『真夏日とセーラー服(仮)』遠雷01

表TOP 裏TOP 裏NOV BBS /驟雨・続06<遠雷01>遠雷02

 今にも雨が降り出しそうな雲行きは真夏の暑さを僅かに和らげ、ワゴン車から降りた香澄は全身を震わせ両手で身体を出来るだけ隠し怯えながら周囲を見回した。
あれから通報を避けてだろうか速やかに駅から去った後、疲れから車内で眠ってしまった香澄は一度道中の個別屋外型ホテル内で男達によって隅々まで洗われ、その後は全裸のまま移動を命じられていた。肌触りのよいバスタオルを敷いた後部座席で縮込まる香澄は男達に弄ばれる事なく休息を指示されていたが、全裸のままでは落ち着けず時折疲労で微睡んでは僅かな揺れに目を覚ますのを繰り返していたが、それでも無人駅での疲れがかなり取れているのは若さ故もしれない。
有料道路などを経て市街地に戻るのかと考えていたが、車は風光明媚な山林の整備された道路を通り、そして到着したのは別荘地らしき一角だった。深い木立に囲まれた小さな駐車場には他の車はなく、一軒だけのコテージは富裕層向けの優雅な造りだったがこれから二人目の客を迎えなければならない香澄の表情は浮かない。
「あ…あの……、わた…私は、どうすれば……」
「怖がらなくていいよ。今度の仕事は宴会コンパニオンだからお酒のお酌をしていれば後はお客様に任せればいい、簡単なお仕事」
 にやにやと笑う男に大きな盆を渡され、少女は途方に暮れる。父親の晩酌で母親が酌をするのは見ているが香澄自身はまだ酌をした事はない。盆の上には缶ビールや焼酎等とグラスが六個と酒の肴が入っているのか箱が一つ。――客は六名なのだろうか、ならば淫らな行いはないのかもしれない。だが駐車場に降りた香澄は一糸纏わぬ全裸にストッキングも穿かないままのハイヒール姿であり、給仕の為のウエイトレス姿ですらない。膝が震え崩れ落ちそうになり涙が浮かぶ香澄の腕の先で、小刻みな震えが伝わる盆の上のグラス同士が当たり澄んだ音が鳴る。まだ日も高い時間の別荘地は川が近いのかせせらぎの音が響き、駐車場は入口から奥まった場所にあったがそれでも誰かに見咎められはしないかと香澄は盆を手にし立ったまま身を縮込まらせてしまう。
 と、箱の上に小さな布が乗せられた。
「玄関に入ったらこれを着て、廊下の先にある扉に向かってね。奥でお客様が待ってるよ」
 普通の洋服としては小さなそれは白い水着の様に見え、給仕と水着の組み合わせのちぐはぐさに少女は思わず首を傾げ、男達を見上げかけ、そして俯く。普通に接している様でいて目の前の男達はその全員が香澄を犯しているのだと思い出してしまい細い身体がぶるっと震えた。打ち付けられる腰と深々と貫くあの猛々しい男性器、香澄の膣内も窄まりも口腔も皆が犯し抜いて支配している…逆らうなど思い浮かびもしなければ思い返すだけでどくりと胸と下腹部が甘く妖しい被虐の疼きに震えだし少女は生唾を飲む。
「着る前におまんこ拭うのを忘れるなよ」
「……。はい……」
 ホテルで洗浄をされてからの移動中、唯一男達が接触したのはそれだけだった。ボックスシート状態の前と左右を男達に囲まれた香澄は気付けば下腹部がねっとりと愛液で濡れ、何度男達と香澄自身が拭ってもまたすぐに潤みきってしまっていた。拭う間も撮影されるのがいけないのか、眠っている時間以外は疼ききっていると言ってもおかしくはない。
 一人だけ車から降りてきた男がコテージの扉を開け、香澄一人が扉をくぐると盆の上にポケットティッシュを乗せた男がにやりと嗤った。
「今度はカメラで見てるよ」
 言い残した男が扉を閉め、香澄は一人残された玄関に視線を漂わせる。和洋折衷よりも和風寄りの内装はまだ新しいのか木の匂いが漂い清潔感があった。広い玄関の三和土には六組の革靴が揃えられた状態で寄せられ、少なくとも荒れた印象はないが全て男性用の靴であり女性の存在は感じられない…だがもしも女性が混ざっていればコンパニオンの香澄をどう思うのだろうか、いやそもそも宴会では水着姿のコンパニオンはおかしくはないのだろうか。今の自分を同性に見られる抵抗感が何故なのか判らないまま下駄箱の上に重い盆を置き、瞳を閉じて何度か深呼吸を繰り返した香澄は静かにハイヒールを脱いで下座に揃えてから廊下の突き当たりを見た。途中に何部屋かの扉を経たその奥に何があるのか、不安に泣きそうになりながら少女は白い布へと手を伸ばす。
 やはり想像通りの白い水着だったが予想以上に薄くそして面積の小さい上に胸のカップもなくクロッチ部分が一重のままの際どさに香澄の顔が曇る。持っている指と爪の凹凸すらはっきりと判るほど薄く伸縮性のある素材だが予想外に透けない素材であり、その点だけは良心的かもしれない。香澄が持ち込んだ飲み物も多めだとは思うが追加の可能性は低く、酌はすぐに終わる予感にふっと安堵の息を漏らし、香澄は盆の上に残るポケットティッシュを手に取り、玄関の隅でそっと下腹部に滑らせる。
「――ん……っ」
 ぬるりと滑る夥しい愛液の感触に香澄の全身が震え上がる。
 以前はこの様な事がなかった身体が今は嘘の様にだらしなく淫らに濡れる様になってしまった惨めさと奇妙な興奮に、香澄は息を震わせながら何度もティッシュを谷間に滑らせる。ハイヒールを脱いだ後の一糸纏わぬ裸身が玄関の隅で小刻みに震え、ぬちゃぬちゃと淫猥な音が篭もり、少女は濡れた瞳で肩越しに周囲を見回す。カメラはどこかに仕込まれているのだろうか、それとも香澄を困らせる為の嘘なのだろうか、恐らく判り易い形ではないのだろうと思いながら、何故かそのまま自慰に耽りたい衝動に少女の頬が染まる。
 時間がかかれば客が確認に来るかもしれないし、まだ車に居るであろう男達に知られてしまうかもしれない。何度掬い上げてもティッシュペーパーに夥しく絡み付く淫らな粘液はねっとりと下腹部とティッシュの間に太い糸を垂らし、躊躇ってから少女は膣口にティッシュペーパーの上から指を僅かに沈み込ませる。
「は……ぁ…ん」
 甘い声を零してしまい香澄は慌てて指先を引き抜く。沈み込ませたと言ってもほんの少しだった。たった二〜三センチだろうか、しかも細い指である。それなのにぞくりと淫らな疼きが駆け抜け、肌の至る所がちりちりと敏感になっている…これから見ず知らずの男性に薄い水着姿で酌をしなければならないのに。だからこそ男達は自分に触れずにいてくれたのかもしれないと恥じ、香澄は何枚かティッシュを使い漸く下腹部のぬめりを除いた香澄は水着を手に取った。
 形はシンプルな競泳用水着に近いが肩でなく首の後ろで留めるデザインは背中の刳りが深く尻肉の丘の上端の辺りまでが露出し、そして胸の谷間は真っ当に乳首の間の位置より上までを覆っているが、逆に首から腰への脇の曲線はかなり大胆に露出し乳房の横合いを晒け出してしまっていた。腰はやや深い食い込みだがそれよりも目立つのは前身頃とヒップを繋ぐ横の部分で、三センチとなくほぼ帯に等しい。そして透けていないのは救いだが、極薄の素材は香澄の身体に貼り付き乳首と下腹部の丘の形をはっきりと浮かび上がらせていたが、香澄は豊かな胸に邪魔をされて乳首しか気にする事が出来なかった。
 何気なく胸を隠す動きを意識すれば判らないかもしれない、そう願いながらもどくどくと胸が鳴り見ず知らずの人物に晒すには恥ずかし過ぎる服装に泣きたい気持ちになる。第一、酌の作法を知らない香澄は粗相にならない立ち居振る舞いすら自信がなく、そして成人男性の飲酒の場に軽い恐怖すらあった。――だが、酌をしなければいけない。
 他の選択肢が頭に浮かび上がらず、香澄はよろめきながら盆を手に取った。

 音もなく開けた扉の先は内風呂の大窓から覗けた通りの露天風呂だった。
 廊下の先の脱衣所と内風呂も広かったが、露天風呂も思いの外広く、二十人以上でも余裕で間を持って浸かれるであろう広さで、そして渓流に面しているのかせせらぎの音が一段とはっきり聴こえ、広がる景色の僅かに隔てた美しい木立の斜面の上方にはガードレールが垣間見えた。露天風呂の一番外縁から対岸のそれまでは直線距離で三十メートルはあるだろうか。全裸で入浴するのは躊躇われるのか、露天風呂の半分は青々とした木々と垣根で対岸から隠されてはおり、水着着用を許されている事に香澄は安堵する。
「あ、あの……。お酒を、お持ちしました」
 暫し目の前の光景に意識が逸れていた香澄は浴槽に浸かっている男達に気付き、慌てて一礼をする。洗い場は内風呂にある為かシャワーなどの設備はなく、一部が露天風呂の上にまで張り出している庇付きの天然石の流し場の向こうで男達が自分に容赦ない視線を注いでいるのを感じ、香澄の頬が熱くなる。何か間違っているのだろうかと不安になりながら盆を手に露天風呂の縁まで進み、そして相手が席に着いているでもない場ではどうすればいいのか判らずに途方に暮れる。そもそも身体を洗わずに入浴する事も水着着用のままの入浴もマナー違反であり、一応内風呂で足には湯をかけたがそれ以上はしておらず、これ以上先へは進めない。
 困惑する少女に気付いたのか、男の一人が軽く手招きをして露天風呂の中にある小島の様な岩場を指した。二十代前半の社会人と思しき男達には粗野な印象はなくどちらかと言えば将来有望なエリート階級のゆとりを感じさせる。
「ここにトレイを置けばいいよ」
「は、はい」
 確かに岩の上は一畳程の平坦な部分があり、そこならば盆を置いても落ちる事はないであろうと推測して躊躇いながら香澄はそっと湯の中に足を入れる。じんわりと温かい湯は逆上せない程度の絶妙な湯加減と深さは香澄の腿の半ばで、ゆっくりと肩の辺りまで浸かればさぞや心地良いであろうと思われた。せせらぎの音が反響し、和らいだ真夏の暑さの中、立ち上る湯気の揺らぐ感触も和やかだった。
「あの、これでいいのでしょ……」
 男達から少しだけ間隔があるものあり穏やかに岩の上まで盆を運んだ香澄は、指示を出した男へ確認しようとして相手がタオル一つない裸で自分を観察しているのに気付き固まってしまう。気付けば全員が自分を見ている。それは正面からでなく露出度の高い横や背後や様々な角度であり、そして立っている少女の身体は男達の視線に丁度よい高さにあった。
「取り敢えずビールくれる?」
「ぁ……は、はいっ」
 意識してしまっているのは自分だけかもしれない。そう相手は大人なのだから酌など当然で意識する必要のない当然の行為であり、だから何気なく指示をするのだろうと自分を恥じながら、幾つもの缶の中からビールを取りそのまま渡しかけ慌ててグラスを差し出す。そして男の手にしたグラスに両親の晩酌を思い出しながら缶を傾けて黄金色のビールを注ぎ、傾きを直す。酌をした後はどうすればいいのか判らず缶を手にしたまま立ち尽くす香澄に軽く笑った後、男は他の男達を指差した。
「他の連中にもあげてくれない?俺だけ飲む訳にもいかないでしょ」
「じゃあ俺レモン酎ハイ」
「ビール」
「こっちはカンパリ」
 次々にかかる声に香澄は慌てて盆のある岩場と男達の間を行き来する。湯の中での移動は思いの外足が重くなかなか滑らかには動けない中、湯を跳ねない様にグラスと酒を落とさない様に意識が向く香澄は、水着が湯気で徐々に湿り密着し、乾燥時には透けない素材が柔肌の色を透かす状態へと徐々に変わっていくのに気付けずにいた。どうしても跳ねる湯が下腹部と腰を濡らし、白い布が透け瑞々しく生白い素肌の色を強調し、第二次成長以降ならばあってしかるべき柔毛の翳りのない下腹部と、そのすぐ下のまだ幼女の様でいて凝視すれば見て取れる小さな突起とそれに続く薄く襞が垣間見える溝が男達の視線を浴び、酒を進ませる。
 どう考えてもマナー違反になりそうな棒立ちのままの高い位置からの酌は出来ず、軽く身を屈ませ男達があまり差し出してこないグラスに懸命に酒を注ぐ香澄は初めての酌とその慌ただしさに徐々に何も考えられなくなっていく。男達の手元へ傾ける身体に、極薄の水着を貼り付かせた乳房が悩ましく揺れ、他の男達の目には僅かに突き出した尻肉とすらりと伸びる白い脚の奥に他の肌とは違う鴇色の部分が微かに見え、湯の中で軽く酔う男達の性器ははっきりと天を仰いでいく。
 何巡かして僅かな間に息をつき、湯気と汗で薄く湿った腕に貼り付く髪を直そうとした香澄はすっかり透けて生肌と大差なく透けた水着にびくりと凍り付く。
「どうしたの?」
 一瞬遅れて両腕で乳房を隠した香澄に、グラスのビールを旨そうに舐めながら男が聞いた。
「お酌疲れた?ごめんねばらばらに座ってて」
「ま…ちょっと休みなよ。働いて喉乾いたでしょ」
 各々距離をとって浸かっていた男達がグラスを手に立ち上がり寄ってくる姿に、香澄は乳房を隠したまま項垂れて首を弱く振る。透ける素材など判っていなかったし、持ってきた飲み物は酒だけで未成年の香澄が飲めるものは一つもない。そして、男達が立ち上がった瞬間に見えてしまった男性器は皆猛々しく隆起させているにも関わらず、誰もタオルで隠そうなどしてはいなかった。
「ちが……」
「アルバイト?まだ高校生くらいだよね」
 気軽な口調は香澄が見てしまった性的興奮の象徴を微塵も感じさせず、無知な少女にはもしかしたら自分の知らない温泉での飲酒の生理的なものなのではないかとすら思えてしまう。変に固まったままでは自分こそおかしいと思われるのではなかろうか、だがしかし透けた水着はあからさまに性的なものであり気恥ずかしさにがくがくと震える香澄に、男は中身の残っている缶を差し出してきた。
「これなら甘いから飲みやすいよ。大丈夫俺達で殆ど飲んであるから君はほんのちょっと飲めばいい」
「そうそうお酌して貰ったらお酌し返すのはルールだから」
「ルール……?」
「そうルール」
 周囲を男達に囲まれ、項垂れる香澄の肩を誰かがぽんと叩いた。近くに感じる男達の気配に身動き出来ない香澄の手に缶が握らされ、自分が動かなければどうなるか判らない緊張に、何度も唇を戦慄かせた後、少女は缶に口を付けて仰ぐ。
 果物の爽やかで甘い味に飲酒の緊張がほんの僅かに解けた香澄の喉を通った直後、炭酸飲料にはない熱く沁みる様な感覚が口内から喉奥へと広がり、鼻腔に果物だけとは異なる甘い匂いが満ち、今飲んだ物が強い酒なのだと感じる眩暈に似た熱い酩酊感に少女は怯む。
 すぐに缶の傾きを戻そうとした香澄の手の中の缶の底を男の手が抑え、小さく震える少女は無言の圧力にこくりこくりと流し込まれる酒を嚥下するしかなかった。甘く冷たい酒が喉を通る度にとくりと身体が脈打ち、そして堪らないもどかしさが下腹部と乳首に広がっていくのを感じ、香澄の整った小鼻がすんと鳴く。
 こんな場所で飲酒をしてしまった自分の動揺を男達は判らないだろう…だが飲み終われば酌が終わって解放されるのだと思えば楽だった。楽だと思いながら、少女の中でふつふつと何かが沸き立ち始めている。直前に見てしまった逞しいそれがすぐ近くにあり、自分のあられもない姿が男達を興奮させているのかもしれないという密かな興奮に、少女は甘く強い酒を飲まされながらぶるっと震えた。
「お酌もいいけど、身体流してくれるサービスもして貰おうか」
 あまり缶には残っていなかったかもしれないがそれでも十分な酩酊感を味わわせる酒を飲み終わり、缶の代わりに全裸の男に差し出された掌より小さな薄いスポンジとボディシャンプーらしき瓶に、香澄の潤んでいる瞳が絶望感と暗い疼きに揺れた。

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