2022余所自作107『乳イキでお願い』

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 昼休みの社食へ向かう途中不意に袖を引かれて引っ張り込まれた給湯室の影で、省吾は少し頬を膨らませた彼女に息をつく。
「美人が台無しだよ」
「だって上がって下さらないんですもの」
 雨の日の彼女の家の居間での悪戯の後はマンションの前で別れる健全な偽彼氏を続ける事三日目、痺れを切らした様に拗ねた瞳で見上げてくる彼女は職場内だと判っていてもどうしても言いたくて仕方なかったらしい。
「門限十九時で親御さんから電話かかってくるなんて聞いたら少し厳しくしないと危ないでしょ」
「でも……っ」
 拙い。構って貰えていない子猫が拗ねている様な表情も、甘えてにゃーにゃー鳴いている様な舌足らずな蜂蜜声も何もかもが可愛らしくて仕方ない。偽彼氏に何を求めてるんですかと言いたいけれど、何故か偽彼氏を強調するつもりにもなれずに省吾は小窓しかない給湯室の天井を仰ぐ。これが本当の彼氏ならば彼女の両親に筋を通して挨拶をしておくなどの方法もとれるのだろうが何と言ってもセクハラ対策の偽彼氏には何の正当性もない。
「でも…、ですが……だって……」
 今にもべそをかきそうな彼女に、ちらりと視線を向けてから省吾は天井を再び仰ぎ見、そして小さな頭を撫でる。
「喫茶店に寄らなければもっと時間が作れますよね?」
「家には上がらないよ」
「んもお」
 少しだけ甘えて声を荒らげた彼女の小声に被さる様な他女子社員の複数の声に省吾は彼女の頭を強くぐしゃりと掻く。
「――屋上温室に五分後」
 給湯室は弁当組がお湯を貰ったり電子レンジを使いに来たりで昼休みには需要がある。そんな場所で話しているのは確かに偽彼氏としてはありかもしれないが、女性写真の噂になるのはどこか抵抗があった。ぱっと表情を明るくする彼女をそのままに省吾は給湯室から出てエレベータホールへと向かった。恐らく今日の昼食は食いはぐれる。

 ソーラーパネルだらけの屋上は昼食で弁当を広げる連中から見放された場所であり、ぎらつくパネルの裏を通り抜けて更に奥へと進んだ先に裏寂れた温室とは名ばかりのビニールハウスがぽつんと立ってある。観葉植物ブームの際に建てられて日照不足になった植物の回復の為に最初は利用されていたが今は管理する人間も少なく鬱蒼としたジャングルに近い状態になっている。自動散水からは少々時間が経っている筈の温室はむわりと息が苦しくなる程度に湿度が高く、だが都心では感じられない緑の濃い匂いと気配がどこか心地良い。どこで飾っていたのか問い詰めたくなるウツボカズラやソテツに伸びまくってもう室内には戻せないであろう蔦類を潜り抜けると一応昔は気取りと言うものがあった名残の白塗りの鉄の丸テーブルと椅子が見えた。
 椅子が散水で濡れていないかを確認してから腰を下ろした省吾の耳に、温室の錆びた扉を開けて閉める音が聞こえてきた。少し遅れて施錠の音。
「……。ようこそ我儘なお嬢さん」
 そう言いながら苦笑いを浮かべた省吾に、頬を真っ赤に染めてもじもじとしている彼女の姿が映った。
「ごめんなさい…お昼時間、とってしまいました……」判っているのかと内心驚きながら手を差し出す省吾へと歩みかけ、二メートルほど先で立ち止まった彼女が泣き出しそうな顔をして立ち止まる。「我儘を言って…ごめんなさい……、私、でも、伊能さんが…はしたない子だともうお嫌になってしまっていないか…ふあんで……」
 恐らく純粋に嫌われての不安半分の、残りは考えないでやるのがいい事なのだろうと思いながら省吾は立ち上がり、そして彼女の前まで進み、頭を撫でかけ、暫し迷う。いつも据え膳だと思うが、それが事実とは限らない。ましてや相手は住まいから考えてお嬢さん、しかも門限や親の確認の電話を考えると箱入り娘。
「天音さん?」
「はい……」
「大人の男の方がいやらしいの、判るよね?」
 そっと会社の制服のブラウスの胸元のボタンへと手を伸ばし、省吾はゆっくりと一つ外す。逆らう様子もなくただ呼吸を止めて、柔らかそうな唇を引き締めて少し下を向いている彼女の肩が微かに震えている。グレープフル−ツなど可愛い果物では表現が追い付かない豊か過ぎる乳房を包むブラジャーがボタンを外す度に露出するのは、制服のブラウスが元からサイズがぎりぎりだった為だろう…だが正直な話華奢な彼女だが乳房だけLLサイズ程度では確実に間に合わないから特注の制服なのは確実だった。確かのこの乳房は人目を引く。無作法に見てしまう他男性社員の気持ちも判らなくもない。――そんな彼女の乳房を弄ぶのを許されてる密かな優越感が、確かにある。
 紺色のベストのボタンも外し、ぶるんと突き出している乳房が露出する様にブラウスとベストを左右に割ると、洒落た総レースのブラジャーが露出する。色は渋いブラウン。確か白いブラウスの時に透けにくい色だとどこかで聞いているが、ブラウンの総レースに押さえ込まれている乳房はその薄い素材の下に可愛らしい乳輪と乳首を透かしており、直接目にすると卑猥そのものだった。透けなくても乳首の勃起はどうにも隠せていないだろう。初見泣かせと聞いた事のある巨乳用にしては珍しい前開きの金具を見せつける様にゆっくりと外していると、彼女の唇から微かに甘えた子猫の様な鳴き声が漏れた。陽光眩しい会社の温室で昼休みに男に乳房を晒すのは、どれだけ恥ずかしいだろうか。だが施錠している時点で彼女の望む事は丸判りである。
 ぁ……っといやらしく震えた声が何度も零れる。金具を上下にずらし、指で弾くと勢いよくアンダーバストの部分が緩み男の顔を挟み込んで窒息死させかねない美しい巨乳がぶるんと弾んだ。
「あん……っ!」
 感極まった声で鳴いた彼女に、省吾は軽く抱き上げて白いテーブルの上に華奢な身体を座らせる。しっかり自分の身体に合わせたブラジャーを選んではいるのだろうが解放された乳房は若干左右に離れ、だが豊かな乳房を覆っている総レースのカップは剥がれはしていない。
「いやらしい大人の男が、胸をしゃぶっていいかな?」
「いのうさんなら……」
 泣き出しそうな震えた蕩け切った声の甘さに、省吾は生唾を飲む。
「光栄だな、お姫様」
 そっと薄いベールを解く様に総レースのブラジャーの端に指をかけ、ゆっくりと脇へと払う省吾に彼女の全身ががくがくと震える。うっすらと血の気を透かす薄桃色の柔肌と子供の様な薄鴇色の乳輪と乳首が昼間の会社の温室の中で、露わになり、恥ずかしさに耐えきれない様に彼女が後ろ手をテーブルに突き仰け反る。その動きは逆に乳房を強調し省吾の目の前で豊か過ぎる美乳がぶるんと弾む。
「ぁ……っ、はずかしい……の……っ、ゃ……ぁ…っはずかしい……みちゃいやです……っ、いのうさ…ん……っ、いや……っ」
 元から甘く優しい彼女の声は感極まると清楚そうな柔らかな声音が全て男の耳や性器を撫で回す卑猥で甘え上手な音楽に変わる。恥ずかしがれば恥ずかしがる程とろとろに蕩けた極上の蜂蜜。例えればねっとりと絡み付いて搾り立てる牝肉そのもの。彼女は清楚可憐な処女のお嬢様なのに脳内が淫猥なおねだりの声だと即座に判定する。手慣れた男が手を出せば簡単に堕とされてしまっていたであろう極上の果実。それを手にしている幸運が脳髄から牡肉までをじりじりと支配欲で焦がす。
 だがあくまでも偽彼氏である。偽物に過ぎない。
 役得だと楽しめばいいだけの話なのに時折胸にちくりと痛みが生じる。とっとと彼氏など作ってしまえばいいとたまに思う。本気で心底好いている男に甘える時には彼女の蜂蜜声はどれだけ甘くなるのだろうか。
 晴れ渡る空の下、殆どの社員が忘れてしまった温室は噎せる様な植物と土と水のにおいに満ちており、そこで一番甘くて悩ましい花が目の前で咲き誇っている。とても柔らかな上質な薄桃色の豊か過ぎる乳房の頂の柔らかな鴇色の乳輪と乳首、しっとりと濡れた黒目がちな瞳と小さな唇、仕事用に高い位置で纏めた長い髪が白いテーブルの上に乱れて広がっている様がいやらしい。恥ずかしげに唇に手を添えて、省吾を見上げてくる。
「いのうさん……、あの…あの……い、いじって……ください……お風呂でなさったみたいに…いっぱい……」
 人の気も知らないで。甘く可愛らしい声が微かに震えているのは自分のおねだりの卑猥さ、はしたなさを弁えているからなのだろう。彼女にとって偽彼氏と言う存在がどの様なものか聞いてみたいけれど、それを聞きたくはない気もする。
「もう不感症じゃないって判ったでしょうに」
「でも……っ、でも…だから、です……」
 ほんの僅かにテーブルの上で身を捩る彼女に、制服のタイトスカートが若干捲れ上がる…薄いストッキングに包まれた脚のフェティッシュな艶めかしさとしなやかな太腿の隙間がいやらしい。
「そんなに挑発してると、犯されても知らないよ?」
「いのうさんは、紳士ですもの……」
 もどかしげに潤んだ瞳で見上げてくる彼女の乳房が華奢な腕に挟み込まれてむにゅりと捏ねられる。温室の草木のにおいの中ではっきりと漂う女性新入社員の甘い匂い。
「こんな事をしても、紳士って言えるかな?」
 そう言い既に尖り切っている乳首をゆっくりと両手の指で摘まみ、上へと引っ張った省吾に細い身体を撓らせた彼女の唇から感極まった鳴き声が漏れる。親指と人差し指できゅっと絞っている乳首を頂点に豊かな乳房が卑猥な形に歪み、釣り上げれば釣り上げる程重々しい巨乳が撓み、少しの動きでたぷんたぷんと弾む。
「あ!あぁ……っ!いゃ……いやぁ…っはずかしいです…いのうさん、はずかしいの……っ、それ……だめです……ぅっ」
「駄目なら止めようか」
「それも……だめぇ…っ」
 かくんかくんと身体を震わせながらこれ以上はない切なげな瞳で彼女が省吾を見上げてくる。テーブルの上に横たわる彼女に身を寄せた結果、両脚の間に身を割り込ませている省吾の腰を彼女の脚が挟み込みながら淫らに蠢き、上品な灰色がかったベージュのストッキングがスラックスの腰に擦れしゅるしゅると淫猥に滑り擦れ続ける。徐々に捲れていくタイトスカートに、ストッキングの上部のパンティ部分との切り替え部分が露わになる。色濃いパンティ部のその奥が既にぐっしょりと濡れているのも見え、そして愛液のにおいが熱い火照りと共に漂ってきた。
「かわいがってください……」
 静かな温室の中で、蚊の鳴く様な細い、だが牡の劣情を鷲掴みにして舐るみたいなとろとろに蕩け切った甘い声で、彼女がおねだりをした。

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