『真夏日とセーラー服(仮)』二駅目

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 発車の小さな揺れに足をよろけさせた香澄は、斜め後ろの男にもたれかけ、反射的に謝りそうになり赤面する。一瞬背後を見ようとしたが、香澄の身体は周囲の男達に押さえつけられ、首一つ自由に動かせはしなかった。
「――ぅ……ーっ!」
 悲鳴をあげているのだが、男達に押さえつけられている恐怖に竦んだ香澄の唇から溢れる声は例え大きな手で封じられていなくても大きくはならず、そして男の手の下で震える可憐な柔らかな唇のか弱い動きは硬い皮を愉しませてしまう程無力だった。かすかに零れる悲鳴は車両の一画を他から遮る包囲の男達にすら届かず、直接嬲る男達に香澄は臆病な獲物だと確信させてこれからの時間を期待させる。
 駅から離れた車窓に、ホームで香澄の背後にいた男は紙袋からビデオカメラを取り出し、怯えて何度も首を振ろうとする香澄の頭の先から爪先までを横からゆっくりと撮影していく。それは周囲の男達に咎められず、逆に男が撮影し易い様に場所を開けていく無言のままの慣れた連携の動きに、怯え切っている香澄の顔から血の気が引いていった。気のせいではなく、この男達が目的を持って集っているのだと理解せざるを得ない。
 不意にぐいと肩が引かれ、窓へ向いていた香澄は車内へと半分身体の向きを直された。
 百六十センチ程の、同学年の女子の中では中くらいの身長の香澄よりも明らかに体格のよい男達に、香澄の瞳が怯えと絶望感に大きく見開かれる。誰一人として香澄より年下はいるまい、だが、誰一人として香澄を助けてくれる様には見えなかった。香澄を見る男達の目は冷めているか興奮しているか、どちらにしても残酷な光を宿している。サラリーマン風から普段着まで先刻車内に引きずり込まれる直前に一応見てはいた男達だが、外周は新聞や雑誌などを読み、こちらに背を意図的に向けて車内の他の乗客の視線を妨げているのだと、香澄の位置からは一目見れば悟らざるを得ない。そして、向けられているビデオカメラは一台ではなく、業務用としか思えない大きな物も香澄へと容赦なく向けられている。怪しいAVなどとは無縁だった香澄は目の前の行為が理解出来ず、ただそこに感じられる悪意に全身を震わせて怯える事しか出来なかった。大きな黒目がちな瞳に大粒の涙が溜まり、車外からのスモークガラス越しの陽光を受け弱く光り頬へと伝っていく。
 不意にカメラと香澄の間に一人の男が腕を伸ばし、手にしていた小さな物をレンズに向けた。
「? ――ぃ……や…っ!」
 男の手にあるものが自分の学生証だと判り、香澄は引き攣った小さな声を漏らす。学生証は外出時には携帯しなくてはならないが、私服から着替えた時に香澄の学生証は財布と共に紙袋に仕舞い込んでいた筈である。借り物の服一式以外は何も身につけていない香澄の身分を証明するものは何一つない…筈だった。だが実際目の前にある学生証は香澄の物だと確認させる様に、男は丁寧にビデオにそれを映させた後、香澄の顔の横に持ってきて怯えて血の気の引いた顔と一緒に撮影する。
 この男達はスリ集団でもあるのだろうか、と一瞬香澄は考えかけ、そして裕子と彼らを無関係と思い込みたい自分の胸に広がっていく寒気に似た感覚に何度も首を振ろうとするが、ほとんど固定されてしまっている身体に、ぽろぽろと大粒の涙が口を覆う男の手を濡らすだけだった。
 顔と学生証を十分に撮影し終わったのか、学生証を男が胸ポケットに戻すと同時に、香澄の両手が左右に無理矢理肩の高さまで上げられ、中途半端に脇を開かせた形で抑え込まれた。
「いや…っ、ぃゃ……です……っ…ゃめ……てくださ…ぃっ」
 蚊の鳴く様なかすかな嗚咽混じりの声に、口を抑えていた男が何度も確認する様に力を緩めかけ、そして再び香澄の口を塞ぐ動きを繰り返す。もしも手が離れれば香澄が助けを呼ぶ機会だったかもしれないが、異性に慣れていない香澄にとっては男達に襲われているだけでも竦んでしまうには十分で、元から大きな声をあげる事のない内気な少女に毅然とした態度を求めるのは酷と言えよう。
 ただ香澄を辱めるだけならば車内へと身体を向かせればよいものを、前の車両への壁に背を向けさせ、過ぎ行く車窓の景色と無力に許しを乞う少女の儚げな顔を同じ画面に映し、そして……。
 背後から華奢な手首を抑えている男の手が、香澄のセーラー服の胸元をじわりと指先で撫であげた。
 強引に抑え込まれている手首や腕の痛みとは違う触れるか触れないかより少しだけ力を感じる指に、びくりと香澄の身体が跳ね上がる。隅に押し込まれた時にも男達に身体を触られたが、それは無理強いで力が篭り過ぎていて力任せの延長線上としか香澄は感じていなかったが、乙女の乳房を撫でる今回の指の動きは、それとは異なっていた。
 香澄の肌は鈍い方ではない。いや、逆に裕子などの女同士の他愛もない悪戯ではこそばゆさに逃げ出す程、くすぐられるのに弱かった。性的な物事に疎い香澄は悪戯に困惑しつつそれなりに誤魔化してはいたが、同級生の男子の目にそれがどう映っていたかを当人は知らなかった。
「いいおっぱいしてるね」
 耳元で低く囁かれた言葉に、香澄の肢体がびくんと跳ねる。
 やめて下さいと何度も封じられた唇で哀願する香澄の華奢な肢体が乳房全体を愛撫する指のもどかしさにくねり、大勢に視姦されつつの異性からの性的な悪戯の恥ずかしさに清楚な美貌が耳まで桜色に染まっていく。
 大勢に囲まれているというのに、乳房を弄ばれる香澄の反応を確かめ、非力にかすかな声で泣く少女の肢体をまるで観察記録を残す様な執拗さで撮影は続いていた。揺れが少なく、急行列車の様に駅間隔が長いこの列車は、香澄の乗車した駅からはしばらく逆のドアしか開かない事と、痴漢の多い路線として有名だった。有名になり過ぎて監視の目も増えたが、だが混雑時の監視は増えても白昼堂々の犯行に毎回備えているのではないのか今香澄を救おうとする者は誰もおらず、たっぷりと時間を与えられているが故の時間をかけた責めだった。
 しばし乳房だけを弄ばれていた香澄の腰を、他の男の手が撫で始める。与えられたままの短過ぎるプリーツスカートは男の手が柔らかな双丘を少し撫で上げるだけでその裾から下着を覗かせ、そして香澄の制服の上下の裾から覗く白い腹部から下乳房を、小刻みに震えるしなやかな腿から双丘を、柔毛と初々しい丘を透かす可憐な様でいて淫らな透け下着を、ビデオカメラが低い位置から粘着質に記録していく。
 下着を隠そうにも両手を抑えられている香澄はカメラから逃れようと腰をくねらせる事しか出来ず、左右からの手に慌ただしく視線を彷徨わせる。堪らない居心地の悪さに、少女の胸に恐怖と絶望感以外の感覚がぽつりと小さく浮かび上がっていた。逃げ出したいこそばゆさ…いやこそばゆさとはどこか異なる、奇妙なむず痒さに香澄の哀願はかすかに乱れる。
 それはこそばゆさだっただろうか。単純に身体をくすぐられる刺激と同じ様でいて異なる、どこか後ろめたい感覚は、級友の行為でもうっすらと覚えていたが本能的にそれをこそばゆさとして誤魔化していたのかもしれない。明るい悪戯ではなく、悪意に満ちた異性の集団の中で与えられるもどかしい刺激は教室でのものより明確で、香澄はそれが性的な刺激だと悟らざるを得ない。
「ぃゃ……っ…やめ……て…、やめてくだ…さ……ぃ……っ、ゃ……ぁっ」
 手で塞がれたままであり言葉として伝わらないと判っていても香澄は男達への哀願を止められなかった。
 第二次成長からどこか恥ずかしくてならない形良く膨らむ胸と尻肉を、男達の手がゆっくりと撫でるたびに、むずむずと妖しいもどかしさが肌に広がり、それが消える前に更に加えられ甘い疼きが乙女の乳房に擦り込まれていく。焦らす様に乳首を避けた愛撫に、卑猥な意匠の薄いレース一枚に被われただけの可憐な乳首は徐々に尖り、正規品ではないセーラー服の白い胸の頂きに淫らな突起を浮かび上がらせる。
 見ず知らずの男達に性的に弄ばれると香澄が肉体的にも精神的にも理解出来たのは、この時だった。引きずり込まれ抑え込まれるのは暴力であり男女問わないものだが、こうして性的な反応を引きずり出され男達に弄ばれるのは暴力ではなく、女としての辱めである。香澄に性的好奇心が強ければ生理的嫌悪感は今より早く芽生えていたかもしれない…だが気恥ずかしさから性的なものから自ら遠ざかっていた少女の身体は、異性の指への嫌悪よりほんのわずかに早く甘痒さを植えつけられてしまった。
 男達に恥ずかしさを悟られまいとする事も、男達を咎めようとする事も、異性の愛撫を激しく嫌悪する事も出来ず、恐怖の中にぽつりとしみの様に発生しじわりと広がっていくもどかしさに、香澄の怯えた表情にかすかに浮かぶ戸惑いと詰まる呼吸を、揺さぶられるたびに薄布を突き上げる可憐な乳首の凹凸を、カメラのレンズははっきりと捉えていく。
 清楚な顔立ちで怯えた表情をしていた香澄の肢体が、セーラー服の胸を男の指が這いまわるたびにびくんとかすかに震え、本人が気付かないうちに腰と腿が男達の抑止の中、頼りなく震えた。
『恥ずかしい……こんな…駄目……』
 級友同士でも恥ずかしかった刺激に、香澄は大粒の涙をこぼしながら目の前の男達に許しを乞うまなざしを向ける。カメラに撮影されるその表情が嗜虐嗜好の男にとってどれだけ劣情を催させるかなど少女は知る由もない。ただ乳房と尻肉を撫で回されるだけで男達への恐怖と見るからに不慣れな感覚への戸惑いをあらわにする少女に、エスカレートを止めさせる要素は皆無に等しかった。
 正規品ではないセーラー服は元から生地が薄い夏の制服に近くはあるがそういう意図があってなのか更に薄く、男の指が一本から五本すべてに代わり愛撫は徐々に緩急を付け始め、指の股では布と密着したブラジャーのレースがはっきりと浮かび上がってる。スモークガラス越しの夏の陽光を浴び、節張った男の指が乳房を裾から掬い上げ、ぷるんと揺さぶった瞬間、香澄の肢体が切なげに震えた。怯え切っていただけの大きな瞳に戸惑いと羞恥の靄が浮かび落ちつきなく彷徨い、口を押さえる男の手の下で唇から短い吐息が漏れる。
 車内の冷房にようやく冷やされ始めた身体は男達の腕の中でほのかな熱の交換を行い、着たばかりだったセーラー服はさして汗を吸わないまま、男の手と少女の柔肌の間で擦れ続ける。車内に届く定期的な走行音よりも細やかな愛撫の衣擦れの中、徐々に男の指先が胸の頂きへと進んでいくのを、香澄は怯えながら、心の奥底で待ち望んでしまっている自分を感じ新たな涙を溢れさせた。男達への生理的嫌悪感よりも勝る初めての感覚への戸惑いと引きずられ引きずり出されていく甘い疼きに、男に力任せに華奢な手首を握られ固定されているその先で、指が頼りなげに震え、宙をなぞる。
「先っぽ、弄ってあげるよ香澄ちゃん」
 嫌がりつつも意識が集中してしまう香澄を嬲る様に男が囁きかけた。ふるふると首を振ろうとしても抑えられた身体は逆らえず、わずかな動きは男の指に乳房を自ら擦りつける仕草にしかならない。乳房を細やか過ぎる手つきで撫で回され、そして全体を揺さぶられるだけでも甘い疼きにもどかしくて堪らない香澄は、胸の先端に近い愛撫ほど刺激が深いのを感じ取っていた。否定しなくてはいけない、そう香澄が考えているというのに乳首は刺激を待ち侘びてしまっている。
 男達の責めが時間をかけるものだからこそ、香澄は己の身体の変化に耽ってしまうのかもしれない。これが勢いに任せ力ずくで陵辱されるのならば恐怖に任せてパニックに陥りもしかして激しい抵抗を出来た可能性もあった。しかし、執拗過ぎる愛撫はエスカレートの末に待ち受けている事態はなく、ただ自分に卑猥な悪戯をしてそれだけで終了しそうな錯覚を不慣れな少女に与えてしまう。
 定期的に鳴り響く控えめな走行音の中、小刻みに震える香澄の彷徨う瞳に、不意に車窓が映った。
 路線が出来るまでは住宅地としても不便で拓けていなかった場所らしいが、今目の前に広がり後方へと流れていくのはベッドタウンとしてかなり発展を遂げつつある町並みである。小振りな一戸建が多く、華やかさはないが人々の営みを感じられた。昼下がりの住宅街、ベランダで布団を干す主婦、街路を歩く子供達、そんなありきたりな光景と身体の自由を奪われている現実に、香澄は自分が悪い夢を見ている様な感覚に捕われる。
 この車内にしても、恐らくこの人垣の外には何人かの乗客がいて、そして奇妙に溜まっている集団を怪訝に思っているかもしれない。もし誰かが声をかけてきたら、いや検札で車掌が来たら、いや、そもそも次の駅についたら。簡単に終わってくれる悪夢ではなかろうか…そんなすぐに済むという安心感は、油断を招く。
 親友のあの態度も煮えきらない自分へのちょっとした度を過ぎた悪戯の延長線で、次の駅で降りれば追いかけてきて謝って終わりなのかもしれない。
 冷静に考えれば無理だと判りそうな話に縋る気持ちの香澄の乳房を、わざと裾野からじわりじわりと乳首に向かい進ませていた指が、セーラー服の胸元ではっきりと存在を主張する可憐な突起の周囲で弧を描く。ブラジャーのレースと薄布越しでは見た目には判らない一段盛り上がった乳輪を、布の上から男の指が撫で回す。
「――ぁ……!」
 乳房の広い範囲を撫でられる時よりもはっきりとした刺激に、香澄の肢体が男達の腕の中で跳ねる。級友の悪戯とは一線を画した明確な妖しい感覚に香澄の意識は円の中心へと更に集中されられ、カメラの画の中でも拡大して映された胸元のアップでは男の指によって布を突き上げる乳首の膨らみが映し出されていた。
 当然自分で洗う事はあっても性的な刺激として受け止めてはいなかった香澄は未知のもどかしさに何度も首を振ろうとする。男の手の下で呼吸は浅く乱れ、潤んだ嗚咽が漏れてはいたが、制止の言葉は少なくなってしまってた。
 香澄の乳輪を撫で回していた男は布の張り具合で判っていたのか、初々しく尖る乳首を器用に避けていた。やがて、その指がもったいぶる様に布を前後左右から乳首に押しつけ、そして不意に頂きを弾く。
「ひ…んっ!」
 強過ぎる刺激に香澄の全身が抑止の中、跳ね上がり、硬直する。
 電気を流された様な短く弾けた刺激に、切なげな戸惑いと不安の表情が一瞬、絶頂に似た女の表情に変わり、そしてより一層戸惑いと不安が深まる。足の痺れが抜けていく時の開放感に似た甘い疼きが胸の頂から背筋を通り抜け爪先まで広がっていくぞくぞくとする感覚に、香澄の瞳が妖しさと初々しさの危ないバランスの上で揺れた。
 男の指は香澄の過敏な反応を逃さず、尖りきった乳首を布の上からくにゅりと押し曲げ、左右に細やかに揺さぶり、レース地を擦らせる。布の下では異性を悦ばせる為に見せた事はない乙女の乳首が裾から倒され、愛らしい鴇色の乳輪と乳首を押しつけられた白いレースが擦り、そのむず痒さに更にこりこりと硬くなり、男の指に自己主張をしてしまう。
 自分でもどうしたら良いのか判らない混乱の中、乳首の刺激に身体を震わせる香澄は、落ちつきなくわずかにくねる足の間に徐々に他の男の足が捩じ込まれ、足の間を開かされている事実にまだ気付いていなかった。
 ぐいと強い力でローファーの内側から足を押され、香澄は我に返り下を見ようとする。目の前にはカメラの視界を遮らない為のささやかな空間が広がっているが、香澄の背後と斜め後ろにはほぼ密着状態で男がいた。今自分の腰を撫でている男が足を広げさせたのだと気づき、少女の顔が羞恥に染まる。
 直立状態でさえ裾から下着が見えてしまいそうな短すぎるプリーツスカートは、脚をしっかり合わせていてもなお心細く、そしてスカートの上から撫で回されていた尻肉から離れた手にくいと簡単に裾を捲り上げられた瞬間、車内の冷風が香澄の腰を撫でた。
「きゃ……っ!」
 そもそも電車に乗る事すら珍しい香澄でも痴漢の存在は流石に判る。まさか胸を弄られるとは思わなかったが、ニュースなどで尻を撫でて逮捕される程度の知識はあった。だからこそ、尻肉を服の上から撫でられる事は嫌であってもうやむやに覚悟してしまっていたが、まさかスカートを捲るまでエスカレートするとは考えていなかったのである。
 反射的に抑えようとしても上げられた両手首はわずかにしか動かず、あまりにも短いスカートはあっさりと捲られてしまった。しかも、前側を。
 視姦していた男達の声にされないどよめきに、香澄の顔が一気に熱くなる。裕子に与えられた下着は秘めるべき場所を隠そうとはしていない。性器を覆うだけしかない一重のクロッチ部分はオーガンジーよりも更に薄い透けた素材で、他は同じく最低限の範囲のレースにフリルやリボンがついているだけで、少女の小さな掌よりも小さい。香澄のつつましい柔毛ですら何とか収まっているだけで、少しずれただけではみ出してしまうのは確かだった。横で結ぶリボンも伸縮性にはさして富んでおらず、いつ落ちてもおかしくない不安なパンティである。透き通る様な日焼け知らずの肌とその奥を透かしてしまっていた。
「ぃゃ……っ、ぃ…ゃぁ……っ、ゆるしてくださいっ、い……っ!」
 きゅっと乳首を摘ままれ、香澄の肢体がびくんと跳ねる。
 捲り上げただけでなく、短いスカートの裾を細いウエストの前部左右部分に押し込ませ、男は少女の腹部から黒のニーソックスまでをあらわにさせた。男が抱き寄せれば簡単に腕の中に収まってしまいそうな程ウエストが細く、腰も脚も育ち盛りの健康な脂肪と筋肉よりは繊細なか弱さを感じさせる肢体が晒される。容赦なく注がれる男達のギラつく視線から逃れようと瞳を車外へと向けた香澄は、スモークガラスに浮かぶ下着を曝け出している己の姿にくぐもった悲鳴を漏らす。
「すけべなパンティ皆に見られちゃったねぇ。香澄ちゃん、こーゆーの好きなんだねぇ」
 下着姿を大勢の前に晒されてしまう恥ずかしさに何度も首を振りたくり逃れようとする香澄に、抵抗を予想していたであろう男達が更に手の力を込め、非力な少女のささやかな抵抗すら封じ込める。恐怖に大きく見開かれる瞳が溢れ続ける涙に揺れ、かすかな啜り泣きを漏らす香澄の膝ががくがくと震え、そして竦み力の入らない脚の間に割り込ませている男の足が強引にローファーを外へと押し出す。
《次は××駅ー、次は××駅ー。お出口右側になります》
 不意のアナウンスに、香澄は窓の外を見た。流れる車窓の景色が徐々に速度を緩めていくのを見た瞬間、自分の姿の恥ずかしさと目撃されてしまうかもしれない可能性が跳ね上がる不安に、封じられていると判っていても少女は小さな悲鳴をあげていた。
 徐々に速度が落ちていくのを身体でも感じ、全身を縮こまらせようとする香澄の全身が恐怖に震える。スカートを捲り上げたままにするなど想像もつかない辱めに少し前までの予想が楽観的過ぎるかもしれないと不安になると同時に、この姿を第三者に見られる恐怖に竦んだ身体はホームに逃げるどころか、男達の拘束から抜け出して服装を整えるなど出来ないと嫌でも自覚させられてしまう。
 もしもこの駅で乗客が多く乗り込んできてこの包囲が解けてしまったら、男達の拘束がすぐさま外されたとしても咄嗟に香澄が服を整える前に大勢に見られてしまうだろう。
『――止まらないで…っ!お願い止まらないで……!』
「抵抗しないの?香澄ちゃん」
 スカートを捲り上げた男が香澄の耳元に口を寄せ、唇で撫で回す様に声をかけてくる。涼しい車内で耳にかけられる息は生温かく、男の呼吸を浴びせられる不快なこそばゆさに香澄はキツく瞳を閉じた。十センチ以上開けられた足の間の空間に押し込められる鞄の硬い感触に香澄の唇から啜り泣きが漏れるが、それは誰にも気付かれたくない一心で自ら抑えたものとなり、小刻みに震える肢体は竦み切って力が入っているものの無防備そのものになる。
 瞳を閉じた為に、必要以上に敏感さを増す身体は、弄ばれ続けている乳首の甘い疼きと、そして息をかけるだけでなく香澄の耳をゆっくりと舐める男の舌の感触をより一層はっきりと感じさせてしまう。濡れた舌でぺちゃりと舐められ耳の穴に差し込まれた瞬間、香澄は嫌悪感と妖しいざわめきに全身を震わせた。
 乳首と耳を同時に責められる香澄の唇からはぁっと漏れる震えた吐息が男の手を湿らせる。徐々に速度を下げていった列車の振動が間隔を空けてゆき、逆に振動が増していく中、膝を震わせる香澄は姿勢を保つ事が出来ず、まるで身を任せているかの様にわずかに背後の男達に背中を預けてしまう。
 何もしないでいて欲しい願いと裏腹に、乳首と耳を弄ぶ動きはエスカレートし、そしてスカートを押し込んだ男の手は、たっぷりと無防備な姿を晒して映された下腹部へと伸びていく。
「――っ……ぃゃ……ぁぁぁぁぁぁぁ……っ」
 パンティの上端を撫で回す指が何度も左右を往復していく間に、レース部分からこぼれた柔毛を指が摘まみ、くいと引っ張った。
「陰毛も撮影されちゃったねぇ…エロ下着と恥ずかしいお毛け可愛いねぇ」
 男の指の間でちりちりと柔毛をまさぐられ、その動きに伸縮性の乏しいパンティが揺らされ上端が緩み下へとわずかに降りる感触に、香澄は首を振ろうとする。だがそのわずかな振動すらパンティを更に落としかねないと気付き、少女は愕然とした。異性に髪や手を触れられるのも恥ずかしい行為と認識している香澄は、見ず知らずの男に柔毛をまさぐられ引かれ撫で回される淫らさに怯えきり、そして身体が感じてしまうもどかしい甘さを持て余す。
 ドアの開く音と駅構内からのアナウンスの声に、びくっと身を震わせた香澄は、柔毛を弄びつつ悪戯に伸ばされ、レースの下にある薄布に浮かび上がる小振りな丘を小指の先に一掻きされ、仰のいた。
 乳首と同じか…いやそれ以上の電気が流れる様な明確な刺激が丘の上端から全身に一気に駆け巡り、男達の腕の中で華奢な肢体が跳ねる。

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