EARTH CARD 3       絵 玉神輝美




EARTH  MESSAGE
2002/10/15
by KIMI TAMAGAMI


なまずの赤ちゃん
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私は小学生の頃、古くなった流しで
川で採ってきたメダカや小ぶななどを
だいじに飼っていました。
ある夏の断水の日、枯れあがった川に行くと
大きな水たまりができていて、
その中には今まで見たこともないような
魚がうようよ泳いでいたのです。

私はしばらく呆然と眺めていましたが、
さっそく持ってきた網ですくおうとしても
なかなかすくえません。
魚の動きが速く、小さい私には
最後まで一匹もすくえませんでした。

あきらめて家に帰る途中のことでした。
川の隅の今にも枯れ上がりそうな
小さな水たまりに、
ピチャっと水がはねて、そこを覗き込むと
10cmほどのなまずの赤ちゃんが
背中を半分出して泳いでいたのです。

私は初めて見るなまずの赤ちゃんに
飛び上がるほど感激して、
急いで家に帰り、流しの池に入れてやりました。

なまずの赤ちゃんは、あまり動きませんでしたが
毎日毎日、飽きずに眺めていました。
それから数日して、赤ちゃんのおなかが
少しずつ大きくなっているのに気づき、
よく見ると、赤ちゃんの口から
メダカの尻尾が半分覗いていたのです。

私は魚が魚を食べるということを初めて知り、
言葉にならないショックを受けました。
また、だいじにしていたメダカを食べたことで、
なまずの赤ちゃんが嫌いにもなりました。

しかし、それから数日後、
なまずの赤ちゃんは流しから飛び出し、
死んでしまったのです。
私は家の前のでこぼこ道に穴を掘り、
お墓を作ってあげたのを覚えています。

生き物を飼うということは、
悲しい場面にも出会いますが、
それは私たちに生きているということを
教えてくれる先生だと思っています。

流しの池が金魚鉢になり、金魚鉢が水槽になり、
私も小学生から中学生へと、
そしてあこがれの熱帯魚を
飼うようになっていったのです。

その間に自然の先生は、私に実際に育てたり、
自然と触れあったりすることが、本だけでは学べない
大切なものがあることを教えてくれた気がします。


玉神輝美

玉神輝美  HP


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