2019余所自作20『ノーブラで宴会に来てしまった女の子』

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 早く戻らないと。
 修学旅行の宿泊先のホテルは予想以上に大きく、栞は長い廊下を身体を縮込まらせて歩いていた。そこかしこで賑やかな宴会の喧騒が聞こえてくるのは規模と比べると安普請なのだろうか?大きな玄関には栞の高校の修学旅行御一行様の看板以外にもどこかの企業名や団体名も並んでいたから貸切ではないらしい。女子高の修学旅行なのだから貸切の所にすればよいのに、と思うのは引っ込み思案な性質だけでなく、恐らくは同じグループの…栞にとっては攻撃性の強い同級生達の悪戯の為だった。
 仲が良いと言うより栞を格下扱いをしているグループの居心地の悪さに就寝時間間際に大浴場で入浴した栞は、脱衣所に戻ってみれば籠の中が空になっていた。リボンだけが残されていたのだから、誰かが浴衣と下着とバスタオルを持ち帰ってしまったとしか思えない…それをグループの人達の仕業だと考えるのは、胸が痛い。泣きそうになりながら無人の脱衣所を探し回って何とか見つけた子供用浴衣を着てみたものの、それは明らかにサイズが小さく小柄な栞が着ても腰の前を合わせるのがやっとであり、乳房は両方の乳首より脇が隠れるだけで中央部分はむき出しになってしまっていた。それでもハンドタオル一枚よりはマシである。空いてしまっている胸元を絞ったハンドタオルで隠しながら廊下を歩いていた栞は、部屋番号を見、そして扉を開けた。
 乱雑に脱ぎ捨てられているスリッパをため息をつきながら直す栞は、不意に奥の障子を開けた人物を見上げて凍りつく。
「――何だぁ?凄い格好の子がいるぜ」
 同じホテルの浴衣をだらしなく着ている成人男性の影が栞に落ちる。その向こう側の和室の、何本ものビール瓶を転がして寛いでいる何人もの男性の視線が一気に少女へ注がれた。
「ご、ごめんなさい……!部屋、まちが……」
 自分の服装より先に恐らく部屋を間違えてしまった焦りと見ず知らずの成人男性への怯えに暫し凍りついた後、慌てて立ち上がり頭を下げて立ち去ろうとした栞は、子供用浴衣の前があっさりと開き秘めるべき白い腹部や柔毛が露出したのに気付き両手で隠す。
「誰か宴会コンパニオン呼んだか?」
「さぁ?サプライズかなぁ?」
「い、いや、ちが……ちが…っ……これ、これは……!」
 生乾きの漆黒の髪が宙を舞う程大きく首を振る栞の背後に回った男がぐいぐいと和室へと小柄な身体を押しやり、そして浴衣の前を隠すのと逃げ帰ろうとする両方で上手に動けない栞は和室の中央に押され、膝をついてしまう。ぶるんと乳房が弾み、まだ誰にも見せていない白い乳房が蛍光灯の下で顕わになる。小さな悲鳴をあげる少女の口にまだ半分程残っているビール瓶が押し付けられ、苦い酒の臭いを感じて栞は懸命に口を閉ざす。
「もしかしてあれか?女子高生」
「ははぁ……ん。御令嬢のアバンチュール?でもお嬢様学校で厳しいのにこんな格好で小父さん達の部屋に来たのバレたらまずいんじゃないの?」
「お小遣い稼ぎかー…六人いるから結構稼げるよ?」
 男達の言葉に頭が真っ白になる栞の浴衣が背後から引かれ、帯の辺りまでが一気に引き下ろされて悲鳴を上げかける少女の口にビールが勢いよく注がれ、入浴したての柔肌を黄色く冷たい液体が滴り落ちる。嫌いやいやと懸命に精一杯の声で哀願するものの怯えた声は小さく、そして六人がかりで両手両足を押さえつけられている少女の乳房を、男がじゅるじゅると舐めすすり、ビール瓶からでなく男の口からビールが流し込まれる。
 エアコンの効いた和室の左右の部屋から賑やかな宴会のざわめきが届き、それに少女の悲鳴はあっさりと掻き消されてしまい他の部屋には届かない。少女の浴衣は小さく薄く、そして男達の浴衣もまた脱ぎ易いものだった。飲んだ事のないビールを何度も繰り返し流し込まれかあっと熱くなる身体に、男達が群がり、異性と交際した事のない唇が、手が、乳房が、そして秘めるべき場所が穢されていく。暴力はない。怯えきった少女の強張った身体が酒で無力になり、そして女遊びに慣れた男達によって女へと変えられていく。乳房を揉まれ、しゃぶられ、スマートフォンで撮影されながら愛らしい唇が牡の性器に穢され、そして、避妊具もつけないまま、栞の処女が奪われた。
 誰か助けて。
 刻印の様に刻み付けられる赤黒く太い牡の逞しさによる激痛と、一突き毎に植えつけられていく妖しい熱い感覚に、四つん這いになり揺さぶられながら啜り泣く栞の口を、他の男のモノが犯す。
 就寝時間に自分が部屋に戻っていない事に気付いて貰えるだろうか…だが違う団体の部屋に確認に来て貰えるとは思えない。自分はどうなるのだろうか。そう思う時間が、短くなっていく。熱い。痛い。熱い。あつい。
 六人の男達が満足するまでに無垢な少女がどれだけ染められていくのかは、誰にも判らない。


■『ノーブラで宴会に来てしまった女の子・差分』

「何でこんな浴衣着てるのさぁ?」
 露出してしまった乳房に顔を真っ赤に染めて身を縮込まらせる栞の口内に大量のビールを流し込んだ後、男の舌がぐちょぐちょと苦い酒を掻き混ぜる様に蠢き回る。まるで蛭の様な大きな舌の動きは少女の想像する接吻とはあまりにも異なり、童話の様な柔らかな微笑ましいものに憧れていた少女は異物感に鳥肌立つ。口周りの無精髭が柔らかな唇の端を無神経に当たり、飲み干したくない苦い酒の行き場に困りきった少女の口の端から半分が、残りの半分が喉へ流れていってしまう。口内にあった時はただ苦いだけの印象のビールが食道から胃へ流れ込んでいくと、かあっと熱くなるのに栞は驚く。
 ぐちょぐちょと口内を舐る舌に、やがて唾液で口内にとろみがついていく。男の唾液を流し込まれているのだと気付く事も出来ずに涙ぐむ少女は、唇を貪られている間も他の男達によって華奢な足首を掴まれじりじりと左右に広げられていく感覚に何度も首を振りたくろうとして、そして悲鳴の度に更に深くふかく男の舌を受け入れさせられていく。
 座敷の中央で尻餅をついている身体で片手で隠そうとしている乳房を遠慮なく揉まれ、もう一方の手が小さな浴衣で懸命に下腹部を隠そうとしているが、元から腰をぎりぎりで隠せるか隠せないかの浴衣は尻餅の体勢では秘めるべき場所を隠せない。
「んー!」
 フラッシュが焚かれる。肩幅程開かされている膝の向こうで、スマートフォンを構えた男が栞を撮影していた。ぐいと力の限り浴衣の裾を下へと引く度に肌蹴た浴衣は上半身からずるずると下がり、滑らかな肩だけでなく細い腕も、肘までも顕わになる、だが、浴衣の長さは足りないままで、少女の腕の自由は絡まる浴衣で徐々に奪われていく。浴衣の裾を握る指に、下腹部の丘が重なっている。もっと下まで隠したい。丘の半ばまでも届いていない…つまり性器もその下のもっと見られたくない場所までも露出しまっている恥ずかしさにかあっと栞の顔が赤く染まる。
 酒が左右の男から繰り返し繰り返し流し込まれ、乳房が荒々しく、優しげに、揶揄う様に、揉みしだかれ、乳首が吸われ、舐められ、齧られる。知らない。こんな行為を少女は知らない。しかも愛しい男性とのベッドの上での初夜でなく、明るい座敷の中央で、ビール瓶が転がる中、下卑た質問を浴びせられ、撮影され、六人がかりで弄ばれながら、反応を引きずりだされる。恐慌状態の栞の足が不意に持ち上げられ、男の一人がべろりと足の指を舐め上げた。
「ひ……ゃあ!」
 口内を舐り回す舌にも感じた蛭の様な感触に栞は思わずおかしな悲鳴をあげてしまう。ぬるぬると滑るよく蠢くものが足の指を舐め、そして口内に含み、温かな粘膜に包まれる。奇妙なこそばゆさがぞくりと全身に巡り、仰け反る少女の防御が甘くなった瞬間を、男達は逃さなかった。
 更に大きく左右に脚を開かれ、怯んだ両手が左右に抑え込まれる。浴衣の左右がぐいと割られ、白い身体の正面に残されたのは帯だけになってしまった少女を、フラッシュが何度もなんども照らし出す。
「いや…っ、いやいやいやいやぁ……っ!」
「栞ちゃんの陰毛、薄めでーす」
 まるで温泉の効能の様に揶揄う口調で言いながら栞の柔毛が指で摘まれ、左右に振る様に引かれる。
「――あんまり騒ぐと窓開けちゃうよ?」
「廊下のドア開けちゃうのもいいよねーきっと栞ちゃん探してる先生が見つけてくれるよ?六人相手にエンコーしちゃってる格好見られたらどうなっちゃうか知らないけどさ」
「下着なしのエロ姿で男買いに歩いてましたって素直に報告しちゃうよ?」
 男達の言葉にびくっと栞の身体が震え、そして僅かに力が抜けた少女の唇をビールを大量に含んだ男の口が塞ぎ、流し込む。
「全部、飲もうね」
 最初冷たかった液体が、徐々に体温で温くなっていくのを感じながら、栞は涙を零しながら嚥下する。さらりとした苦いビールが温くなり、そして、苦味のない唾液も流し込まれ、見ず知らずの男のものだと確かに認識させられながら、それも飲み込み、暫し舌で口内を舐り回された後、不思議と静まっていた座敷の中央で、離れた男女の口の間をねっとりと長い糸が伸びた。

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