2020余所自作87 『溜まっている性欲処理』

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 深夜、密かな足音がする。
 病院の深夜など消灯時間が守られていて安眠出来るかと思われがちだがそんな事はない。四人部屋では誰かの鼾が五月蠅ければ先に眠れなかった人間は眠気が襲ってくるまで我慢するしかないし、爺さんの痰が絡んだなどとナースコールで頻繁に呼んでは真夜中でも吸引の音が鳴り響く。せめて個室なら過ごし易いかもしれないけれど差額ベッド代がかかる。冬場でも暖かな病室は何処か居心地が悪い。
 そっと区画を分けるカーテンが開かれ白い姿が覗き込んでくる。窓もカーテンが引かれ薄暗い…だが闇とは異なる中途半端な暗がりの中、彼女の身体は白くぬめった蛇や獣を連想させる。
「井上さん、また眠れないの?」
 ナース服の胸元をたぷんと揺らしながら彼女が静かに後ろ手でカーテンを戻し僕の隣にやってくる。昼間見ても物静かな綺麗な看護婦でしかない彼女は、夜中には牝にしか見えない。僅かに開かれた唇、とろんとした瞳、かすかな衣擦れの音、そして甘いあまいにおい。――所謂手コキやフェラチオで他の患者の性欲処理を手伝っていると聞いた。他の看護婦もやっているらしいけれど彼女より綺麗でいやらしい存在を僕は知らない。
 ファスナーを下す微かな音。そう、彼女が来た途端にこの病室の他の音は止む。皆が彼女の行為に耳を欹てている。ナース服のファスナーをそっと下した後、ふぅっと彼女は微かに息をつく。微かな動きの度にたぷんたぷんと揺れるいやらしい乳房も、意外と濃い柔毛を生やしている下腹部も淡い紫の下着に包まれているがそれは総レースのものであり乳首も陰毛もその奥の丘も何もかもを透かしている。
「少し楽にした方が、いい?」
 他の患者を起こさない為の微かな囁きだけれど、彼女の一挙手一投足をこの病室の患者が意識しているのは多分彼女は判っている。そんな彼女を蔑んでいいのか押し倒すべきなのか、いつも僕は迷い、そして結論が出せない。何もしない僕の毛布をそっと捲り、彼女は既に限界まで勃起しているモノをパジャマの上から撫でる。白い綺麗な指がパジャマの上からねっとりと袋から傘の先端までを撫でまわし、布の上から形を確かめる様に卑猥な力加減でそっと包み込み上下に扱く。薄い綺麗な色の瞳がねっとりと濡れ彼女の呼吸が微かに甘く乱れる。何人もの肉棒を毎晩処理している筈なのに底無しに欲情するいやらしい牝の瞳がパジャマの表面まで先走りの汁が染み出してくる様を眺め、そして発情しきった熱い吐息がうっすらと開いた唇から漏れ、白い舌と赤い舌が覗く。
「汚れちゃったから、お着換えしましょう」
 パジャマのズボンをゆっくりと脱がしていく彼女は次にどうなるのかを判りながら僕の腰に顔を寄せている。
 パンツを引き下ろした瞬間、先走りの汁でどろどろに濡れている傘が彼女の細い顎から鼻までを一気に叩いて跳ね上がる。
 あん、と微かに彼女は喘ぐ。綺麗な顔にまるで刷毛で塗ったかの様に先走りの汁が絡みつく、それを、彼女の舌が舐める。美味しそうに。
 僕の膝の辺りまでズボンとパンツを下した後、彼女はそっとベッドの上へと上がってきた。二人分の体重に微かな軋む音。
 そして、彼女は剥き出しになった僕の腰の上に跨り、薄紫の下着をゆっくりと見せつける様に脇へとずらす。
 最初の夜から何が気に入ったのか彼女はそれを望んだ。
 既にねっとりと濡れている薄紫の下着の奥にあった牝肉を指で開き、彼女はもう一方の手で僕の幹を柔らかく握り、そして傘を粘膜の谷間に擦り付けた。ねちょっ、とあからさまな音が病室に鳴り響いたが動きを抑える事もなく彼女は白い身体を軽く仰け反らせながら傘を牝肉で捏ね回し続ける。くちゃっねちょっくちゅっと一掃き毎に互いの淫水を絡めあう音と微かなベッドの軋みが鳴り、目の前で彼女の豊かな乳房が薄紫のブラジャーを貼りつかせたままたぷんたぷんと揺れ動く。
 はぁぁっと淫らな吐息を漏らした後、彼女はゆっくりと僕のモノを牝肉に埋もれさせていく。熱い。少し冷たい彼女の体温と異なる熱い蜜壺が熟れた果実の様に咥え込む。彼女が性交までするのは殆どないらしい、だが初めてではないのは当然だろう。今まで何人こうして騎乗位で美味しそうに腰を振ってきたのか、気にならないと言えば嘘になる。だが退院するまでの関係なのだと思うと聞くのも馬鹿らしい…そう、馬鹿らしい、いや、夢か何かだと思った方が気が楽だった。
 抑えた喘ぎ声と乱れた息遣いと避妊具さえ使わずに互いの性器を貪りあう獣の結合音が病室に微かに鳴り続ける。他の三人の患者が聞いていると二人とも判っている、わざと聞かせようとは思っていない、だが、一応は抑えている腰を打ち付けあう結合音が、鳴り続ける。性欲処理ならば手早く済ませばいいものを、彼女はいやらしく腰をくねらせ、時に激しく上下させ、ぐびりぐびりと幹と傘を美味しそうに貪り続ける。
「――たくさん、射精してくださいね」
 そう言いながら、彼女の腰は上手に焦らし、そして執拗に肉棒を貪り続ける。

 四度の射精の後、漸く結合を解いた彼女のぽっかりと開いた膣口から濃い白濁液がねっとりと滴り落ちていくのをティッシュが拭う。くすっと微笑む彼女の全身は汗に塗れ、そして病室には濃い性臭が籠っていた。
 いつも通り、自分の汚れはティッシュで拭いながら僕のモノの汚れは丁寧に口と舌で全て清めてから彼女は精液と愛液でどろどろになっている薄紫の下着を元に戻し、ナース服を身に着ける。全身が汗に塗れているからナース服を身に着けてもブラジャーのレースや硬くしこった乳首はすぐさま貼りつき浮かび上がってしまう。
 僕のズボンとパンツを直し毛布を掛けなおした後、彼女は微笑んだ。
「お大事に」

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