2019余所自作56『うたた寝』

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 疲れていたのだと思う。
 期末試験前は部活動も禁止になり…と言っても内向的な性格もあって部活動未所属で図書委員をしていた美奈子はいつも通りに図書館司書室か図書館で静かに過ごせるかと思っていたのだが、図書委員の活動まで自粛を求められ、そして試験前の勉強で珍しく自習室まで混雑している学校図書館の人いきれに難儀していた為か、試験が終わった途端に押し寄せてきた疲れに少女は公園のベンチに座り少し眠りかけていた。
 十二月の冷えた空気の中、日差しだけは温かくどこかで焚き木をしているのか薪の燃えるにおいが漂っている。都心の高層ビル群の奥にある広い公園は人気もあり、外れにある児童遊園で遊んでいるのであろう子供達の歓声も微風の中聞こえていた。頭の中に渦巻いていた数式が溶けていく様な穏やかな時間に、美奈子は緩やかな眠りに落ちていく。
 臭う。女子高生としては遠慮願いたい非衛生的な饐えた臭いに美奈子の意識が引き戻された。
 公園なのだから浮浪者が居てもおかしくはない、が、それは近くを通ったと思うには急で、そして強く、少女の警戒感と恐怖心を刺激する。置き引きだけは避けたいと膝の上に置いている鞄に意識を密かに向けていた美奈子は、不意に膝に触れる手の感触に強張った。置き引き犯が被害者の眠りの深さを確かめているのだろうか、その手は少女の膝を最初は軽く撫でていたが、徐々にその動きは執拗さを増していき、やがて膝を撫で回す動きへと変わっていく。ぞくっと悍ましさに少女は鳥肌立つが、強い腐臭への嫌悪感と腐臭への抵抗感に瞳を開ける事も咎める事も出来ずに美奈子は悲鳴を殺す事だけに囚われてしまう。
 いやもしかして浮浪者ではなく身形の整った普通の人物が出来心で置き引きをしようとしているだけなのかもしれない。それならば今すぐ逃げ去るのが正しいかもしれない。だが、もし不良や浮浪者だとしたらどうすればよいのだろうか…ただ走り去ればどうにか出来るのだろうか。鞄の上に置いた手だけはとにかく動かすまいと密かに力を込めていた美奈子は、不意に顔の近くではあっと漂った臭い息に全身を凍りつかせる。
「へへへ……」
 若くはない、中年以降の男の声だった。煙草と安い日本酒と非衛生的な悪臭のする息が顔にかかった恐怖心に凍りつく美奈子の膝を何度もなんども手が這い擦り回り、そして膝を揃えているその内側へと潜り込んで行く。嘘、と絶望と焦燥感にどくどくと少女のこめかみで脈が激しく鳴る。広い公園は観光スポットとまではいかないものの高層ビル群のすぐ裏でもある為散策路などとして通行人も多い筈だった。美奈子が安心して休んでいたのもマラソンや散策している人間の多さのお陰である。女子高生に浮浪者が絡んでいるとすれば誰かが見咎めてくれる筈だった。誰か助けて。一瞬でも早く誰かが声をあげてくれるのを祈る少女の内腿を男の手が這い擦り回り、うら若き乙女の制服のスカートの中の生脚の感触を愉しむ様に指と掌全体を使い撫で回し、そしてじわりじわりとその奥へと手を進めていく。
 恐怖に身体が強張り震えだしてしまいそうになる膝を男の手が割り、男がベンチの隣に座り込んだ気配に美奈子は悲鳴をあげそうになる。何故、どうして誰も助けてはくれないのだろうか。どう考えても正常な組み合わせではない筈だろう。悲鳴をあげてしまえればいい筈だった、今も遠くで子供達の歓声が聞こえてくる、だがもし周囲に偶然誰もいなかったら?浮浪者で異常者だとして殴りかかってこられでもしたら?暴力への恐怖に美奈子はただひたすら内へうちへと籠もっていく。その間も男の手は少女の内腿を進み、合わせていた膝を完全にこじ開け、そして下腹部へとたどり着いてしまう。見ず知らずの、それも浮浪者らしき男の指が柔らかな丘をむにゅりと押し、下腹部の溝を探る動きで上下に蠢き始める。誰も気付いてくれないのだろうか?制服姿の女子高生の脚の間に腕を沈み込ませている男の動きに……、
「――!」
 突然胸を触られ、美奈子の身体がびくっと揺れる。へへへと上品とは程遠い声が至近距離でし、首筋を舐められる感触に少女は眠ったふりを続けながら思わず身を捩ってしまう。どう考えても眠ったままとしてはおかしな動きであり男が気付き逃げ去ってくれるのを期待したが、それは逆効果だったのか下腹部を捏ね回す男の指は大胆さを増し、再び舐められる事への嫌悪に寝相の振りをして鞄を抱きしめて男の方向から身を逸らしてしまう美奈子の腰の前後に男の手が回り込む。嘘、うそ。もう眠っていないとは判っている筈の男の行動の大胆さに思考停止してしまう少女の尻肉を撫で、下腹部の溝を擦る男の指がクリトリスの上を集中的に擦り始めるのに気付き、抱き締めた鞄に顔を埋めながら震える美奈子の下半身は無防備になり、そして、男の手が、スカートの中で密かにパンティを引き摺り下ろしていく。悲鳴をあげなければいけない、そう思いながら恐怖に竦む美奈子の華奢な腰からパンティが下ろされ、女子高生の生肌を男の手が這い回る。すこし冷えていた尻肉をまるで餅を捏ねる様に男が撫で回し、掴み、もう一方の手が大人しげな顔立ちに不似合いな、いや似合っているのか柔毛が薄く下腹部の丘を隠せていない様な処女の秘部を這う。
 にちゃり。
 男の指が下腹部の溝に沈み込んだ瞬間に鳴った粘液質な水音に、美奈子の顔が一気に熱くなる。
「おまんこぐちょぐちょじゃねえか」
 下卑た男の物言いが少女の羞恥心を更に煽り、そして冬の公園のベンチの上で浮浪者の男の指が少女の下腹部を一擦りする度にあからさまな水音が沸き立ち、助けを求める声とは真逆な音が忙しなく鳴り響く。自慰は知っていたものの世間知らずの乙女の密かな行為と違い女のつぼを心得ている上に遠慮のない男の指は容赦なく牝の身体を責め続け、徐々に男に追い詰められる少女の身体は男の指に屈する様にその体勢を変えていく。抱えた鞄に顔を埋めさせたまま、膝が僅かに弛み、ベンチの背凭れから腰が離れ、前後から弄ばれやすくなってしまう…まるで男の行為を望んでいるかの様な体勢に少女自身が混乱し、恐怖の余りに逃げ出したくなった瞬間、尻肉を弄んでいた方の手の指が、ぬぷりと処女の膣内に潜り込んできた。
「ひ……ぁ……!」
 遠慮の欠片もない指の挿入は痛みを伴う筈だった。ぐちゅっと夥しい愛液に補われた指が残酷な程簡単に根元まで一気に押し込まれ、生理用品以外では膣内に何も受け入れた事のない乙女の膣内は男の指で充たされてしまう。その間もクリトリスを捏ね回し擦り立てるもう一方の指の動きは止まらず、鞄を抱き締めたまま身を強張らせる美奈子の下腹部で両手が蠢き、ぐちょぐちょと卑猥な音を周囲に撒き散らす…痴漢に酷い目に遭っているとは到底思えない淫らな音が自分の下腹部で沸き立っている恥ずかしさと、密かな自慰では有り得なかった強烈な感覚に少女の閉じたままの瞳から大粒の涙が溢れ出す。誰か助けてと言いたいのに、今のこの姿を見てこの音を聞いて助けてくれる人はいるのだろうか?まるで、まるで自ら男に身体を許している様なこのはしたない愛液の音はふしだらな女だと思われはしないだろうか?逃げ出したい、消えたい衝動に襲われながら、美奈子の無垢な身体は未知の刺激に引きずり込まれていく。
 膣内で指が動く。指一本分の大きさは生理用品と感覚的には似ている筈なのに、膣内で荒々しく蠢き曲げられ擦り立てるそれは異物としか言いようがなく、男に、饐えた臭いを放つ汚らわしい男に荒らされている生理的嫌悪感は確かにあるのに、浮浪者とは言え大人の男なのか女の扱いに慣れているいやらしい動きは急激に処女地を牝の泥濘へと変えていく。いやいやと囁きにも満たない小さな抗議を繰り返す少女の白い腰から全身へと、クリトリスを中心に強い刺激に狂おしい痛痒感がひっきりなしに駆け抜け、いつもの自慰では得られないレベルの快楽に冬空の下少女の身体にじわりと汗が滲む。息を詰まらせ腰をびくびくと震わせる少女の膣内に二本目の指が差し込まれ、それは若干痛みを伴うものだったが絶え間ないクリトリスへの刺激にその痛みも飲まれ、ぎゅっと鞄に縋りつく様に抱き締める美奈子の唇から忙しない詰まった呼吸が漏れる。
 膣内で二本の指が牝肉を解す様に暴れるのはまるで男に犯されている様で…いや精神的には既に美奈子は犯されている感覚だった。誰か助けて。この行為で自分の知らない未知の領域に追いやられてしまう予感に薄く瞳を開いてしまった少女は、ぎょっとした表情で自分を遠巻きに見ているサラリーマンらしき男と視線が合い、愕然とする。助けて貰えるのではないのか。いや…見ている。見ているだけ。自分が浮浪者に悪戯されているのを。可哀想な被害者なのに。ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅとあからさまに鳴り響く愛液の攪拌音に、涙を零している少女の身体が不定期に跳ねた。
 クリトリスの痛痒感が残酷に身体中に広がり火花が爆ぜ、浮浪者の男の両手が、自分を助けずに見ているだけの男の視線が、少女の世界の全てになる。処女肉が男の指を不器用に喰い締め波打ち、白い尻肉が跳ね、激しい動悸の中、美奈子は軽い快感とは異なる荒々しく逃れようのない未知の絶頂の予感に何度も小さく首を振る。こんな場所でこんな行為で知りたくはなかった…だがもう少女の牝肉のスイッチは入れられてしまい急速に襲ってくるそれに逆らう術はない。絶対に嫌だった。それなのに、これからいかされると確信して逆らえないのは何故だろう。
 男の指がまるで膣奥に性器を押し込む様な動きに変わり、一突き毎にびくんと少女の身体が揺れる。はぁはぁと熱い息が鞄に当たり少女の口元を湿らせ、全身に広がるもどかしさに自慰の時の様に乳房を自らそっと撫でたくなるのを堪えながら、美奈子は身を縮込まらせた。自慰の最後はいつも身体を小さくさせる…もう駄目だった。堪えきれない。
「――っ……!!」
 びくんと一段と大きく身体が跳ね、懸命に堪え続けてきた快感が限界を超えてしまった少女は初めての強烈な絶頂に弾けてしまう。膣内で残酷に指を曲げながら広げまるで拡張している様な男の指を美奈子の牝肉がいやらしく食い締め拙く絞り立て、頭の芯から爪先まで一気に駆け抜けた強烈な電流の様な刺激にがくがくと身体が震える。頭が真っ白になる中、自慰では得られなかった未知の快楽で穢された感覚にやるせない絶望感が少女を苛む、だが、それすら今の美奈子には絶頂に付与された要素の一つに過ぎなかった。ただ、ただ、牝としての絶頂が美奈子という少女を白い世界へと追いやっていた。

 するりと何かが抜け落ちる感触に、呆けていた少女は自分の下半身からパンティが抜き取られるのに気付く。何時の間にか気を失っていたのかベンチの上に崩れていた美奈子の腰が剥き出しにされ、そして制服のスカートはウエストの辺りに溜まっている…ローファーも脱げ、下半身にはあとは薄いハイソックスだけしか身に纏っていない状態だった。ひっと悲鳴をあげかけた瞬間、少女はまた膣内に押し込まれた指に声を失う。ぐちゅっぐちゅっと淫猥な粘液質な水音が鳴り響き、軽い痛みとそれを上回る絶頂の余韻の快感に白い腰がびくびくと揺れる。
 見たくない、見たくない、そう思いながら密かに男を盗み見た美奈子は予想通りの薄汚い服装の浮浪者らしい男に絶望する…饐えた臭いも酷いが汚れも酷い。だが飲まず食わずの今にも死んでしまいそうな感じではなく何かで身を持ち崩したのだろう体格は一般男性そのものであり、美奈子が逆らっても体力的に到底敵えそうにない。パンティには興味がないのだろう、ベンチの裏の茂みに放り出され一瞬戸惑った美奈子は、次の瞬間、衝撃に全身を強張らせた。
 一気に、貫かれた。
 指二本分とは明らかに異なる熱く硬いモノが無遠慮に膣奥まで押し込まれ、少女はその時初めて男が下半身裸になっていた事に気付く。
 熱い。痛い。硬い。
 ぐちゃっぐちゃっぱんっぱんっと荒々しく一瞬前まで処女だった女子高生の膣を浮浪者の男が犯す音が冬空の公園に鳴り響き、ベンチの上で身を強張らせる美奈子の身体が激しく上下に揺れる。
「なぁ起きてるんだろ?なぁ」
 男の声に、何故か美奈子は答えられなかった。それは絶頂の余韻の為なのか、激痛の中にも既に牝肉が柔軟に牡を受け入れようとしてしまっていた為なのか、浮浪者とは会話をしたくなかったからなのか、凌辱者への恐怖なのかは判らない。鞄が歩道に落ち、それでも寝たふりを続ける美奈子の制服のブレザーが強引に割り開かれ、制服のネクタイもそのままに無理矢理はだけさせられたブラウスの釦が弾け飛び、そして腰で激しい抽挿を繰り返しながら男の手が獣染みた乱暴さで少女の乳房をブラジャーごと鷲掴みにし、荒々しく揉みしだく。はあっと明らかに寝息とは違う熱く乱れた息が美奈子の唇を割り、ぱんっぱんっと処女への労わりもない抽挿に身体が揺れる。寒空の中剥き出しになっている白い脚が男の腰の左右で処女喪失の痛みに強張りながらびくびくと跳ね、現実逃避の様に寝たふりを続ける美奈子は、絶頂で既に膣が解されてしまっていた為なのか話に聞く激痛だけでいられない妖しい疼きに弱く首を振る。――これは、悪夢だ。悪夢なのだから、首を振るのは、仕方ない。
「どこまで誤魔化し続けられるかな嬢ちゃん。起きるまでずーっとやっちまうぞ?おら!」
 無理矢理ブラジャーが引き下ろされ裾野に溜まりまるでブラウスとブラジャーで絞り出されているかの様な状態で剥き出しになってしまった乳房を男が荒々しく掴み、膣奥に切っ先を押し当てたまま乳首に吸い付き大きく吸引音をたてさせる。ずきっともどかしい痛痒感が胸全体に広がると同時に唾液の臭いに息を詰まらせる少女は、激しく乳房を揉みしだき吸い付きながら腰を勢いよく振る男にがくがくと顎が震え歯が鳴りそうになる。密かに周囲を盗み見た美奈子は、先刻のサラリーマン以外にも自分を見ている男達がいるのに気付き、絶望感が増していく。まさかAVか何かの如何わしい撮影とでも思われているのだろうか。自分はそういう存在ではない、違う。誰か助けて。そう願う少女の白い身体がベンチの上で男の猛々しい抽挿に揺さぶられ、夥しい愛液と、恐らく破瓜の出血の混ざった惨めな潤滑液の爛れた粘液音と腰を打ちつけられる濡れた音が鳴り響く。
 指とは違う…それは男の性器の太さと長さで嫌と言う程身体が判っている。それなのに一突き毎に無理矢理牝へと変えられていく処女肉は牡に絡み付いてたどたどしくうねり始めていく。膣奥に傘を押し付けぐりぐりと下腹部を擦りつけられると男の袋が窄まりの辺りにひたひたと擽り、クリトリスを剛毛が撫でると淫らな刺激に声が溢れそうになる。
「嬢ちゃんのおまんこ具合がいいぜ、なぁ初めてなんだろ?なのに何でもう美味そうにちんぽしゃぶってんだよ、なあ、四日風呂入ってないおっさんちんぽぐびぐびしゃぶってマン汁垂らして社会奉仕かよ?熱心だなあ、おい。――へへへ…マゾ女子高生って奴かあ?マン汁やちんぽの話で締め付けてくるよ嬢ちゃんのおまんこ」
 違う。そんな事はない、自分は眠っているのだから。そう心の中で否定する美奈子の腰に男が激しく腰を打ちつけ続け、やがて乳首にむしゃぶり付き吸い付き噛み付きながら浮浪者の両手が下半身裸の少女の腰を抱えて緩急付けて牝肉を甚振り始める。杭を打つ様な激しい抽挿かと思いきや不意に緩やかな腰使いに変わり、美奈子の腰に弧を描かせ、そして滅茶苦茶な速さで突き上げてくる。
 誰も助けに来ない状態で、寸前まで無垢だった女子高生の白い身体が汚らしい浮浪者に犯され続け、幾人もの視線の先で何故か眠ったふりを続けているらしい少女の顔が苦悶とそして徐々にそれに勝っていく妖しい牝の色を帯びていく。明らかに感じている。それなのに黙って犯され続けている。到底周囲には理解出来ない状況だろう…眠ったふりをして浮浪者を誘う程の刺激に飢えた娘なのかと思わせるかもしれない、耳を覆いたくなる程あからさまな淫猥な愛液の音と、剥き出しの脚と絞り出された乳房に吸われている乳首と乳輪の初々しい甘い果実の様な色合いはあまりにも淫らがましかった。
「おら!浮浪者ちんぽで孕め!おら!おら!」
 ぱん!ぱん!と激しく大きく腰を打ち付ける動きに浮浪者の男が射精を迎えると周囲は気付いていたが少女は判っていないのであろうか、まだ眠ったふりを続けている。だが少女自身も先刻と同じ様に絶頂を迎えかけているのか既に迎えているのか、男の左右で揺さぶられ揺れている脚の爪先は縮込まり、その寝顔は苦悶している様な牝の絶頂の顔のそれになっていた。それでも起きない。――結果、周囲の男達は、何も手出しする事なく浮浪者が少女を犯し膣内射精を成し遂げてしまうのを、その先を、鑑賞し続けてしまう。
 まさか膣内射精をされる事はないだろう、そう考えていた筈の少女は、荒々しく膣奥を突き上げる牡の傘に、太い幹に、まるで蛇に睨まれた蛙の様に何も出来ずに流されていた。いや、まるで一突き毎に頬を叩かれている様だった…男の暴力に萎縮している筈、だった。止めて辞めてやめて。『孕め』と言う言葉が頭の中で強烈に瞬き、処女であった自分にとどめを刺される瞬間に一突き毎に怯え、そして腰が引かれる度に安堵し、また破滅の予感に突き上げられる。男の動きが先刻と違うのは判ってしまう。これが射精前の男の動きなのだろう。ずん!と突かれる度に息が詰まる。この瞬間に膣内に精液を叩きつけられるのかと身構えてしまうのはまるで射精を待ち受けている様で、少女は自分が判らなくなる。絶対に妊娠はしたくない。それなのに、一突き毎に何かが高まり、腰を引かれる度に安堵と落胆の脱力が襲ってくる。
 そして、全員が待ち受けていた瞬間が訪れた。
 荒々しい一突きの後、膣奥で動きを止めた傘の先端からしばらく牝を貪っていなかった濃い精液が大量に迸り、長い抽挿にねっとりと粘度を増している愛液に満ちた膣奥に浮浪者の子種が溜まり、反り返る鰓に栓をされ行き場のない精子は犯され処女を奪われた上に汚らしい存在に絶頂を刻み付けられた牝肉の更に奥へ、子宮へと辿り着いていく。
 眠ったふりだけはかろうじて続けている少女の柔らかく可憐な唇が声なき絶頂に虚ろに開き、瑞々しい肌が寒空の下桜色に上気し汗が滲む。頬が薔薇色に染まる様は恋に胸を弾ませている様ですらある、が、その最も秘められるべき場所を充たし犯しているのは、四日間風呂に入っていない浮浪者の、社会への憤りや不満をまだ誰にも染められていなかった乙女を穢す事で僅かな時間憂さを晴らす為だけの淀んだ獣欲に満ちた剛直と、繁殖力だけは旺盛なひたすらに濃い精液だった。

 疲れていたのだと思う。
 まだ眠ったふりを、少女は続けていた。
 繰り返し犯され続ける中、ブレザーもブラウスもブラジャーも何もかもが剥ぎ取られ、豊かな白い乳房が寒空の下一突き毎にぶるんぶるんと弾み、身体中につけられた歯型や唇の痕が無数に白い肌を穢し、少女自身の甘い汗の匂いを浮浪者の唾液の臭いが上書きしていた。少女の膣内にだけ執拗に注ぎ込まれ続けた濃密な精液は子宮を充たすだけでなく当然の様に大量に溢れかえり、繰り返しの長い凌辱の証を見せ付ける様に程はっきりと少女との結合部を穢し薄い柔毛の辺りまで攪拌され続けてクリーム状になって絡み付いていた。男の精液だけではない。穢された少女自身の夥しい愛液も破瓜の血液も全てがねっとりと掻き混ぜられ続け、浮浪者の悪臭だけでなく牡と牝の淫獣の様な交わりの性臭が立ち込めている。
 スマートフォンで撮影している人達もいた。何回分かを見物した後離れた人もいれば、最初から見続けている人もいた。いつの間にか、投げ捨てられていた美奈子のパンティもブラジャーも鞄もローファーすらも持ち去られ、残されているのはウエストの辺りで汗に塗れているスカートとハイソックスだけしかない。殆どの人達が犯される美奈子を露出狂の痴女の公開セックスを見る様に眺め、少ない人々が眉を顰め足早に通り過ぎていった。見られているのは判っている。撮影されているのも判っている。それでも、美奈子は眠ったふりしか出来なかった。
 もう何度目の射精だろうか。膣奥で男が射精する時の脈動で再び絶頂に押しやられベンチの上で美奈子は僅かに仰け反っていた。それでも眠ったふりを続ける…まるで本当の悪夢の様に、目が覚めれば何もかもがなくなる為のまじないの様に。淫夢の中で犯され続けている少女は、びくびくと身体を痙攣させ、汗塗れの身体で涙と唾液を零して喘ぐ。
 ふうっと荒い息を付いた男が漸く少女の膣内から剛直を抜き、男の性器からこそげ落とした汚れも含んでいるクリーム状の粘りの強いものが大量に糸を引く。男の腰も少女の腰も、それを塗りつけあった状態だった。生理用品しか受け入れていなかった膣はぽっかりと口を開き、その初々しく無残に覗ける牝肉の奥では、最も濃く溜め込まれていた男の子種が温かな場所に大量に漂って行き場を求めているであろう。
「へへへ……きっと孕んだな。ここまで搾り取るエロおまんこ味わった事ないぜ…明日からちんぽ漁り頑張りな」
 美奈子に残された数少ない服であるスカートの裾で濃い交尾汁に塗れている性器をごしごしと擦って拭った浮浪者はにやりと嗤い、去っていった。
 処女喪失してから今まで一度も引き抜かれずにいた牡から解放され、漸く安堵出来る筈だが美奈子を今占めているのは、牡を引き抜かれた後の牝肉の空虚さと牡を満足させきった歪んだ充実感だけだった。やっと、本当の夢の中に沈んでゆける。もう、眠ったふりはしないで済む。
 もう指一本動かす事の出来ない疲れにはぁっと息をつく少女は、男によりベンチの背凭れに乗せられたままの片脚を直す事も、膣口からどろりと溢れる夥しい粘液を拭う事も、せめてスカートの裾を引いて下腹部を隠す事も、顕わなまま呼吸に合わせて揺れる豊かな乳房を隠す事も出来ないまま、ぼんやりと空を見上げる。
 試験が終わったのは午前中なのに、もう日が傾きかけていた。冬の日没は早いな、とベンチの上で思う少女の裸身を、気の早い街灯の明かりが照らし出す。
 明日が休みでよかった。
 きっと、よく眠れる。
 そう思いながら、少女は瞳を閉じた。

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