玉神輝美 |
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心の中のシーン **************************** 熱帯を描く時、いつも思いうかべるのは 幼い時見た“海底2万里”や “ジャングルキャット”などの 映画のワンシーンです。 そしていなかの山や川、海などでの探検ごっこで どきどき、わくわくした記憶を思い出しながら 熱帯のイメージをふくらませてゆき、 そして、一匹の熱帯魚のフィルターを通して ジャングルの奥へ奥へと入っていきます。 そうすると、小さな滝が流れていて その周りの黒い岩肌からは わき水が溢れています。 その水は、岩にびっしりとはりついた コケやシダを通って水面に落ちてゆき、 水面は周りの木々の反射で エメラルドグリーンに輝き、 その中に真っ赤な睡蓮が咲いているのです。 その睡蓮の下には、 妖精のような熱帯魚が 太陽の光にキラキラと からだをくねらせながら舞っています。 その脇を大型のナマズの影がスーっと横切ってゆく。 一匹の熱帯魚が、壮大なジャングルの パノラマの扉を開くカギになるのです。 私はいつもそんなシーンに近付けようと思って描きますが、 その眩しい光や色など、まだまだ描けません。 それは私の心の中にだけあるもので、 永遠に描けないのかもしれません。 玉神輝美 |