老少五個半 
 
(見えますか、心の絆) 

 1989年

 リュウ・ツーイー
ウー・マ
エリック・ツアン 他

 日本未公開にして、テンテン屈指の異色作。だがその内容は本物で、脚本は優良映画シナリオ賞を受賞したほど。両親の元から逃げ出したテンテン演じる自閉症の少女イーイーが、4人の若者と1人の老人に出会い、生活と夢を共にしていくというストーリー。見終わった後は何とも言えない切ない気持ちで胸がいっぱいになる。キョンシー時代そのままの顔立ちにノスタルジックな感情を抱かせる反面、現代劇を演じるテンテンには新鮮な驚きと感動がある。役柄上、彼女のセリフは非常に少ないが、自閉症から立ち直っていく少女の内面を、表情と動作だけで豊かに表現。可愛いだけでなく、役者としての振り幅の大きさも見せている。『新十二生肖』同様、日本公開されなかったのが惜しまれる秀作。
 なお当方がこの作品を入手した経緯や詳細なストーリーについては『特集コーナー』『最後の未発掘映画「老少五個半」』をご覧頂きたい。

* * *以下追記* * *

【ストーリー】
 母親のスパルタ教育により自閉症を患っていた少女・イーイーは、両親のもとから逃げ出し、ひとりの老人と4人の若者に出会う。若者たちは明日のメジャーバンドを夢見て音楽活動に打ち込む仲間同士で、老人が郊外で細々と経営する盆栽園に住み込みで働いていた。イーイーはそこで寝食を共にし、バンドの練習にも加わるようになった。笑顔を取り戻し始めたイーイーと若者たちは、バンドのコンテストに出場することになる。しかし母親の捜索願を受けた警察の捜査の手が、老人のもとへ迫っていた。