198   夏色小町(Purple)
 
 夏を迎えて中田友也(変更可能)の通う学校は全国からの注目を浴びていた。それもそのはず、弓道部には二年連続で全国優勝の栄冠に輝いている有賀美琴がいたからだ。水泳部部長を務める友也は幼馴染みの活躍を複雑な気分で眺めていた。
 
 Purpleの新作はメインヒロイン姉妹が弓道部所属というなかなか珍しい設定のアドベンチャー。おまけに舞台は田舎と作品全てが和風の薫り。そんなところに惹かれて購入を決意。個人的な初Purple作品でもあります。
 初回特典はサウンドトラック。
 
 システムは標準的なアドベンチャー。個性という名のアグレッシブな要素は特に見当たりません。安心してプレイに望むことができます。
 足回りは及第点以上はキープしています。メッセージスキップは速度は標準程度ながら既読未読の判定がやや不安定。劇中の誰のルートでも発生する弓道大会の日のテキストが夕方まで同じであるにもかかわらず、なぜか全てのシナリオでスキップできません。チェック漏れにしてはずいぶん大きなものだと思うのですが。
 メッセージの巻き戻しはウインドウ単位で行います。ロード直後にも使用可能、ボイスの再生も可能、ホイールマウスにも対応、恐らくはオープニングまで戻れると完璧に近い仕様を実現。
 クイックセーブ&ロードがウインドウメニューからしかできないのは明らかに不便。通常のセーブ&ロードと変わらないような。
 少し変わった点として、選択肢によってヒロインの一人のメガネの有無を選ぶことが可能。ただし、一部の属性の方のためのズレメガネはありませんし、シナリオも性格も変わりません。ちなみに2回プレイしなくては鑑賞モードは埋まりません。個人的にはシナリオに変化がないなら、一度で埋まってくれてもいいような気がします。
 
 シナリオは設定をあまり活かしきれていないように思います。残念なことにヒロインが弓道部である意味がまるで感じられません。舞台が田舎である意味も特になく。ゲーム全体で「○○らしさ」というものが不足していて、どういった意図で設定を作り上げたのか少しも見えてきません。もう少し「この設定だから」というこだわりがあれば良かったように思います。
 イベントも全体的に淡白な印象で選択肢による変化が悲しいほど少ないです。もう少し起きる出来事に違いがあった方が良かったのではないでしょうか。正直、どれも似たような話と感じやすいです。
 ライターが複数であるためか、シナリオによって分量が大きく違うのも気になるところ。全く同じにする必要はありませんが、特に意味がないのであれば、ある程度は揃えるべきではないかと。
 個別シナリオに入るとそれまで毎日のように顔を見せていたキャラが出なくなるというのも不自然に感じてしまいます。まして、その中には同じ家に暮らす義妹もいるというのに。
 
 CGは基本的に誉めどころ。さすがに前人気がほどほどに高かったこともあり、魅力あるCGが揃ってます。中には同一人物に見えないものもありますが。
 立ちCGは表情、ポーズ変化ともよく変わってくれます。ただ、メインヒロインの妹、美樹だけはどうも安定していません。どうして一人だけ、というくらいに他のヒロインとは出来に差があります。
 オープニングデモにはアニメーションを採用。画質、絵のレベルともフルスクリーンでは厳しいので、ウインドウサイズでの鑑賞を推奨します。個人的にラストのヒロインの笑顔はちょっと怖かったです。また、ほぼ全てのカットに本編との関連性がないのもどうかと。
 
 音楽はどうにもどこかで聞いたような旋律が多かったように思います。オープニング以外では個性的な曲として印象に残るものはありませんでした。レベル的にもちょっと苦しいのではないかと。
 ボイスはヒロインのみフルボイス。演技はかなり微妙なように思います。見た目とのギャップもそれなり以上にあるように感じました。
 今作ではボイスの発声部分に変わった措置が採られていて、主人公の名前など無音の後の「君」や「さん」を発音しています。これにはかなりの違和感がありました。聞いていても不自然ですし、意味があるようには到底、思えませんでした。
 
 まとめ。量産型「君が望む永遠」。部分的にそんな趣あり。ただ、それでも誉めすぎなように思いますが。全体的なレベルアップが必要かと。
 お気に入り:護国静音(ギリギリなんとかって感じですが)
 評点:50
 
 残念ながらキャラ別感想を書くほど感じるものはありませんでした。


前のページ 目次 次のページ


| ホーム | サイトマップ | 更新履歴 | 徒然なる日記 | 不定期映画鑑賞記 | ゲーム感想 | 気になるタイトル | リンク |