6月10日(土) 雨 【破壊】

昨夜は気が紛れた。

やはり眠れない。朝になってヒロが眠り、私も眠ろうとするが無理。もう、眠る為に数を数えるのはうんざりだ。眠るしかないぎりぎりまで待って眠る事にする。だけど、起きてする事といえば本を読むかTVを見るか。でも体よりも目だけがものすごく疲れていて、目を開けているのが苦痛。それでも早く眠る為に本を読んだ。

何故そんなに早く眠りたいかというと、早く起きたいから。起きてバイトの面接に行きたい。だけど、ようやく眠れるかなと思った時間は昼近くだった。起きられるわけがない。それでも、すぐに眠れれば起きられるかもしれない、と思って眠った…。

ヒロが喋っている。うるさい。ヒロが眠っていて私が電話する時は、台所へ行って話す。電話の声というのは普通に話す声より大きい。だから、気を使っているのに、ヒロは構わず大きな声で話す。うるさい、とヒロに伝えると台所へ行って話していた。嫌な予感。

ヒロがベースを弾き始める。ようやく眠りかけた所だったのでものすごく嫌な感情がわきあがる。暫く布団をかぶっていたがどうしても我慢できなくて、つい言ってしまう。でもヒロは練習しなきゃというので、台所でやれないかと聞いたら、ものすごい厭味を言われる。でも台所へ行った。

向うでどしんどしんとやっている。イライラしているようだ。音も聞こえるし、余計に気になって眠れない。もういいからこっちでやりなよ、と言いに行ったが、聞いてくれない。それならいいよ、とまた横になるとものすごい音。ヒロが倒れたような音がした。流石に飛び起きて見に行くと、ベースを投げつけんばかりにして持っている。ああ、ベースを壊すくらいなら私を殴ってくれれば良かったのに、なんて事を一瞬考える。そのベースは人からもらったものだったから。

だけどヒロはベースは壊さずにその辺にあったフライパンやら色々をなぎ倒しただけだった。何か言おうと思ったら、私が立っている横の壁に穴が開いていた。殴ったような穴だった。…。呆然と立ちすくんでいるとヒロは起き上がり、着替えて出ていった。何も言わずに…。

もう何も考えられずに、ベッドに横になる。私がうるさいなんて言わなければこんな事にはならなかったのに。でも、何故ヒロも協力してくれないのだろう?生活は殆ど私にかかっている。ヒロも家賃を半分払ってくれているとはいえ、その他諸々の生活費は殆ど私が出している。 ヒロに出せないと言うこともあるのだが…。ヒロはバンドの事で出費も多いし、私はヒロを支えようと(色んな面で)思っているからそれ自体は別にいいのだ。だけど早く次の仕事を見つけないとヒロだって生活できないのに。少しくらい協力してくれても良いんじゃないかと思う。それでも、きっと私が悪いのだろう。ヒロが帰ってきたら謝ろう。

釈然としないものはあるけれど、どっちが悪いとか言い争っても時間の無駄だ。もう2人が一緒にいる事は決まっている事なのだ。今更変えられない。なら、早くうまくやっていけるほうが良い。…こういう考え方は良くないのだろうか。投げやりとは違う「もういいよ」がある。

とにかく静かになったのだから眠れる。鍵だけかけて、台所の惨状は見ないようにして(見たって直らないし、気が滅入るだけだ)眠った。どれくらい眠ったのか、電話の音で目が覚める。寝ぼけているらしく、電話の場所がわからなかった。専門時代のクラスメートからだった。ヒロに、電話。

起きたついでにヒロにごめんメールを送った。眠い…。気を抜くとすぐに眠る。でも、嫌な眠り。ヒロの休憩時間をはかって電話する。クラスメートからの電話があった事を伝える。ヒロは謝っていた。「許してもらえるかどうか…」と言った言葉が不思議だった。許さない事なんてある?たとえ、ヒロが私をボロボロにしたって、許さないなんて事あるわけがない。

話す事がなかったので、なんとなく友達からのメールの話をしようとしたら、後でかけるといわれる。丁度ご飯を食べるところだったらしい。すぐに切った。友達からのメールは給料の事だった。給料日は9日だったので他の子はもう給料が出たらしいのだが、ちゃんと支払われなかったようだ。時給が下げられていたり、半分だったり…。きっとまたくだらない理由をつけたんだろう。この分だと、私達の給料も減らされている可能性が大大大。

また眠ったようだった。ヒロからの電話で目が覚める。さっきの給料の話を相談しようと思っていたのだが、止める。なんでもない、ごめんと言って電話を切る。ようやく起きる。バスルームへ行くと、ドアのガラスが割れていた。再び暗澹。これを直すのに幾ら掛かるんだろう?このぶんじゃ、敷金は帰って来ないな…。ヒロの部屋を引き払った時敷金が10万あったのを思い出す。…気をつけて部屋はなるべくきれいに使っていたつもりだったのに。

シャワーを浴びたいがガラスが飛び散っている。ご飯を食べたいが、台所も色々散らかっている。…ヒロに帰ってきて欲しかった。今ならヒロは帰ってきてくれるかもしれないけれど、多分そうした所で良い結果にはならないだろう。そうやって先が見えてその通りに行動できるのは虚しい。それを心から望んでいた筈なのに。虚しいのはその行動が私の感情とは違うから。

*前のページ
次のページ*