いろいろなところを
旅しました。


ロンドンは別にして基本的に一泊二日で、車などは使わずに公共交通機関と徒歩を利用しました。高校生くらいの読者でも気軽に真似できるようなものにしたかったんです。特殊ではないけれど、ちょっとだけ特別というくらい。はじめに連載を依頼されたときには、「ややや、日本にこんな場所がまだ残っていたなんて」と驚くような光景を撮ったほうがいいのかな、などと考えてみましたが、東京にいるときと基本姿勢を変えることなく続けることで、逆に街による違いや、そこを訪れたときの自分の心境の変化が描き出せればと思いました。

写真は決められた時間が過ぎたらそこで終わりだけれど、文章は締め切りまでは自分があきらめない限り何度でも書き直せるわけで、ほんとうに辛かったです。
それとは別にタイトルをつけるのもずいぶんと悩みました。タイトルなんて気楽なものでいいと普段は思っているんですが、この連載に限ってはタイトルを読み返しただけでその内容や写真を思い出してもらえるようなものにしたかったんです。音楽でも思い入れのあるものってそうですよね。タイトルを口にしただけで、胸の中に蘇ってくる思いがあるから。

写真は常に僕のスタイルを守りましたが、文章は少しずついろいろな試みをしています。好きな作家のことを思い描いて、今回はこんな感じで書いてみたいなと思ったこともあります。旅先に持っていった本や、そこで聞いた音楽に影響された部分もあるかもしれないです。バックナンバーを保存している人がいたら、その辺を読み直してもらえると頑張った甲斐があります。

振り返ると、不思議なことを思い出すものですね。飯山で食べた餃子とか、神戸のコロッケとか、仙台の牛タンとか、食べ物のことが多いです。それにしても○○の○○はマズかったな……。



琵琶湖

1月号
「京都の東、名古屋の西」(琵琶湖・滋賀県)
2月号
「いつものように朝が来て」(神戸・兵庫県)
3月号
「冬の旅人」(飯山・長野県)
4月号
「レコード一枚のあいだに熱海」(熱海・静岡県)
5月号
「夜更かしの人々」(新宿・東京都)
6月号
「こんなに近いのに遠い」(日光・栃木県)
7月号
「ロンドンより愛をこめて」(ロンドン)
8月号
「砂が教えてくれた」(鳥取砂丘・鳥取県)
9月号
「長すぎた夏休み」(湘南海岸・神奈川県)
10月号
「曇っていて見えない」(松島・宮城県)
11月号
「だんだん遠くなっていく」(京都・京都府
12月号
「ずっと待っていた」(函館・北海道