117   蠅声の王(LostScript)
 
 新米のハンターであるアイン(変更不可)は師匠に連れられて南米のとある廃村を訪れていた。情報ではそこは吸血鬼の住まう地とされているのだが果たして。目指すターゲットと師の間にはいかなる因縁が。アインの迎える夜明けはどのようなものであろうか。
 
 新ブランドLostScriptの第1弾は昔懐かしのゲームブックをパソコン上に再現したデジタルゲームブック。ナンバーワンよりオンリーワンといった企画です。その昔は例に洩れずやり込んだクチなので懐かしさも手伝って購入しました。
 初回特典は特製六面ダイス2個とDVDトールケース用交換スリーブ5枚。他にキャラクターステータスシートも同梱。
 
 修正ファイルが出ています。
 
 ジャンルはすでに述べたようにデジタルゲームブック。可能な限りゲームブックのプレイ感を再現しようとしているのでプレイヤー自身がシステムを担うケースが多いです。キャラクターのHPを決めるのもプレイヤー、戦闘時のダイスを振るのもプレイヤー(パソコン上で振ることもできるが管理はやはり自分)、その結果であるダメージの入力もやはりプレイヤーに任されています。キャラクターステータスシートが同梱されているのは伊達ではありません。
 割り振られた数字(項目)はパラグラフと呼ばれ、これを渡り歩くことでゲームが進みます。移動するための手段が選択肢もしくは手動でパラグラフを入力するスフィア。ここでもプレイヤーの自由意志で好き勝手に入力することが可能です。投げっぱなしと開発陣が公言する由縁です。ちなみにホイールマウスがないとスフィアを動かすことができません。つまり、半分以上ゲームになりません。
 足回りはかなり不親切な印象を受けます。メッセージスキップはありません。スペースキーで多少は早くなりますが楽に目で追えるスピードなのでスキップとしての意味は皆無です。真面目にプレイするなら幾度も同じ文章に接するゲームでこれはどうかと。
 バックログは別画面で行います。当然ホイールマウスに対応していますがパラグラフを跨いで戻ることはできないので機能としての意味は薄いです。
 全てはゲームブックを再現という目的をもっての設計なのかもしれませんが足回りくらいはもう少し親切でも良かったのではないでしょうか。
 
 シナリオはほぼ一本道で1ルート。ゲームブックという特性を考えてももっと分岐しても良かったように思います。それを塞ぐ形で謎解きを用意。難度はほどほどで難しすぎるということはないかと。どうしてもの場合はヒントもあります。
 俯瞰的に見ると物語重視とゲームブックとして謎解きを用意しなくてはならないことにジレンマがあるようにも感じました。一本道がそうしたイメージをより大きくしています。あまり物語を重視しすぎるとジャンルの意義が薄れてしまいますし難しいところです。
 テキスト量は控えめな印象を受けました。パラグラフで区切られていることと雑魚との戦闘に描写がないせいかもしれませんが、読んだ感覚は少なかったです(つまりはゲームブックを体現できているということかもしれません)。そのテキストは基本シリアス、時折ギャグという配分。ひたすらに吸血鬼退治という展開を考えればギャグ要素はかなり多いのかも。ゲームブックゆえに伏線は使いにくく実際にも少ないのですが、その少ない伏線を最後の最後まで引っ張るのはやや気になりました。似たような伏線をほぼ同時に開示というのも安直な気が。
 戦闘に継ぐ戦闘が基本なのでキャラクター同士の惹かれ合う過程はかなり希薄です。ただ、基本的に全てが異常事態にあっての出来事なので気にすることはないのかもしれません。
 Hシーンはその道のりにしては数多く用意されています。終盤になると謎解きと同じように特定のアイテムを得ていなければ見られません。エロ度にもかなりの頑張りが感じられます。ただ、そこに至る理由が体力回復か救命しかないというのはどうかと。
 シナリオ中には同性愛シーンや残虐シーンがありますが、パラグラフを分けることによって避ける(見ない、モザイクをかける)配慮がなされています。
 
 CGはメインキャラクターとその他で大きな開きがあります。それこそアニメと実写くらいの。この隔たりは気になる人にとってはかなりの壁と感じるかもしれません。相手がグールばかりであるのが救いです。背景も写実的でやはりメインキャラとの間に違和感を感じたり、普通に何が描かれているのかわかりにくかったりもしました。
 メインキャラはVanilla氏が担当。瞳と瞳の間がやや離れているのが特徴ですが、見続けているうちに気にならなくなってくるから不思議です。立ちCGを含めて実に魅力的な表情の変化を見せてくれます。Hシーンにも同じことが言えてさすがにまずエロいことを基準に選ばれただけのことはあるかと。
 
 音楽はシーンによって鳴ったり鳴らなかったり。完全に無音の時もあればSEだけが鳴っている時も。要所要所では流れるものの、ちょっと鳴っていない期間が長いように感じました。機会の少なさゆえか戦闘以外はあまり記憶に残りませんでした。
 ボイスはありません。
 
 まとめ。やはり実験的作品でしょうか。当たり前といえば当たり前ですがゲームブックを楽しめることが重要。ダイスを振るという行為に何も感じることがなければ自由度の高さはそのままストレス値に直結します。反対にスフィアをいじるのが楽しければぐっと印象は良くなります。少なくとも嫌いであれば手を出すべきではないと思います。
 今後はあるならばバランスが問題でしょうか。ストーリーと謎解きの兼ね合い。個人的にはもう少し先が読みにくい冒険ものの方が向いているように思います。
 お気に入り:アイン、コサチ、プレさん
 評点:69
 
 意外と思い入れはないのでキャラ別感想はありません。


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