好きなギターソロ

ベスト10


わりにマニアックです。
興味がない人は間違いなく引くので
読まないほうがいいです



これを読んで「俺も」「私も」と思う人がいたら、メールをください。ぼくがコピーしてアップします。
コメント付きでも無しでも、変則的に「ソロの前の決めのフレーズ ベスト10」でもいいし、「これだけはコピーできないベスト10」とか、数が足りなかったらベスト5でも、なんでもいいです。
wataruさん編   Hammerさん編

調査屋齊藤さん編   NISHIKIさん編

藤原さん編_1    藤原さん編_2


ぼくが黒のぴちぴちのジーンズに安全靴を履いて、ハードロックのバンドでギターを弾いていた(もちろん趣味で、です)ことは、今となっては想像するのも難しいのではないかと思います。ほぼ10年くらい、ぼくのもっとも好きな音楽のジャンルが、ハードロックと、世間で言われるヘヴィメタルでした。そのふたつを合わせてHR/HMなんて表記することもあります。

北欧ロックのようなクラシック的様式美だけではなく、こういった音楽にはある種の決まったスタイルがあります。わかりやすい点では、黒ずくめのファッションもそのひとつですし、神話からモチーフをとった曲のテーマ、ツーバス(バスドラが二個ある)による疾走感、やけに高音に偏ったボーカルの声もそうです。
良く喩えられるのは「水戸黄門」。貧しい人たちが虐げられ、悪代官が登場し、か弱い子女に危害が及び、黄門さまの最初の登場では身分を明かさず罵られ、最後になって助さん角さんに続き、ようやく印籠の登場!
場所が変わり、登場人物や展開が変わっても、基本構造は同じなんです。そのように、かゆいところに手が届く瞬間を喜びにして、こういった音楽に夢中になっていくんですね。

ハードロックの華といえば、やはりギターソロ。これが水戸黄門でいう印籠になっていることが多いです。登場のタイミングや、それまでにいかに脇役を上手に操り、その瞬間を待ち焦がれる気持ちを高めることができるか、そこが勝負だったりします。
ふつうの音楽ファンからすれば、退屈な時間だと思います。でもほんとうに素晴らしいギターソロは、ときにボーカルの歌メロよりもファンの心に深く残り、その曲の人気を左右することもあります。ただの箸休めではないし、ましてやボーカルの給水タイミングでもありません。

ぼくはこういった音楽の歴史に詳しいわけではありませんが、こと日本に関して言えば、こういった様式はリッチー・ブラックモアによって確立されたのではないかと思います。いくらパープルがアメリカではほとんど評価されてないとは言え、日本に与えた影響は大きいです。
この辺、写真で言うとウィリアム・クラインに似ているかもしれません。世界的に言えば、ロバート・フランクのほうがずっと影響力も評価も高いんだけれど、こと日本に限ればクラインのほうが人気はあったし、多くのフォロアーを生んだので。
あ、フォロワーなんて言葉、すごくHR/HMっぽいな。ロビン・フォロワー、なんちゃって……。

ぼくがギターを弾いていたころは、いかにすごいソロを探すかに夢中になったこともあり、「○○の四連符はスゴイ」とか「○○のトレモロは速い」なんてことを、仲間と競い合っていた時期もあります。
あれからもう10年になり、聴く音楽の好みもずいぶんと変わったのだけれど、今でもぼくの心に残るギターソロを。

ぼくの思う良いギターソロの定義って
 ・曲を台無しにすることなく
 ・かといってありきたりの予定調和でもなく
 ・歌にも負けないメロディがある
といったところです。
好みで言えば、さらに泣きが多く、印象的なフレーズがあり、なおかつ音のインターバルが大きなものが好きです。音色はストラト系でもレスポール系でもいいけれど、あんまり潰れてしまっているのは好きではなく、アタックが感じられるほうがいいので、ルカサーなどは苦手です。

選んだものをあらためて見てみると、かなり偏った傾向がありますが、ぼくらしいとは思います。曲の良さに惑わされていたり、思い入れも影響していますが、それを省いてしまうなら、何のためのギターソロか。

ところで、「メタル・ハート」って、あの部分もギターソロだと思いますか?


★ABDUCTION / STEELER

最初ということで居酒屋の突き出しみたいなものです。歌がないので正確にはギターソロの定義からは外れますが、機会があればぜひ。
説明の必要はないでしょうけれど、まだアマチュアだったころのイングヴェイが在籍していたバンドです。

★SUFFER ME / ALCATRAZZ

(最初はここに「I AM A VIKING」を選んでいたので、そのコメントを)
そのイングヴェイはぼくのアイドルだったので、何か一曲を選ぶのは難しかったです。ライブ盤でもいいなら、アルカトラスのころの「LOST IN HOLLY-WOOD」と「KREE NAKOORIE」が非常に印象に残っていますが、そういうのってちょっとずるいかなと思ったので、この曲を。
アドリブでソロを弾くインギーにしては符割りが収まりよく、魅力はしっかり感じられるのに聴きやすくまとまっています。
これ以降のアルバムになると音の粒が荒れてきてしまうので、ギターソロということならこの頃までが好きでした。

と書いてから、かつてのバンド仲間にこの話をしたら、「らしくない」と言われました。やっぱり初期の2枚から選ぶのが筋だろうと。
それでその二枚をすべて聴き直し、すごく迷って「SUFFER ME」に変えました。本来のギターソロの場所ではなく、エンディングのところに長いソロがくっついているのですが、これは当時のイングヴェイの魅力が満載です。
速いフレーズでも粒が崩れず、音のニュアンスを自由に操り、泣きと早弾きのバランスが見事に調和し、なおかつストラトの音質を最大限に生かしたその音色など、完璧。

当時のインギーがいかに孤高で輝いていたかを知るには、「STARS」というハードロック系の人たちによるチャリティのドキュメンタリー・ビデオが最適です。ブラッド・ギルズ、ジョージ・リンチ、ヴィヴィアン・キャンベル、ニール・ショーン、そういったそれなりの顔ぶれのなかで、次元の違うフレーズを奏でます。自分のアンプを使っていなくても、音色だって別格です。ロニー(ディオ)もびっくりしています。

★HIGH FLYER / UFO

シェンカーは大好きなギタリストですが、ソロだけをとって考えればMSGよりはUFOの時代のほうが好きでした。恥ずかしいくらいシンプルな鳴きメロを見事に展開しています。初期の吉本ばななさんの小説くらい、ストレートな表現です。きれいだと思ったなら「きれいだった」と書けばいいじゃない、といったところです。やっぱりワウの踏み具合とか、この人は天才なんだと思います。
レコード・ジャケットの撮影でギターを車に叩き付けるとき、メインのギターを使ってしまったと本人が話していたのは、ほんとうだったんでしょうか? ネックが折れたから修理したと言っていましたが、そんな人っているかなあ? 

★OVER THE WALL / TESTERMENT

一曲くらいは人が挙げないようなものを選びたいと思い、この曲を。スラッシュ系ではカーク・ハメットの評価が高いようですけれど、ぼくはアレックス・スコルニックのほうが好きです。
初期のテスタメントは、ギターソロになると世界が変わるというのか、見えている景色が変わるような感じが好きでした。後期になるに従って、バンドとしてのまとまりは良くなり、人気も上がっていったけれど、この頃のような輝きをギターソロに感じられなくなったのは残念でした。とは言え、「PRACTICE 〜」なんかは相当に格好良かったですけれどね。
アレックスが、「もし、ぼくがいまティーンエイジャーだったら、スラッシュのギタープレイに夢中になったと思うよ」と話していたのは、微笑ましかったです。ぼくもスラッシュのギターは好きです。

★BEAT IT / MICHAEL JACKSON

ここを見ているような人なら知っていますよね。この曲のソロはヴァン・ヘイレンが弾いています。たしかルカサーに弾かせてみたらしっくり来なくて、エディを呼んだんですよね。
クラシカル・ロック好きのぼくとしては、当時はあんまりエディのギターは好きじゃなかったんだけれど、やっぱり音色は最高です。テクニック自体は過去のものになったにしろ、その切れとリズム感はいまだにトップクラスの素晴らしいものだと思います。
でもヴァン・ヘイレンの曲にそれほど好きなものがないので、これを。他人の曲だということもあってか、非常にタイトにエディの魅力が凝縮されていると思います。それにしてもいい音だなぁ。

★TIME WILL FIND THE ANSWER / JOHN NORUM

いま聴き直して、「もしかしたら思い入れが強すぎるんでは」と自問自答してみました。冷静に判断できている自信がないからです。
ぼくはヨーロッパにいたころからジョン・ノーラムを応援していて、彼がようやくほんとうに好きなことができる環境を見つけ、ゲイリー・ムーアとジョン・サイクスとマイケル・シェンカーの呪縛から逃れ、好き勝手に弾きまくれる状況になって――そのようにして、グレン・ヒューズを招いて作ったこのアルバムが好きなんです。
ワウを踏みすぎてジョン・ノーラム独特の〈トレブリーだけれどウォーム〉というストラトの音色が犠牲になっているのは勿体ない気もしますが、やっぱり素敵です。

★STILL GOT THE BLUES / GARY MOORE

カウンターに座って寿司が食べられるようになったのに、「やっぱり回転寿司が好き」と言うようで忍びないのですけれど、ぼくはブルーズを弾くゲイリー・ムーアよりハードロック色が強かったころのほうが好きでした。「大いなる野望」なんて最高です。
でもミュージシャンとして考えれば、地位も評価もいまのほうがずっと上なので、ショパンの「別れの曲」的に「昔のあなたが好きだったけれど、あなたのことを考えて私は身を引きます。でも最後に、私が好きだったあの曲を……」なんて言いたいところです。

メロディに限って言うと、この曲がいちばんわかりやすいでしょう。
フェリー・エイドというチャリティでビートルズの「レット・イット・ビー」をやっていて、マーク・ノップラーと交互にソロをとるんですが、そのときの「チョーキング一発に命をかけます!」みたいな感じもすごくよかったです。
ゲイリー・ムーアは「ジョン・ノーラムとかジョン・サイクスなんかは自分の真似をしすぎだ」と批判していたことがありますが、「そういうあなたも相当にジェフ・ベックに似ているよ」と言いたい。
ここには選びませんでしたが、ジェフ・ベックの「ピープル・ゲット・レディ」は素晴らしい曲ですよね。あのビデオ泣かせるんだよな。

★DIFFERENT WORLDS / VANDENBERG

このランキングを作るにあたって聴き直したら、むかし思っていたよりもずっと荒くてびっくりしました。身体がでかいのに、非常にヴィブラートが慌ただしいですね。ヌーノ・ベッテンコートあたりからの「インギーもエディも、俺たちにとっては必須科目」なんて世代からすれば、決してハイテクとは呼べないです。
でもすごくていねいに組み立てられているし、何より曲を見事に盛り上げてエンディングへの足がかりにしています。ハイポジとローポジを行き来する感じもいいです。
この曲のビデオのなかで、クリーンとディストーションを切り替えるエイドリアンの姿はけっこう泣かせます。
チェコの作曲家であるドヴォルザークがアメリカを「新世界」と捉えたように、オランダ出身のヴァンデンバーグにとっての「別世界」ってのは何だろう……と思って歌詞を見て、ちょっとがっくりしました。

★STILL SO MANY LIVES AWAY / ELECTRIC SUN

ランキングとはいえ順位は付けなかったですが、もし1位を選ぶなら、この曲が最有力候補です。ぼくがギターソロに求めるすべてがここにある。
次から次へと溢れ出てくるメロディ、泣き、音のインターバル、いずれも最高です。ウリ・ロートは素晴らしい。

★HIGH HOPES / PINK FLOYD

これくらいまでジャンルを広げると、「じゃあ、ウィッシュボーン・アッシュはどうなんだ」とか「イエスは?」とかいう疑問もあるんですが、あんまり音楽のジャンルは限定しませんでした。
しかも、この曲だけはエンディング・ソロです。
ぼくはデイブ・ギルモアの泣きメロが大好きで、そこらのハードロック・バンドよりもずっとギターソロが長いですからね。

ギターソロって、良いコード進行に恵まれないと名演はあり得ないので、たいていは曲も良く、「曲は悪いけれどソロだけはいい」なんてことはまずありません。
だからここに選んだ曲は、ほとんどが曲としても素晴らしいものが多いですが、特にこれは涙なくしては聴けない名曲です。


番外1:
日本人はとくにこういうものを好む傾向があるのか、日本のHR/HMのバンドはギターソロを非常に大切にしました。ヴォーカリストより人気のあるギタリストなんてざらだったし、極論すれば主役がギタリストだったバンドも多いです。
いまCDをべつの箱にしまって取り出せないので、確認できなかったためにランキングに入れませんでしたが、下の6曲には強い思い出があります。

★MAN IN BLACK / X-RAY
湯浅さんは音遣いに独特のセンスがあったと思います。GITでポール・ギルバートに師事していたなんて話も聞きますが、いま何やっているんだろう。業界的に調べられそうだけれど、怖くて調べていません。
★ざわめく時へと / EARTHSHAKER
泣き、ということならこの人。日本のデイブ・メニケッティ。歌い上げるようにして泣きメロを弾く姿は、UFO時代のシェンカーを彷彿させました。
★BLIND BOY PROJECT / DEAD END
日本のギタリストでいちばん好きです。足立さんがテラローザにいたころの曲も素晴らしいものが多かった。
★戦え!何を?人生を! / 筋肉少女帯
印籠を出すタイミングが非常に格好いいです。ライブで見たこともあるんですが、あれは泣いたな。ギターソロがそのまま曲のエンディングになっている、ちょっと変わった構造の曲です。
★YAMASEの気持ち / 山瀬まみ
この曲は横関敦さんが弾いています。DOOMのモロちゃんによるベースも強烈です。
★地獄より愛を込めて / 聖飢魔U
当時、ウリ・ロートの影響を明かしていました。このアルバムに収められたギターソロはほとんどすべて好きでした。

番外2:
完全なインストなら
★APRIL SKY / VINNIE MOORE
がいちばん好きです。この曲、バッハのカバーですけれど、上手くアレンジしています。ヴィニー・ムーアは、そつがなさ過ぎて好きじゃないんですが、この曲は素晴らしいと思います。


よく晴れた日曜日の午後に、これを真剣に書いているぼくは、やっぱり何か問題を抱えていると思いますか? 
「ライ麦畑」を読み返そうかと考えている、今日この頃でした。       
(200310261536)