■Home||◆Sunappu

動力ゴム入門

2003/09/21

F.A.I TAN SS 現在、ゴム動力用として入手可能なゴムはアメリカFAI Model Supply
のF.A.I.RUBBER TANのみです。アメリカから直接通販で購入するのも良いですが、最低単位が1ポンドですのでライトプレーン等の小型機に使うだけの場合、 量が多すぎて使い切れません。
また、送料や手間もかかりますので少量購入の場合はKOTOBUKI
から購入する事をお勧めします。切り売りも行っているそうです。

よく、「今年のゴムは良くない」とか「去年の何月のゴムが良かった」とか言う話を聞くことがありますが、これは国際級クラスを飛ばす 上級者が切断限度ぎりぎりまで巻き込んで使う場合の話で、しかも同じロットでもばらつきがあるため実際の所は購入してみないと分かりません。
ライトプレーンの様な小型機では切断限度まで巻き込んで飛ばす必要はなく、かえって強すぎるゴムはオーバーパワーで暴れる原因になります。
F.A.I.RUBBERを使っている限り動力用として使えないゴムはありません。
●購入したゴムには履歴を付けましょう。
製造年月日や購入日、購入先、開封日など書いておくと分かりやすいです。
また、最初に使った時のようすやスリット面の状態、ささくれの出具合等気付いた事を書いておくと良いでしょう。

●ゴムの保管方法。
購入したゴムは常温で保管しましょう。
10度から25度程度が快適温度です。冷蔵庫に入れて保管している人もいるようですが、絶対に冷蔵しないで下さい。
ゴムは温度が高いと劣化が早まりますが、低すぎても分子結合が壊れてしまいます。
勿論湿度も重要です。冬場のきょくたんに乾燥した状態ではビニール袋に入れて乾燥を防ぎましょう。
もう一つ重要なのが光りです。紫外線に弱く自然光で分解してしまいますので出来るだけ光を当てないように注意しましょう。
飛行場で飛行機に装着したまま放置したり、直射日光の下でゴム束を調節したりするのはゴムを痛める原因になります。
ゴム束の準備は出来るだけ自宅で行い、飛行場ではビニール袋入りゴムをクーラーボックスに入れ、草陰等に置いて温度上昇や直射日光から守りましょう。
  ・私の場合、自宅で一番温度変化が少ない一階北側の押入下の段に購入したままの段ボール箱状態で保管、
  5年以上経ったゴムでも十分に使えてます。

●材質について。
動力用ゴムの材質は、天然ゴム(NR)ではなく合成天然ゴム(IR)が主成分のようですが、どちらにしろ原材料はゴムの木の樹液から作られているため 収穫時期の天候や産地によって出来具合が違い製造ロットで微妙に性質が違ってしまいます。
F.A.I.では出来上がったゴムを世界トップクラスの選手にテストしてもらいランク分けして販売しているようです。
この辺の事情を十分理解した上で、購入したゴムはご自分の責任で管理し使うようにしましょう。

●一般的な合成天然ゴムの特製。
化学構造:ポリイソプレン、比重:0.92〜0.93、引張強さ:50〜200kg/cm3、伸び:1000〜100%、
耐熱性:120℃、耐寒性:-50℃、耐油・耐溶剤性:アルコール以外NG、耐酸・耐アルカリ性:水以外NG
   ・上記の事から分かる通り、添加粉などの洗浄は水洗いていどに止めておいた方が良い。
    私の場合、洗わずティッシュで拭き取る程度に止めている。

ゴムの潤滑について
ゴムはそのまま使うとゴム同士がすれ合い切れてしまいます。
これを防止するため、潤滑剤(リューブリカント)を塗る必要があります。
潤滑剤の種類は色々あり、オイルシャンプーにグリセリンを混ぜた物、ワセリン、シリコーンオイル等が有名です。 基本的にはゴムに悪影響をあたえずに滑りを良くする材質なら何でも良い分けですが、 より良い安定性と潤滑性を考えシリコーンオイルを使うのが世界的に主流となっています。6000番程度の比較的高粘度の物が良いでしょう。
工業用は1kg缶しか販売していませんが、少量でしたらラジコンカーのオイルダンパー用シリコーンオイルが使えます。
塗布はビニール袋にゴムを入れ、シリコーンを少量たらして袋ごともみ込むようにして行うと上手く行きます。
シリコーンは潤滑性能の面では非常に良いのですが浸透性も良く無限に延びていたるところに付着し、つるつると滑ります。 また、ライトプレーンのようなオープン胴の場合ゴミが付着しやすく付いたゴミは洗浄出来ません。
競技会に出場するのでなければワセリンを使うことをお勧めします。
Silicone

Waserin 私が小型機によく使う潤滑剤としてワセリンがあります。
ワセリンは薬局や化粧品店で簡単に入手出来、肌荒れ防止に手などに塗るための物ですので人体にやさしく安全です。
シリコーンオイルほどの潤滑性能はありませんが、ゴミが付着した場合でも水洗い出来、扱いやすいです。
ワセリンは冬場の低温時では硬くなり塗布しにくくなります、人肌程度に暖めてからゴムに直接塗りつけ手の平でもみ込みます。

他に市販されている専用潤滑剤としてオイルシャンプーにグリセリン等を混ぜた物がありますが、
水分が多量に含まれているため塗布後乾燥してしまい使えなくなる事があり不安定です。
主成分がシャンプーですから洗浄が簡単ですが、ゴムの管理を考えると使いにくいです。
日本国内での入手も難しいです。

ゴムの結び方について
ゴムの結びは潤滑剤を塗ってから行います。
先に行った方がゆるまなくて良いと考える人も居ますが、結び目の脇にささくれが出来切れやすくなります。
私のやり方は、先端のみ先に潤滑剤を塗布し、結んでから全体に塗布します。
きちんと潤滑されていると結んだだけでは勝手に解けてしまいます。
(2)の横結びの状態で、横結びの中央に少量瞬間接着剤を塗布してから締め込みます。
Kobu1
(1)縦結び
Kobu2
(2)横結び
Kobu3
(3)完成
ゴムの結び目はゴム束の一番後ろに持っていきます。
結び目が複数箇所ある場合は、一番大きな結び目を後ろにします。

ゴムのブレークイン
「完熟巻き」とも言い、トルクが比較的安定した状態になり切れにくくなります。
ブレークインは直射日光を避け屋内で行うか、屋外の場合は夜間に行うようにしましょう。
F1B RUBBER 新品のゴムを伸び限界近くまで引き伸ばし、ゆるめても元の長さには戻りません。必ず元の長さより少し長くなります。
これはゴムの組織が変化したことにより起こる現象で、これによりトルクが安定し切れにくくなります。
これを「ゴムのブレークイン」と言います。
実際のやり方は色々あり、ただ引っ張るだけの場合もあればワインダーで巻き込む場合もあります。
ゴムが切れる最大の原因が摩擦によるささくれです。従って太いゴム束をいきなり巻き込むようなやり方は好ましくありません。
出来るだけ細いゴム束で引き伸ばし、潤滑剤をなじませてからゴムの状態に合わせて巻き込みましょう。
ブレークインの終わったゴムは履歴を付け保管します。
一般に、新品の状態とブレークイン後でゴム束の長さの差が少ないほど良いゴムが多い様です。


■Home||◆Sunappu

Yasuu