2019余所自作44『温泉入浴中に男子の交代時間・過ぎて消灯』

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 大浴場が男子用に切り替えられた八時から消灯までの二時間。露天風呂から乃愛が出る事は一度もなく。そして男子生徒全員が大浴場を満喫した後、女子用個室へと運ばれた乃愛は、点呼の後、疲れきりベッドの上に崩れたまま眠りにつきそうになっていた。
 流石に乃愛が警察に駆け込む可能性が怖いのか、性交だけは避けて繰り返された学年全男子生徒による凌辱に全身が蕩けてしまっている。教師の言葉がなければきっと自分は露天風呂で全員に犯されてしまってたのだろう…それを回避出来たのは教師の発言のお陰だろう。ふうっと漏れる吐息は精液の臭いが強い。歯を磨きたい。うがいをしたい。だがもう指一つ動かしたくない。明日は終日フリータイムで、班毎の計画が決まっているだけだった。乃愛も一応は男子生徒達の班に組み込まれてはいるものの、実質自由行動だと告げられていた。だが旅館から一歩も出ずに眠っていたい…それは叶うかもしれないが……、
 個室のユニットバスの扉が開き、担任の足音が遠退くのを待っていた人物が無防備に横たわる乃愛へと歩を進めた。
 宿の浴衣は適当に着せ付けられただけであり、そして乃愛はその下に下着を身に着けてはいない。大勢の指で解されきっている膣も窄まりも、まだ疼ききり、弛み、そして適当に精液は洗い流されていたが既に愛液は尻肉にまで伝い浴衣とベッドに染みを作っていた。疲れ切っている…でも疼いている。このままならば男子生徒は自分の処女を奪わないだろう。だが、教師ならば、どうなのだろう。あの猛々しい…とても執拗に自分を弄ぶあの頼もしいモノは、きっと上手に残酷に自分の処女を奪い、そして膣内射精の後にアフターピルを与えられるのだろう。その想像にぞくりと甘い痺れが爪先まで広がり、ベッドの上で乃愛は喘ぐ。
 照明を灯さないままの個室で、ぐいと乃愛の弛緩した身体が転がされ、適当に着せただけの浴衣の前が全て肌蹴て顕わになる。
「ぁ……」
 小さく声を漏らす乃愛の腕が引かれ、ずるりと肩から浴衣が落ち、脇の下に回された腕より上が剥き出しになりベッドから引き擦り下ろされる少女の身体が異性の胸に沈みこむ。もう無理。そう思いながら喘ぐ乃愛の唇を、暗闇の中、誰かの口が塞ぐ。誰なのかは、判らない。大勢の精液を嚥下した後うがいすらしていない口内に舌が捩じ込まれ、乃愛は口腔と舌を貪る男に何とかしがみつき、のろのろと舌に応える。――誰だろう、自分を一対一で、貪る人は。強い興味とは異なる、夢の中の様な曖昧な甘い感覚に乃愛は沈みこんでいく。
《いいか、やるなら和姦にさせろ。ねだるまで犯さないか、訴えられなくなるまで犯せ。証拠は残しておけよ》
 教師の去り際の言葉が脳裏を過ぎる。せめて初体験の相手が誰かは知っておきたいと思うのは、疲れ切っているからなのだろうか…誰かがこんな自分を好きになってくれて処女を捧げられるのならばそれだけで嬉しいのに、と思うのは卑屈かもしれない。でも、それでも肉欲に溺れきって誰彼構わず求めて初体験の相手すら意識出来ないよりはいい気がする。今は待って欲しい。まだ待って欲しい。でも、身体中が甘く疼いて自分を止められない。
 ベッドの脇で縺れる様に横になったまま唇を貪られ、そして、ぬちゃっぬちゃっと卑猥な音を立てる下腹部の溝を男の肉棒に擦り上げられ、乃愛は甘く蕩けて喘ぐ。解れている。もういつでも迎え入れる事が出来る…と思う。欲しい。知りたい。牡に犯される充足感を、深い快楽を、牝としての最高の絶頂を。あっ、あっと甘く切羽詰った声が溢れ、乃愛の膝が男の腰の両脇で不安定に揺れて軽く痙攣する。何度も何度も暗闇の中、乃愛の谷間を忙しなく掻き混ぜ続けていたモノの切っ先が徐々に膣口近くをゴツゴツと突き上げる様になり、そして、膣口へ動きを狭めていく…だが押し付けてくる力は変わらず、暗闇での初めての行為に不慣れなのではないかとふと思った乃愛の指が、相手の手を撫でようと緩慢に動いた瞬間、
 部屋の照明が灯った。
 誰だろう同じ学校だろうが見覚えはない男子生徒の顔をよく確認する間もなく、焦って部屋を飛び出していくその横で、扉の横でにやりと嗤う教師の姿が乃愛の瞳に映る。
「チンポが欲しくなったか」
「……」
 肯定も否定も出来ないまま横たわる乃愛を鼻で嗤い、教師ははだけきった浴衣のままの乃愛の二の腕を掴み強引に立たせた。
「バイブレータで処女喪失させる方法もあるぞ?あいつらが考えそうな手だ。――初めての男が玩具なのと生なのと、どちらがいい?」
 教師の、大人の男の問いに乃愛は激しく動揺する。バイブレータの存在は知っている…それが男性を模した形状もある事も知っている。だがそれを初めてのものとして迎え入れる事には強い躊躇いがあり、そしてその後は無数の男子学生に無責任に犯され続けるだと考えるとあまりの情けなさに泣きそうになってしまう。もう二者択一しかないのだろうか?自分が処女を守れる方法はないのだろうか?そう考えながら…乃愛は縋る瞳で教師を見上げてしまう。先刻の顔も知らない男子に処女を捧げるのならば、せめて、初めての絶頂を教えてくれたこの教師に捧げた方が牝としての深い満足を与えて貰えるかもしれない。自分の淫らで惨めな切望に、乃愛の瞳を涙が溢れる。
「――バイブレータで貫通させられない様に精々祈るんだな」
 そう言われ、乃愛はベッドへと突き倒された。
「先生、待って……!」
 踵を返す教師を慌てて止めようとしてしまった乃愛は、自分の言葉に凍りつく。そんな少女を冷淡に見、教師は照明を消して部屋を出る…オートロックの鍵を締めさせない為に止め具をかけているのを、何故か乃愛は客観的に見つめていた。
 恐らく、次に扉を開ける人物に自分の運命は委ねられるのだろう…自分に選択権はない。
 ぞくりと背筋がざわめき、乃愛は乱れた浴衣が帯に絡みついただけで腕と背中を隠している状態のまま、のろのろと指を動かし、下腹部に指を添える。
 ぬるりと簡単に沈み込んでいく華奢な指に、乃愛の唇から甘い声が漏れる。
 自分は壊れてしまったのだろうか。もう元には戻れないのだろうか。扉の外の廊下の常夜灯が薄く差し込むベッドの上で、少女の指が膣口から奥へと沈み込んでは引き戻され、個室に愛液を攪拌する卑猥な水音がねちょねちょと鳴り続け、達しきれない喘ぎが甘く微かに籠もり続ける。物足りないのは十分判っているのに、指の動きが止められない。徐々に汗が滲み、気だるく動けなかった身体に麻薬が与えられたかの様に、乃愛はベッドの上で荒々しく自らの乳房を揉みしだき、乳首を捏ね回し、抓り、指で膣内を突き上げ続ける。足りない。教師より、どの男子より、絶望的に足りない。一人だから言える。まだ誰かには言えない。そんな言葉が少女の唇をつく。
「おかして……ぇっ、めちゃくちゃに…して……っ、おまんこ…かきまぜて、ついて、なんどもいかせてなかでだしてぇ……っ、してぇっ、きて……、ずぶずぶ、こじあけて……ぇっ!」

 乃愛の声を、自慰を、放送部の機材がインターネットを経由して有志による裏サイトにライブ映像として配信しているのを知らない少女は満たされない欲望を少しでも鎮めようと自慰を繰り返す。可憐な唇からは相手を想定していない赤裸々な哀願がひっきりなしに零れ、廊下の常夜灯の細い明かりが差し込む中、露天風呂で全男子生徒が弄び射精を済ませた可憐な少女が疼きを持て余して地味な、だが執拗な自慰に耽り、泥沼の様に溺れていく。もう自分ではどうにもならない牝の疼きが露天風呂の恥辱を思い出させるのか、タブレットの、スマホの画面の中で少女の白い肢体はのたうち、一人淋しく汗塗れの腰をかくかくと痙攣させるが悲痛に漏れる鳴き声は収まらない。発散出来るまでこのまま続くであろう自慰にトイレの中で同じく自慰を済ませる者もいれば、同室同士で相談を始める者もいた。
 まだ消灯時間から僅かに時間が過ぎたばかりであり、そして、乃愛の部屋の扉が閉まりきっていないのは、全員が知っている。

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