ラ ン テ ィ シ ェ L a n t i s c h e ラ ン テ ィ シ ェ L a n t i s c h e ラ ン テ ィ シ ェ L a n t i s c h e

■エクステリア(Exterior)

mazdaランティスのスタイリング/エクステリアデザインは モダンポルシェの流れを汲んでいる、という話はなぜ ランティスを選ぶかで説明したが、デザイン起案〜製品化までのプロセスに おいていくつかの疑問点が在るので推測を取り混ぜつつ整理してみたいと思う。


pictures(C)MAZDA,(株)交通タイムズ社

上はMRE提案の1/5クレイモデルである。そのイメージからディティールまで 量産品と違和感無いのに驚かされる。普通の日本車は1/5クレイのイメージなんて ものは量産で消し飛んでしまうのだが・・。 要は日常的パッケージングをデザイン初期から良く考えていた、ということ なのだろう。フォードがドイツのデザインセンタの意義を軽視しないで次期モデル の開発をしてくれることを祈りたい。(編注:1996年当時の記載)

1999年7月11日に横浜MRYにてランティス産みの親である、開発主査の浜谷氏と セダンのエクステリアデザイナーの小泉氏にお会いする機会に恵まれた。
エクステリアデザインに関する話や貴重なイラスト等見せていただいている。
詳細はこちら


疑問1:ヘッドランプ周りの変更

元々、MREの提案はフロントフェンダーからヘッドランプにかけては 後のporsche968、993などに見られる特徴的なパネル構成が採用されて おり、ヘッドランプもポップアップ式のものである。


pictures(C)MAZDA,(株)交通タイムズ社

これが量産では固定式ヘッドランプとすると共にヘッドランプの位置をずらすこと によりオリジナルの特徴が薄められている。
オリジナルの位置に丸型ポップアップランプかboxsterのようなティアドロップ ランプを配置すれば・・と思うのは筆者だけではないはず。
この変更は「mazdaらしさ」の演出だろう。
過去、mazdaデザインはFC(RX−7)において924/944のエクステリアの ものまねだと評された。
実際北米市場において「売れる」スポーツカーを目指したのが FCなのだからporsche指向は当然なのだが。(実際、FCは924/944 から購入層を奪い、porscheは北米市場を失い経営危機に立たされる ことになる)
その後、mazdaらしさをFCのアイデンティティともいえる(その割に外されている 場合が多いけれど) ボディ先端のクリアランスランプにおこうと考えたデザイナーが居たのではないだろう か?
このポップアップ式ヘッドライトの下の小さい「目」は、miata/roadster、 FDとスポーツモデルのアイデンティティに引継がれている。
そのイメージをランティスのヘッドランプ周りにうまく取り込み、mazdaらしさを 演出するための変更だったのではないか。 (フォグランプ付きのモデルは少々バランスが悪いが)
リア周りにいっさい手を加えていないことからも、mazda社内の フロント周りのアイデンティティへのこだわりが感じられるのは確かである。

疑問2:テーマカラーの変更

ランティスのボディのテーマカラーは、MREからはブライトシルバー的な ドイツらしいものが提案されている。
1/5クレイモデルでも美しいシルバーのモデルが製作されている。
今見ても、boxsterを思わせるかなり良い色と思える。
それにもかかわらず、ランティスのテーマカラーはいつの間にかグリーン(クーペ)に 変わっている。
mazda社内でもかなりの論議があったのではないだろうか。
グリーンといえば当時の最低人気色である。 今でこそランティス風のグリーン/ブルーメタ系は流行っているが、当時それを予測し上層部を 納得させるのは非常に困難であっただろうと予想できる。
但し、ランティスが発売される前に「このグリーンいいな」と思えるクルマが 出ていたのを編者は憶えている。
TOYOTAの初代サイノスである。

こうしてヒップを同条件で撮影しているのだが、非常に似たカラームードを持つ。 (サイノスの方が若干ブルーが強い)
mazdaの当時のランティスプロジェクトチームの誰かが、編者と同じように 「いいな」と思ったかどうかは定かではないが、不人気のグリーンを「いい」と思う 感性の持ち主が(まさにトレンドセッター)TOYOTAとmazdaにほぼ同時期に 存在したのは面白い。
日本車のグリーン化は、編者の記憶が誤りでないなら、以下のように進展している。

・TOYOTA 初代サイノス
・mazda ランティス
・TOYOTA セラ(テーマカラーはイエローメタ)
・HONDA 2代目トゥデイ
・mazda マイナーチェンジのプレッソ
・TOYOTA RAV4
・HONDA CRV等、RV系に大量発生
・mazda デミオ(同色)
・他メーカーにも大量発生

このような日本市場の動きとは裏腹に、カタログの変遷を 見ると良く分かるが、ランティスのテーマカラーは、元々のブライトシルバー系に 戻っていくのは宿命というか、非常に面白く、もの哀しくもある。

読者より指摘がありました


Editor's HOME HOME