2024余所自作142『触られたり揉まれたり 前編』

表TOP 裏TOP 裏NOV 141<142>143

 恥ずかしいなぁ…そう思いながら萌果は尻肉を隠し切れないスカートを指で下へと引っ張った。妙に自給の高い海の家のアルバイトに応募したのは夏祭りの浴衣を購入する為だった。彼とのデートではない。同級生同士で数十人で集まって花火大会に行く、その中にかなり憧れている男子がいるので精いっぱい着飾ってみたい乙女心からである。
 黒のビキニの上からスカートなどメイド衣装っぽい何かを身に着けているのだがその面積が小さ過ぎる為かただのビキニ姿よりもどうにもいやらしく見えてしまう気がしてならない。それまで書店のアルバイトしかした事のない萌果は何とかウエイトレス業務をこなしているのだが、衣装の恥ずかしさからは抜け出せない。
「こっちお勘定ー!」
「はぁい!」
 砂浜に直接あるのではなく賑わっている砂浜に面した高い位置のバルコニーにあるカフェは他の海の家よりも少し凝った作りであり特別感がある為か、料金も若干高めの設定である。その為か親子連れなどはなく少し遊び慣れた感じのする客層だがそれもまたどこか背伸びをしている感じがして萌果にはこそばゆい。普通なら出入り口のレジでお会計をしそうな所だが各テーブルで済ませられるのも何処か大人っぽい。そう思いながら萌果が向かったテーブルでは日焼けした男達がにやにやと笑っていた。不慣れな接客を叱られるよりはいいのかな?と思いながら支払い用のカルトンを差しだした萌果は胸の谷間に挟まれた一万円札にびくっと身を強張らせる。
「あ、あのっ?あのっ……?」
「釣りはいらないよ」
 黒ビキニの胸の谷間に挟まれた一万円札に戸惑う萌果は店長に相談してみたがチップは受け取っておきなさいと言われ、料金分を差し引いた額をレジ下に仕舞っている鞄に入れて真っ赤になっている頬に手を当てる。五千円以上のチップが高値い気がするのだが相場が判らない…何かまずい事になっている気がするのと恥ずかしさで混乱する頬をぱちりと手で叩く少女の耳に客の呼ぶ声がまた聞こえた。


おまけ

 何だろう。何だろう?徐々に妙な忙しさが増した気がする。
 床に落ちたフォークを拾ったりお客が零したビールを拭いたりと忙しなくなっていく仕事に目が回りそうになっている萌果は夏の暑さもあり汗をじわりと纏いながらテーブルを行き来していた。昼時のせいかもしれない。そうであって欲しい。海の家はこんなに大変なのだから賃金も高額で気の毒なのだからチップを弾んで貰えるのだろう。
 そう思いながらスパゲティアラビアータをテーブルに配膳していた萌果は不意に背後からスカートを捲られてひゃあと悲鳴をあげてしまう。何かがビキニの上端の尻肉の谷間に挟まれる感触が冷たい。慌てて身を捩った萌果の目に、自分の尻肉に縦に挟まれている数枚の五百円玉が映った。
「お疲れさん、チップだよ」
「え?あ、あの?え?あ?あり、ありがとうございます……?」
 普通に手渡されればいいのに何故そこに?そんな疑問に混乱する萌果は反射的に礼を言ってしまう。
「じゃあこっちもチップ渡さないと」
 そう言った連れの男が財布から取り出した千円札をぐいと萌果のビキニの乳房の間に挟み込む。落とさない為なのか一瞬ぐいと胸を押さえられて硬直する萌果のたわわな乳房は汗ばんでいるのか滑らかに紙幣を受け止められず、ぐいと捩じ込まれる千円札は曲がってしまう、それを更に押し込んだ為に男の指が萌果の乳房の谷間に挟み込む形になった。
「おっぱいでかいねぇMOKAちゃん」
「あ、あ、あ…ありがとうござい…ます…っ!?」
 恥ずかしさにトレイを抱えて慌ててキッチンへと向かう萌果は乳房と尻肉の挟まれている硬貨と紙幣の感触の居心地の悪さに泣きそうになっていた。何より、乳房に触れた男の手の感触がいつまでも貼り付いている様で気持ちが悪い。
「またチップ?よかったな」
 苦笑いを浮かべている店長に泣き笑いの表情で会釈をしてからキッチンの隅で隠れる様に乳房と尻肉の谷間の金銭を抜いた萌果は、それを見ながら硬直する。三千円程度。いやそれは三時間分の労働の対価になるのだが、それで触れられてしまったのが気持ち悪い。おしぼりを貰って胸を拭きたい。全力疾走をした直後の様な胸の鼓動に泣き声の様な息を漏らしかけた萌果は、呼び声に一瞬迷ってからはあいと応えた。

 まぐれではなく増えている。いや開放的なテラス席なのだから他の客がどんな様子なのかは丸判りでありそれが普通だと誤解をしてしまったのかもしれないが。
 何処かのテーブルに行く度に小銭を挟まれる様になった萌果に、いつの間にかキッチンにはチップ入れ用に唐揚げ入れの小さな籠が置かれていた。紙を敷いていないその中には硬貨だけでなく紙幣も含まれ、一往復する度に中身が増えていく。それが一般的なのかどうなのか判らないまま混乱している萌果に店長もキッチンの料理人も何も言ってはくれず苦笑いを浮かべるだけである。挟む場所も乳房と尻肉の谷間だけでなく、地味な場合はエプロンの小さなポケットにこっそりとの場合もあればこれ見よがしにビキニの乳房に堂々と挟み込んでくる人もいる。これが海の家の普通なのだとしたら、ここが砂浜に面していなくてよかった…他の人達に見られたらどんな娘と思われるか、そう考えた瞬間萌果は固まる。やはりこれはおかしな事なのではなかろうか?いや地元民の少女は海の家など使わないから意識もしていなかった。これは普通なのだとしたら意識する方が恥ずかしい。
「ひゃ……あ!」
 短過ぎるエプロンとスカートの前を捲り上げてビキニのパンティに紙幣を挟み込もうとしたお客に萌果は思わず悲鳴をあげてしまう。
「はみ毛、みーっけ」
 小さな声で男性客の言った指摘に萌果の顔が真っ赤に染まる。ビキニ+スカートとは聞いていたから朝に処理はしていたのだが思ったよりも小さな面積のビキニの前の三角地帯は柔毛が隠れるぎりぎりの面積であった。だが動いている間にはみ出してしまったのか、客の指摘をその場でチェックする事すら出来ず固まる萌果のビキニのパンティを指で僅かに引っ張り、その谷間に男が紙幣を差し込んだ。
「ちょっと待ってて」
「は、は、は……はい……」
 固まっている萌果をそのままに財布を開いた男はもう一枚紙幣を引っ張り出し、そして萌果のビキニのパンティをまた引っ張った。
「ナイス陰毛に、ご褒美」
 挟み込まれた瞬間、男の指が萌果の下腹部の柔毛の生え際をさすりと撫でる。びくっと固まっている萌果の顔は耳まで真っ赤に染まり、波音ではなく自分の身体が激しく脈打つ音が世界を占めた。恥ずかしさに消えてしまいたい。かくかくと震えて崩れ落ちそうになってしまう膝を何とか堪えている萌果は異常な身体の火照りに全身に汗を滲ませていた…それが心地よい海風の抜けるテラスで思春期の熟れかけの少女の甘酸っぱい牝臭を漂わせている事など意識出来る筈もなく。
 どうやってキッチンに帰ったのか判らないまま崩れ落ちそうになってカウンターに手を突く萌果を店長が覗き込む。
「もう帰る?――目標額達成してそうだし」
「い、い……、いいえ…だって…契約時間、閉店までですし」
 本当ならもうこのまま裏のバックヤードに行って着替えて逃げ帰りたい。だが書店のアルバイトで早退がどれだけ他の人の負担になるのかを知っている萌果はあまり深く考えないまま首を振ってしまう。
「萌果ちゃんがそれでいいならいいんだけどさ……」
 妙に歯切れ悪く言う店長に、萌果は無理矢理笑みを作った。
「頑張ります」
 それがどうなるのかを一切判っていないまま。

 多忙が極まった。
 あまり席数は多くないテラス席の上長尻でなかなか帰らない客が多いのは海の家の為なのだろうか?それにしては皆海に遊びに行かないのも気になりながらも大量の注文を運んでいる萌果はトレイに乗せている料理だけでなく指で支えているチョコバナナが倒れて胸に乗ってしまって慌てる。
「すみませんお待たせしました!え…とこれは今交換してきます!」
 トレイの上に載っていた料理は提供出来るが指先と胸で支えているチョコバナナはどう考えても客に出せるものではない。そう思いながら何とかテーブルに先に料理を並べ空いたトレイの上にチョコバナナを置こうとしている萌果は、胸に乗っているそれを手に取ろうとした手を取られた。
「それそのままでいいよもったいない」
「え?でももうこれは……」
「もったいないって知らない?」
「いえ…判りますが」戸惑う萌果の豊かな胸の上に乗っていたチョコバナナが傾き転げ胸に谷間にフィットする形で嵌り込んだ。「これ完全アウトですっ!」
 同級生の間でも目立つ豊か過ぎる乳房の谷間にすっぽりと嵌ったチョコバナナは何故かとてもいやらしい物に思え慌てて取ろうとする萌果は、覆い被さってきた男に硬直する。ひっと微かな悲鳴をあげてしまう露出過多のメイド少女の乳房に顔を埋めた男の口が、チョコバナナを食む。逃げない様にか二の腕を男の手で押さえられ顔を擦り付けるみたいにして齧りつく果肉だが、コーティングするチョコレートと形状の問題なのかそれはぬるぬると滑ってゆっくりとしか進まない。
 周囲の客がじっくりと自分達を眺めているのを見、混乱の極みになる萌果の胸の上端を男の前髪がさわさわと撫で、むしゃぶりつくその顎と頬がビキニの布地と柔肌を捏ね回す。堪らないむず痒さに未知のもどかしい感覚が背筋を這い回り、今年はまだ泳いでいない少女の白い身体がかくかくと立ったまま揺れる。チョコバナナの串を手に持って手渡せば済む話なのに、何故じっくりとそのまま食べるのか判らない。はあっと漏れる男の熱い息が胸の谷間を撫で、体温で溶けたチョコがバナナを滑らせてぬろぬろと谷間を動きながら深く深く沈み込もうとするのを追って、男の顔も更に萌果の胸に沈み込む。腰が不快に熱くなる感覚に頭の中が混乱する。早く食べ終わって欲しい。誰かが呼んでくれたらそれを理由に男に食べかけのチョコバナナを渡すかキッチンに持ち帰って新品と交換すればいい。
 砂浜に面した高い位置にあるテラスで、豊かな乳房に男の顔を挟み込まされた少女の口から零れるのは悩ましい呼吸だった。洒落たジャズが流れるテラスでは少女の吐息と男がゆっくりと甘い果肉を食む音しか聞こえない。かくっかくっと時折崩れそうになる少女だが、両腕を押さえられてそれは防がれていた…いや崩れ落ちた方がよかったのかもしれない。
「ご馳走様」
 やがてチョコバナナを最後の一欠片まで食べ終わり胸に塗り込められたチョコを舐め尽くした男が顔をあげた。安いチョコが頬についているが、その顔は極上の肉を食べた後の肉食獣の様に満ち足りている。腕を解かれデッキの床に崩れ落ちてぺたりと尻餅をついてしまう萌果の白いカチューシャに一万円札が挟まれたが、しばし少女は顔を上げる事も出来ずに乱れた呼吸を繰り返すしか出来ずにいた。
 漸く我に返り男の顔をおしぼりで拭いてからの帰り、やっと萌果は休憩時間になった。だが店長も他の店員もそれまでの心配そうな様子ではなく何処か余所余所しく、余所で外食するだけの気力もない少女は渡された大きなドリンクを飲んで息をつく。見慣れないヤシの実に花が刺さっているそれは少女の知らない甘く濃くねっとりと重い味がしていて戸惑うが、働きづめで乾いた喉に心地よい。気付けば大量のその飲み物を飲み終わっていた萌果はスタッフルームとも客席ともつかぬ奥まった場所の藤の長椅子にころんと転がって瞼を閉じる。
 あれは何だったのだろう。チョコバナナを食べる客の唇が舌が這い回り歯が当たるたびに感じたのは、食べられそうな緊張と奇妙なもどかしさだった。こそばゆさと言っていいのかもしれない。
「へんなかんじ……」
 ぽそりと呟く自分の声が妙におっとりとしている。疲れて眠いのだろう。少し眠れば疲れが取れてしっかり働けるだろう。そう思い、眠りに落ちる直前に萌果は目覚ましをつけていないのを思い出す…だが店の隅なのだからきっと店長が起こしてくれるだろう。甘えてはいけないが、そもそも休み時間中に目を覚ませばいい話である。口に残る知らない飲み物の甘く濃い味と酩酊感に大きく息を吸い込み、そして少女は眠りにつく。

 無防備に眠るその場所は特別に席料を払う場所であり、テラス席の中でも更に奥まった場所は他の席からも覗けない。高い席料に予約の入っていないそこに入っていく少女を見た客の希望が殺到し、抽選になった事。店長の注意事項は現状維持…つまり一時間後に≪そのままの状態≫である事。そして、一桁跳ね上がった席料だった。
 数本のおしぼりを手渡された客の踏み込んだその席からはスマートフォンのシャッター音などが聞こえてきたが眠る萌果と客の間に何があったかを知るのは当人以外誰も知らない。

「すみません、間に合ってますか!?」
 休憩時間終了間際に慌ててキッチンに入った萌果は気付かれない様に水着のずれを指で整える。しっかり眠ったおかげで疲れはとれた様ですっきりしているが、あの飲み物に似た甘く蕩ける感覚が全身に漂っている。そして下腹部の奥が奇妙にとろとろになっている居心地の悪さがある…まるで虫に刺されたみたいに痒くてかゆくて掻き毟りたくなる…実際に虫がいたのかもしれない。被れたら嫌だなと思う少女は休憩直前に舐められた胸の谷間や汗を掻いた下腹部が特に重点的にすっきりと、まるで拭われた様にさっぱりとしているのに気付けない。そして汗を擦っていた筈のビキニもメイド衣装も綺麗な新品に変わっている事も。
「頑張れる?」
「はいっ!」
 そう応える少女の綺麗に拭われている下腹部の、まだ男を知らないで済んでいる処女穴からとろりと愛液が溢れてビキニの底に小さな染みを作る。
 寝坊したのではないかと慌てていた萌果がその違和感に気付くには時間はかからなかった。今日初めて着たビキニと極小のメイド衣装ではあったが休憩前より動きやすい…いや動きやすいと言うより何だか物足りない。回転率が悪いのか休憩前と客が変わっていない気がするテラス席を慌ただしく回っていた少女はふと自分の胸元を見て凍り付く。
 乳首が立っている。もう高校生なのだから自分の乳首が立つ事も恥ずかしい少しいやらしい事も知っているが、そんな事ではなく黒いビキニの頂がぷっくりと卑猥に突き出てしまっていた。そこで漸く萌果は違和感の正体に気付いた。ブラのカップがない。極薄の水着素材一枚だけが胸に貼り付いていて、それが少女の胸の頂の形状をありのままに浮かび上がらせてしまっていた。どうして!?そんな叫びをあげてしまいそうになった萌果は自分の胸を見下ろした体勢で真っ赤になって固まっているウエイトレスに周囲がにやにやと嗤っているのに気付けない。どくんと全身が揺らされている感覚によろめきかける萌果の手にあるビールジョッキが小刻みに揺れる。
 恥ずかしい。黒い水着だから気付かれないと思いたいのだが一旦気付いてしまうと水着特有の光沢のあるブラジャーはボディペイントでもしている様に乳輪のぷっくりとした膨らみとその先の小豆程の乳首もはっきりと浮かび上がらせている。どうして?どうして?と疑問だけが繰り返している萌果の意識が乳首に集中し、奇妙な切なさが押し寄せてくる。それは知らない感覚だった。そんな事を知っている筈がない。ちゅうっと吸い付かれた様な、歯でこりこりと甘く噛まれた様な、くりくりと執拗に捏ね回された様な…本能的にそれではないかと思える感触を当て嵌めてしまう自身に少女は混乱する。恋人すら作った事のない萌果が知る筈もない行為は妄想だろうか。アルバイト中にそんな想像をしてしまう自分のはしたなさに泣きそうになる少女だが、身体は酷く敏感になっていた。
「どしたの」
「ひゃあんっ!」
 不意にぺちりと軽く尻を叩かれた萌果の手が跳ね、ジョッキの中のビールが零れた。
「おいおい勘弁してくれよ」
 尻を叩かれた力はそう強くなかった筈なのに驚く程強烈な刺激が全身を駆け抜け、その感覚が理解出来ずに固まっていた萌果は不意にかけられた声に視線を動かし、そして自分の持っているジョッキの中身の半分近くが目の前の客の身体にかかっているのに気付く。
「も、申し訳ありません!」
 慌てて未使用のおしぼりを手にデッキに膝を突いて男の水着にかかっている大量の液体を拭いかけ、そして少女は目の前の、指先の、男の水着の腰の中央部がはっきりと盛り上がっているのに気付き固まる。一応知識的には勃起するモノだとは当然知っているがはっきりとそれを意識した事などない。水着と言っても競泳用の腰に密着している型ではなく緩やかなハーフパンツの様なものである為にはっきりと形状が判る訳でもない…だが臍の辺りで護謨で締めているその真下まで一直線に隆起しているそれはどう考えても腹筋の類ではない。
 どくんと身体が熱く脈打ち、俯きかけながら萌果は何とか手を動かし、当たり障りのなさそうな場所を拭おうとする。だがそもそも男性の身体を撫で回すのに近い行為は堪らなく恥ずかしく、自分が痴女か何かの様に思えて萌果の顔が真っ赤に染まる。
 テラス中の男達の視線が何故か自分に注がれている気がして、それは粗相をしたウエイトレスを咎めるものなのか、そして客の服をまともに拭えない自分を責めているものなのか…アルバイトとして給金を得ている以上はしっかりと働かなくてはいけないと涙目になりながら萌果は顔を上げた。
「――っ!」
 直前は貼り付いてはいなかった筈の水着が、目の前で男性器の形をはっきりと浮かび上がらせる状態になっていた。十五センチの物差しに似たその長く太い筒状のモノが、萌果の視線に気付いた様にひたりと揺れる。骨も入っていない筈の隆起は真上を仰いでおり、それが意思を持っている様に動く姿に少女は悲鳴をあげそうになった。何で動くのか判らない。だが、それはとても凶悪で、そしていやらしいモノに思え…ぞくんと萌果の身体が震える。今はビールのにおいで判らないが、それは少し新鮮でない烏賊の様なにおいがしている…そんな気がする。はぁ…と何故か吐息が漏れ、その唇に当たる感触は平坦でなく微妙に波打っていて熱くてとても硬い……。
 何かに溺れていて不意に水面に出られた様な意識の浮上に少女は軽く仰け反り息を吐く。拭かなければ。お客様の身体を意識するなどおかしい。そう何度も頭の中で繰り返しながらおしぼりを持つ手を動かし、萌果は男の腰を拭い続ける。恥ずかしさに顔を真っ赤にしながら手を動かす少女の乳房はカップのない黒いブラジャーに包まれてはいるものの僅かな動きだけでぷるんぷるんと揺れ動き、そして頂の乳首は硬くしこったまま和らいで元に戻る気配は微塵もない。中央の縦の線を除く両脇を拭い続け、そして少女は一瞬身を強張らせる。白地に茶色で南洋の植物の葉模様が描かれている男性用水着はビールの色に染まっており、濡れているのは確かだった。
 何か一言お詫びをしてからがいいのだろうか?だが何かを添えるのは間違っている気がして何度も口を開きかけてから萌果は手を動かした。指先だけでなく手首の辺りまでわなわなと震え、止めようとしても自分の身体なのに治まって貰えない。
 そして、水着とおしぼり越しではあるものの、少女の指が男の肉槍に重なった。
 二枚の布越しに触れた男性器の感触に萌果の全身がびくんと跳ねた。椅子に座ったままの男の両脚の間に身を割り込ませている体勢は自ら股間に寄っている様であり、顔を背けなければ少女の視線の中央にそそり立つ肉棒がある状態になってしまう。男性の筋肉質な硬い腕に近いのだろうか、とても硬い棒みたいなその質感に眩暈を憶える萌果は感嘆に似た震えた吐息を漏らしてしまう。
「ちゃんと拭いて?」
 微妙に猫撫で声の男に少女はびくんと震える。怒っているのだろう、水着なのだから洗えば済む気もするがビールでもシミになったりするのかもしれない。高級リゾートホテルなどではないが普通の海の家よりも高額設定のテラスなのだからその客は少し高値い水着を着ている可能性もある。指に当たっている性器への怯えよりもアルバイトとしての意識と罪悪感が一瞬勝り、萌果は手を動かしてしまう。聳え立つ幹をおしぼり越しに縦になぞり、その猛々しい感触に少女の唇から微かに「あぁぁぁぁぁ……っ」と悩ましい声が零れる。
 両膝の間に身を滑り込ませている為狭めている肩に寄せられた豊かな乳房は卑猥に形を歪め、緊張と羞恥に忙しない呼吸を肩でつく為に上下に何かを挟み込んで揺さぶられているかの様にたぷんたぷんと揺れ動き、黒いブラジャーの頂きにある可憐な突起は痛々しい程に張り詰めている。テーブルを拭く様にすればいいのか判らない力加減は積極的に触れる事への怯えの為に逃れがちであり、それがおしぼりと水着の間に無駄な摩擦を生じさせ肉棒と水着を上端に擦らせ傘の先端が腹護謨の辺りに押し付けさせては引き戻し、ぐいぐいと押し当てられる先端に徐々に水着に透明な粘液が広がっていく状態に萌果は気付けない。
 びくっびくっと身体を震わせながら男性器の上の水着をなぞっている萌果の意識はどうしても布越しのものへと向いてしまう。とても怖いのに好奇心は消えてはくれない。アルバイト中であり余計な事は考えてはいけないのに、拭わねばいけない場所の長さと太さと硬さと熱が本能的に少女を怯えさせそして密かに陶酔させる。大きい。こんなものを受け入れるのだと思うと恐ろしくすらあるのに、ぞくりとして指先で更に確認しようとしてしまう。背筋を這い上る妖しい疼きに微かに仰け反っては居心地の悪い腰を微かにくねらせてしまう萌果の黒いパンティの中央の染みがじわりじわりと広がり、切なさを訴えてくるむず痒さに密かにエナメルの踵を押し付けてしまった少女はその瞬間襲ってきた快感に小さな声で喘いでしまう。
「どうしたのMOKAちゃん」
 押し当ててしまったヒールの踵に、デッキにぺたりと腰を下ろしてしまった体勢を怪訝に思われたのか背後に来た男に萌果は慌てて腰を上げ、その結果目の前の男に身体を寄せてしまう状態になる。あ…と困惑の声をあげてしまう少女は反射的に手を当てていたものに掴まってしまい、白い華奢な指が二枚の布越しに肉槍をはっきりと握ってしまう。
「――っ!」
 布もあるが萌果の指では握りきれないその太さに泣きそうになっていた瞳が大きく見開かれ、初めての肉棒の存在感に泣き笑いの表情になってしまうその手の中で、びくんと熱の塊が引き寄せる様に更に反り返る。咄嗟に放してしまいたくなるが手に当たっているおしぼりが仕事を忘れさせず、身体を強張らせる少女は手の中で前後に揺れる肉棒に混乱する。何故動くのか判らない。これ程凶悪な造りである必要性が判らない…これで貫かれるのはとても痛くて無理であろう、それなのに、それなのに、何故かそれはとても素敵な事の様に密かに思えてしまう無意識の火照りに、萌果の泣き笑いの表情の中、瞳はとろんと悩ましい艶を帯びてしまう。
「ほら、拭いて」
 促され、その手の力を抜く事も出来ないまま萌果はゆっくりと手を動かした。おしぼりと水着を絡ませたまま白い繊手が小刻みに揺れ動く。混乱の極みにある少女は身体を意識する事は出来ず、男の肉棒に集中してしまう手に身体は不自然に前後に動く。はぁ…っはぁ…っと悩ましく浅く乱れた呼吸が階下の健康的な砂浜の歓声と波音に隠れる様にテラスの中で篭り、男性客全員が自分に熱い視線を注いでいるのにも気付けない少女は男の肉棒を扱き続ける。機械仕掛けの様なぎこちない動きは本能的なものなのか徐々に滑らかさを増し、擦る範囲を広げていく。
「あ……!」
「膝立ち、疲れるでしょ」
 不意に腰に触れた手に萌果は声をあげてしまう。ヒールの踵を押し当ててしまった時よりも明確な快感にぞくんと全身が震える。デッキに膝を突きやや前屈みになっている体勢では背後の男に対して無防備であり、そしてビキニのパンティを隠せないスカートは尻肉の半分ほどまでしか丈がなく、恐らく男の目には萌果の腰はビキニ姿同然である。いや…海でビキニ姿なのは何も恥ずかしくない筈なのだが、誤魔化しにもなっていないスカートをその上に身に着けているだけで奇妙な恥ずかしさが増すのは何故だろう。客に助けてもらう申し訳なさに断ろうとした少女は、男の指先に尻肉の裾をなぞられびくんと震えた。
 ビキニに紙幣や硬貨を挟まれる事は多かったが、回を増すたびに抵抗したい意識は薄れてしまった気がする。それは男達が平然と繰り返す為なのか、店が認めてしまっている為なのか、恥ずかしさに比例する様に高額になる為なのか…逃げたくなる恥ずかしさの中で密かに増していく快感から目を背ける少女は今も堪えてやりすごそうとしてしまう。
 指が水着のパンティの下端をゆっくりとなぞる妖しい感覚に萌果は息を詰まらせ身体を強張らせる。
 痴漢に遭遇した事は何度かある。電車やバスなどで遭遇するそれは不潔な不快感しか感じられず機会があればすぐに逃げてしまっていたのだが、今はアルバイト中であり、そして触っている男は少女の作業を手伝ってくれているつもりなのである。――いやもしかして女性の身体に触れるのが苦手でしっかりと押さえられないだけであって不埒な意識はないのかもしれない。善意なのだとしたらそれを咎めるのはアルバイトとしては恥を掻かせる行為になってしまう。
 混乱する萌果の身体がぶるぶると小刻みに震え、少女の手が縋りつく様に目の前の男の腰のモノを握り締める。布越しにも熱い塊の硬さが確かに怖いのにそれを頼りにしてもいい気がしてしまう自分が判らない。店内に他に女性や子供客がいればまだよかったかもしれない、だが夏限りの海の家して海岸沿いの洒落たバーのテラスを夏休み期間中に昼営業している店では客層が異なってういる。そして、この場に女子供がいない状態に萌果は何処か安堵すらしていた…ビキニにメイド風の極小のスカートにエプロン姿の制服は可愛らしくはあるのだが少女の目にはややあざとく、同性の目で見られるとかなり厳しいであろう。つまりそれは異性の目で見れば風俗的な要素なのだが、ウエイトレスだと最初から思い込んでいる萌果はその要素を軽視していた。やや露出過多であってもビキニは海辺では普通であるし、そこに布が増えているのだから隠れている…それが更に卑猥さを増すと本能的に察している筈なのに何故か危機感が鈍化し、その代わりに生々しい羞恥心が異常な形で初心な少女を焙っていく。膝立ちで疲れるも何もない事に萌果は気付けない。
「ゆっくり拭いてくれるかな。――色々と拙い場所だからさ」
「は…、はい……」
 自分が粗相をしてしまった客の要望に萌果はゆっくりと手を動かす。他の客への給仕もあるのだから早く作業を終わらせなければならないのだが手早く雑だと怒られるのは問題があるだろう。熱いコーヒーをかけてしまったのならば火傷が怖い筈だがビールでは何が拙いのだろうか、だがゆっくり拭けと指定されたのだから仕方ない、そう思いながら拭う萌果の手が震える。硬い。とても硬い。ぞくんぞくんと背筋を這い上る妖しい感覚に吐息が震え、困惑する少女の瞳がしっとりと濡れていく。
 他の客の注文や給仕はないのだろうか?と一瞬不安になって周囲を確かめたくなるが、何故か目の前の男の腰から萌果は視線を外す事が出来なかった。びくっと手の中の肉槍が跳ねる度に堪らない恥ずかしさが少女を支配し、逃げられなくなる。そんな少女の尻肉をなぞっている背後の男の指が緩やかにビキニのパンティの位置を上へと引き上げ、極薄の布地が尻肉の中央の谷間に食い込んでいく…休憩前とは異なるのはブラジャーだけでなくパンティもであり、そして前とは異なり水着素材ではあるものの一枚の極薄の布の前後の上端を腰の護謨紐だけで留めているだけの構造は布を中央に寄せようとしてしまえば簡単に一本の帯状に纏められてしまう。辛うじて前はそのままにはなっているものの、徐々に狭くなっていく布地は萌果のいやらしい牝肉の丘を包み込み搾り上げる形へと変えられていき、剥き出しにされていく尻肉を男の手が執拗に撫で回す。ただ支えているだけでないと少女には認識出来ている筈なのだが、咎めたいと思えない自分に更に萌果は混乱していた。確認出来ない状態にどれだけ自分の腰が恥ずかしい事になっているのかは判らないのだが背後の男の手の動きは確かに性的なものに変わっている…それなのに、恥ずかしいのに、嫌だと思えない。
 ゆっくりと萌果の剥き出しの白い尻肉を撫で回していた男が、その中央で帯状になっている黒いビキニのパンティを指で引っかけてくいと上に釣り上げた。
「――ん……ぁ……っ」
 牝肉に貼り付いている薄布を絞られた瞬間、ぷっくりと膨れ上がっているクリトリスに重なっている布地が擦れてその刺激に萌果の唇からいやらしい声が無意識に零れる。黒い布地と丘の間に溜まりきっていた愛液が布の上へ一気に滲み出て既に濡れていた布の上にねっとりとした愛液の層が生まれた。

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