ディファレント・トレインズ
Different Trains (1988)


□ 編成:弦楽四重奏、サンプリング素材
□ 演奏時間 :27分

第二次大戦前・戦中・戦後の時間軸に沿って集められた人々のインタビューの
録音からサンプリングされた言葉を旋律のピースとして扱い編集し、弦楽四重
奏がその音程関係を忠実になぞる。そしてそこに加えられる効果音は例えば、
汽車の車輪のきしみはビートとして、汽笛はライヒ作品の多くになじんだ、あ
の音楽の背景に横たわる長くゆったりとしたフレーズとして生かされることに
なる。

テクストを用いた作品は『テヒリーム』(80年)が最初だったが、この曲では
聖書がある程度まとまった姿で現われ、そのことが自然に要求する長い旋律を
持っていたのに対し、本作では断片化されたものを編集するプロセスを経たた
めに、初期作品に近い点描性へと回帰した作品とも言える。

言葉にこれほどの旋律性があったのか、とは凡庸をきわめた感想かもしれない。
しかしそこに着目し、作品として出力したことに意味がある。言葉や音程の断
片は、音楽となるためにはつなぎあわされることを必要とする。そのつなぐと
いう行為を、断片それぞれの持つメロディとリズム、そして言葉の意味の双方
に基づいて行うことに求められる技術とセンスの高みは想像に難くない。


□ 収録ディスク

Player(s): Kronos Quartet
Disk Title: "Steve Reich/Different Trains"
Label・Year: Elektra Nonesuch,1989
Other Contents:
Notes:
"Works 1965-1995"にも上記ノンサッチ盤の同音源を収録。





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