つーんとくる曲
ベスト8
|
音楽って不思議な力があって、流行っていた時代のことやそれを繰り返した聴いたときのことを思い出させてくれます。なかには思い出したくないこともあるんですけれど。
そのときは何度も聴いたけれど、あとになってぱったりと聴かなくなってしまったような曲ほど、そういった作用があるみたいです。そういえば小説『ノルウェイの森』は、そんなふうに音楽によって過去の記憶が蘇るところから物語が始まりました。
スタンダード・ナンバーって、わりにそういった曲になりにくかったりもします。ちょくちょく耳にしていると、慣れてきちゃうからかな。『ノルウェイの森』の主人公が、もし「イエスタディ」とか「ヘイ・ジュード」などと強くリンクした思い出があったとしたら、一年に何度つらい思いをするかわかりませんからね。
ある時期のことを思い出させてくれて、心にわさびでも塗ったようにつーんとくる曲を8つ。
|
1.Trooper / Iron Maiden
いま30代前半くらいで、自分でバンドを組んでハードロックをやっていた経験のある人なら、きっとこの曲のイントロを聴いたときにつーんとくるはずです。
そのころ、ぼくはイングヴェイの大ファンだったし、いちばん良く聴いた曲ということならレインボーやディープ・パープルあたりかもしれないのに、その時代のことを思い出す一曲というと、これになってしまいます。
|
2.Live Forever / Oasis
写真家になる憧れを持ちながらも、それに対する迷いを抱え、はじめてロンドンに行ったとき、飛行機のプログラムで流れていたので繰り返し何度も聴きました。クランベリーズの「Zombie」も繰り返されていたけれど、ロンドンという街とオアシスってあまりにぴったりで、僕の心にふたつセットでしまわれることになりました。
いまでもオアシスの曲のなかでいちばん好きです。
|
3.Air Bag / Radiohead
はじめての本を出すときに、その原稿を書きながらいちばん多く聴いたCDがレディオヘッドの『OK コンピューター』でした。
このアルバムのなかで好きな曲ということなら、「カーマ・ポリス」や「パラノイド・アンドロイド」のほうが上ですが、一曲目ということもあってこれを聴くとそのときのことを思い出します。「ああ、また一周したのか。そろそろ休もうかな」なんて。
「売れるといいな」とか、「こんな本にしよう」とか、具体的なことはなにひとつ考えず、ひたすら思いを言葉に代えるためにパソコンのキーボードを叩いていました。
|
4.Innocent sky/吉川晃司
熱狂的と言ってもいいくらいな吉川晃司さんのファンでした。
「ラ・ヴィ・アン・ローズ」「キャンドルの瞳」「すべてはこの夜に」などのシングル曲も捨てがたいのですが、このイントロが流れたらすぐに当時に引き戻されてしまう思い入れの曲としてこれを。
けっこう長くて重い曲なのに、「夜のヒットスタジオ」で歌ったこともあります。当時の音楽番組ってすごかったんだな。
|
5.New year's day / U2
U2には「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」という超名曲があるけれど、僕にとって思い出の曲というならこっちです。はじめてこの曲が収められたアルバム『WAR』を聴いたときには心が震えました。
今じゃどうかわからないけれど、僕らが高校生くらいの頃って友達のために編集テープなんかを作ってあげることも珍しくなく、冬休み前にこの曲を入れたテープを作った記憶があります。あれは誰にあげたんだったかな。
ツェッペリンやビートルズはもちろん、クィーンやデヴィッド・ボウイもリアルタイムとは言い難い僕にとって、ずっと聴き続けていて誇りに持てるバンドの代表格がU2です。でもU2って良すぎて、ちょくちょく聴く気がしないんですよね。
|
6.Don't Give Up / Peter Gabriel
「ほんとうはピーター・ゲイブリエルなんだよ」とか、「あのアルバムからもう見捨てた」とか、熱心なピーガブ・ファンってちょっと口うるさいところがあるんで苦手ですが、そんなの僕にはどうでもよいことで、落ち込んだときに何度もこの曲に救ってもらいました。
歌詞もドラマ性があって、ケイト・ブッシュのコーラスも泣かせます。僕の持っているライブ盤ではシニード・オコナーがそのパートを歌っています。こちらも素晴らしい。
ちょっと懐かしいと感じるのは、この曲をしばらく聴いていないからで、これを必要とするような深い落ち込みをここのところ経験していないのかもしれません。
|
7.Calling You / Jevetta Steel
かつて好きだった子が、映画『バグダッド・カフェ』をとても好きで、ふたりで何度か繰り返して見ました。この映画を好きだという人は多いし、おそらく僕以上にこの曲に思い入れを持っている人は多いでしょうから、気易く「思い入れがある!」なんて言いにくいんですが、でも僕にとっても特別な曲です。
ホリー・コールを始めとしたカバーを聴いても、まったく感情が揺らされることはないんですけれど。
|
8.Huricane / Bob Dylan
僕の書いた「星に願いを」を読むとわかると思います。
デンゼル・ワシントンの『ハリケーン』(この曲と密接な関係のある映画)とか、ケヴィン・スペイシーの『アメリカン・ビューティー』とか、映画のなかで再会する機会もあって、そんなときにもつーんときました。忘れてしまいたくないことがあるので、それを思い出すきっかけにするために、なるべく普段は聴かないようにしています。
レコード時代のこの曲はシングル盤があって、A面がフェードアウトしてB面はフェードインで、両面合わせて一曲になっていたと聞いたことがあるんだけれど、滅茶苦茶な話ですよね。写真の見開きを、裏表で展開するみたいです。
|
 |