9月1日(月)

田舎の道。あたしは歩いている。アヒルがあたしにつきまとう。アヒルがあたしに付きまとっている。そこにもう一人のアヒル。もう一人のアヒルはぐったりとして動かない。あたしは後ろからアヒルを抱きかかえ引きずりながら歩く。上から見下ろすアヒルの顔には黒い髪がばさりとかかり表情は見えない。でも眠っているように目を閉じている。アヒルは白い服を着ていた。あたしも白い服。もう一人のアヒルも白い服。立っているアヒルは盛んにあたしに話し掛けている。

田舎の道。何もなくて遠くまで見通せる。周りには田んぼが広がり、家も遠くに見える。あたしはアヒルを引きずりながら歩く。だけどそのうちに疲れてきて、アヒルを道の真中に横たえて座り込む。

静かな時間が流れる。

そのうちに、車が通りかかる。アヒルが轢かれてしまうのであたしはアヒルを後ろから抱えやっぱり引きずって道の端による。もう一人のアヒルは少し離れたところに静かに立ってみている。あたしたちを見ている。

車はゆっくりと徐行をしながら通り過ぎようとする。運転席の男がこっちを見ている。厳しい顔をした中年の男。ゆっくりとウィンドウが下りる。まるであたしたちに道を聞こうとしているかのように。あたしは男を見ていた。男もあたし達を見ている。白い服を着たあたしと、あたしが抱えている白い服を着てぐったりと眠っているようなアヒルを。少し離れたところでもう一人のアヒルがあたし達を静かに見ている。

男が無線機を手に取り、静かに口を開く「見つけました。女の子と一緒です。黒髪の子です。白い服を着ています」

男はじっとあたしから目を離さない。あたしはアヒルを見下ろした。あたしが抱きかかえている白い服を着て眠っているようにぐったりとして動かないアヒルを。アヒルは動かない。目を覚まさない。

少し離れたところからもう一人のアヒルが静かに見ている。

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