2019余所自作09『パニエなし魔法少女撮影会ver2』

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■注意
 この作品は某魔法少女作品の二次創作の更に二次創作みたいなモノです。二次創作やあかん事の創作に理解がない方は閲覧を御遠慮ください。

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 ――以上、二次創作とあかん事があくまでも創作だと理解してくださる方のみこれより先を読まれると判断します。
 

「あれ…?ない…?え……?」
 カーテンを引いたワゴン車の後部座席でコスプレ衣装の入っている紙袋を開いた少女は、ピンク色のワンピースと同じくらいにボリュームのある大きな白いパニエがないのに気付き困惑する。何度確認してもパニエはなく、車内には他に撮影道具が入っているらしき幾つかの折り畳みコンテナは積んであるが他の紙袋は見つからない。
 まだ中学生の身分を隠してのアルバイトでコスプレーヤーの真似事を初めて行う事になった少女は、一時間ほどの撮影会のモデルをすればいいと聞かされていた。この前友達に連れられ初めて参加したコミケにて借り物の衣装で大勢に撮影された数日後、どうやってか連絡先を知った人からのこの依頼があった…戸惑ったものの友達の誕生祝いの購入資金が乏しかった為、コミケ程度の撮影ならばと応じたその衣装が足りない。
「まどかちゃーん、皆集まってきたよー」
「は、はぁーい」
 ぴったりとフィットしているビスチェの様な上半身からローウエストで急に半球状に大きく広がるスカートの衣装デザインはパニエがなければ崩れてしまうと戸惑いながら、慌てて少女は着替え、髪を結い上げる。パニエのないワンピースは膨らみがなく、半球状に膨らむべきミニスカートがぺたりと落ちて何とも心細い上に、少女が好きなデザインとも一致しない。初めてのアルバイトの緊張と同時に華やかな衣装を着られる密かな楽しみが半減し、少し溜め息をつき、少女はワゴン車の扉を開いた。

「あれーなんだよフリフリしてないよー」
「待ってました!」
 到着後の撮影場所や概要を確認していなかった少女は、何十人もの男達が犇めいている状況に僅かに身を強張らせる。
 コミケ会場では大勢のコスプレーヤーが開けた屋上に大勢いたし、制服姿での集団撮影には友達と一緒にいたが、今この場には撮影対象は少女一人しかおらず、そして何か雰囲気が異常だった。高額そうな大きなレンズの付いた大きなカメラは変わらないが、どこか、コミケにはあった遠慮が感じられない。
「あ…あの……パニエ…が、なくて……」
「ほらまどかちゃん中央に来て」
 依頼主に手を引かれ、少女は廃墟の残骸を思わせる大きめなコンクリートブロックの上に立たされた。
 コスプレアイテムの弓を持ちポーズを取ってみて最初の十分ほどはコミケ会場でも見た様な撮影が繰り返されていたが、コンクリートブロックの上に立つ少女と比べ撮影者達の撮影位置は地面に近く、少女自身は経験した事はないもののまるで痴漢に盗撮されている様な気恥ずかしさに徐々に頬が赤く染まっていく。
「ねぇねぇくるっと回ってくんない?スカート膨らんでないとそれっぽくないんだよねー」
「同意ー」
 妙に猫撫で声の要望が沸き起こり、依頼者を縋って視線を向けた少女は、気付けば背後までぐるりと撮影者に囲まれきっている状態に一瞬不安に駆られた。確かにこの衣装はスカート部分の膨らみがあってこそだと判っている少女は、何度も深呼吸を繰り返してからコンクリートブロックの上で一回転をしてみる。
「きゃー!」
 元からパニエで持ち上げられる半球状に近いスカートがふわりと風に舞い、ウエスト近くまで全て捲れ上がったスカートに、小さな純白のパンティ以外は何も着けていない薄い下腹部やお尻が丸見えになったのに気付き、慌てて少女はスカート押さえ込む。一回転もしない間に、スカートを押さえ込む迄の間に鳴り響いた百以上のシャッター音に、少女の膝ががくがくと震え出す。ただ一周する所を撮影しようと待ち受けていただけであって今の撮影は事故なのだ、そう思おうとしてもパンティの露出を撮影されてしまった羞恥に身体が竦んでしまう。
「ちゃんと一周回って!」
「こっちまで回ってないよー」
 やや苛立ちが含まれた猫撫で声に、少女は涙を浮かべながらこっそりと周囲を見、そして異様な熱気に鳥肌立つ。
 コミケ会場での礼儀正しい撮影者達とは異なる異様な圧力に膝が震え、動けなくなる少女を追い立てる様に周囲の声が地面近くから無数に沸き起こり、やがて少女は身の危険を感じるレベルへと変わっていく。まさか見知らぬ大人の男の人達にパンティを見せるなど到底出来る筈もない。だが成人男性相手では必死に逆らおうとしても力ずくで暴力を奮われれば一対一でも敵わないのに、この場には何十人もいて、そして誰一人として少女に助け船を出してくれる気配はない。
「まどかちゃーん回ってー」
「は……、はー…ぃ……」
 消えそうな小さな声で応え、震える膝を堪え何とか一回転してみたが、よろけながらの遅い回転では当然スカートはふわりと舞い上がらない。
「駄目だよダメだよ!軽やかにくるっと微笑みながら!」
 容赦ない注文が即座に大声で叩きつけられ、荒事に慣れていない内気な少女の歯の根が合わなくなる。従わなければどうなるのか、もしかしてポーズを取らせる為に誰かが触ってくるのではないかという恐怖に、何度も何度も注意をされながら少女は一回転を繰り返す。恐慌状態近い中、まだ若い運動神経の為せる技か、異常な状態への慣れなのか、徐々に綺麗に円を描く様になっていく少女の足元から秘めるべき純白のパンティや薄い腹部、小振りな尻肉や細い背筋へと容赦なく無数のシャッターが切られ続ける。
 恐怖のあまりの僅かな失禁がパンティの底に小さな染みをつくり、そして、周囲の撮影者が全員それに気づき下腹部を滾らせているのに少女はまだ気付いていない。
「はい、一回転お疲れ様!」
「よかったよーまどかちゃん!」
 不思議な位ささくれ立っていた空気が収まった撮影者達に、不意に拍子抜けをした少女は呆然として立ち尽くしてしまう。もしかしてもう一時間経ったのだろうか?と全身の力が抜けそうになる少女に、他の声が届いた。
「次は弓持ってー!股に挟んで絡み付く感じ!」
「四つん這い!」
「負けた感じで転がってー!」
 次々に一斉にあがるポーズ指示は我先にと言わんばかりで、誰の希望が通るかを争うその空気は再び苛立ったものへと変わっていく。直前の和やかさから一転した荒れた空気に、今でも喧嘩が始まる様な恐怖で少女は竦み上がってしまう。もしも乱闘事件になれば警察に通報されて少女のアルバイトが発覚してしまうかもしれない。相場を知らない少女にとって法外な金額の一万円は、親や学校に知られれば叱られる気がした。いや停学や休学になってしまうかもしれない。その場の恐怖よりも強い危機感に、少女は口を開く。
「じゅんばんに、順番に全部やりますから…っ」
 細い震えた声で何とか叫んだ少女に、男達の顔が満面の笑みに変わる。
「ないすまどかちゃん!」
「流石魔法少女!」
 そして少女は気付いていなかった。全ての要望に応えるという宣言が、自分の自由を全て奪うものだと。

 再び大きな弓を手渡され、言葉で指定されるままに膝を突きそれを抱え込んだ少女に更に細かい指示が飛ぶ。もっと弓を股に挟み込んで。もうちょっと上。もう少し下。そのまま仰け反って。脚開いて。動かしてみて。矢継ぎ早の浴びせる様な声が何処か熱を帯び、その恐怖に怯え少女はひたすら従順にその指示に従う。スカートが捲られるよりかはよいと諦めていたかもしれない…だが、不意に、少女はそれに気付く。
 コスプレアイテムの弓は大きな枝を模していて何ヶ所かに木の瘤があり、それが下腹部の一部に重なっている。そこを擦る度にびりっと弱い電気がはしる様なもどかしい感覚が身体を駆け抜け、身体が徐々に熱くなっていく気がする。
 何だろう、これは。自分の身体の反応が判らず、指示に従うがままに弓を動かす少女の頬が桜色に染まり、恐怖以外のもどかしげな表情が時折浮かび、吐息が漏れる。周囲の撮影者は判る筈のない密かなむず痒さに、何故かそれを補う様な指示が飛ぶ。もっと強く押し当てて。上下に小刻みに動かしてみて。腰を前に突き出して。
 どこの公園なのか、遠くに大きな倉庫が見えるだけで後は広場を囲む木々しか見えない場所で、まだ第二次性徴期らしい胸の膨らみも微々たる華奢な少女の身体に晩夏の陽射しが降り注ぎ、うっすらと掻いてしまった汗が淡い産毛を輝かせる。白とピンクの愛らしい衣装を身に纏う少女の下腹部に弓の瘤が食い込み、小刻みに一角を擦り立て続ける。
 弓の動きを指示する声に溶ける様に幼い吐息が溢れ、微かに少女は首を振る。熱い。堪らなく熱くて、そしてコンクリートブロックが緩やかに揺れて回転している様な感覚に戸惑いながら、少女は仰け反る。しっとりと汗ばむ項と額に細い髪が貼り付き、ピンク色の大きなリボンで纏めたツーテイルの髪が前後左右に跳ね回る。
 一回転と異なり大きな動きもないのにずっと撮影が続いているのは何故だろう…そんな疑問が最初浮かんでいたものの、今は考えられなくなっていた。もう少しで知らない何かに届きそうな狂おしい程の切なさに、不意にこれが人に見せてはいけない行為ではないかと気付き、びくっと少女は震え周囲を見回し、そして血走った目で自分にカメラを向ける撮影者の包囲が狭まり、畳一畳程度のコンクリートブロック上しかもう自分の居場所がないと知る。
「ぁ……」恐怖で身体が強張りそうになると同時に、縋る様に弓を更に引き寄せた少女の下腹部の、ずっと擦り続けた結果膨らみきった突起をぐりっと瘤がキツく擦った瞬間、少女の中で大きな火花が弾けた。「――っ……ぃやぁああああー!」
 今までにあげた事もない甲高い大きな声が唇を割り、爪先まで一瞬で駆け抜けた強烈な刺激に、弓を抱えたままの少女の全身が激しく震え、そして初めての自慰の絶頂を周囲に伝える様に華奢な腰が前後に揺れる。快楽とも羞恥ともとれない涙を零しながら後ろへとそのまま崩れる少女は、混乱の極みの中睡魔に引きずり込まれながら、膝を閉じられない状態と弓が落ちた音を気にしていた。

 カシャカシャカシャと音が鳴り続けている。
 何だろう。とても明るくて、そして涼しい。
 ぼんやりと瞳を開いた少女は広がる空の眩しさに手で陰を作ろうとして、自分が可愛らしいレースの縁取りの付いた手袋を填めている事に気付いた。まるで好きな魔法少女の衣装の様…と思いかけた瞬間、気を失う直前までの出来事を思い出し勢いよく跳ね起きようとし、凍り付く。
 膝を曲げ脚を左右に大きく開いた状態の少女を、大勢の男達が撮影していた。
「お姫様のお目覚めだー」
「寝起きも可愛いよまどかたん!」
 妙に機嫌のよい昂揚した状態の男達に、更に少女は困惑する。自分はコスプレ撮影会の最中に気を失ってしまったのだから叱られて当然ではないのだろうか?もう撮影予定の一時間は過ぎたのだろうか?そして…最後のあの恥ずかしい事は気付かれずに済んだのだろうか?そう考えながら、膝を合わせようとした少女は、倒れ方が悪かったのかスカートが完全に捲れ上がり臍の下までが露わになっているのに気付き慌てて引き下ろそうとし、そして撮影者が全員少女の恥じらいと焦りを記録するかの様にシャッターを切り続けている姿に怯える。
 不意に、下腹部のひやりとした感覚に少女は息を飲んだ。
 パンティの濡れた感触はもしかして粗相をしてしまったのだろうか?怖くて確認をする勇気も持てず、スカートの裾を強く引き下げるのがやっとの少女の頬が赤く染まる。しかもだらしのない姿を全員に撮影されてしまったであろう羞恥に瞳を閉じて縮込まる少女の耳に、やや勢いを失っているシャッター音が届く…止む事は、ない。
「貸衣装のぱんちゅ汚しちゃ駄目だよまどかちゃん」
「スカートも染みちゃってるけどパンツ大惨事だねぇ」
「衣装汚したらお仕置きされちゃうんじゃない?」
 男達の声に、少女の身体がびくっと震える。コスプレ衣装は高額だと聞いている少女はそれが今回のアルバイト代で弁償出来るかが判らない。ニーソックスや手袋などの一揃えで販売されていてバラ売りされていれば全てを買い取らないといけないかもしれないが、そんなお金は少女にはないかった。
「似てるパンツ、あるよー?」
 不意に聞こえた声に、はっとして少女は声の主を探す。何十人もの男達を見る恐怖より、弁償の問題を解決する方が先だった。シャッター音が増える中、中くらいに位置する男の指が白い布を振っているのを見、それがどれだけ似ているかを判断する余裕もなく少女は縋る。
「あの! あの…、それ、借りられませんか……?」
「あげてもいいけど、今穿いてるのと交換ね」
「え?は、はい。ありがとうございます」どれだけ似ていても揃いの品物を勝手に交換は出来ないだろう。取り敢えず今は似た物を借りて今穿いているパンティを洗い、きちんと返却出来ればいいのだろうか?その間借りた方はその後また洗って…まずは公園なのだから何処かにある筈の洗面所で履き替えて洗うのが先だろうとぽつりぽつりと考えていた少女は、暫しの間の後、首を傾げる。「あの……?」
「まだ撮影会終わってないから、どうする?ここで履き替える?それとも脱いだまま撮影する?」
「え……?」
 周囲の声もあって休憩時間になるかと思っていた少女は男の声に戸惑う。撮影時間は一時間なのだからかなり時間が過ぎている筈の現在は確かにそのまま終了まで我慢した方が早いのかもしれない。だが…すぐにパンティが見えてしまう状態でそれが汚れているのは被写体として問題がある気がした。少女自身汚れたままのパンティで撮影を続けるのは避けたかった。戸惑う少女に、男が何かを投げてきてコンクリートブロックの上に落ちた。それは、ティッシュペーパーだった。
「取り敢えずオマンコ拭いてよ。次のパンツ、汚れるよ」
「……。――は…、はい……ありがとう…ございます……」
 大人の男性が口にするとは思えない酷い猥語が聞こえたのは気のせいだろうか。いや、善意の人なのだからきっと気のせいだと思いながら、ティッシュペーパーを手に取った少女はコンクリートブロックを取り囲み続ける男達に何とか目を向ける。
「あの…御手洗い…行かせて下さい……」酷く恥ずかしいお願いを少女は口にするが、人垣はぴくりとも動かない。「あの……」
「ここで拭きなよ」
「そうそうまどかちゃんまだ撮影会終わってないんだよー?」
「上手に隠して拭けば見えないって!」
 囃し立てる様な声に少女の背筋がぞくりとざわめく。何を男達が言っているのか咄嗟に理解出来ないまま、囃し立てる声は数を増し、そしてあの苛立った空気を帯び始める。この人達は要望が通らないと何をするのか判らないと本能的に感じ、泣きそうになりながら少女は項垂れる。
「後ろを向いて、ください……」
「駄目ダメ!」
「全て従うんだよねーまどかちゃん」
「拭ーけっ拭ーけっ」
 一人が始めたコールが徐々に人数を増やし、そして遂に涙がこみ上げてきて零れそうになる少女に何人かの猫撫で声の慰めや罵声が注がれる。今この瞬間にでも逃げ出したいが、幾重もの人垣は恐らく最初の一列すら抜けられないであろう。やがて、項垂れたまま膝を合わせそっとティッシュを一枚引き抜いた少女に、再び罵声が飛ぶ。
「立てよー」
「ほら脚開いて!」
 何でこんな事態になってしまったのか。自分の倍以上の年齢の男達に囲まれ、また地面近くからの角度で全員に撮影されている気配を感じながら、コンクリートブロックの上に立たされ、だが足を広げられずにいる少女は涙を堪える…泣いても容赦してくれない男達に絶望したのかもしれない。少なくとも子供相手に通常の神経はしていない…これがTVで言っていた集団心理なのかもしれない。だが集団だからこそ、きっと幼女相手の犯罪の一線だけは越えずに済む筈だと、少女は考える。たまに聞く性犯罪は一対一で、そんな特殊な人が大勢いるとは思えなかった。
 何度も繰り返すコールに震えながらスカートの中へと手を潜り込ませてパンティの両脇に指をかけて赤面する。やはりこのスカートは短い。半球状に広がるのだからたっぷりと布地はあるのだけれど、パニエがないとすぐにパンティが見えてしまう…つまり、パンティを脱いでしまうと恥ずかしい場所がすぐに見えてしまうのではなかろうか?
 どきっと心臓が鳴った。とても恥ずかしくて逃げたいのに、楽しいのとは違う居心地の悪い奇妙な感覚で何故かどきどきして落ち着けなくなる。かくれんぼで鬼が近くにいるのを感じた時に似ているだろうか?隠れたい位しか共通項がなく、少女はその正体が判らない。
 パンティを下ろしていく少女は、謎の感触に気付き、戸惑う。――失禁ならばただの液体なのに、何故かぬるぬるしている気がする。もしかして失禁ではなく弓の塗装が落ちた何かだろうか?思わず確認したくなるのは衣装どころか立派そうな弓まで弁償しなくてはいけない可能性の為だった。
「うはぁ糸引いちゃってるよー」
「まどかたんのおちりのあなみーえた」
「糞っ俺もパンツ持ってくればよかった」
 周囲の声に見えない様に必死に内腿を合わせようとするが、指示で開かされている足一つ分の空間がそれを許さず、
そしてパンティを脱ごうとした少女は背後からのシャッター音が一層激しいものになるのを感じ、慌ててそれを脱いだ。脱いだ途端に空気が直接下腹部に触れる感触に少女の身体がぞくりとざわめく。小さな頃に田舎の小川で丸裸で遊んだ時に似ている…だがここは見知らぬ公園で、周囲の大人の男達が今この瞬間もシャッターを切り続けていて状況が全く違う。違う。違う。違う…のに、気持ちいいと感じてしまったのはきっと濡れたパンティが気持ち悪かったからだと納得し、濡れたパンティを手にしたまま少女はスカートを前後から手で引き下げる。当然、丈は足りていない。
「まどか投げてー」
 パンティを換えてくれる男からの声だが脱いだばかりの下着を大勢の前で投げる行為に抵抗を憶え、まごつく少女に男が謎のカウントを始める。
「5−4−3ー……」
それが下着を投げなければいけない秒読みだと気付き慌てて投げようとした少女は手を離したスカートがその挙動で裾が持ち上がるのに気付き慌てて裾を押さえ、そして投げようとした。「2、1、0」
 それまでのカウントの遅さが嘘の様な早口で締められたそれに間に合わず、少女は呆然と立ち尽くす。
「残念ー遅れたから終了までノーバン決定ー」
「遅いなぁーまどかちゃん」
「どしたのまどかちゃん」
「……。ぬ…ぬるぬる、してて……」パンティを汚しているのが失禁ではないのだとしたら恥ずかしい事ではないのかもしれない。だが脱いでしまった恥ずかしさは消えない…しかしはっきりと違うと判れば失禁だと馬鹿にされる事はなくなる。それに弓の塗装か何かだとすれば相談は早い方がいいだろうし、もしかして誰か塗装に詳しい人がいるかもしれない期待に、少女は口を開いてしまう。「――塗装…落ちちゃった……かも……」
 奇妙な沈黙が広場を包んだ。
 シャッターすら止んだその意味が判らずやはり弁償なのかと途方に暮れる少女は、不意に聞こえた妙な含んだ様な笑いに困惑する。
「塗装かー塗装じゃ仕方ないよーどんまいどんまい」
「夏だからねー」
「夏場の塗装あるある」
 やはり成人男性ならば塗装に詳しいのかどこか愉快そうに笑われ、少女はほっと息をつく。パンティを穿いていないのは恥ずかしくて仕方ないが、自分の失敗で弓を壊してしまったのではないと判り安堵して肩から力が抜けてしまう。
自分でも緩い愛想笑いの様な笑みが自然と零れ、不思議な一体感のある乾いた笑いが広場に湧いた。
「でさ、塗装、見せてよ」
「え?」
「すぐに落とさないと布傷むかもしれない奴かもよー?」
「え?え……?」
 確かに衣装を身に着けていたのは少女であり、問題が発生したのだからすぐに対応するのは自分の責任かもしれないが、だが脱ぎたてのパンティを人に見せるのはとても異常な行為に思える。思わずパンティを両手で握り締めて周囲を見回して撮影会の依頼人を探すものの、先刻と同じで撮影者の列の中にその姿は見えない…いやもしカメラを構えている中にいるとしたら咄嗟に少女はそれを見分ける事が出来ないだろう。見慣れない大きなカメラとレンズは人の個性を打ち消してしまい誰も彼も同じ「撮影の人達」としか判らない。
「大丈夫!着たばかりでしょ?」
「ぱんちゅダメになる方がヤバいんじゃないのー?」
「塗装対策なら教えてあげられるよ!」
 確かに撮影開始直前に着けたパンティなのだから汚していないと考えていいのかもしれない…だが恥ずかしい。戸惑い揺れる少女は、手袋にまで浸透してくる粘液の感触にびくっと身を震わせ、覚悟を決めた。
「わ、わかる…ひと……教えてください……」
 俯いたままお願いをする少女に、カメラを手にほぼ全員が勢いよく手を上げる。誰かにこっそり見せて確認して貰えると決めた覚悟が即座に挫かれ真っ赤になり小さくなる少女に、また男達の我先にと言わんばかりの声が聞こえてくる。じゃんけんか何かで決めてくれればいいのに言い争いに近い荒々しいやり取りにびくびくと身体が震える中、一つの声が届く。
「皆に見せてくれればいいんじゃない?」
「ナイスアイデアー」
「そだねー」
 まさか全員で自分の脱ぎたてのパンティを見ると言い出すとは考えていなかった少女の顔から血の気が引いていく。だがそのアイデアに同調した男達はまた例の如く言いあいが嘘の様に同調していく。
「じゃあまどかちゃん、おぱんちゅを両手で広げて皆に見せてみよー!」
「塗装のところチェック出来ればいいんだから気にしないきにしない」
 眩暈がする。確かに少しの間しか穿いていないが、それをこれから自分はどうしなければいけないのだろうか?思考回路が空回りするのを感じながら、ぎゅっと握り締めているパンティを見おろし、そして手袋にまで染みが伝わってきている現実が少女を後押しした。
 そっと、身体の近くで僅かに両手で広げてみたパンティは内側も外側も透明な粘液に広範囲が覆われていて、授業で扱ったニスを少女は思い出す。あれは確かこんな感じだった気がする…ほっと安心した少女は自分がパンティを大勢の前で確認している状態に気付き真っ赤になる。少しの間触れていたとしてもこんなに塗装がついているのならば誰も塗装以外は判らないだろう。だがやっぱり恥ずかしさは残り、真っ赤になったまま少女はおずおずと、クロッチ部分が透明な粘液でべっとりと濡れている純白のパンティを両手で広げ、そして前に掲げる。
 おー!と感嘆の声が無数に沸き、そしてシャッターがまた無数に切られるのを聞き、塗装が何だか判ったのだろうか?と戸惑う少女は指示されるまま、前後左右に見て貰える様にもじもじと、ゆっくりとそれを提示して一回転する。恥ずかしい。もしかして自分が気付かなかっただけで他に何かがあったのだろうか?いやそもそも今はもうパンティは手に持っていて下着を身に着けていない…男達の視点からではもしかしてその場所が見えてしまうのではないだろうか?かぁっと頬が更に熱くなり動きが遅くなる少女のスカートが頼りなく揺れ動き、男達に見せる為にパンティの染みを見せる為に左右で大きく広げている華奢な指がふるふると落ち着きなく震える。
 にやにやと嗤いながらシャッターを切り続ける撮影者達から塗装の話が出てこないのに困惑し、だが塗装に疎い少女はそれが種類の豊富さや透明のそれの判りにくさによるものなのだろうかと心配になっていく。
 公園に緩やかな風が吹き、少女のスカートをふわりとそよがせる。緊張している少女はそれが大きな風ではない為に大きくスカートの裾を持ち上げるものだと気付かず、誰か塗装の謎を解いてくれないかとおずおずと視線を彷徨わせていた。強い風で倒れてしまいそうな、アニメのキャラクターに瓜二つの可憐な少女が脱ぎたてのパンティを広げて提示する上に、風が少し吹くだけで愛らしいスカートがふわりふわりと揺らぎ第二次性徴期を微かに感じさせるかどうかの平坦な薄い腹部や尻肉だけでなく、細過ぎる脚の隙間の奥にある無毛の丘までもが運がよければ見える状態だった。しかも、そこが濡れている。その濡れは少女自身が提示しているパンティにねっとりと夥しく絡み付いている粘液である。その正体を、まだ少女は知らない。
 ゆっくりと、軽やかな一回転と比べ物にならない程ゆっくりと全方位に見せるのは塗装の正体を教えて貰う為だった。
「あの…判りました、か……?」
 一周したと同時に急いで後ろ手にパンティを隠して真っ赤になったまま問う少女に、しんと広場が静まり、そしてやがて小声でぼそぼそと男達が前後左右で囁きあう。いつも誰かと相談する様子はなくこれは塗装の正体を推測しあっているのだろうか、難しい塗料でなければよいのだがと居辛くなり始める少女に、男達のにやにや嗤いが映る。
「まどかたん、それ、愛液だよ」
「え? あ…はい……?あいえき……ですか?」
 聞き覚えはないが液が付くのだからやはり塗料だったのかと安堵して聞き返す少女は男達の嗤いに急速に何か悪い予感が膨らんでいくのを感じ、僅かに逃げ腰になった。
「もう一回繰り返してみて」
「あいえき、ですか?」
「そうそう愛液。たーっぷりの愛液」
 もしかしてどっきりカメラか何かで自分が塗装で慌てるのを見て楽しむイベントか何かだったのだろうかと気まずくなり戸惑いながら、最初に言ってくれた男にぺこりとお礼の会釈をした少女は、頭を下げたままのタイミングで聞こえた言葉に、凍りつく。
「女の子がすけべな事した時に垂らすおつゆだよー」
「まどかちゃん先刻のオナニーで濡れちゃったんだねーしかもこんなにたっぷり」
「眼福眼福」
「ぬるぬるおパンツ御開帳御馳走様でした!」
 男達の声に、固まったままの少女は何かの扉が背後で閉ざされたのを感じていた。
 あと何分だろうと虚ろに時計を探す少女の視界がぐらりと揺れる。緊張のあまりの貧血かもしれないと考えるがその把握も意味がないかもしれない。華奢な小さな身体を懸命に縮込まらせる少女の足がコンクリートブロックの上でゆらゆらと危なげに揺れ、そして少女は尻餅をつく。
 全身の力が入っていない為か痛みを感じない中、目が覚めた時と同じ様に大胆に脚を開いて後ろ手をついた体勢は、まるで前方の撮影者達に濡れた下腹部を意図して晒しているかの様で、慌てて手で隠そうとした少女に肘がかくんと崩れ、少女はコンクリートの舞台の上に仰向けで転がる状態になった。空が青い。こんな状態でそんな馬鹿な事を感じながら、全身が震え、そして、違和感に気付かされる。弓の瘤が当たっていた場所がずっともどかしいその下で、何か落ち着かない場所がある。何とか膝を合わせるが足を揃えるまでは動けない…男達が復唱させた単語が恥ずかしくて仕方ない。そんな青空に細い何かが遮った。
「……?」
 それはコスプレアイテムの弓だった。ぼんやりと塗装で疑ってしまった事を内心詫びてしまうのは現実感が薄くなっている為かもしれない。酷い夢を見ている気がする。きっと夢だ。そう、悪い夢。
「まどかちゃんこの先のぬるぬる、なーんだ?」
 誰かの声にそう問われ虚ろに見つめた弓の先は、先端四センチ程がねっとりと濡れ、そして傾けられた先からゆっくりと伝った粘液が少女の頬にぽたりと落ちた。
「まどかちゃん寝てる間にちょっとだけ先っぽ挿れちゃったんだよ」
「凄いねーどんどん馴染んでったの、憶えてる?」
「途中までパンツの上からだったけどまどかちゃん物覚えいいからパンツずらして入れちゃったし」
「もうおぱんちゅぐじゅぐじゅだったけどまどかたん先っぽ入れたらイキまくりで凄かったよー」
 まるで虫の羽音の様に頭の中で撮影者達の声は反響し、少女は思わず両耳を手で塞ぎ瞳を閉じる。――そして、気付く。これは撮影会で、今までの全てが記録されている恐ろしい現実に、今更少女は気付き、びくっと身を震わせる。ただこの場での恥ずかしい行為だけでなく人数分、少女の痴態がずっと手元に残り続けるのだと。
 不意に、ぬちゃりと、下腹部に何かが当たった。
 憶えている気がするそれが、少女の蜜口を、執拗に繰り返し動き続ける。小刻みに扉を叩く様に。コンクリートの上に無防備に尻餅をついている剥き出しの下腹部の底の、いけない場所に何かが入りかけては引き抜かれる感覚に、少女の全身が跳ねた。何かがそこにある少し気持ちの悪い変な圧迫感がなくなる度に身体が解けて、そしてまた圧迫感がくる。ぬちゃぬちゃぬちゃぬちゃとあからさまな粘液の音とシャッター音が広場に激しく鳴り響き、そして、少女の膝から力が抜けていく。突起を瘤が擦る時とは違う重い刺激が、近い場所にある突起を揺さぶっている気がする。
「まどかちゃん、汚しちゃうからドレス脱がなきゃ!」
「愛液はねー、乾くと白くててかてかになるよー」
「ニーソとリボンと手袋とチョーカーだけは脱ぐなよ!?」
「半脱ぎだよ半脱ぎ!何の為のコスプレだよ!」
 熱い。何も考えたくない…だが、指示に従わなければ何が起きるか判らない。もう未来が閉ざされてしまった様な絶望感と、だが指示に従えば何か救われるかもしれない期待が混ざり、混乱する少女にシャッター音が答えを教えているのかもしれない。蜜口をで弓の端が小突く度に徐々に高まっていく妖しいもどかしさが華奢な身体を揺さぶられ、深くて重みのある疼きに少女は何度も繰り返し首を振りたくる。
「オマンコ突かれながら先刻自分で弄ってた所擦ってごらん?――凄く気持ちよくなれるよ?」
「全部従うんだよねえ?」
「ねぇまどか、ボクらと契約したんだから、エロえろ魔法少女になってよ!」
 どれだけ時間は経っているのだろう。気付けば全身が汗で濡れていて、少女の細い四肢はまるで展翅板の上に今まさに乗せられる蝶の様にびくびくと跳ねる。既に縫いとめているのは幼い蜜口にほんの数センチ挿入されては引き抜かれる弓の端。それは大人の指二本分の太さに満たないものであったが、未成熟な身体に妖しい疼きを刻み込むには十分なものだった。
 自分に何が起きているのか判らない悲痛な甘い鳴き声が少女の唇を割る。
 世界の全てが回転している様な浮遊感に、コンクリートブロックの上で薄桃色に染まった汗に塗れた華奢過ぎる柔肌が跳ね上がる。膝を合わせるなどもう考える事も出来ず、何かに縋りたい衝動が細い肢体を淫らにぎこちなく躍らせる。取り囲む撮影者も最前列は地面の上からの角度を維持しているものの後ろの方は三脚を立て少女の痴態を撮影していた。まるで業務用の様な立派なビデオカメラで撮影している男が、少女が激しく乱れる度に跳ね除けてしまいそうな弓を操り、そして指摘される度に朦朧としながら無意識に少女は弓の為に自ら腰を動かし位置を整える。処女膜を傷つけない配慮か膣の半ばまで端を挿入された弓が少女の幼い牝肉の蠢きと締め付けに上下に大きく揺さぶられ宙を踊る。
 もうやめて。時折掠める理性を言葉にする事も出来ず喘ぐ少女の虚ろな瞳から涙が溢れた。
 まだ無数のポーズ指示が、少女を待ち受けている。

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