もうひとりのあなた |
| 好きな小説が映画化されて見るも無惨なことになってガックリした経験は誰にでもあるはず。かの「カッコーの巣の上で」の原作者であるケン・キージーは、映画の感想を聞かれて「自分の娘がヘルス・エンジェルズにレイプされているのを見るようだった」と答えたそうです。そんなに悪い映画じゃないですけれどね、あれでもそんなふうに思っちゃうなら、他のものなんて言うに及ばず。 同じような心境で、自分の好きな曲がカバーされるのを好まない人も多いです。たしかにビートルズの曲がテクノになっていたり、「無理してこんなアレンジしなくてもいいのにな」と思うようなことはあります。カバーするときって「よっしゃ、いっちょ、新しいことをやってやる」なんて気負いがあるのかもしれませんね。ぼくがジムで泳いでいるときって、隣のコースで水泳教室やっているんですが、そのBGMがそんなのばっかりで、がっかりすることはあります。「レディオスターの悲劇」のハウスっぽいのとか最悪だった。 でもそういったことはおいておいて、僕はカバーってわりに好きなんです。思わぬ組み合わせで新しい発見があったり、まるっきり遊びとしてのカバーだったり、その曲の新しい魅力が見つかることもあります。好きな子が髪型を変えたのを見るような感じです。 多くの場合、アルバムの隅っこや、マキシシングルなどのおまけとして収録されていて、結果として自分が贔屓にしているバンド以外のものは聴く機会が少ないので、この貧困なラインアップを見て「他にも良い曲があるよ」と思ったら情報をください。お願いします。 1.「ライク・ア・バージン」 マドンナ/ティーンエイジ・ファンクラブ アズテック・カメラが「JUMP」をやっていたり、アンゴラが「嵐が丘」やったり、まるっきり系統の違うバンドがやっているカバーは好きです。なんでもかんでもハウスとかテクノにしちゃう傾向は好きじゃないですけれどね。 コード進行とかバンドの音に合うはずがないのに、自分たちなりにアレンジを変えて頑張る姿は、なかなかいいものです。アマチュアのバンドがライブを盛り上げるためにやっていることは多いけれど、プロの、それもメジャーなバンドがやっているのが楽しいです。 マドンナのゴージャスなヒット曲をブリティッシュの彼らが見事に遊んでいます。これはいいですよ。トラヴィスの「ベイビー・ワン・モア・タイム」よりも僕は好きです。 2.「オール・アロング・ザ・ウォッチタワー」 ボブ・ディラン/ジミ・ヘンドリックス U2のもカッコいいし、ニール・ヤングも悪くないし、もちろんオリジナルのディランの曲も良いんですが、ぼくはジミ・ヘンのものがいちばん好きです。ジミ・ヘンの曲の中でもかなり好きな曲です。ライブ盤で聴いてもカッコイイ。 たしか「フォレスト・ガンプ」のベトナム戦争のシーンで使われていたはずで、あの場面は胸にツーンと来ました。 3.「カーネーション」 ジャム/オアシス ジャムのトリビュート盤に入っていたと思います。 最初にこのランキングを作ったときには忘れていましたが、本当に素晴らしいですよ。「オアシスはキライだったけれど、これを聴いてなかなかやるじゃんと思った」という知り合いは多いです。ジャムのオリジナルも素晴らしい曲です。 4.「アクロス・ザ・ユニヴァース」 ビートルズ/フィオナ・アップル 批判や誤解を恐れずに言うなら、僕はオリジナルよりもこっちが好きなんです。ビートルズのカバーは本当に数多くのミュージシャンが挑戦していて、その多くはリスペクトが強すぎるか、原曲の良さを台無しにしているかのどちらかに感じるんですが、これは成功例じゃないのかなぁ。 ビートルズの曲のカバーでいちばん多いのはどの曲なのか知っている人がいたら教えていただきたいです。わりにこの曲も多いですよね。 5.「スーパースター」 カーペンターズ/ソニック・ユース 「はいはい、面白いですね! あんたら最高!」と言った感じの気楽さが良いです。大人が遊ぶときは真剣にね、の良い見本。 6.「ナッシング・コンペア・トゥ・ユー」 プリンス/シンニード・オコナー どっちのイメージが強いかといえば、既にプリンスの曲ではなくシンニード・オコナーの曲として定着されているんじゃないでしょうか。いちばん有名な曲がカバーというのは微妙なところですけれど、シンニード・オコナーが日本でメジャーになれないのはその辺が要因なのかも。 7.「シー・オブ・ラブ」 ?/ハニー・ドリッパーズ オールディーズなので、オリジナルが誰の曲だか知らないから、「えっ、あの曲がこんな変身を!」という驚きには欠けるんだけれど、とっても良い曲だと思います。ロバート・プラントも頑張っているし。 たしかアル・パチーノが主演していた同名の映画でオリジナルのほうが使われていた気がします。 ちなみに、スティーブン・キングが趣味でバンドをやったことがあるらしく、その演奏曲のリストにこれが入っているのを見て心が和みました。役に立たないマメ知識ですね。 8.「サバス・ブラッディ・サバス」 ブラックサバス/カーディガンズ ハードロック系のバンドがポピュラーソングのカバーをやることは珍しくないです。オールディーズとかがギンギンの歪んだ音になると新鮮な驚きがあるし、どちらかと言えば作曲能力が演奏能力に劣るバンドが多いなかで、名曲を使うことがプラスになることも多いからでしょう。 ヴァン・ヘイレンは初期の代表曲は2曲ともカバーだったし、クワイエット・ライオット、トゥイスティッド・シスターズ(いいカバーが多い)、ガンズ&ローゼズ、それぞれ思い出の曲は多いです。 でも逆にハードロック系の曲をお洒落にアレンジしちゃった巧さでは、やっぱりこれは衝撃でした。 |
| 20021217 |