2022余所自作100『祭りの夜に』

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 コロンコロンと下駄の音が鳴る。高台にある神社の参道から少し離れた展望台への小道は人が犇めき、これから花火を見ようとしてもたどり着けないのは確実だった。男の仕事の就業時間を考えれば間に合わないとは思っていたものの、それでも出会って初めての花火大会を楽しみにしていた少女は頬を染めたままかりっと苺飴を齧る。
「すまない」
「いいえ!先生がお忙しいのは判っておりますから……」
 ぽつりと呟いた男に、少女は慌てて首を振る。平均的な身長の少女だが男の長身には頭一つ分足りない。上品な藍の浴衣を着ている男の肩幅や胸板を布一枚下に思い浮かべてしまい、ぽうっと頬を更に薄桃色に染めて少女は俯く。自分の様なまだ学生の子供には相応しくない大人の異性の男の色香は悩ましい。結い上げている髪に項を撫でる夏の宵の風がまだ僅かに熱を孕みしっとりと擦り抜けて行く。
「浴衣が、似合っている」
 言葉少ない男の誉め言葉に少女は苺飴に唇を当てたまま身を縮込まらせる。男に愛でられる様になって半年、逢瀬の度に抱かれている身体は待ち合わせの場所で姿を認めた時点から濡れ始めていた。展望台に辿り着いて共に花火を見られないのが残念な様な助かった様なもどかしさに、男の浴衣の袖にそっと触れている少女の指に力が籠る。
 ぐいと、身体が引き寄せられ、小道の灯篭の影へ、そこから林の蔭へと少女は半ば浮かされ運ばれる様に導かれていく。

 浴衣の胸元から強引に差し入れられた節張った大人の男の指が乳房を掴んだ瞬間、少女は思わず甘く切ない声を上げてしまう。襦袢と浴衣の袷がぐいと引かれ、少女の胸元が露わになる。乳房以外はとても華奢な少女の身体は胴に巻いたタオルが力任せにずらされてしまえばもう帯などの締め付けが緩くなってしまい、ずるりと浴衣は頼りなく絡み付く状態になってしまう。
 花火の始まる直前の人混みからはたった数メートルと離れていない。小道から灯篭の影の更に奥まった木の影の男と少女に気付ける者は恐らくいないだろう。だが誰に見つかるか判らない羞恥に身を強張らせる少女に、男は口の端を歪めて至近距離から見下ろしてくる。
「いいな?」
「……、はぃ……」
 男の言葉に逆らう選択肢は少女にはない。恋焦がれ続けた人に望まれるだけで何と幸せなのだろうと考えてしまう上に、望まれるまま抱かれ続けている身体は自分を見下ろすこの大人の男に陶酔しきっている。抱き締められる前からとくとくと妖しい疼きに身体を密かに揺さぶられ、淫らに期待してしまう気恥ずかしさに視線を逸らす少女の白い顎に男が指を添え、仰向かせ、そして接吻られる。
 木陰で、そっと柔らかに男と女の唇が重ねられた後、緩やかに男の舌が少女の唇を割り口内粘膜を舐り始める。身体を重ねた為に煙草と消毒液の匂いが少女の鼻腔を充たし、ぬろぬろと舌を絡め取るざらつき卑猥に動く舌に甘い声が微かに漏れた。胴に巻いたタオルが僅かに身を捩る度に緩み、木と男の身体の間で少女の浴衣が更に緩んでいく。木の幹に当たる帯と簪が徐々に解け、男から送られた簪が足元にかしゃんと音を立てて落ち、少女の長い髪がさらりと解けた。男の身体に縋り付くだけの勇気も女の強い執着も表せられない少女の両手は背後の幹に縋り付き、男の手は羞恥に染まる少女の頬を額を撫で、そしてもう一方の手は少女の浴衣の合わせを更に乱していく。いつもベッドの上ではもっと時間をかけて与えられる愛撫を省略し、浴衣の奥の下腹部へ辿り着く指に、僅かにずらされた唇から少女の甘く掠れた鳴き声が零れる。
 ぐちょぐちょに濡れている下腹部に、男の指がクリトリスを軽く捏ね回すだけで少女の腰がかくんかくんと跳ねた。少しだけ離れた小道には届かないでいてくれるであろう淫猥な粘液音は二人の木陰にははっきりと響き、揺れ動く細い腰に、帯は更に緩んでいく。男が貪り続ける舌に、少し唇を離すと唾液の糸がたらりと伸び、少女の乱れ切った呼吸と男の緩く熱い息が狭い空間で混ざる。顔を撫でていた指は緩やかに首筋から肩へと下り、男の手が少女の浴衣の肩を引き下ろす。
「ぁ……っ」
 華奢な全身と比べ豊かな乳房はそう簡単には布を落としはしないが、次の男が何をするかを身で教え込まれている少女はその恥ずかしさに小さな声を漏らしてしまう。当たり前の様に鎖骨の辺りに唇を滑らせた後、軽く歯を立てる男に少女は微かに首を振る…男が逢瀬の度につける唇や歯の痕は消えるよりも早く増やされていき、夏服で隠れる場所には無数に付けられてしまっている、その痕が男の支配欲に思えて、拒む事など思い浮かびもしない。
「ぁ……!だ……め……っ」
 膣口にぐちゅりと潜り込んだ指に少女は初めて哀願の言葉を口にする。それが叶わない事も、哀願が男を愉しませる事も知っている。それでも淫らな悦びへの躊躇いに少女は蕩けながら小さく無力な甘い声で男に強請ってしまう。どれだけそれが自分を狂わせてしまうとよく教え込まれているか、男を迎える準備は既に整いきっているのか、いつも失神するまで犯すそれに溺れているかを、哀願の陰に潜ませながら。男の指に膣口の裏側をこつこつと軽く叩かれ身体が妖しく浮かび上がる感覚に少女は啜り泣き、弱く首を振りたくる。
 不意に、どん、と腹の底に響く重い音が鳴り響いた。それに少し遅れて、林の奥まで差し込む強烈な光が男と少女の身体を照らし出す。そして更に遅れて花火が弾ける音。
 思わず男を見つめてしまった少女は、整えられた前髪が僅かに乱れている整った顔立ちの、常は無表情に近い淡々とした顔に浮かぶ僅かな獣欲の色に、竦む。幹に縋り付く指先の整えられた爪が微かに樹皮を掻き、そして、身を委ねる様に力を失う。
 男の腕が少女の片脚を掬い上げ、花火の強烈な光の影で生白い脚の付け根の辺りが既にぐっしょりと下腹部全体を濡らしている淫猥な泥濘に、赤黒く長大な肉槍が添えられる。はぁっとその瞬間を待ち焦がれる様な悲鳴に似た吐息を漏らしてしまう少女の唇を男の歯が甘く噛み、白い身体を幹に押し付けて踵が浮かび上がるその腰に、男の腰がぐいと重ねられる。
「ぁ…ぁぁぁぁぁあああああああっ!」
 前の逢瀬からまだ二日と空けていない牝肉を肉槍がずぶずぶと犯し、幹と男の間で少女の身体がひくひくと壊れた様に跳ね上がった。どん、と腹に響く音に遅れ、閃光が林に射し込み、その度に展望台や小道から歓声があがる。木の陰で少女の男の身体が淫猥に激しくうねりあい、少女の浴衣は徐々に落ち肩だけでなく腕も乳房も露わになり、男の一突きで軽く達してしまった柔肌は上気しねっとりと汗を滲ませる、膣奥を肉槍で突き上げられる度に男の浴衣の胸板を豊かな乳房が撫でながら跳ね上がり、鴇色の乳首が布を掻く。ぐちょっぐちょっぐちょっぐちょっと淫猥な粘液音があからさまに鳴り響き、少女の甘く感極まった鳴き声が響き、思春期の少女の甘い体臭と男に貪られ続けている淫蕩に仕上げられた若い愛液がとろとろと溢れ牝臭を周囲に漂わせる。
 避妊など最初からしていない。恐らく責任はとって貰えるのだろう、そういう人である。立派な大人の異性に比べ自分はまだ高校も卒業出来ていない子供なのに、そういつも考えてしまう、だが、少し神経質で不愛想な人に求められていると知って、少しでも相応しい女性になりたいと、願ってしまう。
 男の唇が少女の唇に重なり、下腹部で激しく貪りあう互いの性器の様に男の舌が荒々しく口内を舐り、唾液を啜る。脱げかけている下駄の爪先や幹に触れるだけの指先まで膣と頭の芯で弾ける強烈な光が駆け抜けていく。どん、と花火の音が全身を揺らす中、男の傘が突く膣奥をいつもよりはっきりと感じて少女は男の腕の中でびくびくと震える。激しく突き上げ引き抜かれそうになるかと思えば、今度はじっくりと探る様な遅々とした動きで膣全体を大きな傘と太く長い幹で愛撫される…恥ずかしいと思うのに、男の肉槍の形も色も微妙な血管の凹凸も反り返りも鰓の段差も何もかもが少女の身体と心に刻み込まれて溺れてしまう。胸板も肩も指も何もかもが、繰り返しの射精の後漸く乱れる吐息の熱さも、一滴残らず少女の膣奥に注がれる熱い精液も、言葉少ない人の視線の僅かな熱も、逃れようとは思えない。逃して欲しいとは、思えない。
 んっんんんっっと口を深く重ねて口蓋を舐られながら少女は膣奥を激しく突く肉槍の猛々しさに密かに男へと身体を重ねてしまう。それはしがみつくなどの積極的な仕草には程遠い。だが、もっと抱いて欲しいと全細胞が鳴いている。それに応える男の目が微かに細められている。男は射精までがとても長い。満足するまでがとても長い。花火大会が終わるまでに満たされてくれるかは判らない。見つかるか怯えてしまうのは精神の何処かで焦っている筈なのに、男の一突きひとつきに身体中か悦び、痛い程抱き締めてくれる腕の力に酔い痴れ、少女は男に貫かれて何度もなんども絶頂に追いやられる。だがまだ射精をして貰えない。自分の幼さが罪なのだろうかと、いつも怯える少女の牝肉が男のぎちぎちと限界まで張り詰めている肉槍を搾り立てる。一人しか知らないその極上の牝肉がどれだけ男を満たしているかを、知らないまま。
 どん、と花火の音が鳴り響き、人々の歓声があがる。

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