2023余所自作132『人気の女子と陰キャ男子』

表TOP 裏TOP 裏NOV 131<132>133

 むにゅむにゅと臼木さくらの豊かな乳房が薄木歩のモノを扱いていた。いや彼女は自ら乳房で歩に奉仕をしようとはしていない…その両手首は頭の上で手錠で繋がれ身動きを封じられている。誰もいなくなった教室の放課後、彼女の詰まった吐息だけが微かに籠っていた。梅雨前の薄寒い教室の中、歩の跨るさくらの身体が温かい。
「さくら、興奮してる?」
「やだ……、恥ずかしいから…聞いちゃ嫌」
 頭を床に直接つけさせるのは躊躇われて歩の敷いた体操着の上で、頬を染めた彼女は恥ずかし気に首を振る。
 最初は犬の散歩だった。同じ柴犬の飼い主で、公園で挨拶をしたのが最初で徐々に話す回数が増えていったのは歩にとっては僥倖だった…クラスで人気者のさくらは歩にとっては高嶺の花であり言葉を交わすのも不可能な存在だったが、互いに犬好きだと判ってからは彼女は少しずつアイスを溶かす様に歩の緊張を解いていってくれた。そんなある日、突然走ってきた闘犬に彼女の臆病な子犬が慌てて逃げ出し、鎖が足に絡みついて転んだ彼女が妙に真っ赤になっていてその可愛らしさに歩はおかしな事を言ってしまう。
「SMっぽいね」
 ――まさか、彼女の性癖がそれだとは気付かずに。
 どこをどう話した結果なのかはもう興奮していて覚えていない。週明けの放課後の教室で、歩が持ってきた手錠をかちりとかけられた彼女の、とろんとした瞳がとてもいやらしかったのだけは強烈に憶えている。

 華やかで、屈託がなく、誰にでも優しくて、成績優秀。そんな彼女は、手錠が好き。
 倒錯し切った趣味だった…それなのに手錠初心者。初めての拘束。
 手錠をかけられた彼女が俯き、しなやかな黒髪が荒い呼吸に揺れ動き、制服のブラウスの胸が弾んでいた。いやらしく興奮しているのは一目で判り、だが勇気のない歩は彼女の昂った姿に圧倒されてじっと眺めているだけだった。
「薄木君の、えっち」
 しばしの気拙く卑猥な時間の後、手錠を外された彼女は頬を膨らませてそっぽを向きながらそう言った。

 それでも何故か気付くと二人で放課後の教室で待ち合わせる様に、いやどちらかが相手を待つ様になっていく。
 ただ手錠をかけるだけの時間。
 それが何週間か続いた後、歩はそっと彼女の乳房に手を伸ばした。
「ひ……ぁ!」
 びくんと身を震わせた彼女の乳首は確かにしこっていた。

 初めて女の子の乳房を揉んだ。
 初めて女の子の生乳を見た。
 初めて女の子の乳首を舐めた。
 少しずつ、すこしずつ距離が詰まっていくが歩にとってはそれがいつ終わってしまうかが判らず怖くすらあった。

 そして今日、初めて彼女の乳房に性器を挟み込ませて、擦っている。
 むにゅりむにゅりと捏ねられている乳房はとても柔らかくて幹に傘に餅の様に絡みついてくる。
 恥ずかしいのか顔を逸らしている彼女の頭の上で手錠の鎖がちゃりちゃりと鳴る。あっああっと彼女の詰まった声が零れ、歩の腰の下で華奢な身体が妖しくくねる。
「さくら、気持ちいい?」
「……。きいちゃ…やだって言ってるのに……」
 彼女の拗ねた声が堪らなく可愛らしい。同級生と話す時もたまに拗ねた声を出すけれど、こんなに甘えた声はまず出さない。手錠に酔う彼女。酔っているのは手錠にであって、歩にではない。
「僕は気持ちいいよ。さくらのおっぱい、凄くエロい」
「や……、だ……ぁ……っ」
 乳房を揉みながら腰をゆっくりと振る歩に、彼女の顔が真っ赤に染まり、背後で腰と脚が揺れ動く。かしゃかしゃと鳴り響く鎖の音に、先走りの汁が垂れて白い乳房に絡みついて捏ね回すねちょねちょとした音が混ざる。生臭い性臭が漂い、彼女に拒まれるのではないかと不安になりながら歩は乳房を揉みしだく。いやらしい甘い上擦った鳴き声を零す彼女が仰のき、白い喉を見せ付ける様な角度になる。
「ねえさくら、興奮、してる?」
 びくんびくんと身体を痙攣させる彼女に跨り、歩は腰を振りたくる。嫌われたくない。彼女との時間を失ってでも今したい事なんてあるのだろうかと思いながら、鈴口からは先走りの汁がたっぷりと垂れていく。粘り気の強い透明な粘液が彼女の乳房を穢して、滑らかさを増していく柔肌に彼女の乳房と乳房の上端から歩の切っ先が露出しては埋もれていく。同級生男子の憧れのさくらの乳房を自分が犯している見苦しい優越感。いやそれよりも先に、自分は……。
「僕、エロいさくらの事、好きだよ」
「……っ!」
 びくんと身を跳ねさせて自分を見上げてくるその顔に、歩は大量に射精した。

「……。におい、すごい」
 可愛らしい顔にたっぷりと撒き散らかされた精液に完全に拗ねた声で文句を言う彼女に、慌てて歩はティッシュでそれを拭う。
「でもパイ擦りしていいって言ったのさくらじゃないか」
「そうだけど……っ」
 無防備に顔を突き出す彼女はまるでキスを強請っている様で、歩はどきりとするのを誤魔化す。
「……。もし、その手錠あげるって言ったらどうする?」
 これ以上続ければきっと自分は先に進もうとしてしまう。それで彼女に嫌われてしまうかもしれない。それならば彼女の好きな手錠をあげれば、今なら嫌いではない内緒を知ってる同級生のままでいられるかもしれない。
「……。? 次は…、どんな風に…縛ってくれるの?」
 顔を真っ赤にしている彼女に、歩は瞬きをした。


おまけ・その1

 手錠以外って何だ。
 ここ暫くの煩悶の挙句歩がたどり着いたのはとても小さな道具だった。
「……。これ、何?」
 早朝の屋上手前の階段の突き当たりの空間で歩の手に乗っている小さな事務用品の様なゴムに彼女が首を傾げる。
「とりあえず…さくら、乳首、出して」
 歩の言葉に顔を真っ赤に染め左右を見回した後、こそっと制服のブラウスを捲り上げ、ピンク色のブラジャーをずらしていいのか暫し悩んでからそっと彼女がブラジャーのカップを外側へとずらすと、ぶるんと豊かな乳房が露出する。
「……。さくら、おっぱい更に大きくなった?」
「薄木君のえっち……!」
 屋上への扉の波硝子から差し込む早朝の日差しに照らし出された彼女の乳首は既に硬くしこってぷるんと勢いよく跳ねあがっている。舐めたい。弄りたい。ごくんと生唾を飲んだ歩はそれに気付かぬ振りをして、極小の輪ゴムを彼女の乳首を挟める様に引き延ばす。小さくはあるが厚みのある輪ゴムは指で伸ばせば意外と伸縮性がなく、かなり硬い。こんなのを着けていいのかを悩みながら手を伸ばした歩の目の前に、彼女が手を差し入れる。
「ま、待って。あのね……っ、待って。……。着ける前に……、その……、舐めて……」
 恥ずかし気に小声でおねだりする彼女に、歩は瞬きをした。

 放課後。いつも通りに教室に戻った歩は不機嫌そうに席に座っている彼女に内心焦る。
「あれキツかった?」
「……。ひどい」
 ぼつりと拗ねた声で言う彼女の頬は膨らみ頬は真っ赤に染まっていた。――そういえば授業中ずっと頬を染めて悩ましく瞳を潤ませている彼女に同級生が風邪かと心配していたのを思い出す。
「体調悪い時はパスって言ってくれないと気付けない」
「違うっ」そう言い一気に詰め寄ってきた彼女の身体が歩の身体にぶつかり、ふんわりと甘いシャンプーの匂いが鼻腔をくすぐる。「授業中ずっとえっちなのが抜けないの…ずるいっ」


おまけ・その2

 授業中ずっと彼女の乳首を絞り続けていた輪ゴムからは慎ましい可愛らしいボタンの様な感じで淡鴇色の先端がほんの僅かに飛び出していた。アダルトグッズ特有なのか半透明な紫色の輪ゴムに絞られたそれが堪らなく可憐で、歩は生唾を飲む。
「授業中、どんな感じだった?」
 歩の問いにびくんと彼女が身を震わせる。互いに全裸になんてならない間柄。開けたブラウスとずらしたブラジャーはまるで彼女の防衛の意思表示の様だった。それ以上は踏み込めない。
「ずっと……、吸われてるみたいな感じ……いじわる…薄木君のいじわる……っ」
 どこか夢を見ている様な不機嫌そうな声で拗ねる彼女の胸をそのままに、歩はその背後に回る。
「後ろで手錠はめていい?」
「……」
 緊張に身を強張らせながら、そっと彼女が後ろに手を回して手首を交差させる。梅雨前の長袖と半袖が曖昧な時期、彼女が長袖のままなのはたまに残ってしまう手錠の跡を隠す為だった。夏までにはどうにかしないととは思うけれど、本当にそれまで続いているかが判らない。体育会系でもない歩の鍛えていない平凡な身体つきと比べても華奢な彼女の手首に、どきりとする。ポケットから取り出した手錠の鎖が鳴ると、彼女の肩が震えた。
「さくら、本当に手錠が好きだよね」
 放課後の教室で、おかしな道具を剥き出しの乳首に填めさせられたまま後ろ手の拘束を待つ彼女に歩はぼそりと呟いてしまう。それはとても無防備な姿であり、明るい彼女がこんなに自分に任せてくれているのが不思議でならない。かちゃり、と音を立てて銀色の手錠が彼女の細い手首にはまり、そして歩は前へと回り込む。
「さくら――今日は、どうして欲しい?」
 とろんと蕩けた瞳をしている彼女を覗き込むこの時間が堪らなく気持ちよい。
 可憐な、同級生の中でもとびっきりに可愛らしい彼女が快感に酔っている姿が、これから何をされるのか、していいのか、懸命に悩む様が、羞恥と欲望に揺れ動いている様が、堪らなく愛おしい。
「……。薄木君の…したいこと……されちゃうの……だめ?」
 とろんと蕩け切った声はそれでも若干の怯えが籠っていて、歩はどうしたらいいのかが判らなくなる。このまま後ろ手を拘束されたままの彼女を眺めるだけでも十分に官能的なのだが、次に何をしろと言われても怖がらせずに嫌われずに済む行動が判らない。
「さくらは何でもOKな馬鹿じゃないだろ」
 そう言った瞬間、彼女の顔が強張り、そして今にも泣きだしそうなものに変わる。困る。こういう時に何を言えばいいのか全く判らない自分の経験値のなさに慌てる歩に、どんと衝撃が加わった。頭を床に強かに打ち付けたのだと気付く前に、唇に温かくて柔らかいものが重なり、そして何度も押し付けられては離れて擦り付けられるのが繰り返される。
 それがキスだと判るまで、時間がかかった。
 暫しの狼藉の後、少しだけ彼女が顔を離した。
「ずっと授業中我慢してたの。だから、だから……すごくえっちなキスしたい」
 そう言えば一般的な行程はABCなのだったと考える歩は顔を真っ赤にして完全に拗ねている様子の彼女をぼんやりと見上げていた。
「……。努力、する」

 舌と顎の痛みを覚えながら帰路についていた歩は、その日サクランボを買った。

Next 133『路地を抜けた時には 〜飴玉〜』
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