序文もしくは筆者の言葉
このシリーズはあるみねこさん設定のキャラクター「さきゅばす」の使用許可を得、或る世界(Alわーるど? おやじギャグか!)で繰り広げられる冒険譚であります。
駄文拙文御容赦の上、「あるみねこの風船爆弾」HP参集の同志諸兄に此の物語を楽しんでいただければ筆者の欣快とする所です。
混沌未だ別れずして天地乱れ
聖霊これを治むるために一族を遣わす
一族二つに別れて相争い定まる処無し
天帝明らかにせんとして衆人を彼の地に遣わす
群生皆善と成し造化開元の功を知らんと欲すれば
須く読むべし「新千年紀西遊伝」
− ここに開劇で御座居ます。−
第一回
賢聖、寵童を癒してはその陽を長じ
夢魔、その性に従いては禍難にあう
混沌から東西南北の四大陸が生まれて幾星霜が経ち、人がこの大地の上で暮らすようになって三回目の千年紀を迎えようという時代のこと。
かつてこの天地を治めるために遣わされたエネルギー生命体は二派に別れ、天使族と魔族となっていました。彼らは自らの身体を構成する本質を顕現化させて肉体を得、この地上に暮らすようになっていました。
彼らはこの地上に誕生する万種の霊魂をめぐって暗闘を繰り返してきましたが、創造主から公然たる武力行使は禁じられていましたので、これまでの二回の千年紀というもの世界はだいたいにおいて平穏な状態にありました。
そしてここ、東大陸の東端にイスマスという港町があった。この辺境の港町も他の近隣の町同様、人の王が治める一国に属し、若干の天使と魔族がその周辺に住んでいた。
この町に住む天使達は寺院と呼ばれる石造の建築物を町の南側の丘に築き、そこで暮らしていた。彼らは人間に正しく生きるための戒律を授け、荒野から侵入してくるモンスターの脅威から守ってやったりしていたので人間達から尊敬されていた。
一方の魔族は天使達ほど尊敬はされていなかったが、一部の人間達の不道徳な欲求を満たしてやったり、天界においては禁断の果実である“知識”の片鱗をコッソリと授けたりしていた。彼らは天使達ほど厳格ではなく、少しばかりの生命エネルギーと引き換えに人間達のささやかな望みは聞き入れてくれたので、何処でも黙認された存在だった。
イスマス近辺にやって来た魔族は港の北側の岩山の中腹に魔術で穴を穿ち、地下十二層の集合住宅(ダンジョン?)を築いて暮らしていた。
まあ、このような些事は本編とはあまり関係がないので、読者諸兄がダレてしまわないうちにどんどん先へ進みましょう。
新たな千年紀を二年後にひかえたイスマスの町、その沖合を岩山に向けて滑空する黒い影があった。影が雲間を切り裂いて降下してきたとき、最初にそれを見つけた散歩中の元水夫の老いた目には、港外を優雅に飛翔するオオワシかと見間違えた。
だが老人はかつて幾度も危険な船旅で我が命を救った経験と衰えぬ勘によって、己の老眼が作りだしている欺瞞にすぐに気付いた。影は意外に遠くを、いかなる大型鳥類にも不可能な高速でこちらへ飛んできているのだった。
いっこうに羽ばたかぬ蝙蝠のような皮膜状の黒い翼。差し渡し六、七メートルはあろうかと老人は目測をつけた。
『旅に出とった魔族のモンが帰ってきたのじゃろう』
考えたつもりが、言葉となって口に出たのだろう。桟橋周辺で荷降ろしなどをしていた人夫達が空を見上げた。
船乗りにとって魔族の姿は縁起が悪い。港に係留されている船の上空を飛ぶことは禁止されているのだった。
影の方でもそれを承知しているのだろう。港の手前で右に急旋回すると、影は速度を落として岩山の中腹に築かれた着陸台に舞い降りていった。
不安げに黒い翼を見上げていた人夫達は何事もなかったかのように仕事に戻っていった。この港で働いている何人かの男達は魔族と取引してなにがしかの良いおもいをしたことがあるはずだった。
『ほんとうはな、天使達と同じくらい良い奴らなんじゃよ、あいつらは』
この思いは老人の口をついて出ることはになかった。
かつて荒れ狂う南洋の船上で一命を魔族に助けられたことのある元水夫の老人は、杖を握り直すと足を引きずりながら息子夫婦と孫達が待つ我が家へと帰っていった。
「長老、ただいま帰りました」
ダンジョン(集合住宅)の第二層、長老の居宅と続き部屋に集会室へ影は入っていった。
「お帰り、ゼニア」
13の席が用意された大きな円卓のいちばん出口に近い席に、長身の魔族の男が無造作に身体を預けていた。人間で言えば中年も盛りを過ぎた魁偉な容貌、兜のように頭骨の隆起した頭には生来一本の髪の毛も生えたことがない。黒に銀糸で刺繍を施した法衣の下の肉体は数千年の歳月を生きてなお衰えを知らなかった。
「荷を下ろし、楽にしなさい。報告は急がなくてもよい」
その外見からは想像もつかないような優しい声で長老は椅子をすすめた。
部屋の中は一本の燭台で照明されているのみで、入り口に立っている影まで光は届かない。すすめに応じてゼニアと呼ばれた影は光の輪の中に進み出た。
燃え上がる炎のような橙紅色の髪、翡翠のような碧眼、よく日焼けした肌にややつり上がった柳眉、筋肉質で女性にしてはやや長身なボーイッシュの女魔戦士。
身体のラインがはっきりと出るような密着した皮革製の胸甲と胴鎧を装着し、腰に一振りの剣を下げていた。背中の翼はすでに体内に収容されていたが、魔力を使う際に伸びる一角はまだ眉間からそそり立っていた。
「で、首尾はどうだった?」
ゼニアが身にまとった戎装をはずして椅子にくつろぐと、長老は茶をすすめながら報告を求めた。
「ラウリウム平原の掃討はほぼ終了しました」
身を落ち着けると彼女の額の角がスルスルと縮んでいった。
「こちらの損害は?」
「アフラのルギエリとホノリウスが消滅しました」
「ふむ」
長老とゼニアは一時黙り込んで11の空席に目を漂わせた。このダンジョンの全住人をかき集めてもこれらの席を埋めることはできない。千年紀も二回目の終末ともなればそれだけの同胞がさまざまな事情によって消滅しているのだった。
「残念なことだ。二人とも腕の立つ怪物ハンターだったのだがな」
長老が呟いた。
「やむを得ません。人間に被害を及ぼさぬことが我らの目的なのですから」
彼女自身、怪物ハンターをつとめるゼニアは同僚の死を振り払うように言った。
怪物とは長い年月の間に天使や魔族としての「本質」を失った者、あるいは彼らの波動を浴びて突然変異してしまった生物のことを指す。それらは直接的に人間の脅威となるがゆえに人間の霊魂の獲得を目指す両族にとって好ましい存在ではなかった。
(作者注 この世界には創造主の御手によらぬ自然に発生した生物もいます。高等な生物ではエルフ等がこれに該当。他に天使や魔族とは別系統の太古の神々の眷族や巨人族の末裔も若干存在しているようです)
なぜなら自分たちの傍流が異形の存在であるということは、とりもなおさず天使や魔族自身が不完全な存在であるということを証明していることになるからである。そのため天使も魔族も「怪物ハンター」という戦闘部門(Monster
Attack Team 通称MAT ←大嘘)を組織し、荒野をさまよう怪物達の害が人間に及ばぬように努力するとともに、異形の傍流が存在するという事実を糊塗しようとしていた。
自らが唯一神の御心に沿わぬ存在であるかもしれない。それは自分たちが新たなる千年紀を生きるにふさわしい存在ではないかもしれないことを意味する。主の意志をもって存在しているものは、その不興を買うことを恐れる。それが彼らをしてハンターを組織させている理由だった。
「天使族から堕落したと思われるものが4匹おりました。其奴等の術を破るのが厄介でして・・・彼らの援助が得られれば犠牲を出さずにすんだかも・・・」
「それは言うな。彼らの助力を仰ぐことはできぬし、同じような状況下で彼らの方でも相応の犠牲は払っておる」
「ですが、敵の敵は見方、と言うではありませんか。千年紀の終期を迎えた今、道を踏み外した者たちがこの地上には満ちあふれています!」
ゼニアは幾分声を激し、手を振って今は座るもののない空席を指し示した。本来が不老不滅の存在であればこそ、同族の死を看取ることの苦痛は人間に劣らぬものがあった。
長老は同意のしるしとしてわずかに頷いたものの、それは同時にこの話題をここで打ち切るという意思表示でもあった。
「戻ったばかりで疲れているだろうが、一つ仕事を引き受けてくれ」
「?」
怪訝な表情を浮かべてゼニアが片眉を軽くつりあげた。
「最近、第八層に棲んでおるサキュバスの小娘が人間にちょっかいを出しておるようなのだ。お前が出かけておる間に新千年紀の祭祀を行なう巫女がこのイスマスから選ばれた。たいしたことではないと思うが、寺院の天使達が騒ぎ立てると面倒だ」
新千年祭とは、人間の中から無作為に選ばれた祭司が遠く西大陸にあると言われる天界へ通じる“門”をくぐって創造主に謁見し、世界に新たなる千年紀が訪れるように祈願する試練の旅である。いわゆる大家である神と店子である人間との間で取り交わされる契約更新の手続きのようなもので、天使や魔族にとっても最大の関心事だった。
余談だが、祭司の選択は上級天使への啓示というかたちで人類に告げられるため、天使達はこれをもって自らを神意の具現者であり、魔族は堕落した同族の残滓であるとの論拠にしていた。
「はあ」
ゼニアは気の抜けたような返事をした。このダンジョンの第八層に棲んでいるサキュバスの小娘と言えば彼女もよく承知している。いや、知っているどころではない。親友である。長老はサキュバスなど魔族の傍流で不完全な存在としか思っていなかったが、ゼニアにしてみればその親友が面倒を起こすとは想像もできない。
ゼニアの疑問に長老が答えた。
「物騒な時代だからな。異例中の異例だが今回は天使の一人が巫女の護衛として同行するらしい。主の御前でつまらぬことを告げ口されると困るのでな」
これまでの祭司の旅は常に独りで行われた。歴訪する土地の人々の多少の善意と各地に散らばった天使達の助力があれば、試練の旅と言えども“門”への到達はさほど困難なものではなかったのだ。
だが異形の怪物や魑魅魍魎が荒野を徘徊し、天使や魔族の統制も及ばぬ地域が増えている世紀末の現在、天使側がより直接的に旅の便宜を図ろうとしているのも無理からぬことだった。
「承知しました」
急に疲れを覚えたゼニアは言葉少なに返事した。物質化して血肉を得た身体は、当然その属性に縛られる。全知全能でもなければ、不滅不変というわけでもない。
消耗すれば休息や睡眠も必要なのだった。
「あの娘が出かけるのは真夜中だ。それまでは自宅に戻って休むがよかろう」
「いいえ、休みの前にもう一仕事済ませてしまいましょう」
ゼニアは席を立ちながら冗談半ば不敵な笑みを浮かべて見せた。
「すごいよねぇー。うちの学校からさぁ、千年祭の代表者が選ばれるなんてさぁ」
「あたし、ハイ・クラスの天使様ってはじめて見たわ」
何やら騒然とした校内の雰囲気に、保健室のベッドの上の少年は目覚めた。
見回すと保険医の先生の姿がない。職場放棄とはよほどの椿事でも出来したのだろうか?
少年はベッドの上で毛布にくるまったまま、ざわめきに耳をすませた。
彼の名はネルヴァ・ボルテール、イスマス中等学校の男子生徒で13才。近郊の富農の家に生まれて四人兄弟の末っ子である。両親が四十近くになってからひょっこりもうけた子で、十歳以上年上の兄達は各々独立して家庭を構えている。栗色の髪の毛に女の子のようなクルリとした瞳をしており、同い年の男の子達に比べれば小柄で華奢な体格をしている。女生徒からも「可愛い」と評されるような少年で、周囲からはネル君と呼ばれていた。もっとも本人は年下の弟扱いされているような気分になるのであまり愛称で呼ばれることを気に入っていなかったが。
ネルは身体中の怠さを振り払おうとして寝返りを打った。彼は体格の割には頑健な性質で、特に虚弱でもなければ保健室登校しかできなくなるような心理的症病を抱えているわけでもなかった。それなのにここ一月というもの、三日に一度は身体が怠くなって保健室のベッドの厄介になっていた。
気が鬱いでいるわけでもなければ、風邪をひいているわけでもない。授業を受け、友達と遊びたいのに半日と体力が持たないのだ。両親も担任の先生も彼が無理をしている様子ではなさそうなので学校に来ることをとめはしなかったが、このような状態が長引くようなら天使達の住まいである南の寺院にでも相談に行くことを考えたほうがよさそうだった。
何がきっかけでこのような症状が始まったのかはネル自身も分からなかったが、その日自分が何を考え感じたのかは思い出すことができた。
肉欲である。
年頃の少年ともなれば、当然同窓の女生徒に対して相愛片愛のいずれを問わずある種の好感情を抱いたり、周囲にいる年上の女性にある種の憧れの眼差しを向けたりすることがある。色恋に関する仲間内での気恥ずかしい語らいは、この年齢の少年たちにとって無くてはならぬものであり、それはネルも例外ではなかった。
だがその線の細い外見のせいか、ネルがこの種の会話に加わることこそ拒まれなかったものの、誰も彼に対して積極的発言をせまることはなかった。とどのつまりが、同年代の少年たちからすれば、やはりネルは年下で半人前の男性扱いだったのである。
なんら悪意はないものの、無視されるというのはやはり辛いもので、ネルは自然にその種の会話には加わらなくなった。
この成り行きは見方によれば小さな不幸によって大きな不幸を回避した一例ともいえる。
なぜなら彼は抑え難い程の性的衝動というものをこの年になっても感じたことがなかったのである。
もし親友達に好きな娘の名前を尋ねられれば、彼は恥ずかしながらと頬を赤らめながら答えたことだろう。
しかし接吻にせよ筆下ろしにせよ、なにがしかの肉体的な接触を持ちたいか、と尋ねられたら、ネルは自分の性欲の欠如に気付いて愕然とし、ついで懊悩のあまり眠れぬ夜が何日も続いたに違いない。あるいは男色の気があるかもしれぬと結論を急ぎ、誤った道に踏み込んだかもしれぬ。
(作者注 総論として男色を否定するのではなくて、この場合はネル個人の嗜好 の問題です。その道の方、「誤った道」と言う表現に気を害さないでね) だがついにある日、ネルは天使や魔族やその道のお兄さん方の助力を得ずして天啓を得た。
問題の日、下校の途中、彼は道ですれ違った臨月間近の妊婦の姿に欲情したのだった。
その妊婦は近所の家から嫁ぎ先へ出ていった知り合いの女性で、出産を控えて実家に帰ってきたばかりだった。幼いころにはよく遊んでもらったりしたものだが、一年前に嫁いでいったときでさえ淡い失恋感情を抱いたことすらなかった。
その気持ちには今でも変化がなかったが、一年ぶりにあった近所のお姉さんの身体の変化がネルを悟りに導いた。
そしてネルの身体の一部分も変化した。ゆったりとしたマタニティ・ドレスの下で膨らんでいる大きなお腹を見た途端、彼の男性機能が急激に活性化し歩行が困難になったのである。
ネルはお姉さんへの挨拶もそこそこに、できる限りの速足で家に帰り着くや自室へ飛び込んだ。そして精通して以来いちばん激しい自慰をした。
その日はそれだけで終わったが、次の朝から例の倦怠感が始まったのだった。
ちなみにお姉さんは数日後に出産し、子供共々嫁ぎ先へ帰って行った。彼女に会ったのはそれ一度きりで、その時の態度をどう受け止められたのかネルには確認する術がなかった。
ネルはそんな思いを反芻しながら、周囲の騒々しさを他所にいつしかうたた寝していた。
お客様、大変お待たせいたしました。只今前菜をお持ちしました。
遅いな、君。儂ゃ、もう帰ろうかと思っておったよ。
「ド、どっ、どうしたのよ?! そのオナカ!!」
第八層を訪ねたゼニアは絶句した。
ゼニアを出迎えてくれたのは、うわさのサキュバス娘、親友のレノラだった。
背中までのばした豊かな紺碧の髪、その髪の色よりわずかに紫がかった青玉色の瞳。小柄でふっくらとしていて少女のようなあどけなさの残る容姿。頭髪の間から突き出ている二本の小さな角でさえ髪飾りのようで、ゼニアの様な精悍さは微塵のカケラもない。
身には身体のラインを際立たせる様に密着した上下一体のレオタード状の衣服をまとっていた。その体格にしては幅広い安産型腰つきとムッチリした太もも、そして深い襟ぐりからのぞく雪のように白い肌をした大きな乳房の谷間が妙に扇情的だった。
だがそれはゼニアが見慣れたレノアの肉体であって、特に驚くことはない。
彼女を瞠目させたのは、信じられないほどの大きさに膨れ上がったレノラのお腹だった。
その大きさは、人間に例えるなら双子を孕んだ臨月の妊婦とでも言おうか。
むろんレノラは妊娠しているわけではない。彼らの種族で自らの生命を構成しているエネルギーと本質と魂魄を分離再構成し、子をもうけるような能力を持っているのは少数の魔神や上級天使に限られていた。
(作者注 上級の魔族は自らを“魔神”と称しています。これは自らを神の似姿とし、魔族を堕落した傍流呼ばわりする天使達への対抗意識の現れです。ちなみにこの世界での唯一の神は“創造主”のみ、という設定。ただし、先の注で触れたように創造主とそのしもべである天使族や魔族にこの地を譲った、あるいは駆逐された太古の神々がどこかに存在しています)
ならば、一体何が・・・?
「お姉さまぁ、お久しぶりですぅ!」
ゼニアの思考をさえぎるかのようにレノラが飛びついてきた。その巨大で重い腹にできる限りの素早さで。
疲労でボンヤリとしていたゼニアは、つい習慣的な動作で親愛の情を込めてレノラを抱擁しようとし、正面から彼女を受け止めようと両手を広げた。
ぼぅん!!
「とっ?!」
二人の手がお互いの身体に届くより先に、レノラのせり出した腹に突き飛ばされるかたちになったゼニアが思わず後ろへよろめいた。レオタードに包まれた大きな腹は、パンパンにかたく張りつめているのかと思い気や案外と弾力性に富んでいて余裕があるようだった。
まだ胴鎧を装着したままとはいえ、油断していたゼニアは予想外の衝撃に思わず鳩尾の辺りを軽くおさえた。
「お姉さま、レノラのこと嫌いになったんですかぁ? 逃げちゃいやですぅ〜」
自分の腹のせいとも知らずレノラが再度身を寄せてきた。
「べ、別にそんなことないわよ。ちょっとめまいがしただけ」
ゼニアも今度はしっかりとレノラを抱きしめた。しっかり、とは言ってもレノラの腹がつかえてしまうので不自然な抱擁だったが・・・「お姉さま、だいぶ消耗しているみたいですぅ。レノラが直してあげますぅ」
普段のレノラはゼニアを「さん」付けで呼ぶ。「お姉さま」を連発するときは大抵彼女の身体を求めているときだった。はたと思い当たったゼニアの鼓動が急に速くなった。
「えっ? えっ?」
レノラが手際よく鎧を脱がせはじめたのでゼニアは動けなくなった。
子供を作ることができないとはいえ、魔族や天使もセックスはする(でないと、この物語が成立しないよね)。他者と生命エネルギーや魔力を交歓して互いの力を高めあったり快感を得てストレスを解消したりするためである。
ところでゼニアはといえば、怪物ハンターとしては百戦錬磨の女魔戦士もベッドの上ではネコ役(受け)専門。しかもこれがけっこう感じやすいたちだった。
なぜだか分からないが今日は特にレノラの身体が艶っぽく見えるてしょうがない。これがレノラの夢操術(夢魔がエッチして精気をいただくときに使う精神制御魔法の一種)のせいなのか、魅惑的に発育した大きなお腹のせいなのか、脱がされているだけで上気しているゼニアには判別がつかなかった。
「わあぁ、お姉さま、ひどいケガしてるですぅ」
下着まで脱がされて全裸になったゼニアの肉体を見てレノラが心痛の声をあげた。見ると小麦色をした彼女の肌のそこここに打ち身状の痣のような傷が浮き出ていた。
物質化しているとはいえ彼女たちの種族は強力な自己再生能力を備えている。
肉体を得た天使や魔族を消滅させるには、魂魄の宿る頭部を切り落とすか、本質(作者注 彼らを彼らたらしめいる遺伝子情報のようなもの。天使や魔族は細胞のかわりに生命エネルギーを構成単位としているから、それを制御して方向づける力と解釈して下さい)の宿る部分(大抵は胸郭、心臓)を完全に破壊するか、生命エネルギーを完全に消耗させるかの三種類しかない。
傷跡が残っているということは、それだけの深手を負ったということであり、またそれを完全に修復する力が不足していることをも意味していた。
「大丈夫よ、こんなの一晩寝たら直っちゃうから」
「だめですぅ、レノラが直してあげますですぅ」
レノラは恥ずかしそうに胸と股間を両手で隠しているゼニアの肘をつかむと寝室まで引っ張っていき、彼女をベッドに横たわらせた。
治療はともかく、その後の展開が予測できていながらゼニアには抗えない。たしかに疲れもあるのだが、大きくお腹を膨らませたレノラに抱かれてみたいという気持ちがあったことは否定できない。いつもいかされっぱなしの敏感体質だが、ゼニアも気持ちいいコトが嫌いな方ではなかった。
「それじゃあ、いきますぅ」
レノラが横に腰を下ろし、うつ伏せに寝たゼニアの背中に手をかざした。背中がぽかぽかと暖かくなりはじめたと思うと鈍痛を伴っていた背中側の傷跡が徐々に消えていく。夢操術と同様、生のままの生命エネルギーを扱うことに長けているサキュバスが得意とする治癒術である。
といっても、レノラはあまり器用なほうではない。この場合はゼニアに直接生命エネルギーを送り込んで彼女自身の再生能力が活性化していると考えたほうが適当だろう。それでも送り込まれてくるエネルギーにはレノラの心遣いが感じられ、それがゼニアに暖かさを感じさせていた。
「背中の方は終わりましたぁ。お姉さま、今度は仰向けになって下さい」
レノラの治療の心地よさに居眠りをしかけていたゼニアは、サワサワとお尻を撫でられて目が覚めた。
「んっしょ」
うながされてゼニアは仰向けになった。
「あ〜ん、カラダ隠しちゃダメですぅ」
乳房と秘部をおおっていた両手を払いのけられてゼニアは赤面した。
「きれいな胸触っちゃいますぅ」
レノラの手がゼニアの小振りな乳房をまさぐる。
「あぁぁん・・・いいっ・・」
直接的な接触方法による治療に切り替えられてゼニアは快感に身悶えした。
やり場のない手が伸びて思わずレノラのお腹に触ってしまう。最初は熱いものにでも触れたようにビクッとしたゼニアだが、レオタードの下でパンパンに膨らんだお腹の感触が掌に心地よく、だんだん大胆にレノラのお腹を撫ではじめた。
「お姉さま、大きいお腹好きなんですかぁ?」
レノラは治療を続けながらも、お腹に執着するゼニアにまんざらでもない気持ちだった。ゼニアの手の動きに合わせて軽くお腹を揺すってみたり、反り身になってお腹の大きさを強調して見せたりした。
「レノラ、このオナカ・・・?」
「いままで黙ってましたけど、これあたしの体質なんですぅ。その・・・知っての通り、あたしサキュバスですから・・・十分すぎるほどいただいちゃうとこんなになっちゃうんですぅ」
「そーいや、あんたがこの岩山へ引っ越してきて六十年からのつきあいになるけど、一度もこんなになったことないわよねえ?」
「そのぅ・・・人間の殿方はあたしが膨らみはじめると、大抵ビックリして逃げちゃうんで・・・・オナカ一杯になるまですることって滅多にないんですぅ」
「んじゃ、あたしとするときも今までずっと満足してなかったの?」
「そ、そんなことないですぅ!! お姉さまは戦士ですから、あまりいただいちゃ体力に差し支えがあると思ってたんです。それに・・・その・・・お姉さまは感じやすいから・・・」
気恥ずかしそうに答えるレノラ。
『男でいえば、あたしは早漏ってわけ?』
レノラの婉曲な表現に少し憮然とするゼニアだった。
『それにしても、長老の物言いだとこの娘の相手は人間ということになるわ。相手の健康を損なうほど精気を吸い取ってなければいいんだけど・・・』
夢魔は人間が睡眠中に交わって精気を頂戴する。とは言え、悶々とした煩悩が生じている人間のもとを訪ね、その意馬心猿のごとき欲望の処理を兼ねて精気を少々頂くわけだから、いちがいに強姦や精気の略取とは極め付け難い。
所以、長老が柔軟な対応を求めるわけである。
「怒らないで下さい。お姉さまぁ」
物思いに耽って手の動きが止まってしまったのを、ゼニアが気分を害したと勘違いしたらしい。レノラが不安げな表情を見せていた。
『この娘はこの娘なりに気を使ってるのよねぇ』
ゼニアはつと起き上がるとレノラを掻き抱いた。
「あ・・・お姉さま・・・?」
「ね、服脱いであたしに見せてよ、レノラのオナカ。あたし、すごく気に入っちゃったみたい」
「あのさ、はじめる前に訊いときたいんだけど、レノラの相手している人間ってどんな人なの?」
ゼニアは背後からレノラの胸を揉みしだきながらたずねた。久しぶりに触れるレノラの胸は彼女の腹同様ひとまわり大きくなって、レオタードごしの弾力と重量感が心地よかった。
「あん・・・中等学校の男の子ですぅ。いつだったか・・・精気を分けてくれる相手を探してるときに、その子の強烈な欲求が感じられて・・・」
「中等学校っていえば、まだ子供じゃない。親にバレたら結構問題になるわよ。
で、何回ぐらいしたの?」
「この一月ばかり毎日3回から5回はしてますですぅ」
「えぇッ?!! あんたそんなにしてるの?」
どおりでこんなになるわけだ。ゼニアはあきれ顔であらためて膨れ上がった巨大な腹を眺めた。
「これ、いまにも破裂しちゃいそうだけど、大丈夫なの?」
ゼニアは目の前の膨らみをツンツンつついた。
「大丈夫ですぅ。まだまだ余裕ありますし、このレオタードが膨らみすぎちゃうのを抑えてくれるんです・・・ですから、遠慮せずにオナカ可愛がって下さい」
「そりゃあ、レノラのお腹はいいかもしれないけど、相手の子供の方は大丈夫なの?」
わかりきったコトとは思いながらも尋ねずにはいられない。
「毎日あたしのオナカが大きくなっていくのを楽しみにしてるみたいですぅ」
『やはり』
ゼニアは心中で頷いた。
レノラは掟に従って相手の潜在意識の望む範囲で行動し、その報酬として若干の精気を貰っているだけなのだ。しかし「若干」とは言葉のあやで、その少年さぞかし絶倫なのにちがいあるまい。
羨望と嫉妬がゼニアの心の中で疼いた。
「・・・レノラもそのコのこと気に入ってるの?」
後ろ手にレノラのお腹を抱きかかえ、耳元でささやく。
「あ・・お姉さまとは別ですぅ。でもそのコのイドと約束してるから・・・」
少年の潜在意識が満足するまで付き合わなければいけない、というわけなのだろう。
誰が被害を受けているというわけでもなく、時期の悪さと外聞の問題なのだ。
ゼニアはことの詳細が明らかになって安心した。
「わあ、相変わらず白くてスベスベしてて綺麗な肌をしてるわね」
レオタードを脱がせにかかったゼニアがレノラの肩口に指を滑らせた。
両手はすでに抜いているのだが、胸、腹、お尻と盛大に出っ張っているレノラの身体にぴったりと密着している衣服を脱がせるのはなかなか容易ではない。
レオタード状の特殊な衣服は、レノラの発育した身体を締め付けず緩みすぎずしっかりと保護していた。これが人間の使用している絹や綿の布地なら、彼女の衣装は当の昔に弾け飛んでいたにちがいない。
「んしょっ、と」
二人がかりで力任せにレオタードを引き下ろすと大きめの乳房がプルンッとひとはねして飛び出した。
「わわっ!」
バランスを崩したレノラをゼニアが抱き留めた。
「すっごーい!」
レオタードの抑制力から解き放たれた乳房がグングン膨らんで、片手では持ちきれない大きさになった。ゼニアに揉まれていたせいでややとがり気味のピンクの乳首が白い肌に映える。
「フフフ、ホントに膨らみすぎちゃうのを抑えてるんだ。この調子ならオナカの方も期待できそう」
ゼニアが片方の乳首を口に含んで転がす。
人間の肉体の機能を模倣しているので、ほのかに母乳の匂いだけはする。
「ミルクが出るといいのにね」
ゼニアがモゴモゴと乳首を吸いながら呟いた。
「お姉さま、まるで人間の赤ちゃんみたいですぅ」
いつも受け専門のゼニアが拙劣なりに積極的な愛撫をしてくれるので、レノラも新鮮な快感があった。
「それじゃ、全部脱ごうか」
ゼニアがワクワクしながらレオタードに手をかける。
が、・・・真ん丸い曲線を描いて大きく膨らんだお腹に密着タイプのレオタードがつっかえて脱がせるのは容易ではない。
ふたたび二人がかりでレオタードをズリ下げていくのだが、この魔法の布地との接触を断たれたお腹の肉が、乳房と同様本来の体積を取り戻そうとして膨張し始めるので始末におえない。レオタードの中に圧縮されているレノラの身体を無理やり絞り出そうとしているようなものである。
「く、苦しいですぅ・・・オナカ、破裂しちゃいそう」
圧縮された部分と元の大きさに戻った部分でひずみが生じるために、毎晩の「おつとめ」で膨らんだ腹に負担がかかる。レノラにしてもレオタードの支え無しでこんなに腹が大きくなったことは初めてなので不安らしい。
「はやく、はやくぅ」
「もうちょっとで全部脱げるから我慢して」
ゼニアは苦しがるレノラをベッドの上に立たせると、下腹部の一番腹が膨らんだあたりから膝まで一気にレオタードを引き下ろした。
「せーのっ!!」
と途端に、今まででさえ大きすぎるレノラの腹が爆発的な勢いで膨張した。
「やだぁ〜〜っ!」
急に重くなった腹のせいでバランスを崩したレノラが転びそうになって手をバタバタさせた。膝まで下ろしたレオタードが足の自由を奪っているので姿勢を建て直すことができない。
「えっ?」
最前までの倍以上の大きさになった爆腹に魂を奪われてしまったゼニアは、眼前で何が起きているのか分からない。急激に膨らんだ反動でユサユサ揺れているレノラの爆腹から目が離せずにへたり込んでいると・・・
・・・さらにお腹が膨らんでいるような・・・いや、山のようなお腹がだんだんこちらへ崩れかかってくるような・・・・
むぎゅッ!!
急にゼニアの視界が真っ暗になって鼻も口も塞がれたように息苦しくなった。
「んむっ? むっ?」
なんだか温かくて柔らかなものに全身を包み込まれているような・・・
「・・・・・じょうぶ・・か?・・・ぇさまぁ・・っかりして・・・・」
走馬灯のように人生を回想していたわけでもなかろうが、ゼニアはハタと正気を取り戻した。目を開けると心配そうにレノラが覗き込んでいた。
「あぁ、よかったぁ。お姉さま、レノラの下敷きになって動かなくなっちゃうから、とっても心配したですぅ」
横たわったゼニアにレノラが飛びついて・・・否、巨大な腹を揺すりながらのしかかってきた。腹の大きさはレオタードを脱ぐ前の倍以上、四つ子か五つ子を孕んだ臨月の妊婦とでも表現すべき体型にまで膨らんでいた。
「ちょっ、ちょっと!」
もう一度ぎゅーっとやられたら、腹上死ならぬ腹下死になりかねない。
ゼニアは戦闘で鍛え上げられた腕力を総動員してレノラの「突進」を受け止めた。
「うくっ!」
レノラの上半身は受け止めたものの、せり出した腹がモロにゼニアを直撃した。その勢いでゼニアの身体がベッドに半ば沈み込む。
大きな腹はそれなりに重かったが、(まだまだ膨らみに余裕があるので)その弾力のおかげで二人ともたいしたダメージにはならなかった。
「大丈夫ですかぁ?」
いくら余裕があるからといっても、全体重を腹だけで支えるのは危険である。
レノラはゼニアの身体の上で四つん這いになった。自分のお腹が邪魔になって、ゼニアに両腕で抱きつけないのがもどかしい。
「あはは、レノラったら膨らみ過ぎで少し重くなったんじゃない? あたしの鼻、さっきのですこし低くなったみたい」
ゼニアはからかいついでに目の前にぶら下がっている巨乳をヤワヤワと揉んだ。
四つんばいになっているレノラには両手が使えまいと考えての攻めだが、このあたりが受け専門のゼニアの甘さだった。
「アンッ、そんなこと言っちゃイヤですぅ。イジワルするんなら、レノラもお返ししちゃいますぅ」
レノラは四つん這いになった姿勢のまま、身体を前後に動かしてムニムニとした張りと柔らかさのあるお腹を肉をゼニアに擦り付けた。
「あぁぁぁん、いい・・・・レノラ、ダメぇ・・・」
敏感体質のゼニアはひとたまりもない。たちまちのうちに陶然となってしまってよがり声を揚げはじめた。
「くふふ、お姉さま、レノラのオナカが気持ち良すぎて、オッパイに触ってられなくなっちゃったですぅ」
「い、いやぁ・・・・そん・・な・・・」
ぎゅっぎゅっとレノラがリズミカルに身体を動かすと、その度にゼニアが喘ぎ声をもらす。大きな腹に組み敷かれているゼニアは快感に翻弄されながらも身悶えすることすらできなかった。
「こんな・・の・・良すぎるぅ・・・おねがい、もっと・・・あうぅぅ・・・ゆっくり・・動いて・・・」
「じゃあ、さっきの、テーセイしてくれますぅ?」
「んんっ・・・さっきの?」
「膨らみ過ぎで重い、って言ったじゃあないですかぁ」
咎めるように二三度腹を擦り付けると、ゼニアがビクンッと身をのけ反らせた。
「やめて、やめて・・・謝るから、そん・・なにしないでぇ」
早くも哀願口調になったゼニアの眼が潤んでいる。
「それじゃあ、こう言ってください。お姉さまはアタシのことが大好きですぅ」
「あ・・たしは・・レノラちゃんが・・・・あはぁぁん・・大好き・・・・ねえ、お、オナカうごかさないで・・・」
「まだダメですう。続けて、アタシの大っきなオナカも大好きですぅ」
「ぅんん・・・レノラちゃんの大きなオナカ・・・・気持ちイイっ・・・大好き・・・んむ?!」
ゼニアの言葉が終わるやいなや、レノラが身を乗り出してきて接吻した。
「はいっ、たいへんよく言えました。ご褒美はアタシのオナカですぅ」
レノラが今までよりも激しく攻めだした。
「そんなぁ・・・や、約束が・・・」
「それはお姉さまのかんちがいですぅ。あたし、一度もやめるなんて言ってないですぅ」(時代劇の悪役か?)
「あんっ、アァァン・・・いっちゃう・・・いっちゃうよぅ・・・」
「にゃ? ふにゃ?」
絶頂に達したゼニアが気付くと、レノラがいつの間にか身体の上から下の方へ移動していた。
「お姉さま、今日はいつもより感じやすくなってるみたいですぅ。そんなにレノラのオナカ気に入ってくれましたぁ?」
「んっ・・・」
レノラの手がゼニアの股間に這わされる。ゼニアは息が詰まって返事できない。
「でもこれくらいでいってちゃダメですよぉ。まだこれからが本番、お姉さまのとアタシのをくっつけちゃいますぅ」
レノラはゼニアの秘肉を優しく愛撫しながら、彼女の両足を開かせていった。
「ねぇ、・・・ダメ・・・もう、許して・・」
レノラが腰を寄せていき、ゼニアと足をからませた。
巨大な腹が邪魔でなかなかうまくゆかなかったが、レノラは少し身を反らせる(腹を持ち上げ)かたちで二人の秘部を重ねあわせた。はたから見ると、岸に乗り上げてしまったクジラのようだ。
ゼニアの秘部からあふれ出る熱い蜜がレノラの秘肉を潤す。
「あはっ、お姉さまのとっても気持ちいいですぅ!」
レノラは歓喜に身を奮わせて腰をすすめた。
「いい・・・・くふっ・・・も、もっと・・・」
いつしかゼニアもレノラに合わせて腰を動かしていた。顔から胸元まで肌を紅潮させ、時折背を弓なりに反り返らせて軽い絶頂に達する。
「はぁぁ・・レノラのオナカ・・・さわらせて・・・」
ゼニアは両手をのばして自分の下腹部と重なっているレノラの爆腹を撫で回した。レノラが少し疲れてくると重いお腹を支えて動きやすくしてやった。
「お姉さまがオナカを・・・嬉しい・・・」
二人の快感が高まってくると、お互いの「本質」がリンクして生命エネルギーの交流が可能になる。高位の魔族ならこの状態から子供を身籠もることも出来るのだが、ゼニアやレノラには無理な話である。
『いつも受け一辺倒のゼニアさんがこんなに積極的にあたしの身体を・・・何か思い出になるようなことでもしてあげられれば・・・・』
ドクンッ!
リンク状態のゼニアの体内に何かが流れ込んできた。
「あんっ、・・・なにが・・?」
肉体の接触によるあたたかさではない。何か別のものが二人の触れ合っているの下腹部を通じて通い始める。
奇妙な圧迫感と違和感にゼニアは腹に手をやった。と、レノラの腰の動きに合わせて自分の腹がゆっくりと膨れ上がってくるのが手のひらに感じられた。
「や、やだ・・・あぅっ・・・レノラ、ちょっと・・・」
「遠慮しなくてもイイですぅ。今日はお姉さまとあたしのオナカ記念日ですから」
ゼニアの想像どおり、リンク状態のレノラが自分の腹を膨らませているエネルギーを送り込んできているのだ。このようなかたちでの生命エネルギーの扱いになれたレノラならではの能力である
「じゃなくって・・・いいっ・・・」
交合の快感と膨らんでくる腹への不安感の板挟みになってゼニアは焦った。レノラに主導権を握られているゼニアには、快感をこらえて流れ込んでくるエネルギーを遮断することが出来ない。
「・・・あ・・たし、そんな体質じゃないんだってば・・・」
もはやゼニアの腹は妊娠七ヶ月の妊婦ぐらいまで膨らんでいた。
「ああ、お姉さまのオナカが膨らんでますぅ」
ゼニアの下腹部が膨らんで接触してくる感覚にレノラは酔っている。
だが、上で弾んでいるレノラの爆腹が弾力に富んでいてまだまだ余裕がありそうなのに対し、下で圧迫されてているゼニアの腹は早くもパンパンに張りつめてきていた。
「あぁぁん・・おねがい・・・レノラ、やめて・・・」
「コワイのは最初だけですぅ・・あんっ・・・あたし・・もすこしで・・いきそう・・・」
ゼニアの腹は臨月の妊婦ぐらいの大きさになっていた。レノラの巨大な爆腹とはくらべものらならないが、膨腹体質ではない彼女の皮膚と腹筋は限界まで引き伸ばされていた。
「お、オナカ・・・破裂しちゃいそ・・・でも・・・・」
ゼニアの不安とは裏腹に、身体は奇妙な充実感に満たされていて彼女の感覚を加速する。
「い、いっしょに・・・」
下から膨れ上がってくるゼニアの腹に押し上げられ、レノラは自分の腹を抱えて反り返った。それでも絡めた足を緩めず、ますます巨大な腹を弾ませて激しく追い上げる。
「あ、あ、あぁっ・・・・オナカ・・オナカが・・・くはぁぁ!」
「ひっ!・・・はあぁぁぁ・・・いくっ・・・いっちゃいますぅぅ!!」
増幅された生命エネルギーが互いを貫き、二人は絶頂に達した。
「で?」
二人は絶頂に達したあとの余韻に浸りながらベッドに横たわっていた。
「で? 何ですか、お姉さま」
「何ですか、じゃないわよ。一体どーすんのよ、このオナカ!!」
レノラの半分くらいの大きさにまで膨らまされたゼニアの腹は、パンパンに張りつめており、少しつついただけでも破裂してしまいそうだった。
「こんなにしちゃって、起きられないじゃないの」
「そうですか? どれどれ・・・」
レノラがまじめくさった表情で身動きできないゼニアの身体に手を伸ばし、パンパンに膨らんだ腹を撫で回した。
「あはっ、ホント、可愛いですよ。」
「アンッ! だ、ダメだってば。そんなに触ったら張ち切れちゃう!」
少しでも動こうとすれば腹筋で腹に圧力がかかるので、レノラの手を振り払うことが出来ない。コトのすんだあとでも受け専門のゼニアである。苦しさと気持ち良さと両方の感覚にぐっと唇を噛んでこらえる。
一方のレノラはゼニアの腹の感触を充分に楽しんだあと、ベッドから起き上がって自分の衣服を着始めた。
レオタード状の衣服は魔法アイテムの一種で、レノラの身体を保護し膨腹を抑制するように作られている。脱がせるときは二人がかりでも大変だったが、着るときはその本来の機能にしたがって、意志でもあるかのごとく彼女の身体を包み込んだ。布地が大きな胸と腹を包み込んでサポート機能を発揮すると、肉体を圧縮するのではなく、空間そのものを魔力の力場で制御して体型を支持する。それにつれて見る見るうちに腹の大きさが臨月の五つ子状態から双子まで逆戻りした。
「あたし、出かけますから、ゼニアさんはベッドで休んでて下さい。オナカの方はエネルギーが身体に馴染んでくれば元に戻りますから」
「何処へ行くの?」
自分の腹越しにゼニアはたずねた。
「もちろん、さっき話したコのとこです。ゼニアさんに分けてあげて少し余裕できたし、今日一日でそのコの欲求が解消できそうなんで」
レノラは部屋を横切って玄関へ向かった。
「ちょ、ちょっと待って」
ゼニアはレノラのお腹に気を取られて長老の言葉を伝えるのを忘れていたのを思い出した。
「それじゃあ、行ってきまぁす。帰ってきたら、また相手して下さいね」
「待って。行っちゃダメだってば!」
身動きのできないゼニアは大きな腹を抱え、独りレノラの部屋に取り残された。
「ネルくん! ネルくん!! ネルくん!!!」
保健室に一陣の嵐が闖入してきたかと思うと、元気な少女の声がネルの心地よい惰眠の薄紗を突き破って聞こえてきた。
返事をするよりも、あるいは覚醒するよりも素早く、容赦なく、強引に身体を揺さぶられ、ネルは無慈悲に毛布の下から引きずり出された。
「ん? うん?」
寝顔を見られたのが気恥ずかしいので、間合いをとるためにワザと寝ぼけているふりをする。
「また授業サボってたの? さいきん元気ないけど、ホントにどっかビョーキなんじゃない。ちょうど西域から偉い天使様が来てるから診てもらったら」
最後の言葉に少し興味をひかれて起き直ると、目の前に活発そうな少女の顔があった。
少女の名はエルウィン・ド・エアレンディル。ややくすんだ金髪に瑠璃色の瞳。
父方の曽祖母からハイエルフの血をひいているために、この年齢でどことなく人間離れした異国的で美しい容貌が特徴的だった。加えてこの年頃の少女というものはえてして男の子よりも身体が成長するもので、花が開くように女性らしい肢体に発育しつつある彼女が華奢なネルと並ぶと三四歳は年上に見えた。
エルウィンは豪商の娘なのだが、その落ち着いた外見に似合わず闊達元気な性格で、子供の時は幼馴染みのネルを引きずり回して暴れ回り、近所のガキ大将にも一目置かれる存在だった。ただし、性格的に男勝りで気が強いというわけではなく、どこか少し焦点がズレていて大抵のことでは動じないというのが長い付合いから得たネルの感想だった。
ネルにしてみれば初恋(性欲の対象外という意味で)の相手というところだが、彼の気持ちを知ってか知らずかエルウィンは彼のことを弟分と定義しているらしく、片思いの状態が続いて数年になっていた。
「まったく、なにをしけた顔してるのよ」
エルウィンは、まだ目がしょぼしよぼしたままのネルの頭に手を伸ばすと、彼の和毛のように柔らかな頭髪をクシャクシャにかき回した。
「やめてよ、もう」
ネルはしぶしぶ起き上がってエルウィンの手を振りほどく素振りをした。エルウィンが自分の髪を気に入っているのは承知しているし、ネル自身も彼女に触られるのは決して嫌ではない。しかし人前で年下扱いされるのは彼の沽券に関わるので抗議の意思を表明する。これも幼馴染みの間柄での駆け引きの一つだった。
『へ? 天使?』
ネルがふと気がつくと、うたた寝する前の妙な喧騒が間近・・保健室を診察所と寝室に隔てているカーテンの向こう・・に来ていて何やら大勢の人の気配がする。先程のエルウィンの言葉を思い出した。
「いったい何が?」
髪の毛を引っ張って悪戯を続けるエルウィンを振りほどいてカーテンを捲ると、そこには高貴な容姿をした天使族のものが二人、それを取り巻くようにして天使の来臨を我が校の名誉とばかりに誇らしげな態度と寝起き顔のネルを咎めるような表情が綯い交ぜになった校長をはじめとする先生連中、さらに保健室の窓といわず戸口といわずひしめき合っている級友達の姿があった。
天使の一人は長身の男性で白い僧服をまとい、背後に白鳥のような白い優美な大小四対の羽根を生やしており、目に眩しいほどの金髪で大理石の彫像のような美しい顔立ちをしていた。噂されているような天使の輪などは頭上に浮かんでいなかったが、額に銀の輪の飾りを着けていた。
もう一人の方は天女だった。この四大陸と海を隔ててはるか東方、中つ国の神山、蓬莱からやって来てイスマスに住むようになってから二百年からになるという噂である。やや痩せ気味で卵形の輪郭をした若々しい顔立ちは十代後半の美少女のようにしか見えない。くしけずった濡れ羽色の長い黒髪を後ろで束ね、金糸銀糸で刺繍をした異国風の衣装(チャイナドレス風?)を身に着けている。衣装は袋状のゆったりした袂、錦の飾帯に白羽の扇を手挟んでいる。だがそれ以上に人目を引くのは、足首まで隠すスカートのような下履き(としかネルには表現できない)に深い切れ込みが入っており、そこから時折のぞく白い太股だった。
呆気にとられたネルが説明を求めて横を見ると、ベッドの端に腰を下ろしたエルウィンが何事もなかったかのように平気な顔をしていた。
「ああ、紹介ね。こっちが友達のネルく・・・もとい、ネルヴァ・ボルテール。
あっちで羽根を生やしてる人がガブリエルさん。西方から来た大天使ですって。
でも、あの羽根って引っ込めることができるはずなのにこれ見よがしに生やしてるなんて、室内に入って帽子を脱がない人と一緒よね。で、お姉さんの方は時々見かけると思うけど、丘の寺院に住んでる天女の蒲公英さん」
「こ、こんにちは」
エルウィンのいい加減な紹介に恐れ入ったのか、人の姿を借りているのに人間離れした神々しい容姿をした大天使に気圧されたのか、どもりながら挨拶するネル。蒲公英は上司がぞんざいな紹介をされたのでわずかに眉をしかめたが、ガブリエルの方は莞爾として微笑み会釈した。先生方は顔からこぼれ落ちるかと思うぐらい目を見開いたが、室内をうかがっている生徒達は廊下でクスクス笑いながらお互いに良い位置を確保しようとして小突きあったりしていた。
蒲公英が何か小声で丁重に校長に話しかけると、その意を受けた先生達が廊下に蝟集している生徒達を教室の方へ追いやっていった。保健医の先生は自分の持ち場を提供している立場を暗に主張してか最後まで粘っていたが、結局校長に促されて席をはずした。誰もが興味とこの貴顕な大天使のオーラを浴びていたいかのように振る舞うが、エルウィンだけはいつもと同じで我関せずといった風情でベッドに腰を下ろして足をぶらぶらさせていた。
結局、室内には天使二人と人間二人だけが残った。
「で・・・なにがどうなってるの?」
どうも自分が保健室でまどろんでいるうちになにか重大なことが起こったらしい。一人取り残された思いのネルは後ろを振り返ると小声でエルウィンにたずねた。
「うっとーしいのよね、あのひとたち。少しばかり学校を休まなけりゃならない用事ができたっていうだけで大騒ぎしてんだから」
エルウィンは片方の眉を少しつりあげて、当ててごらんなさいと言わんばかりにニコッと笑った。
「驚かないでほしいのだけど、あなたの友達は千年祭の祭祀に選ばれたのです」
首を傾げているネルに蒲公英が答えた。
「え? センネンサイ?」
なんとなく間抜けに聞こえるとは思いながらもネルは問い直さずにはいられなかった。エルウィンがネルの髪を引っ張りながら、
「そう。昨日の晩にガブリエルさんが家に来て、お宅のお子さんが、って切り出すもんだからパパもママもビックリしちゃって」
そんな単純で簡単なものなのだろうか。いまだに目の前の天使もその言葉の意味も充分に消化しきれていない。
「とりあえず学校休まなきゃなんないから、そのこと言いに来たんだけど、ネルくん朝から保健室で寝てるっていうから様子見に来たのよ。そしたら先生達まであんなになっちゃって、身動きつかなくなって」
そういえば朝礼の時にエルウィンはいなかった。それで風邪にでも罹って休んでいるのだろうと思っていたのだった。
それにしても伝説の千年祭にエルウィンが選ばれるとは。何かそういった事は、見知らぬ異国の偉い人たちが国を挙げて盛大に行なうものとでも漠然と想像していた。
「こういうことは秘儀に属することでね」
今度はガブリエルが口を開いた。
「千年祭といっても、その言葉どおり大々的なお祭りをするわけじゃあない。もっとも人間達はことあるごとに何か名目を見つけて宴会騒ぎをしたがるようだが、そのようなことには主も私達も無関係なのだよ。それに西への旅を引き受けるか引き受けないかは彼女の意思次第だ。幸い引き受けてくれたがね」
ネルはポカンと口を開けて話を聞いていた。
「君はなにか特別なことと思っているようだが、それは人間の勝手な想像というものだよ。千年という月日は人間にとってはあまりにも長い。その間に事実は埋もれ、美化されたり誇張されたりした伝説のみが残る。だが後から何らかの説明が加えられたとしても、それ自体に意味はない。私は主の代理人として神意を伝えるに過ぎないし、私自身なぜ彼女が選ばれたのか知ることはないのだよ。かつて、1度目の千年紀は北大陸のある村の厩で生まれた大工の子が西へ旅をしたことによって始まった。二度目は南大陸の砂漠の街に住んでいた男が西大陸へ向かった。そして三度目は君の友達が選ばれた。それだけのことだよ」
「すっごく遠いとこに行っちゃうんだ・・・」
この東大陸から西の果てまで旅をするのはどれくらいの年月がかかるものなのだろうか。ネルには想像もつかなかったが、それがエルウィンの口を借りれば隣町の親戚の家に泊まりに行くように聞こえるから妙な感じがする。
「心配することはない。新たなる千年紀の始まりは二年後だよ。それまでには“門”にたどり着けるはずだし、各地にいる我々の同胞が旅の便宜を図ってくれる。それに道中は蒲公英が同行するから全く安全だよ」
ガブリエルが蒲公英の方を指し示すと彼女は得意そうに頷いた。
「はっはー、ネルくん、あたしが居なくなっちゃうからがっかりしてるんだよね。
なんだったら一緒に行く? 学校もサボれるし、あたしも退屈しなくてすみそうだから」
エルウィンが再びネルの髪をクシャクシャにかき回すとネルの耳がわずかに紅潮した。
実際のところエルウィンときては、元気で頭の良い娘なのだが、興味のないことには一厘たりとも労力を払わず、宿題などはついぞしてきたためしがなくいつもネルのノートを写したりしている。そのくせ試験の成績は優秀で、体育の授業も男子顔負け。教師達には扱いにくい存在なのだが、校則を破るわけでもなく、家が豪商で学校に多額の寄付をしているので誰からも文句をつけようがない。このあたりがハイエルフの血を引いている影響なのかとネルは思う。
ただし家庭科の授業だけは大の苦手で、年に二度の林間学校で炊事するときは、ジャガイモの皮を剥くかわりに自分の手を膾切りにしかねなかったし、洗濯や裁縫も同様で、洗濯板と格闘し布地よりも人さし指に縫い針を突き立てる回数の多いエルウィンの面倒をいつもネルが見てあげている。
そんなわけで、冗談にせよ人の生活習慣に疎い天使と生活感の乏しい少女の旅にネルが加わるように言われるのも一理あった。
だがその冗談に真面目に異を唱えたのは蒲公英だった。
「エルウィン、そのようなことを勝手に決められては困ります。西への旅は元来が一人で行なうものです。まして・・・」
蒲公英にしてみれば、今回の任務を名誉なことととらえ、早くも義務感と縄張り意識が生じているらしい。
「冗談だってば、冗談。ネルくんの方にも家の事情ってものがあるんだから。それにあなただってついてくるんでしょ。道中の安全だか何だか知らないけど、んなカタイこと言ってたら置いていくわよ」
本気で冗談を言ったのか本気で誘ったのかは分からなかったが、エルウィンが少しむっとした表情で噛み付くと、蒲公英は口を閉ざし、ネルはちょっぴり嬉しくなった。
「まあ、それはそれ、これはこれっていうことで、今日みたいなことになると鬱陶しいから、ほとぼりさめるまで雲隠れしようかと考えてるの。それでネルくんにはひとこと言っとこうと思って」
「うん」
「校長ったら休学届け出したら二つ返事で受け取っちゃって。出発の日取りと手配はガブリエルさんと相談して決めるんだって。それまで暇だからさ、休みの日には遊びに来てよ。それよかさ・・・」
エルウィンはぶんぶんと手を振ってガブリエルを差し招いた。ガブリエルはこの権威もカリスマも全く通用しない少女を興味深げに見つめながら近づいてきた。
「ネルくん、最近身体の具合が良くないみたいなの。べつに寿命なんか延ばしてあげなくてもいいから、少し診てあげてよ」
ガブリエルが笑いながら頷くと肩までのばした豪奢な金髪が揺れた。
「手を出して」
「は、はい」
ネルが恐縮しながら手を差し出すと、ガブリエルが脈診の要領でネルの手首を取った。触れずとも人間の体調を知り、それを癒すことなど大天使には容易いことだった。しかし、こうして人間の医者のように振る舞うと患者がより天使の力を身近に感じて安心することを承知していた。天使族の支持者獲得のためには、このような些細な演出は主もお許しになるだろうと考える。
ガブリエルには触れる前から分かっていたことだが、少年の体内の生命エネルギーの循環に奇妙な乱れと偏りがあることに気がついていた。強力で人間とは異なる生命エネルギーの波動の影響を受けていることは明らかだった。
『ふむ、我々のものとは違う。とすれば、魔族のものの・・・夢魔の仕業か。しかもこの少年は自分の身に何が起こっているか気がついておらぬようだ。詳細は分からぬが、巫女の友人が魔族の気に当たっているなど、我々としては好ましいことではないな・・・』
心理探査を行なえばネルの潜在意識下の記憶を呼び起こすこともできるだろうが、個人のプラバシーを侵害したり思い出したくないことを思い出させるのは天使のすべきことではない
「いつごろからこのような症状が続いているのかね?」
「一月ぐらい前からです」
ガブリエルはネルの両手を取った。
「たいしたことはないよ、ネルヴァ君。いまから天の術法を使って君の病気を直すのだが、これはあくまで私の能力の一つであって奇蹟ではない。痛みや心地よさといった人間と感覚に訴える要素はないからあまり期待しないでくれたまえ」
ネルが頷くよりもはやく、ガブリエルは自分の生命エネルギーと本質の一部をネルの身体に“結合”させた。長期間の休息と食事による栄養摂取を行なわずに、ネルの身体の細胞の隅々までエネルギーが行きわたり活性化していく。この一月で失った以上の精気が補給され、ネルは沸き立つような昂揚感に包まれた。
このような術の使用は常に人間の崇拝者を獲得してきた。だがエルウィンを前にしてはこのような演出は反発を招くだけだとガブリエルは承知している。彼はネルの神経系に自分の本質をリンクさせると、不必要な昂揚感や爽快感を拭い去った。ネル自身にはこの一月つきまとった倦怠感や疲労感が無くなったという自覚はないだろうが、一晩ゆっくり眠れば体調の違いは明らかになるだろう。
「終わったよ」
まさに一瞬の神業で施術されたネルはなんの変化も感じなかったのでキョトンとしている。そんなネルの様子を見てもエルウィンは術の効用を疑っていないものらしく、ぺこっと頭を下げると、「ガブリエルさん、ありがとう」と今までにないくらい丁寧なお辞儀をした。
「あ、ありがとうございます」
本当に直ったのかしらと半信半疑だったネルも慌てて礼を言う。
『我が本質の作用を感ずるとは・・・』
五感で認識できないものに対するエルウィンの勘の確かさに巫女の資質を見て取ったガブリエルは心中で非常に満足した。
「それじゃあさ、ネルくんも具合良くなったことだし、一緒に裏口からふけちゃおうか。いつまでもこんな辛気臭いとこで寝てると身体にカビが生えちゃうわよ」
エルウィンとネルが学校を抜け出した後、ガブリエルと蒲公英は人目を避けながら寺院へ戻る道々話し合っていた。
「先刻、私が癒したネルという少年のことだが、あれは夢魔と交わっているな。
公英、心当たりはあるか?」
「はい、北の岩山にひとり」
蒲公英は即座に答えた。
「彼の体に残っている気の痕跡からすれば、少年が寝ている間に頻繁に交わっているようだ。それが少年の欲望とあれば是非もないが、巫女の友人が魔族のものと付き合っているというのは好ましいことではない。できればエルウィンが出立するまで自重するように、その夢魔と話しをつけてくれんか」
「御意」
メインエンジン点火!
草木も眠る丑三つ時とまではいかぬものの、イスマス近郊のほとんどの人々が眠りについている時間、レノラは大きな腹を抱えてネルの家に向かっていた。最近著しく膨らんだ腹の重さのせいか、背中の羽根を目一杯にのばしてもなかなかうまく飛ぶことができない。飛翔力の大半は魔力に頼っているため、空宙に浮くこと自体はさほど困難ではないものの、体型の変化に伴って気流をうまくつかまえることができなくなってきていた。
かといって、一足ごとにユサユサと揺れる巨大な胸と腹を抱えて夜更けの街を横切りネルの家まで歩くのもなかなかの重労働である。そこで折衷案として、歩行の邪魔にならない程度に背中の羽根を伸ばし飛空術を使用して体重を四分の一くらいにする。その状態で体型にそぐわぬほどの軽やかな足取り(月面歩行の要領?)で歩いて行くというわけである。
これならば万一酒場帰りの酔漢などに出くわしても、夜目酔眼に魔族と知れる前に姿を隠すことができるし、過積載状態でヨタヨタと空を飛んでいくよりも安全である。
そんなわけでレノラは今宵限りになるであろう夜毎の逢瀬を少し残念に思いながらイスマス郊外の夜の散歩を楽しんでいた。なんと言っても数十年ぶりに彼女の膨腹体質を喜んでくれる人間に巡り合ったのである。しかもよき親友にして頼りがいのある姉貴分と慕うゼニアも予想外の興味を示してくれた。
今夜の成り行きによっては夢操術を使用しない状態(覚醒状態)でネルと付き合うことを考えてもよいと思っていた・・・ ・・・が、ここ一月の楽しい出来事の反芻も途中でさえぎられた。
一陣のゆるやかな風とともに何者かが近づいてきた。強力で魔族と相通じ相反する気・・・
『まさか天使が?』
余計な諍いをせぬためにも、たとえ面識はあっても特別な理由のないかぎり天使が魔族と会おうとすることなどあり得ない。
レノラが夜空を見上げると同時に、満月の光の中を何者かが横切った。
東洋風の天衣の袂に風を孕み、うしろで束ねた長い黒髪をなびかせて天使が一人レノラの前に優雅に舞い降りてきた。着地の衝撃を緩めるために袂を打ち振って風を起こすと、豪奢な髪がひときわゆるやかに舞い上がり白い項が見え隠れするのが艶めかしい。
天使達ご自慢の美しい羽根を生やさず、風を操って空を舞う彼らの眷族といえばイスマス近辺には一人しかいない。
『まずいなあ。公英だわ』
目の前に降り立った蒲公英にレノラは少し怯んだ。
戒律の厳しい天使族では、魔族のレノラのように他者、特に人間と交わって快楽と精気を得ることに否定的な態度をとる傾向がある。これは愛欲に対する性向が強い一部の天使にとってはなかなか辛い事で、魔族に対する嫉妬と反感の一因になっていた。
レノラの感じたところでは、蒲公英にもこの手の気質があると見ていた。その証拠に、イスマスへ引っ越してきてから二度ほど、レノラは人間との“御付き合い”を邪魔されたことがある。
レノラとしてはせっかくの食事兼お楽しみを邪魔されるたわけだから腹の立つことであるが、事が事だけにゼニアや長老などに相談して助力を求めるのも恥ずかしいので泣き寝入りをするしかない。
そんなわけで、蒲公英はレノラにとって苦手な相手だった。
レノラの前に立ちふさがった蒲公英は、張ち切れんばかりに膨れ上がった彼女の姿態を見て眉をひそめた。
「おや、まあ、相変わらず随分とお盛んなようね」
少しトゲのある言葉の陰に隠しようのない嫉妬の響きがあった。
「こ、こんばんわ」
蒲公英が飾帯に挟んだ白羽扇に手をやったのを見てレノラはビクビクしながら挨拶した。この扇が鉄扇子とよばれる暗器の一種であることをレノラは承知している。膂力はゼニアほどではないにせよ、華奢な見かけによらず蒲公英は戦士としても有能なのである。
まさか天使ともあろうものが、この扇子でレノラの腹を叩くなどという鬼畜な真似はするまいが、やっぱり苦手なものは苦手である。レノラは抱えきれない巨腹に両手をやって大事なものをかばうような素振りを見せた。
「そんなに構えなくってもいいわよ」
自分の何気ない動作がレノラを脅かしたことに気付いた公英は白羽扇から手を放し、胸の前で腕を組んだ。
「今日はすこし警告しに来ただけよ。あなたも知っているでしょうけど千年祭の祭祀を行なう巫女がこの土地から選ばれたのよ」
「はあ」
レノラにはそれがどう自分と関係があるのか分からない。
「いま、あなたの付き合っている男の子がその子の友達なの。こっちとしては夢魔なんていう胡乱なものにその子の身辺をうろついて欲しくないの。今日、学校で会ったんだけど、その男の子随分とあなたと交合したみたいね。陰の気がだいぶ強くなっていたわ」
陰陽五行の気の循環に基づいて話をされるとレノラには公英の話が分かりづらい。ただし、レノラが心中で蒲公英に反論するのには、ネルはボテ体型の女性に対する秘めた性欲と生来の精力絶倫体質で男性の気、つまり陽の気が盛んになりすぎる傾向がある。それを抑えるために夢魔である自分が彼の気を頂いて陰陽和合し中道に落ち着くと言うことになる。
そのあたりのことは天女である公英より、精気の消長に通じたレノラの方が経験と技術(房中術)に長けているということになるのだろう。が、蒲公英苦手のレノラは、この嵩にかかった物言いをする天女を前にすると舌が上手くまわらなくなってしまう。
そのかわりに出てきたのはただ一言。
「あの子と約束してるんです。今日でおしまいにしますから、そこを通してくれませんか?」
まるでいじめられっ子のような卑屈な態度だった。
今まで何度かちょっかいを出したことがあるのは事実だが、蒲公英も夢魔としてのレノラの行為を理解していればこそ、嫉妬から生じた自分の悪意に対して多少の罪の意識はないではない。それがいじめっ子を忌み恐れる子供のような反応をされれば、罪悪感に塩をすり込まれる様な気がして面白いはずがない。つい驕慢な悪戯心が頭をもたげてきてしまう。
「べつに行くなって言ってるわけじゃないわよ。巫女が出立するまで控えてくれるんだったらそれでいいんだから」
蒲公英はレノラの体質とレオタード状の衣服の機能を承知している。もしも行為の真っ最中に衣服の膨腹制御機能という体型支持が無くなれば面白いことになるにちがいない。レノラも大恥をかいてこちらの警告を素直に受け入れるだろう。
心中でこう計算した蒲公英はレノラに道を譲りながら、袖から鎌鼬(カマイタチ)とよばれる風の精霊を一匹送りだした。
鎌鼬はレノラの身体の周りをクルリと一周すると、彼女の目の届かない迫り出した下腹部を保護しているレオタードの生地に取り憑いた。鎌鼬は繊維に一定の張力が掛かるか一定の時間が経過するとその力を発揮してレオタードを切り裂くように命令されている。
質量のない休止状態の精霊なのでレノラも蒲公英の仕掛けに気がつかなかった。
「すみません、失礼します」
オドオドとレノラは公英の脇をすり抜けていく。
「まあ、今日までって言うなら、せいぜい身体に気をつけることね。約束だか何だか知らないけど、そのお腹じゃあ何時“ぱぁん”って破裂しちゃってもおかしくないから」
レノラは蒲公英の言葉にさしたる注意も払わずそそくさとその場を後にした。
Maximam warp, Engage!(←出典、分かる?)
「ネルくん、お・待・た・せ・」
レノラは媚態を振りまきながらネルの待っている部屋へと入っていった。フワフワと宙を飛んで彼があらかじめ開けておいてくれた鎧戸(この世界では硝子を加工する技術はまだないのでガラス窓はない)付きの窓をくぐり抜ける。
寝室のベッドの上にちょこんと座り込んでいるネルのパジャマ姿が思わず抱きしめたくなるほど可愛らしい。二年先の体格を見越してあつらえたようなパジャマがだぶついて、まるで大柄な男性の寝巻きを借りたおませな女の子のように見える。
ネルはレノラの術によって潜在意識(ぼて愛好癖)むきだしの半覚醒状態なので、彼女の姿を見た途端に下半身が反応してしまいパジャマの股間の部分がテントを張った。
「ご、ごめんなさい」
赤面したネルが慌てて両手で股間を押さえた。
「ふふふ、いいのよ、気にしなくても。あたしだって、ネルくんがそうやって歓迎してくれるのが嬉しいんだから」
毎夜のことながらネルの初々しい反応にレノラも女心をくすぐられる。もっともネル自身の体験した記憶の大半は無意識下に封じ込められているので、初心な態度も当然といえば当然だったが。
ちなみにネルの両親や使用人、はては近所の人たちや飼い犬、野良猫、はては屋根裏の鼠に至るまでレノラの張り巡らせた夢操術の結界で深い眠りに飲み込まれているので、二人がいかに盛大にナニしても誰かに見とがめられる心配はない。
「ね、恥ずかしがらないで、いつもみたいにして」
レノラは含羞んでいるネルの横に腰を下ろすと、彼の両手を取って自分の身体に導いた。
張りのある腹にネルの手がこわごわ触れると、接触したところから彼の精気が流れ込んでくる。
「ねえ、いまにも破裂しちゃいそうだけど大丈夫なの?」
「あん、大丈夫よ。もっと・・・オッパイも触っていいのよ」
ネルが気遣って優しくお腹を撫でると、いつになく大量の精気がレノラの身体に流れ込んでくる。ゼニアとの「結合」で身体機能の活性化してるレノラの肉体は、吸収される精気に反応して内圧が上昇していく。
「あ・・・なんか気持ちイイ・・・」
レオタードで支持されていることもあって、この程度の事では目に見えるほど腹は膨らまないが、レノラは胎内の圧力が増していく充実感に軽く身悶えした。
「お姉ちゃん、オナカはパンパンだけど、オッパイは柔らかいんだね」
少し大胆になったネルが片手でポヨポヨとしたレノラの乳房を揉む。これも激しく揉みしだくと言うよりは優しくマッサージでもされるような感じで、普段のレノラならもどかしさと物足りなさを感じるところだが、ネルが相手なら妙に刺激的だった。
これもネルの精気の影響で、襟ぐりの深い胸元からわずかにサイズを増した乳房が盛り上がり胸の谷間が深くなる。
『ネルくん、いつもより激しいみたい』
自分の身体の反応にレノラは独り合点したが、それは彼女の勘違いだった。夜毎の逢瀬の記憶がほとんどないネルにとっては毎日が「初体験」である。
これが大天使ガブリエルの治療術のせいで、ネルの絶倫体質が通常の数倍も強化されて精力横溢しているとは知る由もない。普通の魔族なら人間の肉体が何らかの術に影響されていることに気付いたかもしれないが、夢魔であるレノラは自分に流れ込んでくる精気の量と行為の激しさとを混同してしまったのだった。
「気持ちイイ? 気持ちイイの?」
レノラの様子に触発されてネルも興奮してくると流入する精気がさらに増大する。
「ああん、オナカが・・オナカが膨らんじゃうよぅ・・・」
魔法アイテムである彼女の衣服にも能力の限界がある。圧縮比の限界(通常モードで体積比約二〜八対一、非常時には最高で十二対一まで圧縮可能。・Al規格準拠、当社比)を越えた身体が膨らみはじめた。
双子の臨月状態だったレノラの腹が膨らんで三つ子を孕んだ大きさになる。
「わわっ、すごいや! お姉ちゃんのオナカか大きくなったよ!!」
ネルが感嘆の声をあげた。膨らんでますます魅力的になった肉体をネルはいっそう熱心に撫でる。
「あふっ、ネルくんが気持ち良くしてくれるおかげよ・・・今度はあたしがネルくんを気持ち良くして、大きくしてあげちゃう・」
レノラが片手を伸ばしてパジャマ越しにネルの股間に触れてきた。熱いモノを手のひらでなぞるとネルが腰を引く。
「怖がらないで。ね、脱いで見せて、ネルくんの」
レノラに促されてネルはベッドの上に立ち上がると、頬を赤らめながらそれでも自分で下履きを脱いだ。
「あら、少し元気がないみたい」
上着の裾からのぞいているネルのモノはたしかに勃起しているが、その年頃の少年としても小振りでしかも包茎である。しかも女性に間近で見られているせいか、はたまた涼しい外気に当てられたせいか幾分うなだれて委縮しているようだった。まだ恥毛もほとんど生えておらず、体育の授業で着替えるときなどに彼が級友に対して劣等感を抱いても無理のないところである。
しかし一月間通いつめたレノラは、これが彼の本性ではないことを知っている。
「触ってもいいかな?」
「う、うん」
羞恥心を堪えてレノラの前に立っているネルの男性に手を触れた。
「んっ・・・」
“初めて”異性に愛撫される感覚にネルは敏感に反応した。たちまちネルのモノが元気を取り戻し、普段一人で自慰しているときとはくらべものにならない大きさになる。
「ここに着てるのも脱いじゃおうね」
ネルが痛がらないように、レノラがゆっくりとしごきながら包皮を剥いてあげる。彼女が頭に指先を這わせると快感にネルの膝がガクガクとわらった。
「これは特別サービス・」
レノラがモノを握ったところから自分の精気を送り込むと、彼のものはますますかたく熱くそそり立った。先程までの状態が信じられないような立派な逸物である。
レノラは統計学などという心得はなかったが、客観的に見れば現在のネルのモノの状態は同条件下で一万人の成人男性と比べても九千九百九十八人よりもデカイと言う答えが出ることは間違いのないところだった。
実際、レノラが初めてネルを訪れた晩に挿入されたとき、彼女は身体が無理やり押し広げられる痛みと、身体全体がかき回されるような快感に、声を出すことも息をつくこともできなかった程である「すっごーーい!! いつもより元気みたい」
たしかにネルのモノは昨晩までと比べてひとまわり大きくなったように見える。
握った手のひらから伝わってくる硬質の脈動を感じていると、経験豊富なレノラでさえ顔が赤らんでくる。
(作者注 文章中に生々しい、あるいは過激な表現があることをこの場でお詫びしておきます。尚、当該表現はこの後も続きますのでご了承を)
『こんなのでされたら、マジでお腹が破裂しちゃうな・・・でも今夜で最後だし、まだまだ大分余裕あるし、目一杯楽しまなきゃ損よね』
実際、まる一月かけてこの腹である。いくらネルの体質とはいえ、今日一晩頑張ったところで、人間一人の精気で彼女の腹が限界を超えてしまう膨らむ危険はない。そう考えながらも、今日のネルの精力はいつもと何かちがう。安全策をとってレノラはレオタードの圧縮比を現在の二対一から三対一に引き上げた。普通ならこれでかなり膨腹の割合を落とすことができるはずだった。
これからの展開に期待と妄想を膨らませながら、ネルのモノをしごく手についつい力が入ってしまう。握ったところから流れ込んでくる精気の量も半端ではないが、それ以上にネルのモノに触れている感触そのものが心地よい。
「お姉ちゃん、そんなにされたら出ちゃうよ」
「ご、ごめん、ごめん。それよか、立ちっぱなしで疲れたでしょ。あたしもして欲しいからネルくんも座ったら」
そう言いながらもネルのモノを手放さない。
腰を下ろすネルを引き寄せて二人一緒にベッドの上に倒れ込んだ。
「ほーら、パフパフしてあげる」
ネルをベッドの上に押し倒すと、レノラは彼の体の上にのしかかった。昼間ゼニアに使ったのと同じ手で攻めようというわけである。
レノラは身体を重ね合った四つん這いの体勢のまま上の方にずらせると、ネルの顔を胸の谷間に挟み込んだ。
「うぷっ」
弾力性のある巨乳に挟まれていささか呼吸が困難になるが、ネルも喜んでレノラの胸にむしゃぶりついてくる。時々は自分の方から身体をずらせて、重そうに垂れた腹にも頬擦りしたり接吻してみたりする。
「あん、ネルくん、気持ちいい・・・」
だんだん大胆になってくるネルの愛撫にレノラも盛り上がってくる。身体を前後に動かすたびに、股間からそそり立ったネルの逸物が彼女の膨らんだ下腹部を突っつく。最初はネルを挑発してリードしていたつもりのレノラだったが、今では自分の方がその気になってしまって、息を荒げうっすらと汗をかいてせがむようにネルのモノに自分の腹を擦付けていた。
むろんネルにしてもレオタード地に包まれた巨腹に刺激されてはいつまでも我慢できるはずがない。
「ぼ、僕・・もう、我慢できないよ」
「あたしも・・・ねえ、どんな体位でしたい?」
“初体験”でしかもレノラの豊かな胸と腹に組み敷かれた体勢では、何も考えつくはずがない。
「そんなの分かんないよ。初めてなんだから・・・」
上気したうえに含羞んでいる表情が可愛い。期待する目で見上げられるとそれだけでレノラの心中に愛おしさが込み上げてくる。
「じゃあ、このまま、あたしが上になってしてあげるね。こんな身体だから少し重いかもしれないけど」
飛空術を使って身体を宙に預ければ、相当体重は軽くなってこの体型でも楽にナニすることはできる。
レノラは身体を起こすと膝をついてネルの上にまたがったまま、自分の股間をまさぐった。腹が邪魔になるので少し前屈みになって手を伸ばすと、ネルが下腹部に手を添えて下から支えてくれる。
「あ、ありがと」
レオタードの股間に彼女の指先が触れると、布地が裂けたわけではないが魔力で両側に開いて秘部があらわになる。レノラ自身にも信じられないことだが、彼女のそこは滴るほどの蜜をたたえて潤っていた。外気に触れた秘部が我知らずキュッと痙攣して絞り出された蜜が一筋彼女の太股をつたう。
「ねえ、女の人のって見るの初めて?」
大きな腹の陰になってよく見えないが、ネルが頭を起こしてレノラの下半身を眺める。彼女の肉体に対する好奇と称賛の視線を痛いほど股間に感じて、レノラは恥ずかしいような誇らしいような気分になった。
レノラは背後に手を回し、ひとまわり大きく勃起したネルのモノに手をそえた。
そして浅く腰を落とし、硬く怒張した亀頭を自分の秘部にあてがう。
「あふっ、・・・んぅっ・・・」
さらに深く腰を沈めてネルのモノを胎内深く導き入れてあげたいのだが、なかなかうまくいかない。毎晩のおつとめで慣らしてきたつもりだが、今日のネルはいつもと違う。
レノラ自身、ネルが欲しくてたまらないのでもどかしくて仕様がない。
「僕の・・入らないの?」
心配そうにネルがたずねた。
「あんっ・・・だ、大丈夫よ。心配しないで。・・・ネルくんのって、とっても立派だから。でも・・・あはあぁぁ・・・」
レノラは全身の力を抜くと、息を吐きながら再び深く腰を沈めた。レノラの身体がゆっくりとネルのモノを受け入れていく。
「すごいや。僕のがお姉ちゃんのナカに・・・」
熱く絡みついてくる肉襞の感触よりも、レノラと一つに結ばれたこと自体に感動しているネル。
「うんっ・・・」
巨大に膨らんだ腹の中が、ネルの肉体で一杯になっていく充実感に頷くのがやっとの状態のレノラ。
『なんてすごいの!? まだ半分くらいしか入ってないのに・・・」
二人の交わった部分から生ずる甘美なエネルギーの奔流に、一段と腹部の内圧が高まっていくのが分かる。衣服の圧縮率を高めてあるとはいえ、少しずつだがさらに大きく腹が膨らんでいく。同様に、胸も丸く膨れ上がっていく腹に押し上げられながらそれ自体のサイズを増していく。
張ち切れんばかりに膨張していく自分の胸と腹越しに見下ろすと、ネルが軽く目を閉じて快感に呻いていた。
「お、お姉ちゃん、ボク、もういっちゃいそうだよ」
ネルはいつも一度目の絶頂を迎えるのが早い。今日は彼自身も精力が有り余っているし、レノラも彼のモノで目一杯に満たされ、精気を注ぎ込まれて上昇する一方の腹圧で、彼のものを相当強く喰い締めている。
「待って。もう少しで全部入るから・・・」
いちばん子宮の奥で彼の射精を感じて受け止めたいレノラは、半ば強引な挿入に局部が痛むのを無視してネルのモノを胎内深く導き入れた。
「ああぁっ・・・あっ・・・!!」
レノラの巨大な腹の下で、わずかにネルの身体が弓なりに反る。
「来てッ!! あたしの中にぃ!!!」
ネルの長大なモノを根元まで飲み込んだレノラの胎内の奥底に、熱くたぎる精液がぶちまけられた。それも半端な量ではない。彼女の子宮が溺れるかと思われる怒濤のごとき激流である。
「すごっ、すごすぎるよぅ!!」
腹を突き破るかと思われるネルのモノから噴出する精の流れに子宮の底を叩かれて、レノラも軽く絶頂に達した。
余韻に浸る間も無くネルの精を貪欲に吸収した腹と胸が、三対一の圧縮比をものともせずに膨れはじめる。
『やばいわ。このままじゃ』
陶然としたレノラの頭の片隅で警報が鳴り、魔法のレオタードの圧縮比をさらに引き上げて四対一にした。
それでも膨腹の上限が制御される前にレノラの身体はひとまわり大きくなっていた。
「お姉ちゃんのお腹、また少し大きくなったみたい」
射精後の余韻から冷めかけたネルが、あらためて彼女の身体に賞賛の声を揚げた。
「今度はお腹でパフパフして」
ネルはふざけて首をもたげると、自分の胸の上まで迫り出してきた彼女の下腹部を鼻の頭て突っついた。
「ひゃはは、くすぐったぁい。ダメよぅ、そんなことしたら、あたしのオナカ、ぱぁんって破裂しちゃう」
まだ挿入されたままなのだが、射精で少しネルのモノが萎えて柔らかくなっているので、レノラも息もつけないという串刺状態ではない。
レノラもふざけて巨大な爆腹爆乳を揺すりたて、ネルの眼前へ突き出してみせる。
「どう? あたしのカラダ」
お色気でネルを挑発するレノラだが、ネルの答えは案に相違して真面目なものだった。
「大っきいお腹やオッパイもステキだけど、もしそうじゃなくっても、僕、お姉ちゃんのこと大好きだよ」
そう言うとネルは目の前でユサユサと揺れている爆腹にそっと両腕を回して抱きしめた。そしてその年頃の少年に相応しい情熱と拙劣さ、そしてあふれんばかりの純粋な愛情をもって彼女のパンパンに張りつめたまるい下腹部に優しく接吻した。
「あんっ、ネルくん・・・」
レオタードの生地ごしに感じられる熱い吐息にレノラの腹がふるえる。
夢操術で半覚醒状態のネルは自分の本心に忠実である。ネルの言葉にレノラの胸はきゅんと切なくなった。
「・・・レノラって呼んで、ネルヴァ・ボルテール・・・」
その声に反応してネルがレノラの中で再び硬くなりはじめた。
「ああっ・・・あはっ、・・・はあっ、はっ、はっ、はっ・・・ネルくん、ネルくん、いいっ!・・・いく、いく・・だめぇ、いっちゃいそう!!・・・」
先程からネルの身体の上で腰を動かし続けているレノラ。彼女は五回、ネルは十一回も絶頂に達して射精している。
圧縮比はすでに八対一で通常モードでの限界にも関わらずレノラの腹は妊娠十五ヶ月の九つ子とでも表現すべき状態になっていた。昼間にレオタードの支持なしの全裸でゼニアとナニしたときよりも三回りは大きい。
それに加え、腹の膨張にあわせて胸の方も大きくなってくるので、だんだん反り身になっていき、前屈みになることも下になっているネルの様子をうかがうこともできなくなっていた。おかげで背中の筋肉が痛くなって、腰を動かすことが辛くなってきた。
「いく、いく、・・・ああっ・・・」
下ではネルが両手で巨大な、しかし見かけほど重くはない風船腹を押し上げたり下げたりしてくれるので、レノラの負担も幾分軽減されている。
「くうっ・・・」
「あん、あん、あぁん・・いくぅぅ・・・」
ネルが十二回目の射精をするのと同時にレノラも絶頂に達し、のけ反って後ろに倒れそうになる。
ネルがとっさに手を伸ばして二人の手を絡めあった。手を引っ張ってレノラの上体を支えてあげると地平線のように広大な下腹部の向こう側からレノラの顔が覗き込む。
「ああ・・・ありがとう」
胎内に放出された精気が吸収されるにつれてまた一回り腹が大きくなる。
「レノラさん、お腹が大きすぎて、もう動けないでしょ。横になって休んだら」
たしかにこの体型では騎乗位は無理がある。
レノラは頷くとネルの手を借りながら彼の上から降り、ベッドの上に横たわった。横臥するとネルが背後から寄り添うと、さほど広くもない一人用の寝台の上では、二人が身体を寄せ合っても、膨れ上がった腹がはみ出してしまう。
腹の重さでベッドから転げ落ちてしまわないようにネルが抱きしめてくれるのが有り難い。
『何かおかしいわ。いくらネルくんが絶倫でも、たった一晩であたしのオナカがこんなに膨らんじゃうなんて・・・』
楽天的な性格のレノラもさすがに焦ってきた。
背後からはネルが手を伸ばして、巨大と表現するのも生易しい大きさなった爆乳爆腹を揉んだり撫で摩ったりしているのだか、彼から流れ込んでくる精気はいっこうに衰えないし、疲れる気配も見せないどころかますます元気になっていくように感じられる。
持続力こそ少し早漏気味と言ってもいいくらいだが、回復力と一回あたりの注ぎ込まれる精気の量が半端ではない。生命エネルギーである精気の質だけではなく、その物質的側面である精液自体も白濁して粘りのある濃いものを大量にレノラの胎内に射精するので、パッツンパッツンに膨らんだ彼女の風船腹の底には吸収しきれない精液(物質を吸収同化するのは時間がかかる)が溜まってタプタプと波打っているのが感じられた。
『困ったなあ。もうそろそろ終わらせないと、夜明けも近づいてるし・・・でも、今夜で最後のつもりだったのに、全然満足してないみたいだし・・・』
腹やレオタードの能力にはまだ若干の余裕があるのだが、これ以上大きくなるとこの部屋(窓)から出ることができなくなってしまいそうだった。
いったん大きくなった腹を高い比率で押し縮めると子宮が破裂する危険があるので、レオタードは膨腹のペースを遅らせることしかできない。また、緊急モードで使用すると布地の強度が急速に低下してしまう。
『気持ちイイからもっとエッチはしたいんだけど、オナカももう一杯で食事の必要はないし・・・あたしとしては十年くらい“契約”延長してもいいんだけど・・・』
今日限りと言ったからには、蒲公英に見つかればどんな悪戯をされるか分からない。そちらの方も大いに気になる 優柔不断にあれこれ考えていると、ふたたび回復して硬くなってきたネルがチョンチョンとお腹を軽く突いて彼女の気を惹く。
「ん? なぁに?」
「ねぇねえ、最初に言ったコトなんだけど・・・」
「?」
ネルが甘えてレノラの長い豊かな髪に顔をうずめてくる。
「・・・少しテイセー(訂正)させて。もしオナカが大きくなくても、レノラさんのこと大好きだっていったでしょ。でも、やっぱり大っきなオナカのレノラさんってサイコーだよ・」
この言葉にぐらっときてしまうレノラ。
『も、もう一回ぐらいならいいよね』
「っのヤロー! 本気でパンクするかと思った!」
ようやく元の体型に戻ったゼニアがベッドの上で飛び起きた。
「ねえ、立ったままでするの?」
「そうよ。後ろからするとオナカが邪魔にならないでしょ」
さっきから正常位で頑張ってみたものの、レノラの腹が大きすぎるのとネルの動きが不慣れで一度いっただけで疲れてしまった二人は、ベッドから降り立って新しい体位に取り組んでいた。
レノラが膝を伸ばしたままベッドの端に手をつくと、背後に立ったネルが腰を進める。
「入ったよ」
「うぅん、ゆっくり動いて・・・なかなか・・いいわぁ」
膝下まで達する爆腹がユサユサと揺れる。が、四つん這いなら腰の動きを邪魔しないのでネルの動きに合わせやすい。揺れる腹とネルの動きに合わせてレノラは腰を使いはじめた。
レノラの背中には、体重を軽減する飛空術のための小指程度の小さな翼がアクセサリーのように生えていて背筋でピクピクと羽ばたく。それを見ているとネルも拍子をつかんで腰を動かすコツが分かってきた。
「ああっ・・・ネルくん、いい!」
「どう? レノラさん・・・」
力強さを増してくるネルの動きに翻弄されるレノラ。
「ま、また、膨らんじゃうぅぅ・・・」
ネルの射精に合わせて膨腹を抑えるためにレオタードの圧縮比を再調整しようとする。緊急モードでは布地の強度が圧縮比に反比例するため、比率を刻んで慎重に調整をしなければならない。
8対1から8.1対1へ・・・・ ここで蒲公英のために弁解するなら、彼女としてはレノラがグスグスしているうちに時限式で鎌鼬が発動すると踏んでいたに違いない。よもや自分の上司の治癒術でネルの体質が強化されて、緊急モードが必要とされるとは夢想だにしていなかったと言うところだろう。彼女にしても、レノラに恥をかかせる気はあっても、怪我や命に関わるような事態を望んではいなかったのだが・・・ 鎌鼬が発動した。
「えっ? 風の精霊?」
シュル〜シュル〜シュル〜
部屋の空気がユルリと動いたかと思うと その力がレノラの体を焦点として急に増大した。
シュッ!
鎌鼬の風刃が爪でひっかいたくらいの小さな切れ目をレオタードの下腹部に入れる。機能の限界まで酷使されているレオタードには十分すぎる損傷だった。
バツッ! ビリリリリリッ! 急速に何かが伝線して裂けていく感触。
『ひっ! レオタードがぁ!?』
「あっ・・・またいっちゃう・・・」
レノラが緊張して締めた拍子にネルが射精してしまった。
「ネルくん、中で出しちゃダメぇ!!・・・きゃああぁぁ!!」
ボボンッ!!!
レオタードの腹部の裂け目から大量の真っ白い肉の塊が噴き出してきたかと思うと、一瞬のうちにブワッと膨らんで百人ほどの胎児を孕んだ臨月腹とでも表現すべき巨大な風船腹になる。その拍子に身体を包んでいたレオタードが散り散りに弾け飛んだ。
「あたしのオナカがぁ!・・・」
支持の無くなった肉体が常態に戻ろうとしてさらに急激に膨らんでいく。腹が床に届いたかとおもうとベッドに接触して、ネルとレノラはつながったままのかたちで反対側の壁の方に押しやられていった。
「うぷぷっ、ムネまで・・・」
超巨大な腹の上では乳房がプルプルと揺れながら膨らんできてレノラの視界を塞ぐ。
先程のネルの射精の分が加わったとしても、単純に体積が八倍になるのなら、直径は二倍そこそこですむはずである。
だが、それだけではすまなかった。悪いことは重なるもので、制御しきれないほど胎内に溜め込まれた大量のエネルギーの影響と彼女自身のパニックのせいで『本質』が暴走状態に陥ってしまったのだ。
「だめぇ・・・止まらないようぅ・・・」
肉体の制御力を失ってしまい、胎内に溜まったエネルギーが『本質』によって全て膨腹現象に振り向けられる。そのため腹の直径は倍に止まらずさらに膨らんでいく。それなのに肉体の補修に振り向けられるエネルギーほとんどはないので、パンパンに膨れ上がった腹部の皮膚や筋肉が無理やり引き伸ばされて今にも張り裂けそうになっている。
レノラの身長を越えるほどに膨らんだ腹とベッドで二人の身体は反対側の壁に押し付けられて全く身動きができなくなった。
「すごいや。レノラさんのオナカ・・・」
初めてレノラの裸体、しかも彼女越しに見える超特大のウルトラ爆腹と爆乳を目にして、事態の深刻さを認識していないネルのモノが再び硬くなりはじめる。
「だめぇ! ネルくん、早く抜いてェ!」
「そんなこと言ったって、動けないよぅ」
レノラの背後でネルが腰を引こうとしてモゾモゾするが、結果としては浅い挿入を繰り返していることにしかならない。
レノラの方にしても制御できなくなった肉体のせいで腹圧が上昇し、いっそう強くネルのモノを喰い締める結果になっていた。膣痙攣ではないが、これでは身動きできたとしても二人の結合を解くのは容易ではなかっただろう。
「ネルくん、動かないでぇ!」
「レノラさん、そんなに締めたら出ちゃうってば !」
そもそもが夢想術で潜在意識下の性欲を剥き出しにされたうえ、暴走状態のレノラの気に触発されたせいか、まだ半立ち状態のネルが射精してしまう。そして射精しながらまた硬くなりはじめるのだった。
「ああっ、ダメ。また、出ちゃうよぅ・・・」
剥き出しになったレノラの超腹を見た当初は事態の深刻さに気付かずに喜んでいたネルだが、ここに至って彼も自分の体の異常に気付く。
「た・・・助けて・・・オナカ、破裂しちゃう・・・」
「僕のも・・・また・・・」
立て続けに射精されて膨腹に拍車がかかる。飛空術を使えなくなった身体が本来の体重を取り戻し、レノラの腹がベッドを押しつぶして向かいの壁に接触した。
上の方では両の乳房が天井に押し付けられて梁が悲鳴を上げる。
「ひいぃぃ・・・膨らむぅ、膨らんじゃうぅ・・・おねがい、誰かとめてぇぇ!」
正面と上方に行き場を失った腹が横方向に膨らみはじめ、丸い真っ白な超絶的巨大風船腹が楕円形に押しつぶされたかたちになる。
いかに人間より強靱な魔族の肉体といえども限界がある。均一に膨らんでさえ限界を超えたレノラの腹は、膨らむ箇所にひずみを生じて皮下組織が裂けはじめた。
ぶちっ! ブチチッ!
二人の位置からは見えないが、妊娠線が巨大な腹の表面をメロンの編み目模様のように縦横に走る。
いや、それは妊娠線というより皮下裂傷とでも言うべきものだった。もはや爆発寸前を通り越し、臨界状態(?)の彼女の肉体の破裂を救う術はない。
しかもネルの意思に反して、彼の息子が再び・・・・
「あ、そう言えば、何処に通ってるのかキチンと訊いてなかったなぁ」
「ごめんなさい。また出ちゃう・・・」
「ああっ!・・・も、もうダメっ!・・・は、は、は、張ち切れるぅぅぅ!・・・」
過ぎたるは及ばざるが如く
満ちたるものは、いつの日にか欠ける。
衆生、意馬心猿を御し難しとはまさにこのこと。
果たしてレノラの運命や如何に?
第二話に続く
後書き
いやいや、長々と書いてしまいました第一話。如何でしたでしょうか?
今まで同人誌等の創作活動に参加したことのなかった著者にとっても初めての取り組み。しかも西遊記を下敷きにしたこの連載はまだまだ始まったばかりで、登場人物の設定もそこそこの見切り発車でございます。
思い返せば三月前、あるみねこさんと交わしたメールに励まされ、私は傍観者から参加者へ転身したのでした。しかし、ひとに読んでもらえるものを書くのはなんと難しいことか。しかも長期にわたって断続的に書いたため、文体に一貫性がなくなってしまった。
しかも書きだした当初は三月一杯で第一話を書き上げ、以下月一のペースで投稿します等とねこさんに大言壮語してこのていたらく。
ああ、もう何も言い訳いたしません。すぐにでも第二話に取り掛からねば。
読み返してみるとダラダラと長くなっているのが分かります。濡れ場の焦点も曖昧だし、登場人物の性格も明確になってないし。とくにエルウィンなんか、どうして西方への旅を引き受けたのか動機が明確じゃないし・・・彼女の場合は興味本位で動くから名誉欲や何かの義務感で引き受けることはあり得ないし。三蔵玄奘の西域取経みたいな志でもあればいいんだけど。でも、この物語は旅の先々で妊婦や膨腹にからむいろんな形のエッチを描くのが目的だから、動機付けなんかの点は勘弁してほしいにゃ。ううむ、本格的(?)な長期連載ぼて&冒険小説の目論見からどんどん外れて言い訳ばかりが増えていく。まあ、回数を重ねていく間に徐々に洗練されていくことを祈りましょう。
ところでこの物語、読者お楽しみの挿し絵がないと思いますが、私の画力不足のせいで不可能です。
・・・だれか、描いてくれないかにゃ。(いかん、ねこさんの口癖が伝染した) とにかく、当面は物語を進めるのが最優先です。余裕ができたら私なりのキャラ設定イラスト(落書き)ぐらいは発表いたしましょう 冒頭の辞でも分かるようにこの物語は西遊記を下敷きにして大胆不敵にも長期連載小説を目論んでおります。旅の仲間が集まるところまではストーリーはできているのですが、その先はほとんど未知数。こんな敵キャラを登場させてとか、こんな土地を旅行させてというリクエストがありましたら、今頃好機是非是非大歓迎千客万来ネット検閲反対(?)といった具合でございます。
ただし、私は浦島太郎並みに流行に疎いので、「某アニメに登場した某娘みたいなキャラを登場させて」などという省略型のリクエストはしないで下さい。
ちなみに、第一話の登場人物のうち、魔族娘のレノラとゼニアはあるみねこさん自らが名付け親でありますワン! ネルは創作、エルウィンはトールキンの『指輪物語』からの剽窃、蒲公英は植物のタンポポのことです。
ガブリエルでジャンプ連載の『バスタード』のキャラを期待した人は残念ですワン。
本編にあまり関係のないキャラということもあって男性の天使に設定しました。でも旅の一行を助けるために再登場することもあるかも。しかもひそかにぼて好きで、レギュラーメンバー達に手を出してしまったら・・・。
長老に名が無い理由は次回で明らかにします。(←たいした理由ではないけど設定の一部だから説明しないとね)
ではでは、作者も頑張りますので、今後の御愛顧御愛読御批判御激励をよろしくおねがいします。