2020余所自作89 『強制苗床快楽責め』

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 そこは伝説の木。そこで愛を誓った男女は永遠の愛を手に入れる、そんな木。
 それなのに。それなのに。

 気の早い狂い咲きの桜の巨木の下で文庫本を手にして俯いていた未緒は、深呼吸を繰り返す。いつもならば時間があれば読みふけってしまう本に目を落とす余裕もなく制服の胸の奥の激しい鼓動に軽く少女は頭を傾ける。1年生の時からずっと思い続けていた彼が来てくれるまであと数分…時間に正確な彼は遅刻もしなければ早くも来ないだろう、いや、来てくれるだろうか?もしかして非の打ちどころのない女の子に呼び出されてしまってはいないだろうか?いやこの学園において告白となればこの木の下は絶対的で、それなのにふと気づくと誰もいない違和感に未緒は戸惑う。卒業間際からこの木の下はまるで団体旅行の集合場所の様に混みあうのが基本で、しかも桜の花びら舞い散る麗らかな日差しの今日の様な日はそれこそ告白日和だろうに、何故、無人なのだろうか?
 ざわりと、不意に何かが背後で蠢いた。人よりも大きな何かが揺れ動いた感覚に、未緒の全身が一瞬で鳥肌立つ。まるで何億匹もの蚯蚓が同時に蠢いた様な得体のしれない圧迫感に逃げ出そうとする本能を嘲笑う様に竦み切った少女の身体は一歩も動けない。何かが動いている。何かが。ぞぶ。人や犬猫が動いているのとは明らかに異なる音が無数に鳴り、不意に未緒の脚に何かが振れた。温かみはない。
「……」
 辛うじて目を動かした未緒の視界に赤茶けた何かが映る。開花前の桜の皮を煮込むと桜の染料として使えるのだと授業で聞いた桜の樹皮と瓜二つの円柱状のものが、ずるずると動いていた。背後の桜の巨木が食虫植物の様に挟み込もうとしているのだとしたらこんな感じに枝を無数に伸ばしてくるのだろうか…そう思える何十本もの枝の様な物が左右から未緒の両脇に広がり、そして、勢いよく巻き付いてきた。
「ひ…やぁ……!」
 動物とは異なる硬い質感の枝もどきが未緒の両脚に絡み付きぐいと両脚を開かせる。何の悪戯なのだろうか?あまりの非現実的な光景に頭が真っ白になる未緒の腕と胴を何かが捕らえた。自分の目と思えない程ぎこちなくしか動かない眼球を操り右腕を見た未緒は足に絡み付く枝もどきとは異なる存在に引き攣った悲鳴をあげかける。腕、だろうか?人間の何倍もある巨大な手が未緒の細腕を掴んでいた。もう一方の手は未緒の胸の下を掴んでいる。ゴリラより大きい。大昔の映画のキングコングならばこれより更に大きいだろうがそんな動物がこんな場所にいる筈がない…ましてや桜の樹皮そっくりの質感の温かみのない硬いそれが、何故。
 みりっと音を立てた直後、スカートの内側で未緒のパンティが引き千切られた。引っ込み思案で地味な未緒だが一世一代の告白に少しでも好印象であろうと少しだけスカート丈を短くしようとウエストで折り返しているそのスカートから露出している生白い内腿を恐怖の余り漏らしてしまった尿がだらだらと滴り落ちていく。
「や……、いや…た、たすけ……て……」
 告白の名所だけあって学園内でも目立つ場所は何故か未緒だけしかいなかった空間であってもそこそこ離れた所には人がいる。何人か…いや何十人もの人が恐怖に引き攣った顔で未緒を、その背後を見ているが、誰も凍り付いた様に動かない。何十人もの生徒が凝視する中、未緒の下腹部を数本の枝もどきが這い回る。尿で汚れているのにと思う余裕は未緒にはない…いや、違う。異常な存在に縛り付けられているよりも酷い何かがこれから起きようとしていると本能が訴えていた。がちがちと歯が鳴り、助けを求めて周囲を眼球の動きだけで見回す未緒の瞳から涙が、鼻から鼻水が溢れ出す。何十人もいるのだから全員で助けてくれればどうにかなるかもしれないのに、そう祈り憤る未緒の膣口に何かが当たる…何だろうこれは、何だろう、まるで拳の様な大きな硬い物体が。
「あぐ…ぁああああああああああああああああああ!」
 ずぶりとそれが美緒の処女肉を裂く様に送り込まれてくる。激痛に悲鳴をあげる未緒の腕と胴を握る大きな手がまるで機械の様に後ろへと引き寄せていくその空間には未緒の脚に絡み付いている無数の枝もどきよりも多くの枝もどきが蠢いていた…その内の一本が未緒のもう一つの孔に捻じ込まれていった。

 ずちょっずちょっずちょっと淫猥な粘着音が鳴り響く中、桜の花びらが舞い散っていた。
「んはあああ!あ、あ、あぐっ…んはあ!うあ!んがあっ!」
 自由になるのは両肩から上だけ。巨大な腕に掴まれ続けている左腕だけでなく右腕も枝もどきに捕らえられている未緒は狂った様に身体をくねらせる。膣内で、腸内で、ごりごりと長大なモノが動き続けている。流れていた破瓜の血液は今はもう白濁液に溶けて判らない状態だった。午後一番での待ち合わせからもうどれだけ時間が経ったのか、未緒を遠巻きに見ていた生徒は増減を繰り返していた…いや気持ちの悪さにか失神した誰かが運び出されたその穴は複数の生徒や学生以外の誰かなどが埋めていた。大勢がスマートフォンを未緒に向けている。警察官や教員が帰宅を促しているが、枝もどきの蠢く範囲には誰も踏み込もうとしていない中、未緒は全身をがくがくと震わせて絶頂に喘ぐ。まるで淫具の工芸品みたいなものなのだろうか?ずちょっずちょっと淫猥な音を撒き散らして少女の膣を犯す極太長大な幹の先端からは大量の樹液が迸り続け未緒の膣だけでなく子宮までもをたっぷりと充たし、そして溢れ返っていた。未緒の身体がくねる度に、いやそれだけでなく引っ込み思案な女生徒が膣も子宮も犯され切っているのだと人々に知らしめる為の様にどぶどぶと樹液が結合部から迸る。
 犯罪者でも野犬でもない巨大な何かに犯され続けている女生徒をどう救えばいいのだろうか。
 低い温度の樹液に子宮を充たされずぶずぶと犯される未緒の牝肉は徐々に…いや樹液の噴出の直後から激痛を上回る妖しい快楽に貪婪な肉壺と化していた。恐怖はある。だが、それよりも快楽が上回っていた。膣内で噴出する樹液は子種にはならないだろうと思いながら、だがこんな異常な行為を成せる存在なのだから自分を孕ませてしまえるのではなかろうかとふと思い、そう考えた瞬間、未緒はより一層よがり狂っていた。種付けをされている。ただ異常な存在に延々と傷つけられているだけでなく、自分は、処女だった自分は何十人も…いやもう百人を超える人々の前で犯されて何度も何度も絶頂を繰り返して受精させられているのだ。犯されている。凌辱されている。喘いで、こんな大声で喘いで、身体をくねらせて、どろどろに樹液を滴らせて、絶頂を何度も何度も見せつける様に繰り返して。
「んはあぁぁぁぁぁぁ!でて…るぅっ、でてるのぉぉっ!なかに…だされてるぅぅっ!」
 誰か助けだしてくれるのだろうか?
 どぷっどぷっと子宮に直接流し込んでくる様な樹液の迸りの勢いに薄い腹部を脈打たせながら、未緒は絶頂に仰け反り泣き叫ぶ。
 助けられて…どうなるのだろうか?この腹の子供は、どうなるのだろうか?ただの樹液なのだろうか?孕んではいないのだろうか?いや…多分、孕んでいる。執拗な脈動が、子宮の火照りが、巨大な腕に操られる圧倒的な抽挿が、未緒に確信させる。自分はこれの子を孕んでいる。どの様な生き物なのか?未緒には判らない、子を。
 例えば警察官の手に負えず自衛隊か何かにこれが斃されたとして、腹の子はどうなるのだろう。この誰も助けてくれない性交の、絶頂の果ての子とは、十月十日も待たず堕胎させられるのだろうか?それとも産まされるのだろうか?我が子とは対面するのだろうか?母乳は溢れるのだろうか?授乳してあげられるのだろうか?父親はどんな存在だったのかを一切知らないまま、どうなるのだろうか?この子は、自分は。
「ぃ……ぃい…っ!いくぅ…っ!おなかのなかあついのぉっ!いくっ…いくいくいくいくいくいくううううううううううううううっ!」
 恐らく間もなく斃されるであろう父親とまだ見ぬ腹の中の子の存在を周囲に刻み込む様に、自分自身忘れない様に、未緒は泣き叫び絶頂を迎える。恐怖も嫌悪も存在する…自分を理不尽に犯して子種を植え付ける存在も、その種付けの最初から最後まで見届ける人々へも、一切の抵抗も出来ない自分にも。それなのに、巨大な性器の一突きを全身が細胞の一片までもが悦び真っ白に溶けていく。止めないで。もっとして。ぐちょぐちょに掻き混ぜて。いっぱい頂戴。もっともっともっともっと。

 ぱん。と一発の銃声が鳴り響く。
 伝説の木の下で結ばれたそれが永遠を手に入れたかは、生徒達が見届ける事はなかった。

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