何でもベスト8


90年代ロック

正直な話、ロックの黄金期って60年代から70年代だとは思いますよ。ツェッペリンに較べればさあ……、なんて言われればどんなバンドだって迫力に欠けるだろうし、「結局はビートルズなんだよ」と言われたら、異論を言えるバンドなんてない。ジミヘン、ボウイ、ディラン、ジャニス、ドアーズ……、名前を挙げていくだけで胸がときめきます。「ビートルズのニューアルバム、楽しみだよなあ」なんて時代もあったんだもんね。
でも僕は66年生まれ。過去のことを振り返って懐かしんでもいられないし、それよりも未来を託して自分の生きた時代を誇りに思いたい。写真もそうだけれど、過去の傑作は別にして、時代の空気って大切だと思うから。
そんなわけで、90年代のロックで、これは誇りに思っているという曲を8つ。これだけは順不同で。



「SO YOUNG」 
SUEDE


ジョークなのか、本気なのか、ボウイが「君たちは僕より才能があるよ」と言ったらしいです。この曲を聴いたとき、「よし、あと10年はロックを聴き続けるぞ」と思いました。スウェードの曲としては「STAY TOGETHER」のほうが好きかもしれないけれど、この曲の持っているぎらぎらとした輝きは素敵だと思います。
余談ですが、ブレッド・アンダーソンは「当時のいちばんのごちそうはオニオン・スライスだったんだよ」と言っていたそうですが、あれがごちそうだったら普段は何を食べていたんだろう?


「CREEP」 
RADIOHEAD


レディヘなんて訳されて、非常にポピュラーなバンドになってしまったけれど、この曲の頃って「えっ、レディオヘッド? イヤだよ〜。だって暗いんだもん」って言われたんだよなあ。暗くて内省的なものが好きな日本人にさえ、なかなか受け入れられなかったのに。レディオヘッドも他に好きな曲はいっぱいあるけれど、すべてはここから始まったという意味で。
ちなみにトム・ヨークが今世紀の文化的な事件についてのコメントで「ワールド・ワイド・ウェブが、ただの底引き網に成り下がってしまったこと」というようなことを言っていて、けっこう考えさせられました。こんなはずじゃなかった、というのは僕も共感です。


「ACROSS THE UNIVERSE」 
FIONA APPLE


当然ながら原曲はビートルズですが、それだからこそ90年代の方向性を見せてくれた気がします。
彼女は、きっとこれからもうちょっと大きな役割を果たすアルバムを発表してくれるんじゃないかな、と個人的に期待しています。もちろん、今のままでも素晴らしいアーティストなのだけれど。
すっごくどうでもいいことなんだけれど、椎名林檎のリンゴは、フィオナのアップルと引っ掛けて付けた名前なのかな?
誰か知っている人がいたら教えてください。


「GO」 
PEARL JAM


上のFIONAのプロモーションのコピーが「涙を流すな、フィオナがいるさ」とかいうような言葉だったんだけれど、「振り返るな、パールジャムがいるさ」と僕はこの曲を聴いて思いました。もう終わった、というのが大方の評価ですが、僕は信じています。
ライブアルバムを二枚も出したけれど、どっちもそんなに良くなかったのはショックでした。本当のところ、エディ・ヴェンダーは何を考えているのだろう?


「DON’T LOOK BACK IN ANGER」 
OASIS


音楽的にはBECKのほうが、判官贔屓の人たちからはBLURのほうが評価は高いですけれど、何と言ってもイギリスの演歌みたいなもので、外すわけにはいかないな。富士山の上に雲が掛かっていて、夕暮れで空が紅色に染まり掛けて、なおかつ湖にそのシルエットが写っている写真のように、永遠に無くなることはないメロディ。


「SONG 2」 
BLUR


とは言え、ブラーも嫌いじゃないわけです。
ちょっと頭のよいのが見え隠れするあたりが気に入らないんだけれど、この曲は素晴らしい。笑っちゃいました。
デーモンって、やっぱりカッコいいもんなあ。
でもきっと21世紀にブラーの活躍できる場所はないような気がする。何となく、だけど。


「ZOMBIE」
THE CRANBERRIES


U2とかR.E.M.とか、ロックに対する姿勢が真摯なバンドってありますよね。今のバンドで言うと、クランベリーズなんてかなり評価してよいのではないかな、と。女性ボーカルがあまり好きではない僕も、クランベリーズとカーデガンズとラッシュとP.J.ハーヴェイは、かなり気に入っていてよく聴きます。静かに始まって、ディストーションの効いたギターが入ってくる……というパターンに弱い僕としては、やっぱりこの曲かな。ドロレスはボーカリストとしてもっと評価されるべきだと思います。


「SMELLS LIKE TEEN SPIRIT」 
NIRVANA


このベスト8を考えるために色んなCDを引っ張り出しては「うわっ、ストーンローゼズって89年かあ……惜しいな」とか考えていたのですけれど、やっぱり何と言っても90年代はニルヴァーナの時代だったんじゃないかな。
当時はざらついていて焦げた匂いさえ感じられるようだった彼らの曲も、今になって聴くとはかなく美しいですね。
時代を駆け抜けていったミュージシャン、という点で、僕の世代で語り継ぐことができるのはカート・コバーンくらいかもしれません。



20010304