序章〜
農園の四季 〜春の章〜
3月の初めに、この農園の雰囲気が気に入って会員を継続する人と新規に加入する人が一緒になり新たな農園活動がスタートする。

春浅くまだ風は冷たく感じるが畑に立つと広々として気持がいい。 農作業の基本は土づくりにある。

冬の間固くなり眠っていた土を耕す。
耕すことにより土がほぐされ、新たな空気も入り込む。
また、畑は酸性度が増す傾向にあるのでアルカリ性の苦土石灰を入れて 中和する。

腐葉土、牛糞、鶏糞、自家製の堆肥など有機質の元肥を畑に入れる。
併せて、野菜の成長に必要な窒素、燐酸、カリの成分を配合した肥料を 畑に梳き込む。

気温が上るにつれて土中の微生物も活発になり、野菜が育つ土壌が段々と 出来てくる。

連作障害の起こらないようにあらかじめ農園全体の作付け計画を描いておき、この青写真に基づき区割りして野菜ごとの畑を作る。

野菜の栽培は時節に合った栽培が大事である。

・春に種を播き春夏収穫するもの
・秋に播き秋冬収穫するもの
・一年かけて栽培するもの
・一年中いつでも種を播き収穫するもの
など野菜により栽培の時期が異なる。

特に、春夏野菜は種類も多いので忙しい。

また、野菜の種類により種から、苗から、種芋から栽培する方法があり、下記のような野菜を毎週のように次から次と種を蒔いたり、苗を植えたりする作業が続く。

苗を植えて
育てるもの
トマト、ナス、キュウリ、ゴーヤ、カボチャ、キャベツ、
ピーマン、シシトウ、タマネギ、ネギ            
蒔き育てるもの ホウレンソウ、コマツナ、シュンギク、ミズナ、 ニンジン、
ダイコン、キヌサヤ、インゲン、 エダマメ、トウモロコシ
種芋を植え
育てるもの
ジャガイモ、サトイモ、ナガイモ

収穫は前年から栽培しているネギ、キャベツ、タマネギ、ニンニクなどを 順次採り入れる。
また、春播きのホウレンソウ、ミズナ、カブの間引き菜は柔らかく美味しい。
またフキノトウが土の中から薄緑の頭を出し、春の香りと味わいを楽しむことが出来る。

春はさまざまな野草が畑の周りで花をつけて楽しませてくれる。

スミレ、タンポポ、ハコベ、ナズナ、ハルジオン、ホトケノザ、オドリコソウ、
オオイヌフグリなどが次から次と小さな花を咲かせる。

農園に昔からあるウメ、モクレン、ツツジなども月ごとに花を咲かせる。

モクレンは年輪を重ねた古木が3本あるが見事な白い花を咲かせる。
この時期、蝶や蜂などが畑の中を飛び回っているが野菜の交配を手助けする
大切な役割を果たしている。
序章〜