265   ホワイトブレス(F&C)
 
 死に直面したとき
 残された時間の中で
 日々の大切さを知った
 主人公は茜坂学園に通う2年生、相模司。
 級友でケンカ友達の「未緒」、サッカー部のマネージャーで後輩の「ののか」、仲良しグループの「美乃」、そして悪友の「刹那」。
 学園にはかけがえのない友人と後輩。家には従妹の「凪沙」。
 みんなに囲まれた楽しい生活が、いつまでも続くと信じていた。
 がしかし、彼が幼少の頃に患った病気が再発し、卒業まで命がもたないとの診断を受ける。彼は、残された時間を大切な仲間達のために費やそうと決める。
 (パッケージ裏より抜粋)
 
 ここ数年めっきり作品の発売ペースが落ちているFC02の新作は「With You」のシナリオ、原画コンビが贈る冬の街の物語。死を題材にした作品というと昨年暮れにFC01から「こなたよりかなたまで」が出たばかりですがその意図は果たして。
 初回特典はホワイトブレスメモリアルアート。これだけでは何のことやらわかりませんが、早い話がラフ+ゲストイラスト本というところ。こういうのはF&Cでもすっかり初回特典だけになってしまったんですねぇ。以前はマニュアルにこの内容が収録されている、という感じだったのに。
 
 「あいかぎ」なんかもそうでしたが、本作にもコピー対策が施されています。しかも、今回は起動の度にチェックに走るというリーフあたりと同じ仕様。こんなところだけ肩を並べてもねぇ。負けないくらい時間もかかるし。相変わらず正規ユーザーに負担をかける姿勢が好きみたいです。
 
 システムは特に目新しいところのないアドベンチャー。あえて書くなら毎朝、各ヒロインの行動予定を見ながら自分の行動を決定します。複数のヒロインを選べますが、同時攻略ができる訳でも当該ヒロイン攻略時には見られない会話がある訳でもないので意味はありません。2周目以降のスキップの嵐を避けるためにもオンリープレイに徹した方が無難かと。
 足回りは微妙に退化の傾向がられます。メッセージスキップは既読未読を判別して3段階から選択可能ですが、最高速でも他作品と比較して普通程度。既読チェックもそういう方向性なのかやけに甘いです。全く同じ文章であるにもかかわらず、ルートが違うとスキップが作動しないケースがやけに見られました。
 バックログは別画面で行います。戻れる量はほどほどでボイスのリピート再生も可能ですが、バックログの開始にホイールが非対応なのはやや不便です。始まってしまえば使えるのですが。
 本作のメッセージスキップは一度開始すると未読箇所に入っても解除されません(スキップ自体は停止しても機能は持続)。それは構わないのですが、困ったことにこの状態ではバックログが使えません。この使いづらい仕様はさすがに設計ミスではないかと思います。
 
 シナリオ。三つ子の魂百まで、とでも言うんでしょうか。「With You」のライターは数年を経てもやはり「With You」のライターでした。当ページであらすじを引用する時には決まって理由がある時です。これを見た時、どんなゲームを想像するでしょうか。なんでもない日常→病気発覚→人知れず悩む→今までどおり生きる決意→ヒロインと向き合う→エンディング、私ならこんな感じかと考えます。そのまんまですが。
 しかし、本作は違います。そのまんまではありません。生き方に悩むシーンなんて皆無です。なぜなら調子が悪くなると即病院直行だから。しかも、奇跡が起こる必要もなく主人公は全快。そこは既にエピローグ。苦悩する間などあるはずもなく。これでは看板に偽りありと言われても弁解できないような。というか、ここまで重要な設定が機能していないとインパクトをつけるために後付けした設定ではないかと邪推したくもなるのですが。
 シナリオは他愛ない会話の積み重ねで進行します。これがそこそこ効果を上げているとは思いますが、あまりにも他愛なさ過ぎるためキャラが気に入っていないと退屈に感じてしまう可能性が大かも知れません。
 すでに書いたようにあらすじと本編に食い違いがあるので真面目に取りあうのも意味があるのかわかりませんが、伏線の張り方が足りていないように感じました。あらすじに書いてあるような内容を必要以上に隠す意図がわかりません。情報の開示量が少なく、あらすじなどがないと意味がよく分からない面さえあるのはさすがにどうかと思います。
 年代を1999年にもってくる意味もよく分かりません。もしかして「With You」との絡みのためだけですか? そのあたりの基本アイデアはボツになったというのに。もしかしてボツになったのはかなり開発後期なんでしょうか。
 Hシーンはまるで過去に回帰したようにキャラにより1回ないし2回。2回あるキャラも1人は前編後編のような感じですし、もう1人の2回目は恋人だから仕方なくこなしているといった寂しい印象を受けました。
 
 CGは本作最大のアピールポイント。橋本タカシ氏は描く度に巧くなっているようで確かな進歩を感じます。今回は色使い、デザインとも現実的にまとめてあり、シックなイメージの冬の舞台によく合っています。ただ、この世界のデザインに「With You」の学園の制服は浮いているような気がしてなりません。しかも、黄色……。
 少しだけ気になるのはキャラの輪郭でしょうか。同級生キャラはひたすらに丸く、反対に年上キャラは楕円に描かれている感じがします。目からあごまでがやけに長いような。
 イベントCGは差分抜きで73枚と少なめ。ビジュアルに力を入れているゲームとしてはさすがにこの枚数ではちとさみしいです。
 立ちCGは世界観に合わせてか大袈裟なポーズ変化はなく、表情で勝負する方向性。大きなフェイスウインドウ(ウインドウはありませんが)も用意されており、表情の表現は実に豊か。気合の入りようが窺えます。
 背景は美しい仕上がりながらどうも実数に比べて少なく感じました。同じ箇所を頻繁に使う、たまに使う場所が常に同じ(例:遠出する時はいつも赤レンガ倉庫)など使用方法に若干の問題があるようにも。食事時のCGはハッキリと少なくメニューと見た目が異なるケースが九分九厘なのでさすがに違和感を感じざるを得ませんでした。
 
 音楽は落ち着いてしっかりと聞き入りたくなる出来。CG面の地味な見た目(誉めてます)に符合するような曲が用意されているかと。その分、印象度はやや弱めではありますが。
 ボイスは男性陣含めフルボイス。キャスティングは適材適所という言葉がピッタリで見た目から連想しやすい声優が配されています。もちろん、演技の方も問題ありません。
 
 まとめ。もうFC02は素直にFC01に混ぜてもらった方がいいんじゃないでしょうか。色々な意味で差がつきすぎ。素材はいいのに調理法が決定的に間違っている感じ。それとスタッフ、特にシナリオライターは「こなたよりかなたまで」をプレイしてください。そして、どこが違うのか考えてください。もしプレイ済みだというならもうつける薬はないかと。
 お気に入り:浅葉ののか、柊歩
 評点:60(ほとんどCGだけで稼いだ点)
 
 どうにも思い入れがないのでキャラ別感想はありません。


前のページ 目次 次のページ


| ホーム | サイトマップ | 更新履歴 | 徒然なる日記 | 不定期映画鑑賞記 | ゲーム感想 | 気になるタイトル | リンク |