カナモジ・タイプライターについて

漢字の非能率性を感じていた山下芳太郎は,当初からカナタイプの開発をこころざした. たまたま,カナモジカイ評議員の星野行則が渡米して,レミントン社をはじめ各社にカナタイプの可能性をさぐったときに,アンダーウッド社の設計部長B.H.スティックネーがカタカナに関心をいだいており,きわめて長所のおおい文字であるとおもっていることをしった.すなわち,
(1) 日本人のすべてが,現在すぐよむことのできる文字
(2) 字画が簡単
(3) 人は横文字をよむときは,たいてい上半分だけをみながらよんでいるものだが,カタカナも下半分をかくしてもよめる
(4) 1字1音であるから,英語よりすくない字数ですむ.したがって談話でも速記なしでそのままタイプでうてる
これをきいた山下芳太郎は自信をもち,カナ使用の頻度を研究してキー配列をきめるなどの準備をおしすすめた. 活字の開発については,平尾善次にたのんで,語形をくみたてる力のすぐれた字体(平尾式カナモジ)をつくったが,普通の字体とかけはなれているという批判があったため,内閣印刷局の猿橋福太郎が,いく種類もの活字をつくった(猿橋式).
現在,一般につかわれているパソコン,ワープロの”カナ”のJIS配列は,山下芳太郎のきめた配列が元となっている.

参考資料: カナモジ論(カナモジカイ)
日本語大博物館(ジャストシステム)
ぶっくれっと(三省堂)

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