155   創世奇譚アエリアル(あかべぇそふと3)
 
 人類は窮地に追い込まれていた。海面上昇に宇宙からの侵略者。いまや地球上の人口はわずか10万人しかいない。ひたすらに消耗していく人類軍。果たして打つ手はあるのか。
 
 あかべぇそふと3のデビュー作第2弾は第1弾とは打って変わって人類と宇宙怪獣の戦いを書いたロボットもの。
 購入動機は他に目ぼしいものがなかったので。
 初回特典はマキシシングル「歌姫の呼声」。予約キャンペーン特典は「アルテミスブルー」特典版(Hシーンなし)。
 
 ジャンルはいつも通りのアドベンチャー。フローチャートが用意されていて、シナリオ通過後は各話の好きなところから読むことができます。
 足回りは使い勝手が悪いです。メッセージスキップは既読未読を判別しているようで時折、既読文にしか見えないところで停止することがあります。文章は同じだが、差分CGが異なるから止まる、なんてことも。また、選択肢間が長いため暇潰し道具があった方がいいでしょう。ただし、スキップ停止に備えてモニターから離れるのは薦めません。
 バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能でかなり戻ることができます。ただし、ロード直後は使用不可。
 本作はなぜかメッセージスピードをNo waitに設定できません。
 
 本作は話数形式を採用していて次回予告の演出があります。オープニングやエンディングにあたるものはありません。視点変更がしばしば発生します。
 シナリオはほとんど一本道です。にも係わらず本作は複数ヒロイン制を敷いています。よって同一の展開ながらそこにいるヒロインだけが違うという、いささか無理のある構成です。これによって1周目と2、3周目の緊張感の落差がえらいことになってます。テキストも差分と呼ぶに相応しいくらいの内容です。単純にヒロインのキャラ立てという意味でも弱さを感じやすくなっています。
 それでも1周目の読ませる力はかなりのもので、丁寧でわかりやすい描写は好感が持てます。時たま見せるご都合主義もなんとか許容範囲内に納まっています。ただ、SF考証的な意味ではあまり深い描写がないため、必然的に「流す」必要があります。
 恐らくはテーマであろうという主張が繰り返し出てきます。それはもうやり過ぎだろう、というくらいに。単一の価値観がいきすぎて宗教的にすら感じられるほど。もうちょっと抑え気味でも良かったのではないでしょうか。
 惹かれあう過程は戦時下ということもあってか、たいへん苦しくなっています。それどころか、この点を論じること自体が虚しいヒロインもいたりします。そもそも、本当にヒロインと呼んでいいのか疑わしいです。
 Hシーンはとても難しい項目です。回想シーンの数字的には各ヒロイン5回程度なんですが、個人的には1回と見做したいところです。ネタバレなので詳細は伏せますが、そういう明確な理由があります。サブキャラにも一応、用意されています。内容は精神的にも嗜好的にもかなり偏っているので、うっかりすると笑ってしまう可能性があります。注意が必要でしょう。つまり、よほど合わない限りあまりエロくありません。
 
 CGはかなり気合が感じられます。効果というものをよく考えて描かれたものがとても多いです。背景を含めて作品の世界観というものをしっかりと担っています。欲しいところに適切に用意されていると感じました。
 Hシーンは設定を考えなければそれなりにエロいですが、実際にはそうもいかずやはり色々と難しいことになっています。
 
 音楽は場面に応じた曲がバリエーション豊かにしっかりと用意されています。多彩な状況のある作品なので盛り上げ役としての役割を十分に果たしています。ボーカル曲も卑怯なくらい効果的に使われています。
 ボイスは主人公を含めてフルボイス。珍しいことに主人公にもHシーンのボイスが用意されています(コンフィグでHシーンだけなくすことも可能です)。演技の方は特に問題ありません。どのキャラも熱のこもった演技を聞かせてくれます。
 
 まとめ。温度差の激しい作品。間違いなく意欲的な作品ではあるんですけど、ルート設計に関して失敗した感は否めません。普通に単独ヒロイン一本道か、バッドとトゥルーの2本構成で良かったんじゃないですかね。基礎的な出来は良かったので次も期待したいです。
 ところで、パッケージ裏がすんげーネタバレなのは仕様ですか? 
 お気に入り:星海凪
 評点:70
 
 以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。
 
 
 
 
 
 
 
1、柏木りさ
 どうやっても死ぬしかない運命が悲しい。難しいところですが、ビーナス01で出てくるのに最も相応しいのはやはり彼女ではないですかねぇ。あの状況で会いたい相手と言えばやはり、ね。
 出征前の晩に扉を開けるなり逆ギレ(?)するあたりよくわからない。せめてもうちょっとわかりやすい兆候を出すか、さもなくば普通にワンクッション置きましょうよ。主人公は理解するのが早すぎるよ。普通は呆気にとられるところでしょ。
 うるさいことを言えば、りさは運命が確定していることをまるで知っているかのように話しすぎだと思いました。万にひとつも帰れない、それくらいの悟りが入っているような語りでしたよ。
 墓場での会話のフェイントが酷すぎ。しかも、エンディングの方よりラスボスのアレの方がよほどそれらしく感じてしまえるあたりちょっと。正解が成長した妹と会える、というあたりよーわかりません。確かにそっくりですけど、ソレ会えたって言うのですか? 妹の娘あたりとかにしとくもんじゃないですかね、こういうのって。
 
2、工藤涼子
 どのへんがヒロインなのか真面目に聞きたい。アシストシナリオとか呼びたい気持ち。妄想彼女を兄貴に寝取られ、ってどうなのさ。いや、自分からやっているから寝取られとは言わないのかしら。
 ラウンジのイベントCGがなんか変なような気がします。
 ビーナス01での私服は伏線だったのですね。私はてっきり素材の節約だとばかり……。
 
3、美咲未来
 頼りにならない幼なじみって萌えませんねぇ。シーンが進んでも進んでもおんなじリアクションばかりなので途中からすっかり醒めた目で見ておりました。
 結局、カップルになってもあんまり妄想時代と変わっていないような気がするんですけど。
 
4、星海凪
 わずかな感情の揺らぎが可愛らしい。ワンピースを気に入る一連のエピソードは良いですな。ショートシナリオ、それも番外編なのはもったいないと思います。


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