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血盟団の四元義隆が昭和6年1月1日の金鶏会報に書いた「霜夜書感」なる文を読んでみたが、その意味を充分理解できなかった。彼は明治24年の大津事件のことを記し、大審院長児島惟謙と副島種臣伯爵を賛美した上で、今日なお「才を挟んで悪をなす小人を罰する法が用をなしていない」「もうこれ以上堕落した人間は天も許すまい」と述べている。
大津事件とは津田という巡査が来日中のロシア皇太子をサーベルで傷つけた事件である。政府は驚き、世論も津田巡査を死刑にしてロシアに謝罪しなければ外交上大変なことになると騒いだ。
このとき大審院長児島は法律に従って、(身命と地位を賭して)津田を無期刑とした。四元は国家の根本法である憲法を貫き、便法を排したことに対し賛成した訳である。さらに副島が、「天皇三后皇太子に危害を加えたものは死刑だが、この条文を外国の皇族に当てることはできない」旨を学者から聴き、慨嘆して、「法律若し津田を殺すこと能わずんば、種臣彼を殺さん」と叫んだことを述べ、そして「然り津田を殺す罪は憲法を殺し、刑法を殺す罪よりは軽い」「儼乎として律すべからざる法有して社稷もない」と記している。
児島が法律に忠実であったことを褒めて、さらにまた副島が津田を死刑にできない法律を嘆いて「俺が殺す」と言ったことにも賛成している。もっとちゃんとした法律を作れと言いたいのかも知れないが、津田を死刑にするのが良いのかしないのが良いのか、いまひとつ論旨が不明である。
彼は「私は何よりも人間の堕落をひしひしと感じ」、文中子という本の中の「天下無賞罰三百載矣」を引用し、天下無賞罰とは今の世の事である、天下に儼として動かすべからざる法は全く失われたと憤慨している。
法律がなってないのだから血盟団で暴れたって構うもんかというのであれば、とんだ茶番劇であった。 (2003.11.20)
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