鳥と海亀とダイバーの天国  ─ シパダン(2) ─


3月19日(日)

    朝4時半。モーニングコールで目を覚ます。まだ外は暗い。
    空港へ行く途中、Tonyという身長190cmのオーストラリア人と、
    大阪弁の3人組をピックアップ。彼らが今日の道中の相棒となる。
    コタキナバルからタワウまでは40分くらいのフライト。
    待ち構えていたバスに乗り、センポレナへ。
    さすがに疲れ切っていて、このバスの2時間はほとんど眠っていた。

    センポレナの港では、カヌーのレガッタが開かれていた。
    民族衣装で着飾った観客や応援団の中で、子供や大人を乗せたカヌーが
    準備をしている。小さな一人乗りサイズのものや、5人くらいは乗るもの、
    はたまたミクロネシアのカヌーのように、外にフロートを持つものなど、
    様々である。回りには、派手な色の帆をつけたカヌーも留まっている。
    これらを見ていると、さっきまで荷物を運んでくれていた人に取り囲まれ、
    盛んに真珠らしき装飾品を見せられ「安くしとくよ」と言われる。
    彼らは旅行社の人なのだろうか? 持ちつ持たれつの関係なのだろうか?
    港の反対側には、水上生活者の人達の小屋がびっしりと建っている。
    ここから双胴船に揺られて約1時間、家を出てから丸1日半経って、
    ようやく目指すシパダン島に文字通り"辿り着く"のである。

    島は、真っ青な空と海、真っ白な砂、樹々の鮮やかな緑、
    降り注ぐまぶしい日差しと、絵に描いたような南国のムードたっぷりである。

    さて、ここで簡単にシパダン島について、ご説明しておきましょう。
    ほぼ赤道直下である北緯5度くらいに位置し(今まで私が行った所のなかで最南端)
    マレーシア領土となっているが、インドネシアと領有権でもめており、
    たまにインドネシア海軍の艦船が近くまでやってくるらしい。
    大きさは、周囲をゆっくり散歩して20分強くらい。
    国立公園に指定されていて、海カメが1年中毎日産卵に浜に上がってくる。
    また、バードサンクチュアリーにもなっていて、これらの動物は非常に厳重に
    保護されている。釣りも禁止されている。
    平和な島には似つかわしくない小銃を抱えた海カメレンジャーが時々巡回し、
    午後11時から午前5時までは外出禁止となっている。
    島にあるのは、基本的には浜辺にある3つのダイビングサービスと
    その"バンガロー"くらいである。"バンガロー"は、時々"水上コテージ"になる。
    といっても、そんなロマンチックなものではない。
    高床式の板張りの小屋は、亀の子タワシに使うヤシの実の毛のようなもので
    できた屋根に覆われている。高床式になっている理由は、この日の夜に
    判明するのだが、満ち潮で砂浜が海水に浸ってしまうからである。
    島の回りはサンゴ礁に取り囲まれているが、ダイビングサービスのある
    正面側(北側)は、海に入ってリーフ上を10m行くと、そこは深さ600mの
    ドロップオフ。突如、海の色が変わっている。

    私の利用した Borneo Divers は、3軒のサービスの中央に位置し、
    ポジションとしては絶好である。PSRもビーチまですぐだが、
    Sipadan Diving Center は、ビーチダイブにはちょこっと歩かなくてはならない。
    (といっても、本当にちょこっとですが)
    実は、3軒以外にも2つのサービスが営業開始をしているそうですが、
    正式に認められたものではありません。政府(州?)としては、今の3軒も
    減らしていきたいと考えているそうです。

    ここから、私のダイビング三昧の生活が始まるのである。
    なお、lalaさんの「Sipadan Report」のフォーマットのパクリです。(^.^;)

    Div No. Ent.-Ext. Max/Ave. Dep.  Guide.  Point Name
  
    87   14:07-14:42  21.1m/10.4m    Haris   Drop Off (Right) [Check Dive]
      とりあえずチェックダイブ。とってもPSR(Pulau Sipadan Resort)と同じで
      マスククリアなどはなく、ウェイトのチェックのみ。
      チェックダイブなので、Max は 18m と言われ出発。
      海の色は結構濃い。プランクトンが多いため、透視度は 25m 程度。
      話には聞いていたが、本当に目の前のドロップオフでギンガメアジの群を
      見ることができる。これはやっぱりびっくりさせられることである。
      大きさは 20cm〜25cm 程度と小ぶりで、100匹くらいですが。
      オヤビッチャ、カスミチョウチョウウオあたりは当たり前である。
      さっそく小さなカメが私達を出迎えてくれた。
      多くの人が潜るせいか、サンゴはかなり傷んでいる。
      途中、30m より深いところで、1m弱のサワラのような回遊魚がいた。
      600m のドロップオフといっても、多少は段になっているところがある。
      その最初の段が 21m くらいのところにあり、ここが昨年、一昨年と続けて
      日本人ダイバーが命を落した Turtle Cave になっていて、「Danger」との
      看板が入口に立っている。
      ここの砂地のところに、80cmくらいある大きなモヨウフグが這いつくばっている。
      奥の方には、1.5m くらいある バラクーダの老成魚。
      後で聞いたところによると、ジョージという名前で根付いているらしい。
      時間は35分と短めだったが、チェックダイブとは思えない充実した内容だった。
      ジョージを見に行ったせいで、Max 18m のところを 3m ほどオーバーして
      しまった。これからずっとそうだが、Borneo Divers は、
      結構自由に動かせてくれるのが嬉しい。
  
    88   16:34-17.16  28.4m/11.9m    None    Drop Off (Left) [Extra Dive]
      1本目の後、スコールがやってきたが、1時間弱で止む。
      さっそくのエキストラダイブ。大阪弁3人組とTonyとで、今度は左に行ってみる。
      この Drop Off は、ナビゲーションが超簡単である。基本的に壁沿いに
      行って帰ってくるだけで、ハウスリーフのところにはロープが張ってあるので、
      間違って洞窟に入らない限り、ナイトでも心配はいらない。
      ただ、あまり遠くに行くと、North Point という流れのきついポイントに
      出てしまうので、気をつけろという指示があったっけ。
      さっそく、カスミアジの小さな群が過ぎ去っていく。
      ツバメウオも全然逃げようとしない。
      今度のカメは、先ほどのより大きく、1m くらいあった。
      リーフの上では私の一番好きなクマノミが見られた。
  
    89   20:13-20:58  12.8m/7.3m     Ken     Drop Off (Left) [Night Dive]
      夕食後、ナイトダイブに出かける。通常、ボートダイブ以外にはガイドは
      付かないが、この日は Ken が行くというので付いて行った。
      バディがいないと潜れないので(当たり前)、これからエキストラダイブは
      バディを探すのが一苦労となる。
      昼間いなかったカンムリブダイがどこかからか集まっている。
      みんなのライトに照らされてか、まだ寝ていない。
      ミノカサゴ、ウツボ、寝ているカメ、カクレエビなど。


    夜は、完全に3種類の過ごし方に分かれる。一つはとっとと寝てしまう人達。
    そして、ショップツアーで来てまとまっている日本人グループ。
    最後が、フリーでやってきている日本人+外人のグループ。
    私は、家族でやってきているドイツ人や、スタッフのフィリピン人などと、
    立体四目並べゲームに興じる。
    ドイツ人のお父さんは、アマレスのチャンピオンだったそうで、
    もう50歳をとっくに過ぎているだろうに、締まった筋肉をしている。
    息子の Martin は私と同じくらいの歳で、これまた鍛えられた肉体をしている。
    Martin に日本人大学生が腕相撲を挑むが、左効きの彼に右手であっさり負け、
    全然勝負にならない。そこで、指相撲で対決することを提案。
    初めての指相撲は、結構受けていた。

    23時過ぎ、就寝。長い、長い一日だった。

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