2020余所自作82『汽水域の精霊の守護を帯びた聖なる貝殻鎧≪蜆≫』

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 聖なる汽水域の神殿の乙女ユリアナは朝の祈りの後、頬を紅潮させて湖へと向かっていた。
 遂に鎧の試練を乗り越え聖騎士として認められ、やっと聖なる鎧を身に纏えるのだと思うと胸が高鳴るのも当然と言えよう。汽水域の水の清めの儀式の後、何一つ身に纏わない無垢な17歳の裸身のままユリアナは湖に面したテラスへと向かう。美しい湖面とそれを囲む白壁の街並み。少し離れた場所には漁師の船も遠方の国からの客船も浮かぶそこに全裸で立つのは僅かに躊躇われ、もじもじと身を縮こまらせるユリアナは鎧を授ける『導師』を待つ。
「お前がユリアナか。成程鍛えたにしては美しい。我が鎧に相応しい」
「は、はい!」
 唐突にかけられた声に食い気味に振り向いたユリアナだがその目に齢二百歳を超えると言われる『導師』の姿は見つからない。不安になり左右を見回し続けた少女は、テラスのテーブルの上にある小さな皿とその中にある蜆と生卵に気が付いた。この場には余りにも相応しくないそれが、揺れ動く。
「漸く気付いたか。どれ、聖具を与えよう!」
「……。――は、い?」
 生卵から声が聞こえてくる現実についていけず小首を傾げた瞬間、ユリアナの周囲が閃光に包まれ、そして不意に収まる。ああ遂に自分に聖なる鎧がと感動する少女は、下を見たがそこには自分の裸身しか映らず、不安に身体を捻ってみるがやはり聖なる鎧は見当たらない。もしや鎧に認められなかったのだろうかと不安になるユリアナは、自分の乳房の先端にひっそりと乗っている小さな蜆の貝殻に気が付いた。貼りついているのだろうか?と剥がそうとするものの指先で引っかけた筈がそれは肌の一部の様に離れない。
「これ何をしておる。お前の聖具は精霊の加護のもと一生離れはしないから案ずるでない」
「え?え?え?えーと…?え?何、です、か?これ」
「それこそ『汽水域の精霊の守護を帯びた聖なる貝殻鎧≪蜆≫』である。案ずるな≪蜆≫は魔剣の一撃であってもドラゴンのブレスであっても通しはせぬ。全ての攻撃からお前を守るであろう」
 その言葉に少しだけ感動しながらつんと指で爪ほどの大きさしかない白い貝殻をつついたユリアナは乳首をつついてしまった様な直接的な刺激に思わず甘い悲鳴を漏らしてしまう。
「何をしておるのだ。あくまでも砕けぬ焼け落ちぬだけで触れられた感触は周囲には伝わるぞ」
「ちょ、ちょっと待ってください守護はこのちっちゃな貝殻部分だけなんですか!?」
「素晴らしかろう。魔剣もドラゴンブレスもそれを打ち破れはしないのだ」
「周辺はどうなるんですかー!」
「故に≪蜆≫で全ての攻撃を受け、そして攻撃するのだ」
「こんな場所で何の攻撃が出来るって言うんですか!」
「≪蜆≫で殴りつければ魔剣だろうが竜の鱗だろうが一撃で砕けるぞ」
「それって乳ビンタじゃないですか!」
「乳だけでないぞ?ほれお前のクリトリスにも着いておる」
「こ、こ、こんな場所で更にどんな攻撃をしろと言うのですかー!」
「それは己が身で考えるがよい。さて私は再び眠りにつく。次に起きるのは何十年後か…。――ちなみに≪蜆≫はその特性故に他の装身具を一切許さない。聖具は呪いと一体でな、お前は一生それより他に身に着ける事は叶わぬ。さらばだ」
「ちょっと待って!それ待って!こら!」
「ああついでに教えてやろう。今魔王軍が北部山地を超えた。一万程の盛った牡ばかりだが≪蜆≫があれば何も案ずる事はない」
「待って!一万匹相手に乳ビンタとか、待って!」

 最初聖なる痴女と密かに嘲られた少女の波乱の冒険はここから始まる。


 ついでにこのお話の原因は『魔法具のビキニ鎧があるのなら貝殻ビキニ魔法具鎧があってもいい筈だ。帆立アーマーはありがちだけど同じ貝殻で蜆があってもおかしくない!』な思考(平常運転)だったりする。
 しかも某所でそれを雑談で言ったら某生卵キャラが蜆ビキニ着用の絵(公式Twitter)を探し当ててくださりまして導師に決定しました(汗)絵さえ見つからなかったら雑談だけで終わったのに(汗)。
 ちなみにおまけ設定で…、
 ライバルキャラは北の帝国からの戦乙女『氷結の海精霊の守護を帯びた聖なる貝類鎧≪クリオネ≫』装着の銀髪碧眼つるペタ幼女(乳首のみ肥大)。ライバルとの戦いは共に乳ビンタ。
 スレでは「戦闘シーンがコロコロ」「ボンボン」「別冊コロコロ」と評されました。
 ……。ないわー。あまりにもあまりなので言い訳っぽいあとがき。

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