『真夏日とセーラー服(仮)』遠雷10

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「小早川、それがお前さんの名前?」
 警察官の声に半ば恐慌状態になりながら少女は肩を藻掻かせ目の前のタブレットを隠そうとし、ぱちゃっと背後で響いた水音に凍り付く。今その方向で立つ水音一つしか思い浮かばず、想像に血の気が引いていく香澄はそろそろと肩越しに後ろを見る。紙コップを手にしている警察官の手が濡れているのが見えた瞬間、びくっと身を縮込まらせる。
「すみません…!申し訳ありません…っ!」
「ったく汚いなぁ」
 怒声と言う程ではない呆れた様な声は職務上酔漢等の手合いで吐瀉物や排泄物に慣れてしまっている為なのだろうか、だが善良な警察官の手を汚してしまった恥ずかしさに耳まで真っ赤に染まり縮込まった少女はそれ以上身動きが出来なくなる。目の前のタブレット内では二人の同級生が前後から少女の口腔と膣を犯し続け何度も苗字を口走っており、動画再生を止めさせなくてはならないと思っても警察官を汚してしまった罪悪感と羞恥で萎縮してしまいどうすればいいのかが判らない。
 こんとタブレットの横にまだ中身の残っている紙コップが置かれ、警察官が奥の扉の向こうへと消え、そして水道で手を洗っているのか水音が聞こえてくる。
 自分は何をしているのだろうか。
 警察官に補導されてもう凌辱の魔の手から解放されているのに、事務机の上で秘めるべき場所を剥き出しにして縛られたまま、同級生達と自分の淫らな行為を誤魔化そうとして適わずにいる。んっんっと息を詰まらせながら少しだけ動きタブレットの電源を切れないものかと顔を寄せるが、電源スイッチが側面にあり、それを押す方法が思い浮かばず途方に暮れてしまう。
《きて…なかに、だして……ぇっ》
 タブレットの中で同級生の性器に精液を顔に塗りたくられながら喘ぐ香澄が白い腰を淫らに振り、そして背後から突き上げる男子の腰が激しく打ち付けられている。ぱんっぱんっと音が大きく鳴り、少女が喘ぐ。耳を塞ぎたくなる、あってはならない行為に必死に電源スイッチを顎や頬で押そうとするが、何度繰り返してもそれは適わない。警察官に同級生達を気付かせまいとする少女は、すぐ近くで再生され続ける動画と彼等を守ろうとする意識に不意にそれを身体で思い出してしまう。
 乳房を握り潰さんばかりに揉みしだく手、乳首を噛む歯、前後から激しく犯す性器…身体で憶えてしまった組合せ…一人は細長くて膣から余って、一人は少し小さくて、一人は普通のサイズだけれど…そう思い出しかけて頬が熱くなる。普通とは何だろう、自分は平均など知らない、そう振り切ろうとして香澄は今まで自分を犯してきたモノを思い出してしまい啜り泣く。怖い。全てが、全員が、香澄をよがり狂わせ必ず一度は絶頂に押しやっている。小さい等と見下してしまうはしたない経験数に消えたくなる中、少女の白い腰が事務机の上でひくんひくんと上下に揺れ、二つの孔に挿入されたままの細い棒がうねうねと揺れる。
「ぁ……ぁああああ……」
 もどかしい。まだ何も挿入されていない方がよかっただろう。少女自身の膣と窄まりが刺激を求めて蠢き細い棒から少しでも刺激を得ようとしてしまう。ここは交番であり、引き戸も開いたままだと言うのに、腰の動きが止められない。
《おまんこ…、おまんこにだして…ぇ》
《小早川……っ、糞…っ、締まる……そんなに精液欲しいのかよっ!》
《あんっ!あん!きもち…いい……っ、そこ、いい…っ!いくぅ……っ、いきますぅっ、おちんぽで奥つかれていきますぅ……っ!》
 はあっはあっとまるで餌のお預けをされた犬の様に香澄は喘ぐ。タブレットの中で膣奥までを激しい抽挿で犯している同級生のモノから視線を外せないのは、目の前に突き出された画像は見る様に命令され続けていた為なのだろう、そうでなければ、同級生の性器を愛しげに物欲しく注視する事など内気な少女には出来はしない筈だった。
「ぁ……ん…、それ……いぃ……っ。――ひ……ぁ…っ!」
 白い腰を前後に揺らしながら香澄は小さな声で甘く喘ぐ。タブレットの中で犯すモノの感触を思い出しなぞり腰を振り、自ら細い棒を牝肉で捏ねて少しでも刺激を得ようとする少女は、気付けば戻ってきていた警察官に、悲鳴をあげ、そして、その瞬間、達してしまう。

 焦れる喘ぎ声が交番内に籠もっていた。
 膣と窄まりに挿入されている細い棒は三本ずつに増やされ、警察官の手でゆっくりと操られ続けもどかしい刺激で少女を身悶えさせる。
「――で、その岩場で、四つん這いで犯されながら、何人位に見られたの?」
「ご…ごにん…くらい……、おしりに…おしりのなかに……ぅ…あ!こねちゃいやいやいやいやぁ…っ、おしりのあなこねちゃいやあっ」
 もどかしくて狂いそうな尋問をされながら細い棒で窄まりの皺を捏ね回され、香澄は自ら腰を高く突き出し振りたくる。所轄での行為だけでいいからと言われたのがいけないだろうか、同級生に言及しない警察官の問いに懸命に少女は答えようとしていた。
「アナルセックスでいけちゃうの?」
「ゃ……わた……し…、そんなつもり…な……ぁ…あううううううううっ、ひっぱらないでぇ…なかから、ぐいぐいしちゃ…だめぇぇぇぇぇぇっ」
「でもこれチンコより細いでしょ」
「はい…っ、お…おちんぽ…ほう、が……りっぱ、です……っ」
 嘘の証言はしていない。だが何かが間違っている気がしてならない。何を間違えてしまっているのか、偽証をしてはいけない、そう頭のどこかで誓う少女の腰が前後にかくんかくんと揺れる。汗と涙が事務机の上に溜まり、頬を濡らす。
「それにしても何だいこの様、付着ってレベルじゃないな。掻き出していいよね?」
「はぁ…ぅ……ん」
 ぬるりと細い棒が引き抜かれるむず痒い感覚に身悶える香澄は目の前に突き出された二本のバイブレータに大きく目を見開く。
 一本はあの極太な上鰓が大きく張り出した肉色の物、もう一本は鰓が張り出してはいるものの太さはそう凄くはない物…両方とも香澄に使われた物である。
「どっちで精液掻き出した方がいい?」
「え……?」
 体液の採集の為に出来るだけ掻き出した方がいいのだろうとぼんやりと理解出来るし、今まで挿入されていた物ではキリがないのも想像がついたが、だがそれまでの物とはサイズが違い過ぎる。いや、掻き出すには適しているのだろうか。どくりと全身が脈打ち、だが胸の奥が暗く妖しく疼き出す…せめて穏便な方法はないのだろうか、だが掻き出すのならば鰓が大きな方がいいのだろう……。
「右の…みぎのほうが…いいです……」
 直視するのも憚られ、目を逸らしながら香澄はそれを指定する。
「右?どっち?」
「……。肌色の…方です」
 自分がこれから何を挿入されたいかを伝える恥ずかしさに声が震え、出来るだけ遠回しに伝えたいが、曖昧な為か警察官に問い返され香澄は頬が更に熱くなるのを感じる。
「知ってる?最近は絵の具でも肌色ってのはないんだよ。真っ黒なのも薄橙も曖昧表現って奴。で、どっち?」
「太い方…です……」曖昧に伝える自分がいけないのだと思いながら少女の息が妖しく震え細い声で何とか伝えようとする香澄は息を吸う。「幹に…ぼこぼこの瘤が…たくさん…うかんでいる、男のひとの…色に……赤黒くて、先が…赤黒くて……幹が灰色の、太くて……えらも…なにもかもが…太い方が……いいです……」
「こっちが好きなの?」
「はぃ……。こ…ちらのが……すきです……」
 最も凶悪な肉色のバイブレータで頬を軽く突かれ、瞳を逸らしていた自分がいけないのだと悔やみながら香澄は涙を零す。精液を掻き出すのならば確かにこの鰓の大きさの方が良い筈だった…だが抵抗はある。卑猥過ぎはしないだろうか?それは性的過ぎはしないだろうか?だが同時に男達の洗浄を待たずに掻き出して貰えた方が妊娠させられてしまう可能性が減りそうな気がした…森と渓流で犯されてから少し時間が経っていてその間ずっと精液が膣内に残り続けている不安に香澄は警察官に縋りたくなる。
「じゃあ挿れるよ」
「はい…お願いします……」
 腰を高く突きだしたままの香澄の背後でバイブレータの底にある鈴がちりちりと鳴る。すぐさま精液を全て掻き出して貰える安堵と同時にじわりじわりと精神の底で広がっていく妖しく暗い何かに少女の落ち着きがなくなり、呼吸が荒くなる。警察官の行為を妨げまいと一層突き出しそうになりながら、恥ずかしさに引きそうになりこれは職務なのに何の問題があるのだろうと戒めかけ……。
 ずぶりとバイブレータが少女の膣に押し込まれた。
「はぁ……ああああああああああああぅ!」
 極太のバイブレータが膣口をこじ開ける強烈な刺激に、香澄の唇を淫らな悲鳴が割る。高く突き出している腰が跳ね、頼もし過ぎる傘の張り出しに膣口のくねりをごりっとこじ開けられる絶頂に全身に一気に火花が散った。香澄の反応に手が止まったのか膣口のくねりに一番太い傘が刺さった所で警察官の手が止まる。
「大丈夫かい?いいかい?」
「ぃ…いいで……す…、いぃ……っ…ぅ…ぁあああ!」
「いいならいいって言い続けてね」
「は…はい…っ…、い…!ぃい…っ…いいです…ぅっ、いいっ…!」
 喘ぎながら何とか答える少女の膣内にずぶずぶと卑猥なバイブレータが押し込まれ、柔肌に一気に汗が滲み乳房と手首を縛り上げている縄が軋む。疚しさのない警察官の手で操られるバイブレータが膣奥までゆっくりと捩込まれていき、そして引き戻される。ぐちょりと白濁液が膣内から掻き出され、そして再びバイブレータが膣奥へと送り込まれていく。行為に間違いはない筈だと思いながら、香澄は汗塗れになり首を振りたくりながらいいと言い続ける。雨の交番にぐちょぐちょと淫猥な抽挿音と少女が繰り返す感極まった声がひっきりなしに繰り返され、事務机の上で後ろ手に縛られ浴衣をウエストの辺りに乗せただけの生白い足腰が淫らに跳ね続ける。内腿を性臭の濃厚な白濁液が夥しく伝い、灰色の机の上に牡と牝の結合の残滓が卑猥な水溜まりを作り出す。
「――そう言えばアナルセックスでも中出しされたんだよね?」
 そう言い警察官がもう一本のバイブレータを手にするのを見、職務上必要行為による執拗な絶頂に放心しかけていた少女の瞳に、不安と被虐の色が浮かんだ。

 不意に鳴りだした電話に二本のバイブレータを抽挿する手が止まり、腰を高く突き出しよがり狂っていた香澄は何事か判らないまま呆ける。
「――二丁目で夫婦喧嘩?あー判りました今すぐ行きます」
 ぐっちょりと滑る手をタオルで拭ったもの滑りを落としきれない様子の警察官が奥への扉へ戻り、呆けている少女は僅かに崩れる。どれだけ抽挿を繰り返されていただろうか、喉が痛む度にお茶を与えて貰いながら膣内と腸内の残留物を掻き出され、掻き出し切れはしない為にずっと角度を変え速度を変え繰り返しくりかえしバイブレータで中を探られ、少女は疲れ切っていた。自分は堪えていれば良いだけなのだから警察官の方が疲れただろう。それなりの結果はもう出せたのか場を離れた警察官に香澄はぼんやりと空回りに近い思考で考える。――無理強いと判って貰えたとして、精液であの男達の身元が判るのだろうか?
 暫し手を洗っているであろう水音聞こえた後、手拭いで手を拭いながら戻ってきた警察官が手にしている物を見、香澄は瞬きをする。くいと足首を掴み、事務机の下へと降ろされ恥ずかしながら安堵するその後ろで、かちゃりと硬い音が鳴る。
「え……?」
 片足は事務机の上に乗ったまま、バイブレータも二本刺さったまま、雨合羽を手に交番から出て行こうとする警察官に香澄の血の気が引いていく。
「あ、あの……手を解いては頂けませんか?」
 朧気に憶えている先刻の電話の内容からして警察官が何処かへ出動しようとしているのは想像がついたが、戻ってくるまで待つとしてもせめて縄を解いて貰い身なりを整えたかった。乳房も剥き出しで後ろ手を縛られたままでは挿入されたままのバイブレータを抜く事すら出来ない。雨合羽の釦を留めている警察官が少女の哀願を聞き、面倒臭そうに一瞥をする。
「すぐに戻るよ。逃げようとか考えるんじゃないぞ」
「そうではなくて…あの……っ」
 急激に膨れていく不安に気怠い身体を動かそうとした香澄は、事務机の下に降ろされた脚がある一定の場所で縫い止められているのに気付き、愕然とする。緩慢にしか動かない身体に即座にそれを確認出来ず何度か脚を動かした少女は、足首に何か…恐らくは先刻警察官手にしていた手錠が掛けられているだと思い、顔を引き攣らせる。
「これは…、これは何ですか……!?」
「あまり暴れるなよ?」
 そう言い交番から出て行く警察官に香澄は呆然とする。縄を解かれる所か足首に手錠を掛けられて自由を奪われ無人の交番に残されるとは思わなかった…いや異常な問題のある状況に不安に顔を引き攣らせ何度かそっと脚を動かし、足首の拘束を確認して愕然とする。
 雨足は衰えず引き戸の外の暗闇は交番から漏れる灯りを反射する雨はカーテンの様だった。交番の前を通過する車の台数は多くなかった気がするが、温泉街から徒歩で来れる交番なのだから誰が訪れてもおかしくはない。せめて少しでも異常な姿を整えようと考え香澄は身を捩った瞬間、深々と刺さったままのバイブレータが狭い肉を挟んで擦り合う刺激に喘いでしまう。簡単には抜けない二本だった。両方とも、膣圧だけで抜け落ちるには大き過ぎる。
「ぅ…うふ…ぅっ……」
 誰も聞く事のない喘ぎを漏らしながら汗に塗れた身体をじわりじわりと動かし香澄は、自分の足首に掛けられたら黒い手錠の一方が事務机の足に繋がっているのを見、可憐な顔を歪めた。事務机の足は引き出し部分の下から足同士を繋ぐ支柱まで間に掛けられており、何とか机を浮かせて抜ける事など出来そうにもない。後ろ手を縛られたまま交番で裸身を晒け出し続けるのも躊躇われ、せめて机の陰に隠れなければと思うものの、繋げられた足は道路側であり、床に座り込み身を小さくするので精一杯だろう。それでも腰を高く突き出しているよりは、マシだろう。
 そっと、そっと動こうとする度にバイブレータに擦りあげられ少女の身体がびくんびくんと跳ね、妖しい刺激に我を失いそうになる動きは遅々としてしまう。じわりじわりと動く少女は、不意に交番の前を通過したダンプカーがすぐ近くで停車した気がして身を強張らせる。
 嘘と祈るその耳に、雨音の中大きな扉を乱暴に開閉する音が届き、香澄の胸の動機が激しくなる。せめて腰を降ろしたいと願うが素早く動こうにも足首を宙に浮かせた中途半端で判らない状態では動ける範囲は狭かった。
「お巡りさん、この先の事故…、――何だなんだ?この姉ちゃん」
 唐突に雨の中交番に駆け込んできたTシャツ姿の中年男に、香澄は悲鳴を上げそうになって凍り付く。がくがくと全身が震え涙が溢れるその腰で、膣を塞ぐグロテスクなバイブレータの底に着いている鈴がちりんちりんと涼しげに鳴り響く。
「みないで…ください……」
 怯えるあまり歯がかちかちと鳴り、哀願するには細過ぎる小声は雨音に紛れ相手には届かないであろう。今にも気を失いそうな恐慌状態に怯え身動きが取れない少女を、中年男の目がゆっくりと舐め回す様に眺め、そして男の顔が好色そうに歪んだ。

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