ここでは、ライティングの源であります、光源についてお話します。

色温度

難しい話は省略しますが、フィルムの種類にデイライトタイプとタングステンタイプがあるのはご存知ですよね。
間違えて昼間の外の撮影でタングステンタイプのフィルムをノーフィルターで使って、画面が真っ青になったり、
反対にアイランプなどのタングステンライトを使っているのに、デイライトタイプのフィルムを使って真っ赤になったり
したことはありませんか?(僕は昔、両方経験していまして・・・)

光は色温度(単位は〜゜K…ケルビン…)によって、色が違います。
色温度は高くなるほど青くなり、低くなるほど赤く(アンバー)なっていきます。

大きくわけると、デイライト(太陽色…5000〜5500゜K)とタングステン(電球色…3200゜K)の2種類ですが、
色温度変換フィルターを使うと、より細かな光の色を作ることができます。(→色温度変換フィルター)

色温度は、ライティング技術においては最も基本で、重要な事なのです。

光源

           光源には、実に様々な物があります。

太陽・・・・・・・昼間の外の撮影では、太陽の光を基準に考えなければなりません。→5000〜5500゜K
           そして、外光に大きく影響されている室内の撮影で、ライトを使用する場合、
           光の色温度を合わせる必要があります。
           H.M.Iのようなデイライトを使わない時には、色温度変換フィルターをライトにかけます。
           また、太陽の直射よりも曇りの日の光の方が色温度は高く、日向より日陰の方が高いです。
           (細かい事ですが)
           タングステンのフィルムを使って太陽光などのデイライトで撮影するときは、
           カメラの方に色温度を変換するフィルターをかけます。
           コダック・・・No.85  フジ・・・LBA.12
           尚、いずれのメーカーにも、変換したい色温度の数値に対応して、種類が分かれます。
           例えば、蛍光灯のように色温度が4500゜K前後のときには、
           コダックだとNo.85Cをカメラにかけます。

蛍光灯・・・・・蛍光灯にも種類があって、白色、昼白色、昼光色と、全て色温度が違います。
           更に、蛍光灯を光源にして写真や映像を撮った人はわかると思いますが、グリーンが出てしまいます。
           室内でライトを使用して撮影する時にどうしても蛍光灯を生かさなければならない場合、
           例えばオフィスやパチンコ屋などでは、使うライトにプラスグリーンのフィルターをかけます。
           蛍光灯だけの光の中で撮影する場合、現像の時に、現像所でグリーンを抜いてもらうか、
           撮影する時にカメラの方にマイナスグリーンのフィルターをかけるなどの方法を
           考えなければならないと思います。(マイナス、プラスグリーン)
           ノーマルの光の中で、数本の蛍光灯がどうしても気になるという場合は、蛍光灯自体に
           マイナスグリーンのフィルターをかけるという方法もありますが、画面に写らないか、
           目立たないところにある場合がいいでしょう。
           一番簡単なのは、AAA演色 色評価と表示されている蛍光灯が市販されていますので、
           交換することですが、一般に使われているものより値段は若干高価で、取り寄せの場合があります。

           蛍光灯には、周波数というものがあるので、フィルムでもVTR撮影でも、シャッター開角度を
           調整しなければ、フリッカーが出てしまいますので、注意しなければなりません。
           フィルムの撮影では、関東圏は(50サイクル)172.8度、関西圏は(60サイクル)144度です。
           ※照明機材会社には、フリッカーの心配のない高周波の蛍光灯ライトをおいてあるところもあります。

電球・・・・・・・一般家庭で使われている60W,100Wなどの電球、レフレクターランプ(ナショナルレフランプ、
           アイランプなど)、ハロゲンランプなどの電球色はタングステンと呼ばれ、3200゜Kが基準です。
           基準、というのは、種類によってや、古くなると、若干低くなることもあるからです。
           タングステンのライトを使ったり、タングステン球がメインになっている場所で撮影する時は、
           フィルムもタングステンタイプを使うのが一般的ですが、デイライトフィルムを使う場合は、
           カメラに変換フィルターをかけます。
           

月光・・・・・・・実際、色温度は高いので、ライトを使って月光を設定する時も、青くする場合が多いです。
           その場合は、色温度変換フィルターをつかうか、色々な色のエフェクトフィルターを使うかは、
           ライティングをする人、ライティングする時の選択で、自由に設定されます。
           また、青くすることが多いのは、青い方が見た目の印象が月光っぽいだろうということで、
           青くしなければならないということでは決してありません。

炎・・・・・・・・・火事のシーン、焚き火やたいまつの光を設定する時に、火は赤いという印象から、
           赤系統のエフェクトフィルターをよく使います。
           しかし、まったく赤だけだと逆に不自然(信号の青を、緑ではなく、そのまま青い光にするように)
           なので、オレンジ系やイエロー系といった色のフィルターを組み合わせて使ったりします。
           「系」というのは、濃さなど、種類が非常に多いので。
           どういう色にすればリアルかというのは、ライティングする人の研究しかありません。
           それは、夕陽の色や、花火の色など、僕達プロも日々研究なのです。
           

実生活の中では、何種類もの光源があり、それらがいつも混ざり合っっています。
映像でドラマを表現していくには、そのシーンにおいては何がメインになっているのかを明確に設定すると、
カットが変わるたびに色が違ったりして、バラバラになってしまうことも避けられると思います。
例えば、部屋の電気は何がメインになっているのか、夜の外だが、月光なのか、街の水銀灯なのかなど、
プロの技術者はまず考え、想定します。
そのような事を考えると、いつもと違った発想が産まれるかもしれません。