![]() ズシン、ズシン。 夜の第3新東京市の中を巨大なものが通り過ぎていく。 なんか怪獣映画のような雰囲気である。 どうでもいいがアメリカ版のゴジラは・・・ あんな巨大イグアナはゴジラとは認めん。 だいたい日本版のゴジラをちゃんと見てない奴がアメリカ版だって騒ぐのはおかしいぞ! でも巨人のゴジラは頑張ってくれ。 今年こそホームラン王だ!それから打点王だ!ついでに優勝だ!それでもって日本一だ〜! ・・・コホン。脱線はさて置き。 戦自の戦闘機がその巨大な物体を取り巻く。 だが街中、それも民衆がいるとあっては発砲できない。 もっともその巨大な物体も、ことさら危害を加えるつもりもないようで、ただ、街中を通りすぎていくだけであった。 そんな街の様子を、やや離れたところに建つマンションから見ている目があった。 「なにあれ?新手の使徒?あーん。こんなときにシンジもミサトさんもいったいどこに行ってるのよ〜」 マンションのベランダでなかなか色っぽい声を上げている少女。 霧島マナ嬢である。 ちなみに声以上にその格好は色っぽい。 というか危ない。 シャワーを浴びている途中で慌てて飛び出してきたのだから仕方のないことなのかもしれないが、バスタオルすら巻いてはいない。 ありていに言えば、全裸、ということである。 まあ家に一人しかいないという安心感からであろうが、ミサトじゃあるまいし、もう少し慎みを持たないとシンジに嫌われちゃうぞ。 さて、一人、といったが、実は今この家にはもう一人の人物がいた。マナが気付いていないだけだったのだ。 「僕は、いるよ。」 後ろから声がして、恐る恐るマナは振り向く。そこに立っているのはそのシンジであった。 ずっと後ろにいたのだが、なんとなくこの状況では声をかけるタイミングが取りづらかった、ということにしておこう。 けっしてマナの裸を見てたかったとか、そういうわけではない、と思う。たぶん。きっと。 まあシンジ君も男の子だし。 全然フォローになってないな。 「あの、その、頭かくして尻隠さず、なんてね。」 加持と違って場慣れしていないシンジ。もはや自分でも何を言っているか分かっていない。 「きゃーエッチ、変態、スケベ、見ないで!・・・あ、そんな、そんなとこ触らないでー。」 「マナ・・・」 「なに?シンジ。」 「言ってることとやってることが正反対なんだけど。」 叫びつつマナは、シンジに抱き付いていた。 「女の子っていうのはそういうものなの。」 「そうなの?」 多分違うと思う。 そのまま重なり合う二人。 それにしても、のっけからこんなんでいいんでしょうか・・・ 「これだけ明らかな物的証拠がありながら・・・」 翌朝。学校への通学路の途中。例の物体の足跡と思しきものの中にマナは立っていた。 「行きましょう。遅刻するわ。」 そんなマナを無視して、レイはシンジの手をひき、さっさと歩き出す。 「あ、ちょ、ちょっと待ってよ。」 そんなマナの言葉などには当然聞く耳持たず、強引にシンジと腕を組むとすたすたと進んでいく。 「ちょっと。」 ジト目でレイをにらみながら、負けじとマナも空いている方の腕を取る。 二人ともきつく腕を組むので、ちょうど胸が腕に当たる格好になる。 朝からちょっぴり、いやかなり幸せなシンジであった。 「じゃんけんで負けた人が荷物を持つことにしようか。」 なんとかレイを引き離そうと、マナがそんなことを提案する。 レイに荷物を押し付けようという算段なのだろうが、自分やシンジが負ける、ってことは考えないのだろうか。 「えーまた?」 言いながらなぜかちょっと嬉しそうなシンジ。 実は前にシンジとマナと二人だけで"それ"をしたときの事。 マナが負けを認めないおかげでいつの間にか野球拳と化してしまったのであった。 まあさすがに道端で脱がすわけにも行かず、(その場で脱がすことは)やめたのだが。 うまくすればマナとレイと両方見れるな、などとかなり邪なことを考えているシンジであった。 だが、超低血圧の上、頭も目も耳も、シンジにしか注意のいっていないレイにそんなことが聞こえるはずもなく、仕方なしにマナも諦めた。 チッ、残念、と思ったのはシンジだけではないだろう。 「そういえば、今日転校生が来るんだってね。」 しょうがないので話を代えるマナ。 「転校生か、かわいい子だといいな。」 おいおい、台詞が違うぞ。この展開だと転校生とぶつからなきゃいけなくなるじゃないか。 そんな作者の声など無視して、おもわずホウッ、となるシンジ。主人公は転校生に惚れられる、という特権を知っているらしい。 まあ確かにそれで不細工なのに来られてもも困るよな。 でもねえ、美人ってのは確かだけどさあ、この展開だと転校してくるのは確実に"あれ"だと思うんだけどなあ。 幸せな妄想に浸っているシンジであったが、 「いてっ!」 両足を同時に踏まれる。 「あ、ごめんシンジ。」 「ごめんなさい、碇君。」 一応謝ってはいるが、その声は容赦なく冷たい。 「なんか怒ってない?」 なんか、じゃなくて間違いなく怒ってます。 「「べつに。」」 うーん林原めぐみの声がサラウンド(笑)。 「あ、そう。」 知らず知らず、冷汗の出ているシンジであった。 「惣流、アスカ・ラングレーです。よろしく。」 ほーらやっぱり。 「惣流さんの席はー、碇君のー。」 ちなみに横は空いてない。 右にマナ、左にレイが、きっちりと守備を固めている。 日本代表のサイドバックもこのぐらい堅ければ、点を取られることもなかったろうに・・・ あ、でも悪いのはシンジ並みに決定力のない前線の方だったか。 とりあえずアスカはシンジの後ろの席へとつく。 「よろしく、えーと・・・」 「なに?」 「アンタの下の名前、なんていうの?」 いきなり態度のでかい奴。 「シンジ、碇シンジ。」 どうやらシンジには、生まれつきアスカに勝てない遺伝子が内蔵されているらしい。 「よろしく、シンジ。」 ちなみにアスカのとなりはトウジとケンスケなのだが、なぜかシンジにだけ挨拶をする。 4方向から冷たい視線を浴びるシンジであった。 ほんでもって休み時間。 「シンジ!」 「な、なに?」 アスカに呼び止められ、なぜかびくつくシンジ。 本能的に恐怖を感じでいるらしい。 天敵なのね・・・ 「シンジ、アタシはね、アンタのためにわざわざこの制服を着てきてやったんだからね。感謝しなさいよ!」 唐突に押し付けがましい奴・・・ 一体なにがやりたいんだか。これじゃシンジじゃなくとも分からんぞ・・・ 案の定、シンジはきょとんとしている。 どうやらシンジを口説こうというつもりなのだろうが、まったく効果なし。 「ちょっと、あの・・・惣流さん?」 おずおずと話しかけるマナ。 どちらかといえば怖いもの知らずのマナではあるが、こうも得体が知れないと(笑)変に恐怖を感じる。 とはいえ、シンジをほおっておくわけにもいかない。 「なに!?」 「いちおーシンジは私の恋人なんで、返してくれません?」 とりあえずこの場から逃れたいので、シンジも首を縦に振る。 「なんですって?」 どすの聞いた声と共に睨み付けるアスカ。 「あなた、碇君が好きなの?」 唐突に現れるレイ。 ちなみにアスカがシンジに近づいているのは任務である。 もちろんアスカもそう思っている。 たとえ、人目惚れをしたとしても、それを素直に認めるアスカではなかった。 「べ、別にこんなやつ。 」 っていうか、人目惚れしてしまったから素直に認めないのか。 「じゃあ、碇君を解放してあげて。碇君は私の旦那様になる人だから。」 今度も首を縦に振るシンジ。 いったいどっちなんだよ。 「そうよシンジ、どっちなの?」 「霧島さんと私、どっちを選ぶの?」 でもねえ、決定力が日本のFW並みだからねえ、シンジ君は。 2002年は頑張って下さいね。 ってそうじゃないだろ。 ちっと場面を飛ばす。 なんだかんだでネルフ本部までついてきてしまったアスカ。 中に侵入するのがアスカに与えられた任務であるが、さすがにシンジにぴったりくっついて、などという気恥ずかしいことは出来ない。 「ここから先は、関係者しか入れないから。」 なんとかアスカから逃れたいシンジ。両脇でマナとレイが睨んでいるのがその理由ではあるが。 「こうすれば、大丈夫でしょ?」 おもむろに懐から何かを取り出すアスカ。 変造カードである。 鋼鉄本編よりしっかりしてるぞ、ここの軍は。 そしてカードを差し込むが、 開かない・・・ やっぱり間抜けだったか。 「なによこれ!機械が壊れてるんじゃないの!?」 コミック版よろしく、機械をガシガシと蹴りつけるアスカ。 ちなみにその間にシンジたちが、他人の振りをしてとっとと中へとはいっていたのは言うまでもない。 「絶対、惣流アスカは敵のスパイよ!」 拳を握り締め、熱弁するマナ。横でレイもうんうんと肯いている。 「そんなことないよ、アスカさんは・・・」 一応フォローを入れようとするシンジであるが、 あからさまに怪しいよなあ、あれじゃ。 そんなわけで強く言えないシンジであった。 |