赤外線受光器を削ってみた プロクソンの卓上フライスを使って赤外線受光素子をシェイプすることにした。 今回加工したのはパナソニックのPNA4612(38.0kHz)と言う受光素子。 受光素子内部にはセンサーと変調信号をデコードするチップが入っていて信号出力端子(Vout)からは デコード済みの信号が出力される。従ってデコードプログラムを用意する必要が無く、 素子をチョイスする事でデコード周波数を変更出来る。 シェイプする主目的は軽量化だが、もう一つレンズ部を削り指向性を減らす目的がある。 但し、シェイプし過ぎるとモールド樹脂内部のボンディングワイヤーが切れて使えなくなったり、 可視光フィルターを薄くするため乱光が入りやすくなる。 予めtokoさんからこの辺の情報を聞いていたので、参考にして削る事にした。 |
先ずはデーターシートから寸法を確認。 パッケージがモナカ形状をしているので、そのままバイスにセットすると口金と線接触になり、 切削抵抗で飛んでしまう危険性があるので注意が必要な事が分かった。 従って荒削りの段階でパーティングラインを削り、両側面の平行を出しておく必要がある。 側面を削るには側面を上にしてセットする必要があるがレンズ部がじゃまになる。 従って加工手順は、 1.両側面のパーティングラインをヤスリで少し削りバイスの口金との接触面積を増やす。 2.レンズ部を注意しながら削り落とす。 3.両側面の平行削りを行う。 4.裏面を削り込む。 5.最後に表面を削り出来上がり。 |
写真左・加工前、中央・レンズ部と側面を荒削り、右・フライス加工完了。 先ずは両側面のパーティングラインを精密ヤスリで少し削り、口金との当たりを取り除く。 エンドミルは4mmを使い、やや低めの回転でゆっくり送りながら荒削りを行い、 表面の仕上げだけ早めの回転でカッター目を残さない様に仕上げる。 エポキシ樹脂なので、良く切れるエンドミルで手早く作業しないと樹脂が溶ける事がある。 切り粉もまめに取り除かないと溶けて再付着し、仕上がりが汚くなる。 |
敷き板を上手く使い、端子をよけながら加工して行く。 レンズの高さは約2mm、飛ばさないように注意しながら削り取る。 一回の送り込み量は0.5mm以下で行う。 側面の削り込み量は0.5mm以下。 つまり、元寸法が7mmなので仕上がり寸法は約6mmになる。 |
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端子の曲げ角は加工しやすい様に予め鈍角に広げておく。 パッケージ裏面に丸く見える跡は射出成形時のエジェクターピン跡。 |
Y軸方向に送りながら削って行く。 裏面加工はメタルベースを残しメッキ面を少しこすり出す程度で仕上がりとし、端子の付け根付近は約0.1mm厚程度、樹脂を残す事にした。 今回の受光素子は1.0〜1.05mm程度削り込んだらメタルベースが出てきた。 裏面にバルサ板を瞬間接着して使う予定なのでメタルベースが露出していても問題ない。 表面の加工はくわえ代が少ないので敷き板の寸法合わせは正確に行う必要がある。 最終仕上がり寸法は、1.25〜1.3mmを予定している。 tokoさんの話では、メタル面から1.2mm以下になるとボンディングワイヤーを切ってしまう事があるそうです。 今回の受光素子では、約0.7mm削り込んで仕上がり寸法になった。 出来上がった受光素子は端子の保持部が殆ど残っていないので取り扱いには十分な注意が必要です。 |