティフル・ドリーマー〜   DVD 9/22
☆☆☆☆☆
世界に羽ばたく押井監督の作品。
「うる星やつら」のテイストと登場人物の個性を最大限に引き出しながら、
押井節も同時に展開。互いが互いに引き立て合い、リミッターがはずれた感触。
現実と虚構。虚構の中の現実。このテーマは監督のどの作品からも感じられるが、
エンターテイメントとして観たとき、この作品とパトレイバー映画一作目辺りが
最もバランスよく万人が楽しめる物だろう。
特にビューティフルドリーマーは幻想的なイメージがそこかしこに美しく、
元々ギャグ漫画であるため何をしてもパトレイバーより無理がない。

とにかく、構成、台詞回し、トリック。
無邪気な、懐かしいアニメのりの中に、奥深い成分を封入しきっている。
どう考えても星五つ。


マイライフ・アズ・ア・ドッグ   DVD 9/20
☆☆☆☆☆
疲れたときに見る映画。やさしく、許してくれる映画。
僕にとって今一番の癒し映画です。

お熱いのがお好き   DVD 9/13
☆☆☆☆
先日なくなったビリー・ワイルダー監督の代表作。
また、マリリン・モンローの代表作とも数えられる。
白黒のハリウッド映画だが、時代はカラー全盛。
モンローはカラー化を強く要望したと言うことだが、白黒となった。
その理由は、<カラーだと見苦しいから>だったらしい。見ればすぐ分かるよ。

冒頭の背景説明の流れを初め、的確にカットをつなぎ、余剰を許さない。
切れのある脚本とあいまって、テンポが最高によい。
ワイルダーはコメディで名を馳せるが、初期においてはシリアスドラマが多く、
つまり培われた基本的技術の確かさが、コメディに安定感を与えるのだろう。

モンローの「ププッピドゥ」のキスはこの映画だよ。」


パワーパフガールズ   映画館 8/18
☆☆☆☆
アメリカ産のアニメ映画。
ところが、あのうざったいぬめぬめした動きや、
中途半端にリアルなキャラクター性はなく、
デザイン、演出、物語の全てが、これまでのアメリカアニメを凌駕している。
劇場版だけあってじっくりした展開とリッチな画面は気持ちよく、
なにより大画面で彼女たちが動いているのを見られるのが幸せ。
テレビ版を含め、この作品、しゃれになんなくハイセンス!!
これに反応しないのは創造的作業をする者にとってインポに等しい。

ピンポン   映画館 8/17
☆☆
普通に見れば、割とまとまっているし、見所もある。
ただ、原作漫画が好きな人ほど納得のいかない映画化だと思う。
原作は取り残されたあか抜けなさが漂い、それを振り切るような熱い
物語展開が、新しいようで古典的な味わいを醸し出している。
映画にはそれがまるでない。
キャスト、演出、脚本。全てがヒップホップのりに毒されている。
僕に言わせるとヒップホップは正面から問題解決しようとしない者が、
スタンスだけ立ち向かうように見せる口げんかの文化である。
これは、ピンポンには全く相容れないものだと思う。
その方向に走った時点でこの映画はピンポンではなくなった。
でも、それは良いんだ。方向が違っても、きちんと映画だった。
絶望的にショックだったのが、寒いのりのジョークに、会場のみんなが
笑っていたという事。
ピンポンの漫画を知らず、話題性のみで見に来た人たちが、
あれがピンポンの全てなのだと思うと考えると、つらい。
あと、窪塚洋介(漢字自信なし)演技下手。すごい大根なのか?
竹中直人も、もうコメディー以外出るな。

バニラスカイ   DVD 7/27
☆☆☆☆☆
DVD購入。
映画館以来の視聴だが、やはり良い。
原作のオープン・ユア・アイズと比べると画面のリッチさと音楽要素が
際だって強化されている。世にまれな、正しいリメイクだ。
ただ、DVD化にあたって、一部シーンがカットされている。
無関係の人を殺してしまうシーンで、作品の悪夢感を強調するのに
印象的なシーンだっただけに、その意図が理解できない。

太陽はひとりぼっち   ビデオ 7/某日
☆☆☆
モノクロのフランス映画。
「愛の不毛」を描いた作品と広く言われ、ああ、確かに。
気まぐれに揺れ動いて一貫性のない女心がリアルで怖い。
それはもう、ホラー映画並に怖い。
今の僕の女性観にピッタリでした。
ラストの感覚的なイメージ映像は不要だと思う。

猫の恩返し   映画館 7/20

おもしろくない。
なぜこれを映画館でみなければならないのか、観客席に座りながら
常に疑問を感じ続けた。
スタジオジブリの練習作品なのだろうか。全般にクオリティが低い。
特に画面構成と演出が致命的に才能を感じない。
併映のギブリーズも、技術研究の映像をみているという感触。
わーすごいとは思うが、で、それがどうしたの?
こういうのはどこかのコンテストに出しなよ。
お金を払って、その対価に見合う作品を提供するという点で、これらは失格している。
大人の都合を非常に強く感じる上映で、スタジオジブリも落ちたもんだ。


タイムマシン   映画館 7/20
☆☆☆
つっこみどころ満載のB級映画だが、振り切れた針が立てる音のように
記憶に残る美しい画面が幾つかある。
広告イメージからは想像もつかない展開に驚きました。

うずまき   テレビ 7/某日

鬼才ホラー漫画家伊藤潤二の作品を映像化。
数多くのエピソードを断片的に入れ込んだだけでストーリー性は希薄。
主人公二人が恐ろしいほど素人臭い。声が聞き取れないのは致命的。
それに素人臭いカットつなぎがあいまって、十年前の青春映画っぽい空気を
漂わせてくれる。
CGを中心とする特撮だけは気を吐いていて、スティルイメージとして完成度の高い
画面も幾つかある。

黒い家   テレビ 7/18
☆☆☆
失楽園、ハルなどの森田監督。
どんなジャンルの映画でもまとめ上げる手腕は大したもの。
サイコホラーである今作も、とにかくエンターテイメントだ。
サービスに過ぎる部分と、ひどく感覚的な映像つなぎが、
大して反発せずに収まっているのが不思議。
大竹しのぶをはじめ、出演者の切れた演技が怖い。
主人公のなかなか腹をくくれないびびりっぱなしの様子が、
ヒーローらしくなく新鮮だった。

スターウォーズ・エピソードU〜クローンの攻撃〜 映画館 7/6
☆☆☆
この星のうち二つは、完成度の高い衣装や背景、作りこまれた世界観にささげます。
これがスターウォーズという名前を持たず、凡百の画面だったとしたら、「☆」です。
馬鹿な主人公とヒロインが銀河を巻き込んで迷惑をかけるお話。
細切れの見せ方は混乱するばかり。ジェダイは期待はずれだし、みんな馬鹿だし。
ヨーダの活躍だけが救いです。
部分部分はすごいけど、皆つなげてみたらえらい事になってました、という感じ。
全六作の中だるみなのでしょうか。
夏の夜に咲く打ち上げ花火としては、申し分ありません。

処刑人 DVD 6/30
☆☆☆☆
友人の強力な薦めで見たガンアクション。
パルプフィクション。デスペラード。ドーベルマン。
そういった感じの映画といえば分かりやすいか。
予想を裏切る物語の展開。
センス良く挿入される音楽とスローモーション。
つじつまのあわなさを気づかせない強力な推進力。
冒頭のタイトルに至るまでの流れは、実に美しく、必見。

獣兵衛忍風帖 DVD 6/27
☆☆☆☆
購入DVD7枚目。
川尻喜昭監督のアニメ映画。
白土三平や山田風太郎を彷彿とさせる忍者ウォーズ。
奇想天外な強力忍者に挑むさすらいの剣士獣兵衛。
マイナーな作品なのでレンタルでもなかなか置いていなくて、
一度見たきり機会がなかったので思い切って購入。
絵柄は川尻流のメリハリの利いた写実っぽさに当時のアニメ風味が混入。
その分安っぽさを感じてしまうところもあるが、演出や挙動など、
きちんと演出された作品として、完成度は高い。
画面の格好良さはさすが。

ダンジョン&ドラゴン DVD 6/22
☆☆
D&Dでテーブルトークゲームをしたことのある者には求心力のあるタイトル。
画面としてがんばっているところもあり、ゲーム経験者がうれしい細かい要素もあり。
が、世界の広がりがない。話がでかいのか小さいのか良くわらない。
続編を臭わせ過ぎて、訳の分からないラストシーンはチープで悲しい。
序盤の街の中辺りの作り混みはすばらしかった。

パリ・テキサス ビデオ 6/22
☆☆☆☆☆
内容を要約すれば、どうという事はない。
離別した家族の再開の物語。
ショッキングなシーンも、卑わいな言葉もない。
それなのに、飽きることもなく楽しむことが出来る。
きちんとした脚本と、演出と、演技と。
これは、しっかりと作られた足腰の強い名画だと思う。
終盤の長い会話が、この映画の特徴を端的にあらわしているだろう。

津軽じょんがら節 映画館 6/20
☆☆☆☆
東京フィルムセンターの上映会で鑑賞。
フィルムセンターは映画の国会図書館のようなものらしい。
津軽のひなびた漁村を舞台とした女二人男一人の物語。
監督は元スチルカメラマンで、構図の良さを認められて抜擢。
確かに一枚一枚絵になる画面ばかり。
望遠でピント操作というシーンが多く、なかなかに格好良い。
画面横一杯に広がる日本海。それに重なる津軽三味線。
漁村のとんでもないひなび具合。めしいの少女のやるせなさ。
子供の頃に見ていたら、トラウマになっていたと思います。

マルコヴィッチの穴 DVD 6/17
☆☆
独特な設定が公開時に気になっていた一作。
宣伝の仕方は、あきらかにコメディーだった。
が、見てみると陰惨なエゴのぶつかりあいのブラックブラック。
救いのない結末。後味の悪さ。
ドラマが動き出す前の微妙にずれた登場人物達の
やりとりはおもしろく、穴がどうとか言わない方が良かったのではないかと思う。
マルコヴィッチがかわいそうすぎる。

北の国から〜時代〜 ビデオ 6/8
☆☆☆
富良野を舞台に展開する物語。
尽きない事件。如実に老いた父。
蛍が中心だといっても良いだろう。
次は、とうとう完結編になるという。
楽しみなような、寂しいような。

あの頃ペニーレインと DVD 6/6
☆☆☆☆
「ヴァニラスカイ」のキャメロン・クロウ監督。
購入DVD六本目。
アメリカ。ロック。青春。
主人公は演奏者ではなく、取材者としてロックバンドに同行。
理想。希望。現実。挫折。
肩から大きな鞄をかけ、つんのめるようにして走る主人公の姿に
深い共感と愛情を感じる。
ロック音楽へのリスペクトの大きな作品であり、主題がそもそもそれであるので、
洋楽の全く分からない自分には入り込めない部外者の寂しさがある。
しかしそれでもなお、ノスタルジーを感じるし、最後にはどっぷりと見入ってしまう。
どんなジャンルに傾倒していたとしてもでも、寂しさや切なさを越えて大人になる、
そのプロセスには変わりがないからかもしれない。

北の国から〜秘密〜 ビデオ 6/某日
☆☆☆
富良野に戻った純と旅立った蛍。
そして、家を守ろうとする五郎。
頑なに、生きていく人々。
不器用でもいいじゃないか。
ただ、懸命でさえあれば。
そんなエールが聞こえてくる。

北の国から〜巣立ち〜 ビデオ 6/某日
☆☆☆☆
「誠意って、何かね」
この一言に尽きる物語。
小さい頃からの成長を見ていると、ドラマの中とはいえ
親心も湧いてくる。
成長していく子供達を見守る父親。
それに対する感情移入こそ、このロングスパンドラマの真骨頂だ。
全てが移りゆく中で、変わらない物が見えてくる。

北の国から〜帰郷〜 ビデオ 6/某日
☆☆☆
東京で暮らす純が、帰郷するまでの物語。
蛍の初恋の物語。
五郎の献身的愛情の物語。
どうしても疎ましくなっていく、近くの父。
遠く離れて、恋いしのぶ故郷。
愛情が、空回りするばかりの父。
それぞれの登場人物が、各自の物語を、想いを持つ。
みんなが、懸命に生きている。

風を見た少年 DVD 5月某日

何とも印象が薄く、感想を書くのも忘れていたほど。
C・W・ニコル原作という点ですでに思いこみの激しいドラマである
予感はしており、無駄に時間を過ごすこともあるまいと敬遠していた。
ところが、友人きっての見る目がゆがんだ「にちゃんねらー」が、
あまりにひどいひどいと言うので、こいつがダメだと言うならおもしろいかも
知れない、と逆説的に食指を動かされた。
ダメだった。
最近のアニメのほぼ9割がそうであるように、
「絵は綺麗けど話も演出も空虚」
な作品。絵を描く仕事をしている者にとって、アニメーターの苦労と努力は
にじむように感じられる。
それを無駄に使う監督、演出、脚本の罪の深さは海をも埋めるだろう。
この作品に関しては、原作がそもそもおもしろくないのだろうと推察される。

男と女   ビデオ 5/24
☆☆☆☆
クロード・ルルーシュ 監督。フランス。
ものすごい少人数(8人だと聞いた)でゲリラ的に撮影され、
爆発的ヒットを記録した映画。
「ダーバ・ダバダバダ…」という耳に残る音楽。
曲を聴いたことのある人は多いだろう。
カラーと白黒を、時系列や思考、現実といった、文法の決まった方法で
使用せず、ただ、感覚的に切り替えて使用している。
それが、なんとも粋である。
元々カメラマンのクロードのとる絵は、狙い澄ましても撮れない、
偶然の輝きに満ちている。
ラストの雑踏シーンの臨場感は、ゲリラ撮影ならではの物。

北の国から’87初恋   ビデオ 5/23
☆☆☆☆☆
「北の国から」の全エピソードの中でも珠玉の一編。
中学生になった純の初恋と旅立ちが描かれる。
少女の最も美しい瞬間を切り取った、何も知らないが故の純度の高い恋。
それは幻でなく、誰もが一度は経験しているはずで。
せつない。せつない。せつない。
北の国からを見ていない人も、
この一本は単体で十分に理解出来るし、楽しめます。
いつか北海道の雪景色の中で尾崎を口ずさもうと、みなそう思うんじゃないかな。
見てください。

北の国から’84夏   ビデオ 5月某日
☆☆☆☆
かなり大きな事件がさらりさらりと連続。
構成が多少複雑だが、それも見所。
ラーメン屋のシーンは深く心に残る。
きつい事件が多く、救いが薄い。

北の国から’83冬   ビデオ 5月某日
☆☆☆
テレビドラマの続編。
多少成長した子供たちの姿を見るだけで楽しい。

ペリーヌ物語   ビデオ 4・5月
☆☆☆☆
映画ではないけれど。全53話。
ハウス名作劇場がまだカルピス子供劇場だった頃のテレビアニメ。
「ラスカル」と「赤毛のアン」の間に放送。
父を亡くした母子がフランスの祖父に会うために、写真屋を営みながら
ヨーロッバを横断。
出会う雑多な人々。それぞれの事情。
丁寧に、時間をかけて描かれる失意と希望の物語。
彼女たちの貧乏っぷりにはらはらします。
お供の犬、バロンの描写がとてもかわいい。
中学時代に再放送を母と楽しみに見ていました。
とても古い友人にあったような気分。

スパイダーマン   映画館 5/19
☆☆☆
とにかくスパイダーウェブを使った滑空移動が
格好良い。
自分がどこを向いているのかがあやふやになる
ジェットコースターのような酩酊感がある。
NYに住んでいたりする人にはまたさらに違う
感動があるんだろうな。
正義の葛藤を主軸に据えて物語を作って欲しかった。
恋愛中心で分かりやすくなっているのが、なにかもったいない。
ヒロインが全くヒロインっぽくないのがすごい。
実に現実っぽい勝手な彼女が、女性受けするのかもしれない。
最高のB級映画。

北の国から(テレビドラマ)   ビデオ 4・5月
☆☆☆☆☆
もう20年前になるテレビドラマ。
そのスケールとクオリティは通常のテレビドラマを凌駕。
北海道に移り住んだ親子。
子供達は東京育ちで環境の激変に戸惑う。
登場する年齢層が下から上まで幅広く、
物語に厚みを与える。
北海道の自然。北海道で生きる人々。
それと対比される、都市社会と街の人々。
きれい事じゃない生き様が描かれている。
今改めて見ると、この作品のすごみが分かる。
テレビシリーズは秋から次の秋までの一年を映し、
その後のテレビスペシャルへと続く。
見ておくべき作品。


キャデラック・マン   テレビ 5/5
☆☆☆
ロビン・ウィリアムズ主演のコメディー。
ロビンの主演ドラマは当たり障りのない人情ものが多い。
これも結局そうなのだが、役柄が一本筋の通った女ったらしで、
善人善人してないところがよい。
全ての人がハッピーエンドってのも潔いね。
映画館でみたいものじゃないけど、テレビで見る分には十分楽しめました。

オープン・ユア・アイズ   DVD 5/4
☆☆☆
アレハンドロ・アメナーバル監督のテシスに続く長編二作目。
ハリウッドリメイクされた「ヴァニラスカイ」を先に見たため、
やはりしょぼさが目に付く。
ハンサムがハンサムに見えなかったり、金持ちが金持ちに見えなかったり。
記号を記号として扱わざるを得ない苦しさ。
これは制作費などの制限が大きいのだろう。
が、脚本や展開は何も変わって居らず、物語の根本は揺るぎなく、ここに。
これから見る人には「ヴァニラスカイ」をすすめる。
ヴァニラスカイ監督のキャメロン・クロウは綺麗な切なさを描くのが上手いようだ。
つまりこの作品とピッタリで、原作の足りない部分を補い、増幅し、洗練させている。
リメイクというと本家を越えられないという印象が強いが、これは例外。
購入DVD五本目。ヴァニラスカイも注文済みだぜ。

テシス〜次に私が殺される〜   DVD 5/4
☆☆☆☆☆
わが人生の映画マスターピースの一本。
もう見るのは何回目だろう。
アザーズのパンフを見て分かったが、監督がアレハンドロ・アメナーバル!!
で、アマゾンで即注文。四本目の所有DVD。
同じ監督と知らず、同じ監督作品に惹かれる・・・。
自分の嗜好にそれなりの方向性があるということだから、
僕にとっても嬉しい事。
そしてそれにもまして、好きだと思える監督と出会えたこと。
これが嬉しい。
一生もんの喜びだよ。
アレハンドロは監督だけでなく脚本、音楽もつとめることが多い多才な人物だ。
彼の脚本は、「チープ」の使い方が上手い。
途中で物語がものすごくつまらなく感じるところ、もしくは駄作っぽい
展開を、あえて入れている(確信だ!)。
これが、大筋を隠し、全体に意外性を持たせるのに一役買っている。
見ている人の心を、手に取るように操っていく。
緻密な思考の積み重ねと、ディティールのなせる技だ。
この監督は、良い!!

アザーズ   映画館 4/28
☆☆☆☆
先日見て偉く気に入った「ヴァニラスカイ」の
原作「オープン・ユア・アイズ」を監督した、
アレハンドロ・アメナーバル監督最新作。
20世紀初頭の洋館を舞台に繰り広げられる、
存在と存在の対立(この言い方微妙だけど、見た人なら分かる?)。
素直に楽しめました。
ヒッチコックのようなエンターテイメント性と、緻密さ。
後味に切なさがある分、ヒッチコックより好みか。
女の子と見に行って二の腕捕まれたい映画。

アメリ   映画館 4/28
☆☆
口コミで人気の出た映画。なの?
そこそこ期待していったのですが、しすぎたかな。
断片的な事件を繋いで物語にしているのですが、
上手いこと繋がっていない気がします。
映像は、自由なミュージッククリップのようで、
インパクトと説得力があります。
綺麗なイメージが各所に出てきます。
僕も小人が見える世界の人間なので、共感しました。
この映画見て、幸せになれるか?監督はそんなこと意図してないよ、きっと。
変わった人間の風景を描いただけだ。
(その意味ではダンサー・イン・ザ・ダークに連なるものがあるな)

デジモン   ビデオ 4/21
☆☆☆
友人の薦めで一緒に見ました。アニメ映画。
テレビ枠でやってるのを一度見て、
「自分では戦わず人に文句言うばっかり」
というポケモン方式の戦い方に不満を覚えていたのですが。
この映画版は、そういう前置き無しにも楽しめます。
作画も、演出も、脚本も、本当に良いプロの仕事してる。
好き嫌いおいといて一目置ける作品でした。

銀河鉄道999   ビデオ 4/21
☆☆☆☆
松本零二原作のSFロマンを二時間に凝縮。
詰め込みすぎず、足りなすぎず、適度な分量が良い。
謎の美女メーテル。一途な少女クレア。
銀河を結ぶ蒸気機関車。
天に昇って途切れる軌道。
ロマンあふれる断片が数多く心を掴む。
ラストシーン。
別れの時間を告げる時計越しに二人の姿。
同じシーンを何度も重ねる手法が、気持ちと合致する。
そしてゴダイゴのテーマ曲がかぶって。
あまりに綺麗にまとまっているため、この後出た続編が
蛇足的な扱われ方をするほど。

スピーシーズ2   テレビ 4/某日

前作をみた縁で見てみたが・・・。
そこそこ見所もあるし、特撮がチープにしても気持ちは
がんばっている作品だと思います。
でも、この放送の仕方はないんじゃない?
何度も書いてるけど、ゴールデンタイムの映画枠、ひどいよ。
本編前に3分程度もかけてダイジェスト。
内容のほとんどが分かるんでやんの。
視聴率確保の役に立ってるとは思えんし、正直むかつく。
逆にチャンネル変えたくなるよ。視聴者バカにしとんのか。
お昼に何の手も加えずにやってる映画の方がいいよ。

大魔人   DVD 4/20
☆☆☆
知ってるけど見たことのない人が大半だろう。
埴輪顔が鬼の形相に変化するあれである。
ほぼ同時に三作品が制作され、それぞれが違う監督。
一作目の高い評価を断続的に公開された続編が覆し、
一年のみという短いシリーズ作品となった。
今回見たのは特撮の徹底と腰の据わった時代劇が
不思議にマッチした一作目。
想像していたよりずっとシリアスな内容で、
大魔人も決して正義の味方ではない。
悪代官を倒したあとも止まらぬ暴走は村人まで殺し出す始末。
人間の手に負えない超然としたあり方が新鮮だった。
大魔人の中途半端なでかさが怖い。
構図の良いシーン多し。

愛が壊れるとき   テレビ 4/某日
☆☆
ジュリア・ロバーツ主演。
夫による家庭内暴力から抜け出すため、死を偽装した女。
夫のいかれ具合が真に迫っていて、怖い。
とにかくジュリアが魅力的。いいわあ。

タクシー2   テレビ 4/13

前作よりも遙かにチープに。
つきあいきれんばかばかしさ。
日本逆リスペクト炸裂。あほか。

昼下がりの情事   テレビ 3/某日
☆☆☆
先日亡くなったビリー・ワイルダー監督作品。
しゃれた台詞回し。かわいい女性像。
オードリー・ヘプバーンのキュートには勝てない。
ハッピーエンドが、良いね。

野獣死すべし   テレビ 3/某日
☆☆
松田勇作主演。
戦場を見過ぎた戦場カメラマンが狂気にとらわれ、
日本で戦場を再現しようとする。
異様にまったりしているので序盤は退屈。
若い加賀丈史が熱演。
後半の松田勇作の狂いっぷりは見事。

シッピングニュース     映画館 3/24
☆☆☆
ラッセ・ハルストレム監督作品。
「ギルバート・グレイプ」「サイダーハウスルール」など他の同監督作品を
見るとよく分かるが、この監督の映画は、どこがクライマックスか分からない。
部分部分の楽しさで引っ張られて見てしまい、気が付くと終わっている。
テーマは形を変え品を変え、様々な形で物語の中に現れる。
味わいとしては「アメリカンビューティ」「マグノリア」に近い気がする。
この監督の作品は、全般に牧歌的で好みです。

ブレインデッド   DVD 3/20
☆☆☆☆☆
ピーター・ジャクソンの究極スプラッタコメディー。
「死霊のはらわた」の直系と言えばわかりやすい内容。
どこから出て来るんだというアイデアの坩堝。
タブーを軽く振り払うフットワーク。
そのくせ物語の根本はきっちりと抑えた成長物語。
・・・血が大量に飛び散るので万人にはお勧めしませんが。
購入DVD 三枚目。

ゲーム   DVD 3/某日
☆☆☆☆
「セブン」「ファイトクラブ」のデビット・フィンチャー監督作品。
まあ二転三転の大仕掛けなギミックの楽しいこと!
こういう割り切った仕掛け、大好きです。
ラストシーンがしゃれてる。

さまよう魂たち   DVD 3/某日
☆☆☆☆
ピーター・ジャクソンのホラーコメディー。
彼はタブーから本当に自由だ。そしてそれが嫌みでなく、
エンターテイメントに昇華されている。
ラストの甘酸っぱい感じが好き。
購入DVD 二枚目。

ギルバート・グレイプ   DVD 3/某日
☆☆☆☆
ラッセ・ハルストレム監督作品。
家に、家族に縛られた男ギルバート・グレイプの物語。
テーマを設定にとけ込ますのがうまい!
動けない家族を太りすぎた母親に。
捨てられない土地を父が残したこわれそうな家に。
デカプリオ、演技うまいよ。

サイダーハウス・ルール   DVD 3/某日
☆☆☆
ラッセ・ハルストレム監督作品。
「時と場合によりにけり」は僕の座右の銘ですが、
これを証明するような映画です。
孤児院で育った男が初めてそこを離れ、様々なものに触れて
考えを変えていく過程。
テーマが何度も繰り返し示されます。
孤児院のありようが興味深かった。

ショコラ   DVD 3/某日
☆☆
ラッセ・ハルストレム監督作品。
因習深い町をチョコレート作りの母子が訪れる。
チョコレートが人々の持つ様々な枷を取り除いていく。
・・・古くさいことは罪ですか?因習で守ろうとしたものは無視するの?
僕個人の考えとあまりに相容れなかったので、楽しめませんでした。

マイライフ・アズ・ア・ドッグ   DVD 失念
☆☆☆☆
ラッセ・ハルストレム監督作品。
少年が主人公の赤毛のアンのような映画。
田舎で暮らすことになった傷ついた少年の心を癒す純朴な人々との関わり。
その世界を見れただけで嬉しくなる優しい映画。
ボーイッシュな少女がめちゃめちゃかわいい。しゃれならん。

ロード・オブ・ザ・リングズ   映画館 3/某日
☆☆☆☆
監督が「ブレインデッド」のピーター・ジャクソン。見るしかねえ。
三部作の第一作なので中途半端も良いところで終わる。
三部構成だと知らない客がざわめいていた。
全編にイマジネーション豊かで、そこに世界を感じることが出来る。
坑道に入っていく冒険者達の頼りない姿が、これまでになくリアルだった。
早く続編が見たい。

エヴァンゲリオン(劇場版)   DVD 2/22
☆☆☆☆
最期の盛り上がりで歌と共に展開される部分がとても好きだ。
悲惨な場面を、美しい絵と音楽で描く。そのギャップに心揺さぶられる。
公開当時も、何度も映画館に足を運んだ。
醜悪の中ににじむ美しさ。
地球からあふれた巨大なヒトガタが命の卵を大切そうにすくいあげる。
とてつもなく美しい。
改めてみてみると、世界や人とのつながりとかは虚飾で、
恋愛における精神葛藤を宇宙規模まで増幅した物語なのだ、と感じた。
庵野監督、えらくつらい恋愛体験したのかな。

イデオン(劇場版)   DVD 2/22
☆☆☆☆
富野監督渾身の新たな神話物語。
公開当時は小学生だったため、ほぼ意味不明で、
ヒロインの無惨な最期と、全裸場面くらいしか覚えていない。
10数年を経て見てみると、これは凄い。
映画版だけで理解するのは苦しいかも知れないが、
友人の解説付きで見ることが出来たので情報不足はなかった。
終盤への盛り上がり方やとてつもない結末。
悲惨に悲惨を積み重ねて、無常感の中に一滴の希望。
ラグビーの試合が終わった時のような、脱力した安逸。
その後のアニメの様々な萌芽が見て取れる、もっと評価されていい作品。

天空の城ラピュタ   ビデオ 2/21
☆☆☆
公開当時、劇場で見る前に情報を集めすぎ、あまり楽しめなかった。
久しぶりに見たが、その時と同じ程度にしか楽しめない。
おそらく、2時間で冒険活劇を一から十まで描くのは時間的にきついのだ。
物語の進行が登場人物の感情の発酵を待てない。見ている方も、納得のいかなさが残る。
コナンはその点問題がなく、ラピュタがテレビ化されていたなら、
どのようになっただろうと想像を誘う。

ニューヨーク1997   テレビ 2/19
☆☆
ジョン・カーペンター監督作品。
刑務地域となったニューヨークで人質になった
大統領を救うために、元英雄の犯罪者が送り込まれる。
それほど熱中できなかったが、最後は綺麗にしめる。
カーペンターはラストがうまい監督だと思う。

ターンエーガンダム   映画館 2/16
☆☆
テレビで放送されたターンエーガンダムをもとに
2部に分けて映画化。一日ごとに1・2部を交代で
上映する日本初のサイマル上映。
視聴に二倍の金額がかかるのはきつい。
映画自体は大筋の変更なく、何割かが新作画。
物足りないことこの上ないが、久しぶりに見て
おもしろい物語だったな、と再確認。
序盤で描かれる世界観が最大の魅力か。
小説は途中から全く話が違ってくるので、
見たことのないテレビファンは是非。

エースをねらえ(劇場版)   DVD 2/11
☆☆☆☆
「あしたのジョー」「宝島」などで独特の冴えを見せる出崎監督作品。
少女漫画が、どうしてこんなにも男の魂を震わせるものになるのか。
冒頭でいきなり「雨の日は五右衛門(猫の名前)蹴飛ばす!」とわけのわからん
掴み。突出したセンスできわどい綱の上を大股で歩く。
これは、名作です。
見たあとしばらくマイブームの台詞。
「・・・岡か?」

ジーパーズクリーパーズ   映画館 2/10
☆☆☆
確信犯的B級ホラー。
前半の脚本重視の展開と緊張感。
それを台無しにする後半の展開。
真に恐ろしいのは、全てが無意味なことだ。
映画的手法と定石を駆使して、意味あるように見せかける
その全てが、無意味。
恐ろしい。

ハリーポッターと賢者の石   映画館 2/10
☆☆
世界的人気を博した児童文学の映画化。
何も足さず、何も引かない、原作に忠実な映像化。
見所は多く、楽しめるが、驚きは少ない。
原作を知らないつれも、十分に楽しめたそうだ。
折々に特殊効果の(微妙な)しょぼさがあり、
気になる人は冷めるだろう。

シュリ   DVD 2/3
☆☆
アジアで気を吐く韓国映画。そのブレイクスルーと言える作品。
日本でもマスコミを中心に盛り上がり、ヒットした(らしい)。
あまりおもしろくありませんでした。
朝鮮半島の南北分断をテーマに敷いているので、
日本人には実際のところ分かりかねると思うのです。
ただ、北朝鮮の描き方がめちゃめちゃなんですけど。
これでよく問題にならないもんだ。
日本の教科書には文句つけるくせに、自国の映画は自由ですか。
韓国のあり方が、納得行きません。

ディープ・ブルー   DVD 1/28
☆☆☆
原題「DEEP BLUE SEA」
「鮫が知能を持った!人類と鮫の死闘が始まる!!」
このコピーで期待しろっていう方が無理です。
でも、こういうのが見たくなるときがあります。
いつも大作や名作で深刻ぶるのじゃ疲れるもの。
という気持ちで見たら、おもろいやないか!。ごめんなさい。
見終わったあと特の心には何も残りませんが、
やられたなー、という感触が残って、すがすがしい。
B級映画として売ったら、もっと評判になり、愛されたのかもね。
相次ぐ予想外の展開。いけてます。

俺達は天使じゃない   テレビ 1/27
☆☆
1955年。ハンフリー・ボガード主演。
脱獄三人衆が押し入ろうとした雑貨店の店主家族の
人情に打たれ、様々に奮闘。
小粋なストーリーだが、アメリカンジョークのように
自分の肌には合わなかった。

ヴァニラ・スカイ   映画館 1/26
☆☆☆☆☆
トムクルーズ主演。
ハンサムガイが事故で美貌を失い・・・
宣伝ではありきたりな人情物の様にしか見えないのに、
なぜか気になって、機会を得て観た。
驚くべき内容。驚くべき展開。
期待を遙かに裏切り、物語は豪快に回転した。
序盤の嘘寒い恋愛映画の空気さえ、見終わったあとは
パズルのワンピースとして収納される。
時間と空間を遙かにつないで、悲しすぎる愛の物語だった。
見る人によって、いろいろに解釈できるだろう。
原作映画があるようなので、近日中に比較鑑賞したい。

ビッグ・オー   ビデオ 1/21
☆☆
サンライズのロボットアニメーション。
全ての人間が記憶を失った街を舞台に、
巨大ロボットを操るネゴシエーターが様々な事件に挑む。
が、物語は謎が謎のまま打ち切りっぽい終わり方。
アンドロイドと人間の愛情や、人類の原罪など、
興味深いディテールを持っていただけに残念。
オープニング曲がいかす。
続編希望。


未来少年コナン   DVD 1/19
☆☆☆☆☆
テレビやVHSで何度も見ていたのだが、改めてDVDで見てみると、
そのクオリティの高さに驚くばかり。
高画質の中ではまったく古臭さを感じない!
完全な連続ストーリーものであるコナンは、つまり宮崎アニメの中でもっとも
長編の作品であり、脇役の描きこみや緩急メリハリの点において、映画の2時間
作品よりも高レベルにあると言って良いかも。
これほど万人に薦められるアニメは他に知らない。

ジャイアントロボ   DVD 1/8
☆☆☆☆
原作キラーとして名を馳せる今川泰宏監督のOVA。
ジャイアントロボを主軸に据えつつ、横山光輝の他の漫画
から様々なキャラクターをチョイス、オリジナルの物語を展開。
途中あまりにもったいぶる演出に冷めかけるが、
意外なキャラクターが意外な役柄で登場など、最後まで興味を持続。
全7巻総計6時間に及ぶ大作をずば抜けたクオリティで描ききった
執念に乾杯。続編を強く希望。(残念だがその可能性は低そうだが)


バンパイアハンターD   DVD 1/5
☆☆☆
川尻善昭監督のアニメ。劇場でも見たがDVDで再び。
日米合作ということで、日本語字幕のみ。
英語声優があまりピンとこない印象。
イメージ豊かに書き込まれた画面はやはり何度見ても美しい。



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