意外と成語に関係のあるメモ
最終改版日:2007.8.13
おもしろげな故事、成語、熟語なんかの意味を調べておくコーナー。
主にビジネスの場面で有用そうなものを精選。 使い過ぎると嫌味になるので注意しましょう。
目次
成語編:
鼎の軽重を問う
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角を矯めて牛を殺す
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隗より始めよ
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沈香も焚かず屁も放らず
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歌は世につれ、世は歌につれ
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他山の石以って玉を攻むべし
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静中の静は真静に非ず
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涕を流して馬謖を斬る
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人間万事塞翁が馬
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日暮れて道遠し
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獅子身中の虫
四字熟語編:
毀誉褒貶
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信賞必罰
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虚心坦懐
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換骨奪胎
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汗牛充棟
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牽強付会
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阿諛迎合
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繁文縟礼
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合従連衡
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堅忍不抜
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脚下照顧
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捲土重来
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夜郎自大
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刻苦勉励
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緊褌一番
♪おまけ
面白い「漢字の読み」
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面白い「漢字の由来」
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良く聞く日本語の間違い
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巷の格言
鼎
(かなえ)
の 軽重
(けいちょう)
を問う
【用例】『部長、いまこそ、鼎の軽重が問われているんですよ!』
【意味】統治者を軽んじ、これに代わって支配者になろうとする 野心のあること。転じて、ある人の実力を疑ってその地位を 覆そうとすることのたとえ。 (周の定王の時、楚の荘王が周室伝国の宝器である九鼎の 大小・軽重をたずねた故事による)
転じて、「権力者の真価が問われている」といった意味で使われることも。
中原の覇者が不在の時代に、南方の楚が力を付けた時代の話。 紀元前606年(荘王8年)に、楚の荘王が 洛陽の郊外で観兵式を行った際、周の定王は大夫を派遣して 「鼎を持たぬ王が観兵式を行ってはならぬ。即刻中止せよ。」 と告げたが、荘王は「鼎そのものが重要なのではない。 鼎の軽重は天子の徳によって決まるのだ。 周の鼎の軽重はどのようであろうな?」と問うた。 定王の使者は答えに窮し、帰っていったという。
鼎
(かなえ)
(金瓮(かなへ)の意) 食物を煮るのに用いる金属製の容器。 普通は三足。
伝国の璽
秦代以降、歴代相伝の重宝といわれた皇帝の玉璽。 秦の宰相李斯の考案になる 「受命於天、既寿永昌」の八字を刻する
璽
[ジ・しるし]
(1)天子の印章 (2)三種の神器の一。八尺瓊曲玉(やさかにのまがたま)
瓊
[ケイ・ギョウ・たま]
観兵式
天長節・陸軍始・特別大演習などの時、 天皇が兵を閲した式。閲兵式と分列式から成る。
天長節
四大節の一。天皇誕生の祝日。1868年(明治元年)制定。 戦後、天皇誕生日と改名。
角を矯めて牛を殺す
【用例】『記述の正確さに拘り過ぎては、 角を矯めて牛を殺す愚を演じかねない。』
【意味】少しの欠点を直そうとして、その手段が度を過ぎ、 かえって物事全体を駄目にしてしまうこと。 枝葉の事に関わって肝心の本体を毀損すること。 「角を矯めて牛を殺すこと勿れ」とも。
「角を直して牛を殺す(俳・毛吹草‐二)」
「宋儒の頭巾気ととなへ出せし卓見も、 角を直さんとて牛を殺」
〔談・風流志道軒伝‐一〕
隗より始めよ
【用例】『私のことも聞いてください。 先ず隗より始めよと言うじゃないですか。』
【用例】『お前が言いだしっぺじゃないか。まずは隗からだ。』
【意味】遠大な計画も、まず手近なところから着手せよの意にいう。
また、物事はまず言い出した者からやり始めるべきだ、の意でも用いられる。
中国の戦国時代、郭隗(かくかい)が 燕の昭王に「再興のため、優秀な人材を集めたいが、どうしたら良いか」 と聞かれた時、「まずは、このわたくし、隗のような つまらないものを優遇するところからはじめなさい。」と答えた。 昭王は感銘し、郭隗に宮殿を建て厚遇した。 すると優秀な人材が集まり燕は再興したという。
「戦国策‐燕策・昭王」
沈香も焚かず屁も放らず
【用例】『あいつは印象にないなぁ。沈香も焚かず屁も放らず、 といったところだ。』
【意味】芳香もないが悪臭もないということから、 役にも立たないが、害にもならないというたとえ。 よい事もしないが悪い事もしない。 可もなく不可もなくごく平凡であるということ。
「沈香」は、ジンチョウゲ科の常緑高木。 材は香木として珍重される。
「伽羅(きゃら)も焚かず屁もこかず」 「線香も焚かず屁もひらず」とも。
「榊もち沈香もたかずへもひらず」
〔雑俳・柳多留拾遺‐一一〕
歌は世につれ、世は歌につれ
【用例】『情報技術と社会は、相互に影響し合うものなんだ。 歌は世につれ、世は歌につれ、といった達観を持たないと。』
【意味】歌は世の中の動きにつれて変わり、 また、歌が世間の流行に影響を及ぼしたりする、ということ。
戦前・戦後は、多くの人が同じ境遇にあったという背景もあり、 時代背景を鋭く捉えた名曲は世代を超えて歌われた。 世の共通の人生観・恋愛観が歌に現われ、 また、新たな感性を吹き込む名曲は、 多くの人の魂に浸透し、社会に活気を与えていったりした。
一方で現代は、価値が多様化し、人々の連帯感が希薄になった。 価値観の多様化が曲のジャンルの細分化につながり、 理解の難しい曲の氾濫が個人主義、奔放、匿名性の時代を助長する、 という構造も、ある意味では「歌は世につれ、世は歌につれ」 とも言える。
他山の石以って玉を攻むべし
【用例】『私の失敗も、他山の石としてもらえれば幸いです。』
【用例】『A銀行の総会屋への利益供与事件は、 銀行業界全体が他山の石としなければならない。』
【意味】よその山から出た粗悪な石でも、 自分の玉をみがくのに役だてることができる。 転じて、人の誤った言行も自分の修養の助けにできるの意。 自分の修養の助けとなる他人の言行。 自分にとって戒めとなる他人の誤った言行。
(類)人のふり見て我わがふり直なおせ
(類)前車の轍(てつ)を踏む
(類)前車の覆るは後車の戒め
(比)対岸の火事 … 「高見で見物」のように、 「当事者にとっては苦痛や災難であっても、 こちらには関係なく少しも痛痒を感じない」の意味であるが、 「対岸の火事と思わず、自分のこととして考えよ」といった 戒めのニュアンスを持つ言葉でもある。
静中の静は真静に非ず
【用例】『静中の静を保ってるだけじゃ、君の真価は分からないな。』
【意味】静中の静はまことの静ではなく、 動中の静こそがまことの静である。 あわただしく忙しい中にあってこそ かえって心の平静を保たねばならないの意。
涕を流して馬謖を斬る
【用例】『確かに厳しい処罰だと思うが、馬謖を斬る思いだったんだ。』
【意味】私情においては忍びないが、規律を保つためには たとえ愛する者でも他への見せしめのために処罰する。 組織全体のために信頼している有能な部下を やむなく犠牲にする。
中国、三国時代、魏攻略開始時、、 蜀の諸葛孔明は、主力軍を馬謖に預けた。 馬謖は才能を示すため命に背いた布陣を行い、大敗の原因を作った。 諸葛亮は、優秀な馬謖を助けたいが、 処罰しないと兵の士気に関わるため、悩むが、 馬謖が開き直ったため、涙をふるって斬罪に処した。
出典〔十八史略‐三国・蜀・後皇帝〕
人間万事塞翁が馬
【用例】『今回のことは不運だったけど、塞翁が馬だよ、くよくよすんな。』
【意味】人生では災いがいつ福の因になるかわからず、 また福がいつ災いの因になるかわからない。 吉凶福禍の転変は測り知れず、 禍も悲しむにあたらず、福も喜ぶにたりない、ということ。
中国、北辺の塞に住む老人(塞翁)の持ち馬が 北方の異民族の地に逃げてしまった。 人々は気の毒がったが、 老人は「これがどうして幸いとならないか」と言った。 やがてその馬は北方から駿馬を連れて戻って来た。 人々はこれを祝ったが、 老人は「これがどうして災いとならないか」と言った。 老人の子は、二頭の間に生まれた良馬を気に入るが、 その馬から落ちて足を折ってしまった。 人々は可哀相にと声をかけたが、 老人は「これがどうして幸いとならないか」と言った。 翌年、北方の異民族が侵入し、若者たちの殆どは戦って死んだが、 老人の子は足が不自由なため戦わずに生き延びた。
「淮南子‐人間訓」
(類)「禍福は糾える縄の如し」
「定かに思ひ弁(わきまへ)ねども、禍福は糾(あざなへ)る 纏(なわ)の如し。人の命は天に係れり」〔読・八犬伝‐二〕
日暮れて道遠し
【用例】『日暮れて道遠しだが、このままじゃ終われないさ。』
【意味】日は暮れたのに、目的地までは遠い。 年をとったのに、人生の目的が達せられないこと、また、 期限は迫っているのに、仕事ができあがっていないことのたとえ。 「道遠く日暮る」とも。
春秋時代の呉の宰相が、楚に勝った時、 楚の平王の墓を暴き、積年の恨みを晴らすべく遺骸に鞭打った。 楚の大夫に、天の道に外れると非難された時に、 「日暮れてなお道遠し」と応えたという。 「人生の残された時間は少ないのに やらなければならないことは多い」という意味で使用したらしい。 (恨みを晴らすことも死ぬまでにやらねばならぬこと、 という意味か。)
獅子身中の虫
【用例】『あいつはこの会社にとっては獅子身中の虫だな。』
【意味】組織の内部で災いをなす者や、恩を仇で返す者。
出展は大乗菩薩戒の根本聖典である「梵網経」。
獅子の身中にすんで、その恩恵を蒙っていた虫が、 かえって獅子の肉を食ってこれに害毒を与える、という意味。
仏徒でありながら、仏法に害をなす者。
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毀誉褒貶
(きよほうへん)
【用例】『私は、毀誉褒貶など顧みない。』
【意味】ほめることと悪口を言うこと。
「毀」…そしる
「誉」「褒」…ほめる
「貶」…けなす
信賞必罰
(しんしょうひつばつ)
【用例】『以心伝心など期待せず、 明文化された信賞必罰の管理制度こそが重要なのです。』
【意味】功労のある者には約束どおり賞を与え、 罪をおかした者は必ず罰すること。
虚心坦懐
(きょしんたんかい)
【用例】『虚心坦懐にプロジェクト全体のことを考え、 協力態勢を作っていって欲しい。』
【意味】心になんのわだかまりもなく、気持がさっぱりしている様子。
虚心 … 心になんのわだかまりもないこと。 先入観などをもたないで、さっぱりとした素直な心でいるさま。 無心。
坦懐 … 心が穏やかで、少しのわだかまりもないこと。 物事にこだわらないこと。
換骨奪胎
(かんこつだったい)
【用例】『私の考えを、君たちは換骨奪胎してしまうのか?』
【用例】『C#なんて言語は、Javaの換骨奪胎に過ぎないよ。』
【用例】『単なるパロディも、作品の幹が確かなら換骨奪胎と言えるし、 普遍的な域になればオマージュと言えるだろう。』
【用例】『歌舞伎は、先行芸能である能を換骨奪胎させ、 独自の世界を作り出したもの、と言えるだろう。』
【意味】骨を取りかえ、胎(子の宿る所)を自分のものとする。 先人の詩文などの、発想や表現法などを取り入れて、しかも、 独自の作品を作りあげる技法。 誤用されて、他の作品の焼き直しの意にいうことがある。
汗牛充棟
(かんぎゅうじゅうとう)
【用例】『汗牛充棟の古本のにおいは、読書三昧だった頃を思い出させる。』
【用例】『部屋はまさに汗牛充棟の有様で、整理するのに四苦八苦している。』
【用例】『それについては汗牛充棟ただならぬほどの論があるので、 ここでの詳述は避けよう。』
【意味】蔵書が非常に多いことのたとえ。
書物は、ひっぱるには牛馬が汗をかき、 積み上げては家の棟木にまで届くくらいの量の意
(柳宗元「唐故給事中陸文通墓表」の「其為レ書、処則充二棟宇一、 出則汗二牛馬一」から。)
「牛に汗(あせ)し棟(むなぎ)に充(み)つ」
牽強付会
(けんきょうふかい)
【用例】『奴の理屈は牽強付会も甚しいよ』
【用例】『この2つの次元の話しを同列に議論することは、 牽強付会の感もないではない。』
【意味】あまり関係のない事柄どうしを、無理に結び付けること。 (「牽強」「付会」は、ともに理屈をつけてこじつけること。)
cf. 曲学阿世の徒
阿諛迎合
(あゆげいごう)
【用例】『大きな妥協は統合・止揚の理念がなければ成し得ないが、 小さな妥協は阿諛迎合にすぎない。』
【用例】『新聞は自由に取材を行うべきだし、阿諛迎合してはならない。』
【用例】『権力者の発言は必要なら適切に批判しておかないと、 阿諛迎合する輩が続々と現れて取り返しのつかないことになることもある。』
【意味】ご機嫌を取ること。「阿諛追従」
阿諛 … 相手の気に入るようなことを言ったり、 そのような態度をとること。おべっか。
迎合 … 自分の考えを相手や世の風潮に合わせること。
「日本人は迎合しやすい」
繁文縟礼
(はんぶんじょくれい)(red tapism)
【用例】『官庁が繁文縟礼に陥るのは世界共通とはいえ、 日本の場合は多少度が過ぎるのでは。』
【用例】『公務員というと、親方日の丸意識、予算・人員の拡大膨張傾向、 法規万能主義、繁文縟礼、不親切で横柄な接遇態度、 各部局のセクショナリズム、先例踏襲主義、安定化指向等が思い浮かぶ。』
【意味】規則や礼儀作法などが、こまごまとしていて、煩わしいこと。 無用の虚礼。
繁文 … ごてごてとうるさい飾り。しつこい文飾。 こまごまとして煩わしいこと。規則などが多くて面倒なこと。
縟礼 … 細かいことにまでわたる、わずらわしい礼儀。 ごたごたした作法。
合従連衡
(がっしょうれんこう)
【用例】『単独で高度情報化に対応することは、経済的に困難で、 事業者間の合従連衡による規模拡大等を志向することが必要である。』
【用例】『OSなど、キーとなるソフト技術を巡り、 さまざまな合従連衡が展開されるのは間違いない。』
【意味】縦の国々を合わせたり、横の国々を連ねたりすること。 転じて、はかりごとを巧みにめぐらした外交政策。 外交上の駆け引き、連合したり同盟したりして勢力を伸ばすこと。 国と国とが同盟を結んだり、ある地方と他の地方、あるいは同業者などが 連合する場合にも用いられる。
従
「縦」と同じく、南北の意。
衡
「横」と同じで、東西の意。
合従 … 中国の戦国時代、蘇秦が、 南北に並んだ趙・魏・韓・燕・斉・楚の6カ国の縦の連盟を組織して、 西方の強国・秦に対抗させようとした外交策。
連衡 … 合従に続き、張儀が6カ国を説いて横に、秦に服従して 存立を図らせようとした外国策。
「天下方に合従連衡に務め、攻伐を以て賢と為す」 [史記・孟子伝]
「野合(卑しい合体)」は、 政党などの馴れ合いによる合体を指し、卑しい響きがある。
堅忍不抜
(けんにんふばつ)
【用例】『これから堅忍不抜の意志で、 勉励努力していかなければならない。』
【用例】『1998年5月27日、 日本相撲協会は、名古屋場所の番付編成会議を開き、 大関若乃花を第六十六代横綱に昇進させることを正式に決定した。 若乃花は口上で“堅忍不抜の精神で精進します”と述べた。』
【意味】かたくこらえて心のぐらつかないこと。 どこまでも堪え忍んで、心や態度を変えないこと。
堅忍 … かたく耐えしのぶこと。がまん強くこらえること。
不抜 … 強くしっかりしていて動かないこと。「不抜の志」
宋の時代の詩人が詠った、以下の詩に由来する。
『古之立大事者、不唯有超世之才、亦必有堅忍不抜之志』
(大事をなす者は昔から人並み優れた才能をもつだけでなく、 堅忍不抜の志を持っている。)
cf. 臥薪嘗胆
脚下照顧
(きゃっかしょうこ)
【用例】『先達の脚下照顧の忠告を無視し、徒に夢を追う若者が増えた。』
【用例】『絶体絶命の窮地にある時こそ、脚下照顧の教えが生きてくる。』
【意味】禅寺の玄関に掲げられることが多く 『脚下(足元)を照顧(照らし顧みる)せよ』、すなわち 『履物の脱ぎ方一つにも細かく気を使いなさい』というのが表面的な意味。 その真意は、様々な状況下にあっても『足元』すなわち 「自分自身」を見つめ直すこと、 または「基本」に立ち返ることが重要であるということ。 深い悲劇や八方塞がりの中にある時こそ、 簡潔な本質や自分自身の信念にヒントがある。
捲土重来
(けんどちょうらい)
【用例】『一度の失敗に挫けず、捲土重来を期して頑張って欲しい。』
【意味】(土煙を巻き上げるような勢いで、再び立ち上がって来るさま) 一度敗れ衰えていたものが、再び勢いを盛り返してくること。
夜郎自大
【用例】『韓国は堅忍不抜の精神を持っているが、 最近は夜郎自大になってきている。』
【用例】『あの程度の成功で、すっかり夜郎自大になりやがって。』
【意味】自分の力量を知らないでいばること。 狭い世界の中の常識が全てだと思いこみ、 広い世界のことが全くわからないこと。 愚かな者が高慢なふるまいをすること。
漢の武帝が、西南の民族「夜郎」を帰属させるために 使者を派遣させた。夜郎は、漢の一つの郡よりも小さいが、 夜郎国の王は「夜郎国と漢とはどちらが大きいか」と使者に尋ねた。 長安では、夜郎国を嘲笑して、この言葉がはやった。
[史記‐西南夷伝]
刻苦勉励
(こっくべんれい)
【用例】『一流であり続けるためには刻苦勉励を疎んではならない。』
【意味】心身をいためるほど苦労し、ひたすら努力を重ね、勉学や仕事に励むこと。
緊褌一番
(きんこんいちばん)
【用例】『緊褌一番、この難事に取り組んで頂きたい。』
【意味】(緊褌は、ふんどしをきつく締めること。) 心を大いに引き締めて、ふるいたって事にあたること。
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■おまけ
面白い「漢字の読み」
限々(ぎりぎり)、沈々(しんしん)、寸々(ずたずた)、 錚々(そうそう)…『錚々たる顔ぶれ』、 態々(わざわざ)、密々(ひそひそ)、偶々(たまたま)、 努々(ゆめゆめ)…『努々忘れるな』、 兀々(こつこつ)…『兀々と努力を重ねる』
なお、結婚式のスピーチではこのような畳語は避けるべきとされる。
侃々諤々(かんかんがくがく)…剛直で言を曲げないこと、 遠慮することなく議論するさま。
喧々諤々(けんけんがくがく)…多くの人がいろいろな意見を 出して、収拾がつかない程に騒がしいさま。 (喧々囂々(けんけんごうごう)と侃々諤々が 混交して出来た俗語。)
奇天烈(きてれつ)…『お前のその話はなんとも奇妙奇天烈だな。』
運否天賦(うんぷてんぷ)…人の運・不運は天のなすところであるの意。 『この受注戦争に勝てるかは、もはや運否天賦だ。』
服部(はっとり)…機織(はたおり)の技術者が住んだ町を 服部(はっとり)と呼んだのが由来。
日下部(くさかべ)…読みについては昔から諸説があるが、 その中の一説は、 地名に対する枕詞が、 そのまま地名で呼ばれるようになった、 とするもの。 「飛ぶ鳥の明日香」から「飛鳥」が「アスカ」 と呼ばれるようになったのと同様に、 「日の下の草香」から「日下」が「クサカ」 と呼ばれるようになった、とする。
面白い「漢字の由来」
文字
「文字」という言葉の由来は味わい深い。 「文」は土器につけた縄文の模様の一コマを描いた象形文字。 「字」は「ウ冠+子」の会意兼形声文字で、 屋根の下で大切に子を育てふやすことを表わす。 「文字」という熟語においては、「文」が象形・指示などの親文字を、 「字」が親文字をもとにつくられる会意・形声などの子文字を表わしている。 “文字”という現象を表現する熟語としての「文字」の一つ一つの文字が、 “文字”の作られ方を体現しているところがとても面白い。
狩
「狩」という文字の「守」という部分は、屋根を表わす「ウかんむり」と、 手を表わす「寸」で、わくの中に囲い込むことを意味する。 だから、「狩」は、けものをわくの中に追い込んで 逃げられないようにする、という意味だ。 例えば「イノシシ狩り」などが思い浮かぶ。
しかし、「潮干狩り」というと、確かに 砂の中から手で貝をほじくり出して確保してはいるが、 「狩り」というほどのものでも無かろう、と思ってしまう。 まして、「イチゴ狩り」に至っては、相手は植物である。 黙ってぶら下がっているだけのイチゴをもぎ取るだけで 「狩り」と呼ぶとは烏滸(おこ)がましい。
極めつけは「もみじ狩り」だ。何も入手すらしていない。 ただ、眺めているだけで、なんで「狩り」なのだ。 『わざわざ出かけて、美しい景色を、心の中に囲い込んだではないか』 とか何とか言われそうだが、それにしても、 けものへんを持つ「狩」という文字を当てている事には 率直に言って違和感がある。 このあたりを解することが、風流である、という事なのだろう。
金
と
今
「金」という漢字には「今」が含まれている。 「今」という漢字は、「一」を「ふたで囲んで取り押さえた」かたちで、 目前に捉えた事態、捕らえている時間を意味するようになった。 確かに、「今」という字は「含」という字にも含まれている。 「金」は「今」+「土」+「点々」で、土に点々と含まれる 砂金を表すそうだ。 「今」という字を見ていると、何かをふたでガチッと取り押さえた人が、 「ほらっ、いまのうちに!」とか言っている情景が思い浮かびます。
宇宙
universe
元来、空間と時間の両方を表した言葉。 漢字「于」は息が喉に痞(つか)えて漏れ出る様で、 直進せずに曲がるという意味を含み、 これにウ冠を加えた「宇」は大きくて丸い屋根を表す。 一方「由」は汁をぬき出す口のついた壷を描いた象形文字で、 「宙」は地面の中心から抜け出て上空を覆うものを表す。 これが転じて、世界のうち、空間的広がり(天地四方)を「宇」、 時間的広がり(古往今来)を「宙」に当て、 万物を包容する全体を「宇宙」と呼ぶようになった。 ちなみに、数学における 「
宇宙
」も 非常に大きな概念であり、 じっくり定義を読むと、その大きさが分かって面白い。
魘
「魘(うな)される」とは、恐ろしい夢を見て苦しそうな声を立てること。 「魘=厭+鬼」で、「厭」は、熊の左上部と犬を合わせ、 脂肪が多くしつこい獣肉に「厂」印で上から押さえつける意味を添え、 食べ飽きて重圧を感じることを表す。 一方「鬼」は象形文字で、大きな丸い頭と、足元の定かでない亡霊を 描いたもの。 「鬼」が、それ全体で象形文字というのは意外。 上部に突き出ている部分はツノだろうか。 「ム」は、足元の揺れている様子だけでなく、 人魂を表しているようにも見える。
良く聞く日本語の間違い
実際にビジネスの場面で聞いた 言い間違いを、厳選してお届け!
役不足
(
×
誤用例) 『新人の彼には、この仕事はまだちょっと役不足だったかな。』
「役不足」は、その人の力量に比べて役目が軽すぎること。 役目が重かったのなら「力不足」「荷が重かった」「荷が勝っていた」を使うべき。 非常に有名な誤用だが、一向に無くならない。
的を射る
(
×
誤用例) 『あなたの発言は大変に的を得ている。』
的を得(え)てはいけません。射(い)ましょう。
汚名返上
(
×
誤用例) 『次の商談では必ず汚名挽回してみせます。』
汚名を挽回してはいけません。汚名を返上するか、 名誉を挽回しましょう。相当有名な誤用ですが、根強く見かけます。 あと、雪辱を晴らしてはいけません。果たしましょう。
確信犯
(
×
誤用例) 『失敗するって分かってたくせに、そりゃあ君は確信犯だよ。』
「確信犯」は、道徳的・宗教的・政治的確信に基づく犯罪であり、 「盲信犯」とでも呼んだ方が分かりやすい。 犯罪だと分かっている、バレなければ大丈夫と思って行動する場合は 「故意犯」と言うべき。 嘆くべきことだが、誤用の方を正しい意味として認めている辞書もある。
流れに棹さす
(
×
誤用例) 『彼は会議で流れに棹さすような発言ばかりして困るよ。』
「流れに棹さす」は、流れに乗った舟に、さらに棹で勢いをつける という意味で、時流にのって順調に進むということ。 時流や大勢に逆らうという意味で使うのは誤り。
玉石混淆
(
×
誤用例) 『新しい技術がどんどん現われて、正に玉石混合だ。』
「混合」とか「混交」と間違って表記されている場合が多い。 「肴」は「爻(×を重ねて交差を示した会意文字)」+「肉」で、 器の上に交差させて盛り付けた肉。 「淆」は、これに「水」を加えて、混ざり、乱れるさまを表している。
配付
(
×
誤用例) 『本資料を各事業部に配布すること』
「配布」は、広く配りわたすことで、チラシなどを不特定多数の人に 配る時に使う言葉。 特定の人に配りわたす場合は「配付」を使うのが正しい。
時期尚早
(
×
誤用例) 『このプロジェクトはまだ時期早尚ではないのか』
「そうしょう」ではなくて「しょうそう」です。 「なおはやし」と覚えましょう。
語るに落ちる
(
×
誤用例) 『そんなレベルの低い事を話すなんて、君も語るに落ちるな。』
「落ちる」ので「良くない」と誤解して使うのだろうか。 もともとは「問うに落ちず語るに落ちる」、すなわち、 聞かれても用心して隠しているが、自ら話す時にはうっかり白状している、 ということ。
朝三暮四
(
×
誤用例) 『そんなに意見をコロコロ変えるなんて、朝三暮四も甚だしい』
間違いなく「朝令暮改」と混同している。 「朝三暮四」は、目前の違いにこだわり結果が同じであることに気付かないこと、 もしくは、口先で人をうまくだますこと。 猿にトチの実を、朝三つ暮四つ渡すとしたら猿は少ないと怒り、 朝四つ暮三つとしたら喜んだ、という故事に因む。 なお、「君子豹変す」の原義も「朝礼暮改」のような悪い意味ではなく、 君子は過ちがあれば速やかにそれを改めるという良い意味である。
情けは人のためならず
(
×
誤用例) 『そんなに部下を甘やかすなよ。情けは人のためならずって言うだろ。』
本来は「情け(親切)は他人のためでなく、巡り巡って自分のためになる」 という意味。さすがにこの誤用は有名なので、 今でも間違って使っている人は少ないはず。
過ぎたるは及ばざるがごとし
(
×
誤用例) 『終わったことさ。過ぎたるは猶及ばざるが如し、だよ』
「過ぎる」を「時間的に終わった後」と捉え、「後の祭り」「後悔先に立たず」 と同様の意味に誤用しているらしい。 本来は「度を過ぎるのも達しないのも、どちらも良くない。正しい中庸の道でない。」 という意味。この誤用もかなりレベルの低い間違いだと言わざるを得ない。
巷の格言
「クレヨンハウス」の地下一階の有機栽培野菜をメインに使った オーガニックレストラン『広場』の座敷の上に 以下のような言葉の書かれた額が掲げられていた。 見ているだけで健康になれそうである。
少煩多眠、少忿多笑、少慾多施。
少塩多酢、少食多齟、少車多歩。
少肉多菜、少糖多果、少衣多浴。
滋賀「ブレーメンの丘」のお土産屋さんの壁に掛かっていた言葉。 確かに人間、追い詰められた時の方が色々とアイディアが出るように思います。
本気でやると知恵がでる
中途半端だと愚痴がでる
いい加減だと言い訳ばかり
その他
身元不明の動物の場合は“死体”、 身元が分かっている人間の場合は“遺体”、 と使い分けます。
“重体”は、『脳や内臓に大きな損傷を受け 生命の危機に瀕している“重傷”の人』 と定義されているそうです。
“完治”は文字通り完全に治癒することですが、 一連の治療を終えて状況が改善しても 再発・再燃の可能性がある場合は“緩解”と言います。