146   3−Days Marriage(Nail)
 
 選挙戦を間近に控えた市長の息子皇城光一(変更不可)に見合い話が舞い込んだ。相手は地元有力企業の一人娘上村葵。光一のクラスメイトでもある。明らかな政略結婚に光一よりもむしろ葵の方が強く反発した。それでも父親に翻意させることができない彼女は光一に命令する。見合いを破棄させるために他の婚約者を探せ、と。
 
 Nail第2弾は婚約者を探して3日間の同棲生活を送るアドベンチャー。個人的には初Nailになります。というか、本作を知るまでNailというブランド自体を知らなかったんですが。
 初回特典はサウンドトラック。商売しない姿勢は嬉しいですが、今のエロゲー界においては欲しくなるタイトルほどそれが適うケースは少ないんですよねぇ。果たして本作のサウンドの出来はいかに。
 購入動機はメーカーの提唱する作品のアピールポイントが気に入ったから。原画家さんの絵も割合好きな部類であったので。
 
 システムは別段、珍しいところのないアドベンチャースタイル。売りであるところの口説きおねだりシステムは二択が3回続くだけなのでシステム上は通常時と変わりなし。
 足回りはかなり優秀。メッセージスキップは既読未読を判別して非常に高速。選択肢の後もスキップが継続するのは使いやすくて良。
 バッグログは別画面で行います。変わったことにメッセージウインドウが画面に3つが表示されて、これをひたすら逆上る形式。ホイールマウスに対応、リピート再生も可能になってます。
 
 シナリオは力を入れているのかいないのか不思議な印象。本作は「3−Days Marriage」というタイトルやパッケージの表や裏からはエロ重視ゲームに見えます。しかし、蓋を開けてみるとHシーンはなかなか現れず、純愛ゲーム並にシナリオに力が注がれているようにも見えます。ここからがこのゲームの難しいところ。
 ゲーム全体の割合を見た場合、Hシーンは両親に会う日と3日間の同棲生活中に集中しています。それ以外はさながらF&Cのゲームの如く健全。扱うネタは主に市長選と学業。むしろ同棲生活が作品世界内においてすら浮いている印象があります。この時だけ周囲もやけに性に関してオープンなような。
 口説きおねだりシステムを擁してのHシーン、これがエロ重視としてもシナリオ重視としても微妙な仕上がり。システムとしては口説き文句としての二択をお風呂で3回選んだあと、部屋に移動してHシーンが発生。いわゆるハズレというか失敗はなく、どんな選択肢でも何らかのHシーンになります。
 口説き文句である選択肢の内容は1日目から3日目まで同じ。1つ目は「可愛い」か「綺麗」か、2つ目は瞳を宝石に例える、3つ目は和歌を贈る。婚約者が変わっても微細な違いだけで実質一緒。なかなか豪胆な主人公です。喜ぶヒロインもヒロインですが。
 そして、Hシーン。ヒロインたちはスク水、体操服、巫女服、Hシーン専用エプロンなどを持参して頑張ります。ところが、健気なヒロインたちに対し、主人公は実に淡白。コスプレに対する興味がないのか全く反応なし。それどころかHシーンの導入部が全て同じという勇者っぷり。違うのは名前だけ。さすがにこれはどうかと思います。
 何のためのコスプレなのか、シナリオとしての意義が全くないような。付け加えるなら一緒にお風呂に入るというシチュエーションでHが一切ないのももったいないです。
 さらにHシーンにおけるテキスト。驚くほど尺が短いです。普段あまりこうしたことを気にする方ではないんですが、さすがに数えられそうなほどのクリック数で終了してしまうと寂しさを感じてしまいます。
 Hシーンだけでなく日常においてもテキストは苦しく、会話があまり弾みません。特に同棲期間はHシーン以外に何ら楽しみが感じられないのは悲しいところ。あまりにも普段の主人公の描写が透明である辺りに原因があるのではないでしょうか。前触れもなく妹萌えだったり、目に余る男尊女卑ぶりだったりすれば違和感ばかりが目についてしまいます。
 本作はある程度、クリア順序に制御がかけられています。メインヒロイン含む学園生3人→メガネお姉さん先生→お姉さん義母→メインヒロイントゥルーという流れ。タイトルである3日間の同棲はメガネお姉さん先生まで。終盤に行くほどエロ度は下がっていきシナリオに重点が置かれていくのですが、カラオケ大会の是非でヒロインが決まるなど、出来としては苦しいと言わざるを得ません。特にメガネお姉さん先生シナリオは前作の反省を修整したシナリオだそうですが、前作を知らない私には目を覆いたくなるような内容としか映りませんでした。まだしも月詠シナリオなどの方が良かったような。
 アドベンチャーとしては異様なまでの高難易度を本作は誇っています。ほとんどミスは許されないだけでなく、理解しにくい選択肢が正解だったりするのでプレイ中は言いようのない閉塞感があります。既に書いたようにプレイ順序にも縛りがありますから。ゲンナリすること必至。プレイする際には攻略情報を用意することをお薦めします。
 
 CGは魅力的な原画を活かす塗りがされているかと思いますが、如何せん枚数不足が目立ちます。エロ重視のコンセプトで75枚というのはさすがにちと少ないのではないかと。せめてもう10枚くらいは欲しいです。
 立ちCGは表情、ポーズとも多彩な変化を見せてくれます。特に活動的なヒロイン上村葵は性格の出ているポーズや表情が強く印象に残りました。
 背景は地味めの塗りのせいもありますが、寂しい仕上がり。この部分は弱点と言われても仕方ないでしょう。
 
 音楽はどうにも苦しい曲が揃ってしまっています。印象に残らないのならまだしも良くない印象が残ってしまう曲が幾つか見受けられます。特に20.into the mazeは繰り返しのメロディにバグを疑ってしまうような不安を感じます。単調すぎるといいますか。
 ボイスは主人公を除いてフルボイス。男性陣にも用意されています。演技の方はメインヒロインがややぎこちないきらいはありますが、聞き続ける内に慣れてくるレベルかと。その他のメンバーは安心して聞くことができます。
 
 まとめ。焦点のぶれた作品。エロを見せたいのか、シナリオを見せたいのか、スタッフの意図がわかりません。エロ重視にしてはテキスト、シチュエーションの活用、分量に疑問が残りますし、シナリオ重視にしてもその平均レベルや見せ方に疑問が残ります。恐らくはエロ重視ゲーだと思うのですが、今でも自信が持てません。
 全体的にもう一皮むければ素晴らしいゲームに生まれ変わりそうなんですが……。
 あまり作品の出来とは関係ないんですけど、今のエロゲー界はなんでもありなんで源氏物語をモチーフにしても取り立てて斬新に見えないのは面白いところ。まぁ、その昔から日本人の考えることは根本的なところであまり変わっていない、ってことなのかもしれませんけど。
 お気に入り:六郷月詠、仁科紫
 評点:46
 
 以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。
 
 
 
 
 
 
 
1、上村葵
 実は最初から好きでした。そう言ってくれるだけで実にシナリオがしっくりと馴染むように思うのは私だけでしょうか。思い込みの激しい性格を考慮してもカラオケ大会後の言動は異常。誰もついていけません。
 トゥルーシナリオでの様子は可愛らしいですけど、やはり説得力不足。巧にそそのかされただけ、では弱いです。
 
2、仁科紫
 思えばこの紫シナリオをプレイしていた1周目がこのゲームを最も高く評価していた時だったのかも。この時は欠点が欠点として見えていないものがほとんどで、けして悪いイメージは持っていなかったんですけどねぇ。
 笑ったとはいえ、紫が妹キャラというのはあまりに強引。受け入れる紫も紫だが、それ以上に身悶えしたり失神したりする主人公は駄目人間過ぎ。というか、紫はよく幻滅しないものですよ。だって年下なら誰でもいい訳だし。
 
3、六郷月詠
 なんとなく綺麗にまとめていますけど、実際にはてんで内実が伴っていないという悲しいシナリオ。主人公は全く成長していないし、そもそも存在が必要ですらない。月詠にしても主人公が好きな理由もこだわる理由も見えない。そもそも嫌悪していた体を使っての誘惑は本末転倒ではないのでしょうか。キャラは好きなだけに非常にもったいないです。
 
4、須磨明美
 論じる価値すらなし。
 
5、森下藤子
 天然なキャラは大変よろしいのですが、シナリオがどうにもなぁ。ってこれじゃ月詠と同じですけど。このゲームって他人に誘導されての恋が多すぎるんですよ。それに合わせて自分を説得していくような。ヒロインが主人公を好きになるのは当たり前、理由など不必要。これがこのゲームの抱える病魔ですな。


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