215   桜吹雪〜千年の恋をしました〜(Silver Bullet)
 
 母の死を契機に柊一成(変更不可)は腹違いの姉に呼ばれる格好でお嬢様学園へと入学した。それも特待生という唯一の男子として。当然のように浮きまくりの一成であったが、ある日ひとりの少女を助けたために華仙祭実行委員、通称「桜吹雪」という厄介事に巻き込まれてしまう。それは果たして偶然か必然か。因縁めいたものが学園で渦巻き始める。
 
 Silver Bulletの新作はサブタイトルにもあるように前世要素の絡んだお嬢様ものアドベンチャー。
 購入動機は基本として原画買い。桜沢いづみ氏の巨乳キャラはとても珍しいと感じたことも興味を引かれる要因でした。
 初回特典は特になし。予約キャンペーン特典は特典原画集、録り下ろしオリジナルドラマCD、特製卓上スクールカレンダーの3点セット。出したらしまいにくいのが特徴です。
 
 ジャンルはいつも通りのアドベンチャー。特に変わったところはありません。
 足回りは2009年製とは思えぬ杜撰な作り。メッセージスキップは既読未読を満足に判別してくれません。2周目以降は既読文の判定が甘いのか明らかに同じ文章をスキップしないことも。少しでもまともに動くのは序盤のみで作中のイベント「歌合わせ」以降はまるで反応してくれません。速度も遅く周回ごとの個別シナリオへ進むことが面倒な作業となってしまっています。
 バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能ですがほとんど戻ることはできません。また、選択肢表示の際やロード直後にも使用できないので不便です。
 ワイドモニターに対応したアスペクト比の固定機能はありますが、画面の左右両端のエリアではクリックが効きません。
 クイックセーブ&ロード機能が未搭載。選択肢表示時のバックログ機能と併せてより使い勝手が悪くなっています。
 後述する他要素のことも含めて修正(アップデート)ファイルが出ていないのが信じられない内容です。
 本作は非常に残念なことに起動ディスクが必要な仕様になっています。
 
 シナリオはクリア順の制御がかかっています。桜沢紅紗シナリオはオーラス扱いなので他の3人を終えるまで進むことはできません。
 各シナリオは基本的な物語を同じとしながら、その中において異なる話を書こうとしているので全体的に起伏に乏しくなっています。また、最終シナリオを除くと伏線が個別シナリオにおいてあまり関係を持たない作りとなっているので焦点がぶれているようにも。平たく言えば単体での魅力が弱いです。
 日常の掛け合いはクセは強いものの、それこそが潤いとなって笑いを呼んでいます。その分、合わなければ苦しいというリスクを抱えていますが。個人的には平坦な毎日をどうにか彩ってくれていると感じました。
 惹かれあう過程は複数ライター制のためかシナリオによって差があります。概ね用意されていると言えますが、肝心の最終シナリオのヒロインだけが妙に弱いように感じました。
 場面転換に扇を用いた演出を入れているのですが、これを用いないシーンにおいては唐突な転換が数多く見受けられました。視点変更なども同様に前触れなく起こることが多く戸惑わされがちです。
 前世要素を設定に用いながら、その前世のシナリオがありません。過去の出来事が曖昧なので思い入れを持ちにくくなっています。また、本作の設定における真打ちと呼べるキャラにシナリオが用意されていないのは非常に不可解に感じます。
 全体を通して誤字がとても多いです。大事なシーンで気が抜けるようなものまで残されていて甚だ残念。ボイスの収録に関係しているのか呼称が表記とボイスで合致しないことも頻繁にありました。
 Hシーンは各ヒロイン3回ずつ。尺は短かめで数字ほどには多く感じません。
 
 CGは原画家2人としては枚数が少なく物語の長さに対して不足している印象があります。個人的にはそれほど必要ではないものに用意しているように感じました。
 結果的に立ちCGにしわ寄せがきていますが、それに対するには立ちCGのクオリティも枚数も不足気味です。中でもサブキャラのデザインには見るに耐えないものがあり猛省を望みたいところ。
 エロ度は純愛系として普通レベル。構図にやや気になるものがある以外は特筆することもありません。
 たった今まで制服姿だったのにいきなり私服姿に、なんて感じのわかりやすいスクリプトミスが散見されました。しっかりデバッグをして欲しいところです。
 
 音楽はその時の登場キャラによって大きくイメージが異なる印象を受けました。よってシーン自体は似たようなものでも聞いている曲に落差を感じることも。状況に応じた曲は用意されていたように思います。
 ボイスは主人公を除いてフルボイス。演技の方は特に問題なくキャラにもよく合っていました。中でも宮乃紫苑役の岬友美さんの悪口雑言ボイスは掛け合いとキャラの魅力の確立に深く尽力していました。
 
 まとめ。完成度の低い佳作。システム的には言うまでもなくシナリオにも不完全と感じるようなところがありました。正直スタッフにはもっと理想を高く持って欲しいです。明らかにできることをやっていないように見えてしまうのは頂けません。
 お気に入り:宮乃紫苑
 評点:65
 
 以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。
 
 
 
 
 
 
 
1、桜森紅紗
 最終シナリオとしてはかなり物足りない内容でした。クライマックスに入るまでは全シナリオ中で最も退屈で驚いてしまったくらい。最後もなんだか締まらないですしね。あれだけ対立しておいて封印が解けても目に見えて悪いことは何も起こらないし。
 結局のところ、1000年前も今もマイクロがやらかした、という点は変わらないんだなぁ。しかも、転生ではない、ってことはこの容姿の奴は危ないってことにならないだろうか。
 天才肌と言うのが伝わってこなかったですね。最後だけ実は剣の達人とか言われても納得できませんよ。
 で、中盤に人格がおかしかったのはどういうことなんですか? なんかここでも未完成の匂いを感じます。本来のプロット通りなんですかね、本作は。
 
2、天蕗雪花
 3人の中では最も過去世を今にいかしていましたね。そこだけは感心。ただ、ネタを用意した割にはライターがあんまり姉キャラを好きではないのかなぁ、なんて気がしてました。それほどこだわりを感じないんですよね。
 
3、麒麟寺向日葵
 隠し事のできない向日葵が完璧にスパイの役割を果たせている、というのは正直駄目でしょう。縁戚を考えれば紅紗が気付かないのは不自然にもほどがあると。聞いたことを伝えるだけなら小学生でもできるでしょ。
 戦闘シーンが駄目駄目な本作では彼女のプロフィールは虚しいばかり。
 
4、宮乃紫苑
 笑いの8割はつらら姫の罵詈雑言にかかっていました。紫苑がいなければ途中で退屈さに耐えきれなかったかもしれません。
 ま、正直に言って中盤から急におとなしくなってしまった感は否めないのですけど。個人的にはもうちょっと牙城が険しいと良かったのですけどね。
 
5、桜森杏子
 や、運命の人でデザインは桜沢いづみ氏でボイスは青山ゆかりさんですよ? どうしてヒロインでないのやら。ありえないと言っていいと思います。よもやとは思いますけどこんな設定を用意しておいてライターは前世ネタが嫌いとか?


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