1997年 2月22日

連載を終わらせられない悲劇

人気がなくて、予定していたストリーを描ききらないうちに、連載を打ち切られるのは、作家にとって無念であろう。
話の途中で連載打ち切りになったマンガの中には、最終回の最初の数頁を使って「書かれる予定だったストーリー」をダイジェストの形で書き、いきなり最終決戦に持ち込んでいた人もいた。
そして、人気が無く突然「第一部 完」で終ったマンガで、第二部が始まった作品をHARIは知らない。

読み切り作品で人気が出て短期連載開始。
評判が良くて短期連載が何時の間にか連載になり、気が付けば長期連載。
こんな話は、作家にとっては夢かもしれない。
だが、それが現実となった時こそ作家にとっては最大の不幸であるとHARIは思う。

人気が無くて途中で打ち切られた作品のネタは、大切に育てれば別の作品で生かせる事もあるし、「次」が残っている。
しかし、連載が長引くとかならずネタが切れる。

当初考えた話を全て描き終えて、それでも連載を続けなければならない時に作品と作者に悲劇が訪れる。
同じ様な話を設定を多少変えるだけで繰返し、大切に育てれば連載できるかもしれないネタやアイデアまでたった1話に為に使ってしまう。
作家は連載を続ける為、不本意ながらも愛すべき登場人物たちに対して突然の不幸を与え、伏線なしにつらい過去が語られる。
無理な展開をした為に収拾が着かなくなり、気が付いたら話途中で唐突に終ってしまう(あるいは永遠に休載の)マンガもある。
そして時として作家は編集者と連載についてトラブルさえも起こす。
人気が有ったマンガの最終回が雑誌掲載時に編集部によって「第一部 完」とされたので、たった1話の「第二部」を描き最後に「本当におしまい」とした作家がいた。
NKK-BSの「マンガ夜話」でスラムダンクの唐突な終り方が話題になった時、一条ゆかり氏はあっさりと「編集部とトラブったんじゃないの。」と言ってのけた。
「遊々白書」の終盤についても、編集部と作者の間でトラブルがあったと噂された。
(たしかに、「遊々白書」終盤は考えも無し初めたとしか思えないエピソードしか無い。)

「読者の人気」とゆう旗印のもと、編集者は無理にでも連載を続けさせるだろう。
そして連載が終了する頃には、全てのネタが出尽くした作家だけが残るのだ。
こうなってくると、その作家はヒット一本で終わってしまう。
(最初の連載作品をヒットさせた作家は、特にその傾向が強い。)

全てのネタやアイデアが出尽くした作家に次は無い。
そしてまた、作家が消えて行く。


HARIの独り言 目次に戻る